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平成24年11月6日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官
平成23年(ワ)第15033号保証金返還等請求事件
口頭弁論終結日平成24年9月10日
判決
原告株式会社ニュー・テクノロジー
同訴訟代理人弁護士豊﨑寿昌
同濵谷美穂
同伊藤献
被告株式会社日本量子波動科学研究所
主文
1被告は,原告に対し,金4億5000万円及びこれに対する平成23年1
2月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2訴訟費用は被告の負担とする。
3この判決は仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要
本件は,原告が,①被告との間で,被告の製造する油化還元装置その他に
つき,原告が販売代理店を務める内容の総販売代理契約(以下「本件販売代
理契約」という。)を締結し,契約金2億円を被告に支払ったが,本件販売
代理契約は,被告の責めに帰すべき事由によって解除に至ったとして,被告
に対し,本件販売代理契約の解除に基づき,契約金2億円及び催告期限後で
ある平成23年12月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合に
よる遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告との間で,被告が中華人民
共和国(以下「中国」という。)所在の公的機関や企業等を相手に実施する
廃プラスチック類,廃油類資源化装置並びに原油精製装置に関する製造・販
売等の事業について,業務提携基本契約(以下「本件業務提携契約」とい
う。)を締結し,保証金として2億5000万円を被告に預託したが,①と
同様の事情による解除又は契約期間満了により,本件業務提携契約は終了し
たとして,被告に対し,本件業務提携契約の終了に基づき,保証金2億50
00万円及び催告期限後であり,契約期間満了日の翌日である平成23年1
2月21日から支払済みまで,商事法定利率年6分の割合による遅延損害金
の支払を求めた事案である。
1判断の基礎となる事実
以下の各事実は当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨
により容易に認められる。
(1)当事者等
ア原告は,重質油,廃油,廃プラスチック等を炭化水素油に精製する装
置の製造及び販売等を目的とする株式会社である(甲1の1)。
イ被告は,大気汚染防止装置,水処理装置,廃棄物処理装置,その他の
公害防止機器及びこれに関連する設備,プラントの設計,製造,施工,
販売並びに輸出等を目的とする株式会社である(甲1の2)。
ウ株式会社Sun風(以下「Sun風」という)は,被告と同様,大気
汚染防止装置,水処理装置,廃棄物処理装置,その他の公害防止機器及
びこれに関連する設備,プラントの設計,製造,施工,販売並びに輸出
等を目的とする株式会社である(甲1の3)。
エP1は,平成22年6月11日に解任されるまで被告の取締役を務め,
平成20年5月15日から平成21年2月2日まではその代表取締役を
務める一方,平成16年12月24日以降,Sun風の取締役でもあっ
たが,平成23年5月19日に死亡した(甲5)。
P1の妻のP2は,平成23年9月9日に辞任するまで被告の取締役
を務める一方,平成16年12月24日以降,Sun風の代表取締役で
もある(甲1の2,甲1の3,甲5)。
(2)本件販売代理契約の締結
ア原告は,被告との間で,平成18年9月15日,原告が被告の製造す
る油化還元装置及び同装置の稼働から精製される軽質油,エマルジョン
燃料燃焼装置等の販売の代理店を務める内容の本件販売代理契約を締結
した。
本件販売代理契約は,原告は被告に対して契約金2億円を支払うこと,
被告の責めに帰すべき事由により本契約の解約に至った場合,被告は上
記契約金を原告に全額返還すること(10条),有効期間は成立後3年
