弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴はいづれもこれを却下する。
     控訴費用は控訴人等の負担とする。
         事    実
 被控訴代理人は主文第一項同旨の判決を求め、その理由として本件各控訴の申立
は控訴期間経過後のもので右は控訴人等の過失により不變期間を遵守することがで
きなかつたものであるから却下せらるべきものであると述べた。
 控訴人等代理人は懈怠した訴訟行為の追完を申し立て、その理由として控訴人A
は昭和二十五年十二月十五日分娩して当時静養中であり、又控訴人Bはその頃病気
であつたのでC以外の控訴人等は控訴人Cに控訴申立の手続を委任していたもので
ある。そして控訴人Cは主人である控訴人Bの命により、昭和二十五年十二月二十
七日D司法書士に控訴状の作成方を依頼し、又同月三十一日吉岡弁護士に委任して
控訴の申立をすべく同弁護士宅に赴いたが不在であつたので、前記D方に行つたが
これまた不在であり、翌昭和二十六年一月一日同人方に赴いたところ、その子Eが
法令等を調べた上三日までは休日であるから控訴状は四日に提出すればよいと話し
た。そこで念のため岡山地方裁判所に行き受付で判決正本を示して尋ねたところD
の息子はよく知つているのだから同人がそう言つたのであれば間違ないとのことで
あつたが、更に翌二日D宅に赴いたが不在であり、よつて同地方裁判所において前
日同様書類を示して昨日は四日までに提出すれば有効だと言われたが大丈夫かと念
をおして尋ねたところ、民事の係りは人は居ないが代書の息子がそのように言ひ昨
日も此所でそのように聞かされたのならそれに間違いはないと申されたので安心し
て帰宅した。しかし尚控訴人Bの命により翌三日当裁判所に出頭して受附で確めた
ところ、四日に提出すれば有効であると答え前記書類を預かつてくれた。よつて翌
四日控訴状を作成して提出したのであるが、以上は控訴人等の責に帰すべからざる
事由によつて不變期間を遵守することができなかつた場合に該当するから民事訴訟
法第一五九条により訴訟行為を追究すると述べ、立証として証人Eの証言及び控訴
本人C尋問の結果を採用した。
         理    由
 本件記録によれば岡山地方裁判所が昭和二十五年十二月十八日言渡した原判決正
本は同月十九日原審における控訴人等の訴訟代理人弁護士吉岡栄八に送達されてい
るのに拘らず、本件の控訴状が原裁判所に提出されたのは昭和二十六年一月四日で
あつて右送達の日から二週間を経過した後であることは明白である。よつて右不変
期間の不遵守が控訴人等の責に帰すべからざる事由に基くものであるか否かについ
て判断する。証人Eの証言及び控訴本人C尋問の結果をあわせ考えれば、控訴人C
はその余の控訴人等と協議した上原判決に対し控訴の申立をすることとし他の控訴
人等よりその手続を依頼せられ、昭和二十六年一月一日D司法書士宅に赴き控訴状
の作成方を頼んだところ、同人は不在であつたが広島高等検察庁岡山支部に事務官
として勤務しているその子Eが研究した結果、刑事訴訟法によれば一月一日、二
日、三日は休日に当り期間に算入しない、民事訴訟法も同一であるから控訴状は四
日に提出しても差支はないと話した。そこで控訴人Cはこれを確めるため岡山地方
裁判所宿直室で判決正本を示して尋ねたところ、控訴期間は今日までであるが今日
は休日であるから二日が期限である。しかし今日中に出すように、とのことであつ
たので近所の司法書士に控訴状を作成して貰ふべく交渉したがいづれも正月である
からとて拒絶せられ、よつて再び同裁判所に到り、今夜の十二時迄は受け付けてく
れるかと聞いたところ、それは受け付けるができる限り早く出してくれ、と答えた
ので帰宅し控訴人Bに以上の事情を全部話したところ同人はDの子がそのようにい
うならその点は詳しからうから明日行つてみよ、と話したことを認めることができ
る。控訴人等は控訴人Cは前記の如く昭和二十六年一月一日Eの説明を聞いた上岡
山地方裁判所に赴き受付で確めた結果控訴状は四日までに提出すればよいと話した
と主張するが右事実を認めるに足る証拠はなく更に翌二日同地方裁判所において念
をおして確めたところ、職員が四日に提出すれば間違いないと答えたと主張する
が、右主張に副ふ控訴人Cの供述部分は当裁判所において信用しない。
 <要旨>以上認定の事実によつて観れば、控訴人Cは岡山地方裁判所において昭和
二十六年一月一日同日が控訴申立期間の最終日であるが同日は休日につき翌
二日までに控訴状を提出しなければならないことを説明されているのであるから、
Eの言を信じたとしても不變期間を懈怠したことについては過失の責は到底これを
免れることはできない。次に控訴人等は控訴人Cは同月三日当裁判所に出頭して受
附で尋ねたところ、四日に控訴状を提出すれば有効であると述べたと主張するが控
訴申立期間経過後のことであるからその事実があつたとしても追完の事由とはなら
ないのみたらず、控訴本人Cの供述によるも、控訴人Bの作成した書面(控訴状で
はない)及び判決正本を提出して事情を話したところ女子職員が受け付けるべきも
のであれば受け付けると答えて書類を預かつたことを認めることができるのみであ
るから何等不變期間の不遵守について責に帰すべからざる事由があつたことにはな
らない。それ故控訴人Cの本件控訴の追完は許されないものというべきである。
 爾余の控訴人等三名は控訴人Cに控訴状作成提出の手続を依頼していたものであ
るところ、前段において認定した如く同控訴人の過失により不變期間を懈怠したの
であるから同控訴人等三名の各控訴の追完もまた許され得ない。
 叙上の次第であるから本件各控訴は不適法でありその欠缺は補正することが出来
ないからこれを却下し訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条第九十三条第
九十五条を適用して主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 植山日二 裁判官 柴原八一 裁判官 林歓一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