弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人遠藤周蔵の上告趣意は未尾添付の別紙記載のとおりである。
 憲法第三十八条第三項にいう自白には、自白を証拠に引用した当該裁判所の公判
においてなされた被告人の自白を含まないことは当裁判所の判例として示すところ
である。(昭和二三年(れ)第一六八号大法廷事件昭和二三年七月二九日言渡判決
参照)。本件についてもこれを変更する必要を認めない。されば原判決が所論横領
の犯罪事実を原審公判廷における被告人の自白のみによつて認定したことは、所論
のように憲法の条規に反するものではないから論旨は理由がない。
 以上は裁判官井上登を除くその他の裁判官の一致した意見であつて、裁判官井上
登の憲法第三十八条第三項にいう自白には公判廷における被告人の自白を含むとの
反対意見は前記の引用した当裁判所の判決において示すとおりである。
 よつて最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項刑事訴訟法第四百四十六条に従
い主文のとおり判決する。
 検察官 宮本増蔵関与
  昭和二三年九月一四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   大 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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