弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人A1、同A2を各懲役六月に、被告人A3、同A4、同B1を各
懲役四月に、被告人B2、同B3を各懲役三月に、被告人B4を懲役二月に、被告
人A5、同A6、同A7、同A8、同B5、同C1、同B6、同B7、同B8を各
罰金六、〇〇〇円に、被告人B9、同C2、同C3を各罰金五、〇〇〇円に処す
る。
     右罰金を完納できないときは金二〇〇円を一日に換算した期間その被告
人を労役場に留置する。
     被告人全員に対し、本裁判確定の日から二年間いずれもその刑の執行を
猶予する。
     訴訟費用中(一)原審証人E1、E2、E3、E4、E5、当審証人E
4、F1に支給の分は被告人B5、B9、C2、C3、C1を除くその余の被告人
らの連帯負担、(二)原審証人G1、G2、H1、H2、H3、H4、H5、H6
当審証人H2に支給の分は被告人B4、C2、C3、C1を除くその余の被告人ら
の連帯負担、(三)原審証人I、J、K、L、M、N、O、P、Q、当審証人Lに
支給の分は被告人B4、B5、B9、C1を除くその余の被告人らの連帯負担、
(四)原審証人R、S、T、当審証人Uに支給の分は被告人B4、B5、B9、C
2、C3を除くその余の被告人らの連帯負担、(五)その余の原審及び当審証人に
支給の分は被告人全員の連帯負担とする。
         理    由
 検察官の控訴趣意について。
 本件公訴事実は、兵庫県三原郡a町V組合は、b区内にある山林の共有共同経営
を目的とし、b居住者(d部落を除く)の大部分一〇三戸をもつて組織されている
任意組合で、被告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A7、同
A8は同組合執行委員、被告人B5、同B1、同B9、同B6、同B4、同B7、
同B2、同B8、同B3は同組合の班長、被告人C2、同C3、同C1は同組合員
であるが、同じ組合員であるW1、W2、W3、W4、W5は組合からその所有山
林に対する松茸採収権及び下刈権を、同組合に無償提供すべきことを要求されて応
ぜず、そのため、昭和二五年一二月及び昭和二六年二月の二回にわたる組合の利益
金分配を拒否されたので、同年五月八日同組合を相手方とし神戸地方裁判所洲本支
部に配当金請求の訴を提起し、更に翌二七年九月一三日組合所有の山林一五町歩に
対し仮処分の執行をしたので、これを知つた被告人らは憤慨し、対策を協議するた
め、同夜b区内公会堂に執行委員、班長会議を開き、その席上被告人A1、同A
2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A7、同A8、同B5、同B1、同B
9、同B6、同B4、同B7、同B2、同B8、同B3は外数名の出席者と共に、
「仮処分をしたW1等五名に対しては、今後女子供に至るまで、家族全員に対して
ものを言わないし、一切交際をしない、これに違反した組合員に対してはその責任
を追及する、各委員、班長は隣保員と相談の上これを右五名に通告する」旨の共同
絶交の申合せをし、もつて各委員、班長らはそれぞれ隣保員に相はかり、W1ら五
名に対し、右申し合わせ事項を通告することを謀議した上、
 (一) 被告人A3、同B4は右謀議に基いて、外数名の所属隣保員同席の上、
翌一四日夜同部落隣保集会所のXに招致したW1及びW2の両名に対し「今後女子
供に至るまで、ものを言わないし、交際を遠慮させてもらう」と言つて、前記申し
合わせにより共同して絶交する旨を通告し、
 (二) 被告人B5、同B9、同B2は、右謀議に基いて外数名の所属隣保員と
相携えて、同日同部落W3方に押しかけ留守中の同人の長男G2の妻G1に対し前
同様の通告をしてW3に伝達させ、
 (三) 被告人B1、同C2、同C3は、右謀議に基いて外数名の所属隣保員と
相携えて、同月一五日夜、同部落W5方に押しかけ、同人に対し前同様の通告を
し、