間とし,期間満了日の1か月前までに契約終了の意思表示を行わない限
り,本契約を更新したものとみなすこと(15条,16条)を規定して
いる(甲2)。
イ原告は,平成18年9月21日ころ,被告に対し,本件販売代理契約
に基づき,契約金2億円を支払った。
(3)本件業務提携契約の締結
ア原告は,被告との間で,平成18年12月20日,被告が中国所在の
公的機関や企業等を相手方として実施する廃プラスチック類・廃油類資
源化装置並びに原油精製装置に関わる製造・販売,技術指導,メンテナ
ンス及びこれに関連する事業に関し,原告が総合的に支援する内容の本
件業務提携契約を締結した。
本件業務提携契約は,当該契約に定める義務又は個別契約に定める義
務の履行を担保するため,契約締結に際し,原告は被告に対し,保証金
として2億5000万円を預託すること,本件業務提携契約終了後速や
かに,被告は原告に対して上記保証金全額を返還すること(第6条
(4)),本件業務提携契約の有効期間は締結日から2年間とすること,
期間満了日の3か月前までに原告又は被告のいずれからも書面による解
約の申し入れがない場合には1年間延長され,以後も同様とすることを
規定している。
イ原告は,前同日,被告に対し,上記保証金として2億5000万円を
支払った。
(4)特許権等
Sun風,P1及びP2は,以下の特許権及び特許出願人の地位(以下,
これらをあわせて「本件特許権等」という。)を有していた。
ア加熱油化装置及び加熱油化方法(甲4の1)
(ア)特許出願公開番号特開2006-328338
(イ)公開日平成18年12月7日
(ウ)出願日平成17年7月19日
(エ)出願人Sun風
イ水改質触媒,水改質装置及び水改質方法並びに機能性水(甲4の2)
(ア)特許出願公開番号特開2006-334505
(イ)公開日平成18年12月14日
(ウ)出願日平成17年6月1日
(エ)出願人Sun風
ウ燃料改質触媒(甲4の3)
(ア)特許番号特許第4129076号
(イ)登録日平成20年5月23日
(ウ)出願日平成10年5月13日
(エ)特許権者P1及びP2
エポリ塩化ビフェニル分解装置及び該方法並びにポリ塩化ビフェニル分
解システム(甲4の4)
(ア)特許出願公開番号特開2008-271996
(イ)公開日平成20年11月13日
(ウ)出願日平成18年9月20日
(エ)出願人Sun風
(5)解除の意思表示
原告は,被告に対し,平成23年8月30日到達の通知書をもって,S
un風と被告は一体であり,Sun風が,本件特許権等及び中国で出願中
の特許にかかる出願人の地位を第三者に譲渡したという被告の責めに帰す
べき事由により,本件販売代理契約及び本件業務提携契約は履行不能にな
ったとして,両契約を解除する旨意思表示するとともに,本件販売代理契
約上の契約金2億円及び本件業務提携契約上の保証金2億5000万円を,
同書面到達後2週間以内に返還するよう求めた(甲7の1・2)。
2争点
(1)本件販売代理契約の解除に基づく契約金返還義務の有無(争点1)
(2)本件業務提携契約の解除又は終了に基づく保証金返還義務の有無
(争点2)
第3争点に対する当事者の主張
1争点1(本件販売代理契約の解除に基づく契約金返還義務の有無)につ
いて
【原告の主張】
(1)被告は,本件販売代理契約のもと,重油,廃油,廃プラスチック等を
価値の高い軽質油(ガソリン,灯油,軽油等)に変換する油化還元装置
を,平成18年12月末日までには納品すると約束していたにもかかわ
らず,実際に被告が製作した装置では,日本国内の税制上必須である灯
油(JIS規格を満たしたもの)への油化が不可能であり,上記約束を
果たすことができなかった。
被告は,その後も所定の性能を有する装置を完成させることができず,
平成19年暮れころには,原告が販売代理活動を行うことは事実上不可
能であることがほぼ確定し,この時期には既に,本件販売代理契約は,
被告の責めに帰すべき事情により事実上履行不能になっていたといえる。
ただ,原告は,被告の海外事業に協力しつつ,被告が日本国内でも販
売可能な装置を完成することを期待し,契約の解除を見合わせていた。
(2)一方,油化還元装置の製造には,被告の役員を務めるP1及びP2や,
