弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人毛受信雄上告趣意第一点について。
 所論昭和二十四年一月二十五日の原審第二回公判調書末尾の記載を見ると、裁判
長は次回公判期日を来る二月二十四日午前十時と指定告知し訴訟関係人に出頭を命
じ閉廷した旨の記載のあることは所論のとおりである。よつて原審第三回公判調書
を閲すると、その調書冒頭の日附である「昭和二十四年二月二十六日」との記載は
「昭和二十四年二月二十四日」の誤記であること、言い換えれば原審第三回公判期
日は昭和二十四年二月二十四日の開廷である事実は左の諸点に照し明白である。す
なわち、(1)前示第二回公判調書末尾記載の次回公判期日(即ち第三回公判期日)
を「来る二月二十四日」と記載されあり、しかして右第三回公判期日を変更した形
跡のないこと。(2)右第三回公判調書末尾の同調書作成日附の部分に「昭和二十
四年二月二十四日」との記載あること。(3)前示原審第二回公判調書に「証人A
を次回に喚問する」趣旨の証拠決定の記載あり、しかして右証人Aに対する召喚状
の送達報告書には「昭和二十四年二月二十四日……の証人召喚状一通」との報告記
載のあること。以上により原審第三回公判期日は昭和二十四年二月二十四日適法に
開廷され、たゞその調書の冒頭開廷日附「二十四日」が「二十六日」と誤記された
に過ぎないものであることは極めて明瞭であるのである。されば公判調書の記載中
以上誤記であることが他の資料によつて明白である場合には、以上の如き誤記をも
つて原判決破毀の理由となすことを得ないものであるから(昭和二十三年(れ)第
一〇二六号昭和二十四年三月五日第二小法廷判決参照)、所論は採用することがで
きない。論旨理由なし。
 同第二点について。
 原審第二回公判において弁護人より証人Bの喚問を求めたのに対し、原審はこれ
を却下したこと、しかるに原審は同人に対する検事の聴取書を証拠に採用している
ことは正に所論指摘のとおりである。しかるに同人は醜業をなりはいとしている者
であることは原判決の認定するところであり、その居所転輾不定の者である事実は、
一件記録中の同人関係書類にいずれも住居不定の記載があり、同人に対する検事聴
取書にもその住居は全く記載されず、又原審第一回公判調書中被告人に対する裁判
長の「Bは現在何処に居るのか」との問に対し、被告人は「唯今は解りません」と
の供述記載がある外、弁護人の前示証拠申請にも同人(B)の住居所の申出のない
こと等によつて明らかなところである。それ故、原審は刑訴応急措置法第一二条第
一項但書にいわゆる、同人に対する証人喚問により被告人に「審問の機会を与える
ことが著しく困難な場合」に該当するものとし、よつてこれが申請を却下したもの
であることを推知するに十分である。そして、原審は、別に、警察で右Bを取調べ
た巡査Cを証人として喚問し、被告人にも同証人に対する直接訊問の機会を与えた
上で、同巡査が、さきにBを取調べたときのBの供述内容について訊問を行い、B
の検事に対する供述と矛盾することのないことを確かめ、同巡査の証言をも判決に
証拠として、挙げているのであつて、原審は所論Bに対する検事の聴取書を証拠と
するについては前示応急措置法第一二条第一項但書にいわゆる「これらの書類につ
いて制限及び被告人の憲法上の権利を適当に考慮し」たものであることをうかがう
ことができるのである。しからば所論は採用し難く、論旨は理由がない
 被告人Dの上告趣意について。
 右は要するに生田警察署における司法警察官の被告人に対する聴取書は、強制拷
問を受けた結果に原因する供述記載であり、被告人は結局無実の罪であると主張す
るのである。しかし第二審判決挙示の各証拠を綜合すれば尤に被告人の本件強盗殺
人の事実はこれを認定できるのである。そして被告人主張の右強制拷問を受けた事
実は本件記録の上では全然不明であるのみならず、第二審裁判所は右司法警察官の
聴取書は被告人の断罪の証拠には採つてはいないのである。してみれば被告人の主
張は結局第二審裁判所の認定した事実は間違いであると主張するに帰着するもので
ある。しかるに日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第一
三条第二項の規定により、かゝる主張は上告審ではもはや主張することは許されな
いのである。それ故結局被告人の上告申立は理由のないことになるのである。
 以上の理由により、刑訴施行法第二条並びに旧刑訴法第四四六条にしたがつて、
主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 橋本乾三関与
  昭和二四年一二月二四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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