 (四) 被告人A4、同C1、同B3は、右謀議に基いて外数名の所属隣保員同
席の上、同月一六日同部落のR方において、W4に対し、前同様の通告をし、
 それぞれ右山林管理組合なる団体及び多数の威力を示し、共同してW1ら五名の
自由名誉に対し、害を加うべきことをもつて脅迫したというのである。
 これに対して原判決の要旨は、(一)一定の地域において集団生活を営み、相互
依存している場合に、(1)正当の事由がないのに(2)集団の一人もしくは一部
の人に対し他の全員もしくは大部分の人が共同絶交の申合せ、もしくは決議をし
(3)そのことを相手方に通告することによつて犯罪性(脅迫罪)をもつものと
し、(二)昭和二七年九月一三日夜、b区内の公会堂で、公訴事実に主張されてい
るような原由により、V組合の執行委員、班長会議が開かれ、その席上W1ら五名
とは交際はできないなどと言つた者があつたことから、話がその方に傾き、各隣保
に帰つて隣保員と相談し、五人とは女、子供に至るまで交際を遠慮させてもらうと
いうことに賛成を得た上で、右五名のいる各隣保では、それぞれの隣保員である五
名にそのことを告げるという漠然とした話ができたが、それは強制的なものではな
く、部落もしくは組合の意思として申し合わせ又は決議が行われたとは認められな
い。(三)右会合以後は、W1ら五名のいない各隣保では、同人らに対する共同絶
交について役員らから隣保員に対し指示があつたとか、隣保員が寄り合つてその相
談をしたと認められる証拠はなく、又五名のいる各隣保ではそれぞれ絶交について
なんらかの相談が行われたように推認されるが、これは各隣保としての絶交であつ
て組合員全体としての絶交ではない。(四)W1ら五名に対する通告も各隣保とし
ての絶交の趣旨であつて、組合の役員会義の決議に基いて、組合としての共同絶交
の趣旨ではなく、このように隣近所一〇軒位の者の間で共同絶交を通告したとして
も、個人間の絶交の通告が罪とならないと同様になんら犯罪性を帯びるものではな
い。
 ということに帰着する。
 そこで原審及び当審に溶ける証拠調の結果を総合考察してみると、
 (一) 兵庫県三原郡a町bは上・下の二部落に分かれ、更に上部落はc部落と
d部落に、下部落は九部落に分かれており、右c部落以下各部落は隣保ともいい隣
保長を置き、a町における集団社会生活の最下部組織を成し、この組織は第二次世
界戦争中から存在したものであるが、現在の区域、その所属人員は必ずしもそのま
まではないこと、a町V組合はd部落を除く他の一〇部落内の居住者の大部分であ
る一〇三名をもつて組織し、組合員の福利を増進するため、b区内にある組合員共
有の山林を管理経営することを目的とし、役員として各一〇名の執行委員及び部落
班長を置き、執行委員中から委員長一名及び会計二名を互選し、又班長は右一〇部
落から各一名を選出し、部落員会の決議を執行委員会に反映する様努め、執行委員
会の決議事項を部落員に報告する義務を負うものと定められていること、本件発生
当時は被告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A7及び同A8
はいずれも執行委員をまた被告人B4、同B7、同B8、同B3、同B6、同B
2、同B1は各部落班長を勤めており、その他の被告人は同組合員であつたこと
(公訴事実中の被告人B5及び同B9が各部落班長であつたことを認められる証拠
はない)昭和二五年一二月頃の組合総会で、二町歩以上の自作山林を所有する組合
員は、その山林の下草及び松茸の採取権を組合に対し、無償提供すべき旨が決議さ
れ、これに該当する組合員中W1、W2、W3、W4及W5の五名は、この決議に
従わなかつたため、同年一二月及び翌二六年二月に行われた利益金及び家庭用薪炭
用材の分配に際し、分配から除外されたので、同人らは同年五月神戸地方裁判所洲
本支部に対し組合を相手方として、配当金等請求の訴を提起し、その訴訟係属中の
昭和二七年九月一二日、同町b小字e所在の組合員共有の山林地上の松茸及び下草