彼らが同じく役員を務めるSun風が権利を有する本件特許権等を利用
することが必須である。にもかかわらず,本件特許権等は,平成23年
3月10日,第三者へ譲渡され,その移転登録もされたため,第三者に
対抗できる実施権を有しない被告は,全くの無権利者となり,油化還元
装置の製造を行うことができなくなってしまった。
(3)以上のとおり,本件販売代理契約は,被告の責めに帰すべき事由によ
って被告の履行が不能となり,原告による前記解除の意思表示によって
終了したのであるから,契約金2億円の返還事由である「被告の責めに
帰すべき事由によって解約に至った場合」に該当する。
(4)被告は,銀行,原告及び株式会社UFOを同一視し,本件販売代理契
約上の契約金が実質的には回収済みであるかのような主張をするが,そ
の論理や趣旨が不明であり,明らかに失当である。
【被告の主張】
(1)本件販売代理契約は,原告も4,5年にわたって営業努力や報告をし
ていないなど形骸化した契約であり,今になって,「被告の責めに帰す
べき事由によって解約に至った」などというのは不可解である。
また,被告は,本件特許権等の専用実施権を有しており,本件特許権
等がスペイン人であるP3あるいはその支配会社に移転しても,被告に
よる実施が妨げられるものではなく,本件販売代理契約における被告の
債務不履行はない。そもそも,本件特許権等の譲渡は,悪意の第三者で
あるP3を譲受人とするものとして無効である。
(2)そもそも本件販売代理契約上の契約金2億円は,銀行の被告に対する
当初貸付金の回収に充てられたものであり,銀行は既にその融資分を回
収している。
したがって,被告が契約金2億円の返還義務を負うと解する余地はな
い。
2争点2(本件業務提携契約の解除又は終了に基づく保証金返還義務の有
無)について
【原告の主張】
(1)本件業務提携契約で製造・販売等の対象として掲げられている「廃プ
ラスチック類・廃油類資源化装置並びに原油精製装置」は,重油,廃油,
廃プラスチック等を価値の高い軽質油(ガソリン,灯油,軽油等)に変
換する装置であり,その製造には,中国でSun風が出願中の特許であ
る加熱油化装置及び加熱油化方法(中国での出願番号P1816CN)
及び重質油軽油化装置及び方法(中国での出願番号W2016CN)の
技術が必要である。
にもかかわらず,それら特許出願人の地位が平成23年3月10日に
第三者へ譲渡されてしまったため,第三者に対抗できる実施権を有しな
い被告は,全くの無権利者となり,上記装置の製造を行うことができな
くなってしまった。
このように本件業務提携契約に基づく被告の義務履行は不能に至った
といえ,原告による前記解除の意思表示によって,本件業務提携契約は
終了したものである。
(2)また,本件業務提携契約は,原告又は被告いずれからも書面による解
約の申し入れがないまま,平成23年12月20日までは順次更新延長
されていたが,上記解除の意思表示をもって書面による解約申し入れが
あったといえるから,仮に解除の点を考慮に入れずとも,同日をもって
本件業務提携契約が終了していることに変わりはなく,保証金2億50
00万円の返還義務が生じている。
(3)被告は,銀行,原告及び株式会社UFOを同一視し,保証金が実質的
には回収済みであるかのような主張をするが,その論理や趣旨が不明で
あり,明らかに失当である。
【被告の主張】
(1)被告は,本件業務提携契約の遂行上必要な知的財産権の専用実施権を
すべて保持しており,中国におけるSun風の特許権や特許出願人たる
地位がP3あるいはその支配会社に移転しても,被告による実施が妨げ
られるものではなく,本件業務提携契約における被告の債務不履行はな
い。そもそも,Sun風からP3への特許権等の譲渡は,悪意の第三者
であるP3を譲受人とするものとして無効である。
(2)本件業務提携契約上の保証金2億5000万円は,銀行が目論んだ違
法な迂回融資の一環であり,銀行は既にその融資分を回収しているとい
える。
したがって,被告が保証金2億5000万円の返還義務を負うと解す
る余地はない。
第4当裁判所の判断
1争点1(本件販売代理契約の解除に基づく契約金返還義務の有無)につい

