弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人古海輝雄の上告理由について
 甲が、その所有する一棟の建物のうち構造上区分され独立して住居等の用途に供
することができる建物部分のみについて、乙に対し賃借権を設定したにもかかわら
ず、甲乙間の合意に基づき右一棟の建物全部について乙を賃借権者とする賃借権設
定の登記がされている場合において、甲が乙に対して右登記の抹消登記手続を請求
したときは、右請求は右建物部分を除く残余の部分に関する限度において認容され
るべきものである。けだし、右登記は右建物部分に関する限り有効であるから、甲
は、右登記全部の抹消登記手続を請求することは許されないが、右一棟の建物を右
建物部分と残余の部分とに区分する登記を経た上、残余の部分のみについて乙の賃
借権設定登記の抹消登記手続をすることができるからである。
 これを本件についてみると、第一審判決別紙物件目録一記載の建物(鉄筋コンク
リート造り五階建て。以下「本件建物」という。)については平成二年一一月二〇
日受付で被上告人を賃借権者とする賃借権設定登記(以下、これを「本件登記」と
いう。)がされているところ、本件訴訟は、上告人が被上告人に対し、本件建物の
所有権を主張し本件登記は実体に反する無効なものであるとしてその抹消登記手続
を請求するものである。そして、原審の確定した事実によれば、上告人は同月末日
訴外D株式会社から本件建物を譲り受けたが、これより前に、右訴外会社と被上告
人の間で本件建物のうち二階部分を除く建物部分について賃貸借契約が締結され、
右訴外会社と被上告人との合意に基づき本件登記がされたというのであり、また、
当事者双方の主張及び原審の認定事実に照らすと、本件建物の二階部分には構造上
及び利用上の独立性のあることが十分にうかがわれる。そうだとすれば、上告人の
本件請求は、本件建物のうち二階部分について本件登記の抹消登記手続を求める限
度において、これを認容する余地があるというべきこととなる。
 原審は、本件登記は本件建物の二階部分に関する限り実体に符合しないが、上告
人が右二階部分について区分の登記をした上で右部分につき賃貸借設定登記の抹消
登記手続を請求することができるのは格別、本件登記の抹消登記手続を請求するこ
とはできないとして、上告人の本件請求を全部棄却すべきものと判断したが、前記
説示に照らせば、右判断には法令の解釈適用の誤り、ひいては審理不尽の違法があ
るものというべきであって、右の違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らか
である。論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。
そして、本件については、本件建物の二階部分に構造上及び利用上の独立性がある
かどうか及び右部分の特定などにつき更に審理を尽くさせる必要があるから、これ
を原審に差し戻すのが相当である。
 よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   堀   誠   一
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    三   好       達
            裁判官    高   橋   久   子

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