中右五名の持分に応ずる分の処分を禁止する旨の仮処分命令を得、翌一三日その執
行をしたので、被告人らを含む組合員らはこれに驚き且つ憤慨し、同夜その対策を
協議するため、b所在の公会堂で、同組合の執行委員及び班長による会議が開かれ
たこと、同会議には被告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A
7、同A8は執行委員として、また被告人B7、同B8、同B3、同B6、同B
2、同B1は各部落班長として参集し、その外部落班長であつたY1、Y2及び同
じく部落班長であつたY3を代理してその息Zが出席したこと(公訴事実中被告人
B5、B9及びB4が出席したという事実はこれを確認するに足る証拠はない)右
会議は被告人A1が議長となつて議が進められ、出席者のある者からW1ら五名及
びその家庭に対しては交際を絶つべき旨の発言があり、大多数がこれに賛同し一、
二の反対の趣旨を述べる者があつたが積極的な主張ではなく、被告人A1及び同A
2はこもごも被告人B4の母F2から聞知した、ある地主の不当処置に対抗して小
作争議を起した村民が、その地主一家との共同絶交を強行してその要求を認めさ
せ、地主の処置を取消させたという隣村にあつた実例を述べ、結局組合員はW1ら
五名の処置に対する報復として同人ら及びその家族達とは共同して絶交すること、
各役員はその部落に帰つて組合員にこのことを伝え、その同意を得た上、右五名の
いる部落では同人らに対し共同絶交を通告すべきこと、通告は役員又は部落班員全
部で行うべくそのいずれにするかは各部落で取り決めることに意見が一致したしこ
とが認められ、この認定に反する各証拠は信用性が乏しいものと断定することがで
きるのである。
 (二) そして右五名の中(イ)W1及びW2の両名は、いずれもc部落(上一
隣保)に所属し、被告人B4が班長を勤め、班員中被告人A3が執行委員を勤めて
いたのであるが、右会議の行われた翌一四日夕刻、班員が同所のXに参集した際
に、被告人B4はW1、W2の両名に対し、山の件で同人ら及びその家族と、隣保
員だけでなく組合員全部は交際を絶つべき旨を通告し、被告人A3はこのことは組
合で決まつたことで、そむくと組合から除名される旨を付言し、他の者もこれに和
し、反対をとなえる者はなかつたこと、Xにおける参集は被告人A3と同B4らの
相談によつて決められたこと、(ロ)W3はf部落(第八隣保)に属し、被告人B
5及び同B9も同所に属し、班長は被告人B2が勤めていたが、前同日W3方附近
路上に、被告人B2、同B5及び同B9の外同部落居住の組合員約四名が集まつ
て、W3ら家族に対し共同して絶交することを相談した上、同道して同人方へ行
き、被告人B5が右W3の息G2の妻G1に対し、以後同人及びその家族と隣保の
交際を絶つ旨を告知し、その家族に伝達するよう依頼し、その後帰宅したW3に対
しその旨を伝達させたこと(ハ)W5はg部落(第一隣保)に属し、被告人B1が
同部落班長を勤め、被告人C2及び同C3は同所に属する組合員であるが、同月一
五日被告人B1の指示により、同所所在のXに、被告人B1、同C2、同C3の外
同所居住の組合員約八名が集まり、W5ら家族に対する共同絶交について協議して
全員賛同の上、同道してW5方へ行き、被告人B1は同所で同人に対し、eの差押
の件について、同人及び家族とは隣保の交際を絶つ旨を通告したこと、(二)W4
はh部落(第六隣保)に属し当時被告人B3が班長を勤め、被告人A4、同C1は
同部落に居住する組合員で、被告人A4は執行委員をしていたのであるが、同月一
六日同部落に住むR方に、部落員共有の籾摺機の掃除のために被告人B3、同C
1、同A4の外同所居住の組合員R、S、T及びW4が集まつた際、被告人C1及
び同A4がこもごもW4に対し、他の隣保はものをいわぬことにしたので、うちの
隣保も矢張りものをいわぬことにする等言明して、同隣保内の共同の絶交を通告し
たこと、R方に参集したものは、被告人B3の指示によるもので、籾摺機掃除の機