(1)前記判断の基礎となる事実,証拠(甲1の1~3,2,4の1~4,
5,6,7の1・2,8,11の1~3,12,乙6,原告代表者,被告
代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア原告と被告とが平成18年9月15日に締結した本件販売代理契約は,
被告が製造する油化還元装置につき,原告が,被告の代理人として,
日本国内での販売を独占する旨の内容であった。油化還元装置は,廃
プラスチック等から灯油,軽油などを精製する装置であるが,その開
発,製造には,本件特許権等にかかる発明を利用することが不可欠で
あった。
原告は,本件販売代理契約締結の際,代理店業務遂行のためには,平
成18年12月末日までに油化還元装置(ミニZ-Ⅱ)1台の納入を
受ける必要がある旨を述べ,被告もこれを了承した。
しかし,被告は,油化還元装置(ミニZ-Ⅱ)を前記期限までに完成
させることができず,その後も日本国内の市場へ向けて納品すること
はできなかった。以後現在に至るまで,本件販売代理契約に規定され
た油化還元装置にかかる日本国内での事業が,進展することはなかっ
た。
イ本件特許権等は,Sun風単独の名義か,その代表取締役であるP2
及び取締役であるP1夫妻の共有名義であった。しかし,被告は,本
件販売代理契約を締結した当時,P1及びP2ともに取締役を務める
などの人的関係もあり,本件特許権等にかかる発明の実施を許されて
いた。ただし,本件特許権等につき,被告の専用実施権又は通常実施
権あるいは仮専用実施権又は仮通常実施権の設定登録はなかった。
P1及びP2は,平成23年3月10日ころ,本件特許権等のうち,
発明の名称を燃料改質触媒とする特許権(特許第4129076号)
をP4に対して譲渡し,同日特許権移転登録手続をした。また,Su
n風は,同月9日,本件特許権等のうち,上記特許権を除いた3つの
特許出願人の地位を,同じくP4に対して譲渡し,特許庁長官にその
旨届け出た。
被告は,P4から,本件特許権等にかかる発明につき,いかなる実
施権の設定も受けたことはない。
ウ原告は,被告に対し,平成23年8月30日到達の通知書をもって,
本件特許権等の譲渡といった被告の責めに帰すべき事由により,本件
販売代理契約が履行不能となったとして,本件販売代理契約を解除す
る旨意思表示した。
(2)以上認定の事実によれば,被告は,本件販売代理契約締結から4年以
上が経っても,本件販売代理契約上の業務遂行に当たって必要な油化還元
装置を完成させることができなかったものである。そして,被告は,当該
製造に不可欠な発明にかかる本件特許権等につき,元々は通常実施権ある
いは仮通常実施権を有していたと解されるが,本件特許権等が第三者に譲
渡され,被告がその実施を継続できるかは極めて不透明な状態になったの
であるから(平成23年6月8日法律第63号[特許法等の一部を改正す
る法律]施行日である平成24年4月1日より前の譲渡であるため,通常
実施権及び仮通常実施権につき,登録なくして特許権者等に対抗できな
い。),もはや上記装置の完成は不能になったものといわざるを得ない。
すなわち,本件販売代理契約上被告が負っていた上記装置の製造義務の履
行は,平成23年3月の本件特許権等の譲渡及びその旨の登録・届出によ
り,不能に至ったものというべきである。そのため,本件販売代理契約は,
原告から被告に対する平成23年8月30日の解除の意思表示によって終
了したと認められる。
したがって,本件販売代理契約は,被告の履行不能に起因して終了に至
ったものといえるから,被告の責めに帰すべき事由により解約に至った場
合に該当し,本件販売代理契約第10条に基づき,被告は,原告に対し,
契約金2億円を返還しなければならない。
(3)被告の主張について
この点,被告は,本件販売代理契約上の契約金2億円は銀行の被告に対
する当初貸付金の回収に充てられたもので,銀行は既にその融資分を回収
しているから,被告が契約金2億円の返還義務を負うことはない旨主張す
るが,法的根拠が不明である上,本件全証拠によっても,被告主張の前提
となる事実を認めることはできず,その主張が採用できないことは明らか
である。
