弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人等の負担とする。
         理    由
 被告人等三名の弁護人堀嘉一の上告趣意及び被告人Bの上告趣意は末尾添附の別
紙記載のとおりである。
 被告人Bの上告趣意について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条に規定する適法な上
告理由にあたらない。
 弁護人堀嘉一の上告趣意について。
 所論は憲法三七条違反を主張するが、記録に徴すれば、原審は、昭和二九年八月
二七日、控訴趣意書提出の最終日を同年九月二九日と指定し、その指定通知書と共
に、弁護人を選任するか否かの照会書を被告人等三名に送達し、なお当時被告人A
には弁護士古屋東が弁護人として選任届出がされていたので同弁護人にも右最終日
の指定通知書を送達したところ、被告人Bは、同年八月二八日右弁護士古屋東を弁
護人に選任の届出を提出し、右控訴趣意書提出期間内に被告人B並に同Aは、自ら
控訴趣意書を提出すると共に、被告人Aのためにはその弁護人古屋東からも適法に
控訴趣意書が提出された。又被告人Cについては、同被告人は控訴趣意書提出期間
内たる同年九月二四日自ら控訴趣意書を適法に提出すると共に、自己の弁護人は自
ら選任する旨の回答を裁判所に提出した。然るに、同年一〇月一日に至り、被告人
B及び同A両名の弁護人古屋東から、右両名に対する弁護を辞任する旨届出でた。
一方被告人Cからは控訴趣意書提出期間を経過するも弁護人選任の届出がなく裁判
所に対し弁護人選任の請求もしなかつたので、原審は、本件が必要的弁護事件であ
るに鑑み同年一〇月四日被告人等三名の為弁護士上野利喜雄を弁護人に選任した上、
公判期日を同年一〇月二八日と指定し、被告人等三名に同日の召喚状を送達したが
同月二七日に至り、原審は、被告人A、同Cの関係において、弁護人上野利喜雄を
解任し、被告人Aのために、弁護人大久保銅三を、被告人Cのために、弁護人新崎
武外を弁護人に選任し、同年一〇月二八日の公判期日には被告人等の右各弁護人、
及び被告人Bが出廷し、被告人等及び前記弁護人古屋東提出の各控訴趣意書に基き
弁論をし結審した事実を認めることができる。してみれば、原審は何ら被告人等の
弁護権を制限した事実は存しない。故に原審に被告人等の弁護権を制限した事実の
存することを前提とする所論違憲の主張はその前提を欠き採用することはできない。
 なお、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて刑訴四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決
する。
  昭和三〇年五月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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