会を利用して、共同絶交の通告をするためであつたしと、参集した者は事前にこれ
を予知していたこと、(ホ)隣保の交際を絶つとは、右五名と同一部落(又は隣
保)に属する組合員らと右五名及びその家族との交際を絶ち、同人らをその部落
(又は隣保)における協同生活圏内から除外することを意味していること、そして
右各通告後は右五名及びその家族に対しては、その所属隣保の組合員のみならず、
その他の組合員との交際関係が従前のように円満に行われなくなつたこと、(へ)
右通告はいずれも隣保員らにより共同して行われたのであるが、その用語及び態度
は微温的で公訴事実主張のように、V組合という団体及び多衆の威力を示すという
ようなものではなかつたことが認められる。
 さて一定地域の居住者が集団社会を形成し、朝夕寒暑の挨拶をかわし、吉凶互い
に慶弔し、相互依存の協同生活を営むことは、人間本来の常態ということができる
が、他人と交際すると否とは個人の自由に属し、従来結んできた交際を絶つことを
決意し、これを相手方に通告したからといつて、それだけで違法行為として刑事責
任を問われることは決してない。しかしながら、その地域における多数者が結束し
て、特定の一人又は数人に対し将来一切の交際を絶つべきこと、いわゆる村八分の
決定をし、これを通告することは、それらの者をその集団社会における協同生活圏
内から除外して孤立させ、それらの者のその圏内において亨有する、他人と交際す
ることについての自由とこれに伴う名誉とを阻害することの害悪を告知することに
外ならないのであつて、それらの者に集団社会の平和を乱し、これに適応しない背
徳不正不法等があつて、この通告に社会通念上正当視される理由があるときは格別
しからざる限り、刑法第二二二条所定の脅迫罪の成立を免れないのである。そして
それが脅迫罪となるには、地域を基本とする集団社会から、特定の一人又は数人を
除外して孤立させることについて、多数者が意思を共通にして、その通告をすれば
足りるのであつて、その集団社会の地域の広狭、<要旨第一>居住者の多寡によつ
て、犯罪の成立が左右されるものではない。本件のような農林産部落あるいは隣保
は、その地域は必ずしも広くはなく又居住者も多くはないが、その居住
者による集団社会の交際関係は却つて緊密度が高く、このような関係から除外され
ることから受ける前記自由及び名誉に対する脅威は、より深いものがあるというこ
とができる。従つてこの協同生活圏内から除外する旨の通告が、少数者間に行われ
たということだけで、脅迫罪の成立を否定する理由とするには足らないのである。
本件通告は、それに先立ち公会堂の役員会議の出席者間において、W1ら五名の行
つた仮処分執行に対する報復として、同人ら及びその家族をb居住者の大部分を占
める組合員との交際関係から除外すること、その通告には右五名の属する隣保内の
役員又は隣保員らが共同して当ることに意見が一致し、その結果を各隣保員らによ
つて微温的言動によるとはいえ、共同して行われたもので、この中前記(二)の
(イ)隣保員のみならず、組合員全員の交際関係を絶つ趣旨その他は隣保内の交際
関係を絶つ趣旨のものであつたこと前詳記のとおりである。そして右五名が前記仮
処分の執行をしたからといつて、それを不正、不法として集団生活圏から排除され
る理由はなく、右処置に対抗するには法的手段に訴える等の方策によるべきである
のに、これに対する報復として共同絶交を通告することは社会通念上正当であると
は認められない。従つて本件通告が脅迫を罪成することはきわめて明らかであつ
て、通告<要旨第二>の用語又は態度が微温的であつたからといつて、その成立を妨
げるものではない。そして公会堂の役員会議に参加した被告人らは、右
五名ら所属隣保の役員又は隣保員らが共同して各通告を実行することを共謀したの
であり、各通告の実行に当らなくても、全部の共同通告行為に対し、共犯者として
の責任があり、又その会議に参加しなくても、各通告に加担した被告人らはそれぞ
れの通告行為に対し、いずれも犯罪実行者としての責任があるものといわなければ
