弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人和島岩吉、同棚野政幸、同関田政雄の上告趣意第一点及び第二点について。
 原判決の挙示する証拠によれば原判決認定の事実を優に証明できるのであつて所
論は事実審裁判所の専権に属する証拠の取捨並に事実の認定を非難するに過ぎない
から採用に値しない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原判決は被告人の警察における自白だけで事実を認定したものではなくて、之と
原審における被害者Cの証言及び共犯者D同E等に対する司法警察官の聴取書中の
各供述記載等を綜合して被告人に関する判示強盗未遂の事実を認定したものである
ことは原判決の証拠説明によつて明かであるから原判決は何等所論のように日本国
憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十条第三項(日本国憲法
第三十八条第三項)に反するものではない。論旨は理由がない。
 弁護人須藤静一の上告趣意第一点について。
 記録によると成程被告人等は司法警察官の取調に対してはいずれも本件犯行を自
白していたが公判の取調においては「警察における取調に際しては刑事から殴られ
たので已むなく虚偽の自白をしたもので被告人は本件強盗に関係していなかつたも
のである。」旨供述するに至つたことは所論の通りであるが、裁判所は第一審公判
廷で被告人等の取調に当つた司法警察官A、及び取調に立会つた巡査Bを証人とし
て訊問した結果、証人Aは「被告人等の取調に際し部下が被告人等を殴つたような
ことは絶対にない」旨、又証人Bは「被告人等の取調に際し少々大きな声で怒鳴つ
たことはあつたかも知れないが殴つたりしたことは絶対にない」旨供述したことが
明かである。そこで原審は被告人等の警察における自白を任意に出でたものと認め
てその聴取書の供述記載を証拠として採用したものと認められる。ところで証拠の
取捨撰択は事実審裁判所の専権に属することで被告人の公判廷における供述と警察
における供述とが矛盾する場合にいずれを信用するかはその自由な心証によつて之
を定めることができるのであるから、原審が被告人等の公判廷における供述を採用
しなかつたからと言つて之を非難するわけにはゆかないし又右の公判廷における証
人Bの証言を以てしても、未だ所論のように被告人の警察における供述が日本国憲
法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十条第二項(日本国憲法第
三十八条第二項)に言う強制又は脅迫によるものとは認められない。その他記録を
精査しても所論のような事実を窺うに足る証跡がないから被告人等に対する司法警
察官の聴取書中の供述記載を証拠に採用した原判決には何等所論のような違法はな
い。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 被告人からある証拠が無効であるとの主張があつても裁判所が之を有効な証拠と
認めて罪証に供するに当つて特に判文上右主張に対する判断を示す必要はない。従
つて本件で原判決が被告人等に対する司法警察官の聴取書中の供述記載を罪証に供
するに当つて所論の主張に対する判断を示さなかつたからと言つて何等所論のよう
な理由不備又は判断遺脱の違法があるとは言えない。論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第四百四十六条によつて主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 福尾彌太郎関与
  昭和二三年八月一一日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
 裁判官小谷勝重、同河村又介は共に差支えにつき署名捺印することができない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

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