また,被告は,本件特許権等の譲受人が背信的悪意者である旨主張する
ところ,実施権の登録がなくても同人に対抗できるとの趣旨と解されるが,
本件特許権等の譲受人が背信的悪意者であることを認めるに足りる証拠は
なく,その主張は採用できない。
加えて,被告は,本件販売代理契約が終了に至ったのは,原告の営業努
力不足が原因であり,被告の責めに帰すべき事由によるものではない旨の
主張もするが,本件販売代理契約上の業務を遂行していく上で,被告が油
化還元装置(ミニZ-Ⅱ)を完成させることの必要性は,原告及び被告が
書面をもって確認したことである。被告はその義務を履行することができ
なかったのであるから,この点に本件販売代理契約終了の主たる原因があ
るといわざるを得ず,被告の主張はやはり採用できない。
被告は,他にも様々な主張をするが,いずれも本件販売代理契約の解除
に基づく契約金2億円の返還義務を否定する事情とはいえない。
(4)小括
以上により,本件販売代理契約の終了に基づき,被告に対し,契約金2
億円の返還及びこれに対する契約解除の後である平成23年12月21日
から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求
める原告の請求は理由がある。
2争点2(本件業務提携契約は原告による解除又は期間満了によって終了し
たか)について
(1)原告と被告は,平成18年12月20日に本件業務提携契約を締結し
たが,その契約期間は2年と定められ,期間満了日の3か月前までに原告
又は被告のいずれからも書面による解約の申入れがない場合には1年間延
長され,以後も同様とされた。
そして,原告は,被告に対し,平成23年8月30日到達の通知書をも
って,Sun風が中国で出願中の特許にかかる出願人の地位の譲渡といっ
た被告の責めに帰すべき事由により,本件業務提携契約が履行不能となっ
たとして,本件業務提携契約を解除する旨意思表示したが,これは,本件
業務提携契約を終了させる意思表示として,上記「書面による解約の申入
れ」の趣旨も包含するものと解される。
Sun風が,中国で出願中の特許につき,出願人の地位を譲渡したかは
証拠上明らかでないため,上記意思表示により,解除されたと認めること
はできない。しかし,本件業務提携契約は,原告又は被告いずれからも書
面による解約の申入れがないまま,平成20年12月20日の契約期間満
了日以降も1年ずつ延長されていたものであるが(弁論の全趣旨),平成
23年12月20日の3か月以上前である同年8月30日に,上記通知書
をもって「書面による解約の申入れ」がされたのであるから,同年12月
20日の経過により,期間満了で終了したということができる。
したがって,被告は,原告に対し,本件業務提携契約の第6条(4)に
基づき,預託を受けていた保証金2億5000万円の返還義務を負うと認
められる。
(2)被告の主張について
被告は,本件業務提携契約上の保証金2億5000万円につき,銀行が
目論んだ違法な迂回融資の一環であり,銀行は既にその融資分を回収して
いるといえるから,被告が保証金2億5000万円の返還義務を負う理由
はない旨主張するが,法的根拠が不明である上,本件全証拠によっても,
被告主張の前提となる事実を認めることはできず,その主張が採用できな
いことは明らかである。
被告は,他にも様々な主張をするが,いずれも本件販売代理契約に基づ
く契約金2億円の返還義務を否定する事情とはいえない。
(3)小括
以上より,本件業務提携契約の終了に基づき,保証金2億5000万円
の返還及びこれに対する契約終了の後である平成23年12月21日から
支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める
原告の請求は理由がある。
第5結語
以上の次第で,原告の請求はすべて理由があるから,これを認容すること
とし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官谷有恒
裁判官松川充康
裁判官網田圭亮

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