ならない。これを法律に照せば、後者は暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項
の数人共同して刑法第二二二条の罪を犯した者に、前者はその共同正犯者に該当す
るのである。しかるに原判決が、公会堂における会合では、出席者の漠然とした話
し合いがあつたに止まり、一致した意見として組合員を拘束するような申し合わせ
又は決議が行われたことは認められず、その後においても各隣保においてその決議
に基き、これに従う趣旨の申し合わせが行われたこともなく、従つてW1ら五名に
対するその所属隣保員による絶交の通告は、同人ら五名をその隣保の交際から除外
する趣旨であつたものと認められ、このような近隣一〇軒位の者の間に行われた共
同絶交の通告は、個人間の絶交通告と同様に、何ら罪とはならないとしたのは、事
実を誤認し且つ法令の解釈適用を誤まつたものであり、この誤りは判決に影響を及
ぼすことが明らかであるから、原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三八二条、第三八〇条、第三九七条によつて原判決を破棄
し、第四〇〇条但書に該当する場合と認めて更に裁判をする。
 (罪となるべき事実)
 兵庫県三原郡a町V組合は、組合員の福利を増進するためその共有山林を管理経
営することを目的とし、b居住者の大部分である一〇三名をもつて組織し、被告人
A1、同A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同A7、同A8は同組合執行委
員、同B4、同B7、同B8、同B3、同B6、同B2、同B1は各同組合部落班
長、その余の被告人らはいずれも同組合員であつたところ、二町歩以上の自作山林
を所有する組合員は、組合に対してその山林の松茸及び下草の採取権を無償提供す
べき旨の総会の決議があつたのに、これに該当する組合員W1、W2、W3、W4
及びW5はその決議に従わなかつたので、昭和二五年一二月及び昭和二六年二月に
行われた組合の利益金等の分配を拒否されたため、同人らは同年五月神戸地方裁判
所洲本支部に対し組合を相手として配当金等請求の訴を提起し、その訴訟係属中の
昭和二七年九月一三日be所在の組合員共有の山林に対し、その地上松茸及び下草
の中右五名の持分に応ずる分の処分を禁止する旨の仮処分命令の執行をしたので、
その対策を協議するため、同夜b所在の公会堂に、右組合の執行委員及び部落班長
による会議が開かれ、被告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5、同A6、同
A7、同A8、同B7、同B8、同B3、同B6、同B2、同B1は他の約三名の
者とともに出席し、右五名らの処置に対する報復として同人らを制裁する意図のも
とに、同人ら及びその家族とは、組合員は以後一切の交際を絶つべきこと、各役員
は組合員に対しこれを通知して賛同を得ること、右五人らの所属する各部落では、
同人らに対し役員又は部落員が共同してこれを通告することの協議がととのい、も
つて右五人らの家族に対し、いわゆる村八分の通告することを共謀し、その結果
 一、 被告人A3及び同B4はc部落に属していたが、翌一四日夕W1及びW2
を含む部落員のほとんど全員を同所のXに参集させ、その席上W1及びW2の両名
に対し、同時に「組合の意思により組合員全部女子供まで、今後ものを言わない
し、交際を遠慮させてもらう」といつて、組合員全員の共同絶交を通告し、
 二、 被告人B2、同B5及び同B9はf部落に属していたが、前同日同部落員
W3方付近路上に、他の班員とともに集まり、W3に対し同人及びその家族とは隣
保の交際を絶つ旨を通告することを相談した上、同人方においてその息G2の妻G
1に対し、その旨を通告し、同日同女をしてW3にこれを伝達させ、
 三、 被告人B1、同C2、同C3はg部落に属し、同月一五日被告人B1の指
示により、同C2及び同C3を含む班員が、同所Xに集まり、同部落のW5及びそ
の家族に対し隣保の交際を絶つことを協議し全員賛同の上、同道して同人方へ行
き、同人に対しその旨の通告をし、
 四、 被告人B3、同A4、同C1はh部落に居住し、被告人B3は班員に対
し、部落員共同使用の籾摺機掃除の機会を利用して、同部落のW4に対し、前同様
の通告をすべきことをはかつて同意を得た上、同月一六日同部落のR方に右籾摺機
掃除のため右各被告人ら及び外数名の班員らが集合した際、W4に対し前同様の通
告をし、
 もつて数人共同してW1ら前記五名のb内又はbの右各部落内における交際の自
由及びこれに伴う名誉に対しそれぞれ脅威を与えて脅迫したものである。
 (証拠の標目)
 一、 兵庫県三原郡a町V組合規約謄本
 一、 配当金等請求事件訴状及び同判決各謄本
 一、 押収にかかるa町V組合会議録及び同議事録(昭和三〇年領置第五九二号
の二、三)
 一、 仮処分決定謄本
 一、 土地登記簿謄本(記録一三八四丁ないし一五六一丁)
 一、 原審及び当審の各検証調書
 一、 Zの検察官に対する供述調書
 一、 証人Y2の原審第五回公判における供述調書
 一、 Y1に対する原審の証人尋問調書
 一、 被告人A3、A4、B1、B8、B7、B3の各検察官に対する供述調書
 一、 W1、W2、W6、E1、E2、E4に対する原審の各証人尋問調書
 一、 W6の検察官に対する供述調書
 一、 G1、G2、H1、H2、H3、H4に対する原審の各証人尋問調書
 一、 H3、H2、H1の各検察官に対する供述調書
 一、 原審第四回公判調書中証人W3の供述調書
 一、 被告人B2の検察官に対する供述調書(同被告人のみに対する証拠)
 一、 被告人B5及び同B9の各検察官に対する供述調書
 一、 原審第三回公判調書中証人W5の供述調書
 一、 I、Jに対する原審の証人尋問調書
 一、 被告人B1の検察官に対する各供述調書
 一、 W4、U、Tに対する原審の各証人尋問調書
 一、 Rの検察官に対する供述調書
 一、 被告人B3、C1の検察官に対する各供述調書
 一、 当審のY2、F2に対する各証人尋問調書
 (法令の適用)
 暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項(刑法第二二二条第一項)罰金等臨時
措置法第三条
 判示一につき刑法第五四条第一項前段第一〇条
 被告人B4、B5、B9、C2、C3、C1を除くその余の被告人らに対し各刑
法第六〇条第四五条前段併合罪加重につき懲役刑の各被告人に対し同法第四七条第
一〇条、罰金刑の各被告人に対し同法第四八条第二項、労役場留置につき同法第一
八条、執行猶予につき同法第二五条第一項、訴訟費用負担につき刑事訴訟法第一八
一条、第一八二条、なお本件通告には違法性がないとする弁護人の主張の採用でき
ないことは前記のとおりである。
 (情状)
 本件組合はその成立以来業績を挙げ組合員の福利増進に寄与したこと、今後もな
お寄与することが期待されることがうかがわれること。W1ら五名の申請の仮処分
事件の標示に立入禁止の文字があり、組合員らが現場に掲げられたその標示を見
て、仮処分命令の内容について誤つて過大に評価し、その結果公会堂における会議
において共同絶交の意見に一致するに至つた情況が認められること。各通告の際の
用語、態度等はむしろ微温的で強圧的ではなかつたこと。
 本件以後組合員と右五名との間に和解が成立し、現在は旧状に復し円満に交際が
行われていること、今後も同様であることが望ましいこと。各被告人間において
は、組合における指導的地位にあると否と、公会堂の会議における役割及び各通告
の際の地位役割を比較し責任の軽重を定めるのを相当とすること。
 等諸般の点を考慮し、被告人らを各主文の刑に処し、いすれもその刑の執行を猶
予することとする。
 (裁判長判事 万歳規矩楼 判事 武田清好 判事 小川武夫)

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