弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する
     被告人を別紙犯罪表(1)乃至(4)の罪につき懲役四月に同(5)乃
至(6)り罪につき懲役二月に処する
         理    由
 本件控訴の趣旨は末尾添附の弁護人岡田唯雄の差し出した控訴趣意書記載のおり
である
 岡田弁護人の控訴趣意第一点の(2)(3)について
 被告人が昭和二十七年九月三十日静岡簡易裁判所において「被告人は法定の除外
事由がないのに昭和二十七年八月十九日静岡市a町b丁目c番地の自宅においてフ
エニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤注射液二㏄入十四本を所持
したものである」との覚せい剤取締法違反被告事件につき罰金二千円に処せられ右
裁判は同年十月十七日確定したこと並びに被告人が昭和二十七年十二月二十三日前
同裁判所において「被告人は法定の除外事由がないのに昭和二十七年十二月三日静
岡市d町A店内において覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンを含有する
二㏄アンプル入注射液五十八本を所持していたものである」との覚せい剤取締法違
反被告事件につき罰金五千円に処せられ右裁判は昭和二十八年一月十四日確定した
ものであることは本件記録に編綴されている静岡地方検察庁検察事務官Bの作成に
係る被告人に対する前科調書並びに当審において取り調べた静岡簡易裁判所の被告
人に対する略式命令謄本(昭和二十七年(い)第四一三号、同年(い)第六四〇
号)の各記載により明らかであるところ、原審並びに当審における証拠調の結果に
よつても前記確定裁判を経た各覚せい剤不法所持罪の対象となつている覚せい剤が
本件覚せい剤不法譲受罪の対象となつている覚せい剤と同一であるとかあるいはそ
の一部であるとは到底認められないから、本件の起訴及び審判をもつて一事不再審
の原則に違反するものであると非難するのはあたらない。また当審において取り調
べた被告人の妻であるCに対する静岡簡易裁判所の昭和二十八年九月十六日附覚せ
い剤取締法違反被告事件の略式命令(昭和二十八年(い)第五一二号)謄本の記載
によれば「被告人Cは法定の除外事由がないのに昭和二十八年五月頃静岡市a町b
丁目c番地の自宅においてDに対し覚せい剤二㏄アンプル入注射液十本を譲受した
ものである」というにあるのであつて被告人にはなんら関係のない事案と認められ
るから右裁判が当時確定したものであるとしてもこれをもつて被告人に対する本件
起訴及び審判をもつて一事不再理の原則に違反するものであると非難するのもあた
らない。
 <要旨>しかし職権をもつて按ずるに前記の如く被告人には昭和二十八年一月十四
日確定した罪があり、原審が被告人の原判示の所為を包括一罪と認定したこ
とは相当であるが、包括一罪の場合にあつても本件の如くその中間に確定判決の存
する場合には右確定判決のあつた時を境としてその前の罪と右確定判決を経た罪と
は刑法第四十五条後段の併合罪の関係にあるものと考えるのが相当であるから原判
決が右確定判決のあることを無視して被告人に対し主文において一個の刑を科して
いることは判決に影響を及ぼすこと明らかな法律の解釈適用を誤つたものと謂わざ
るを得ないから本件控訴は結局理由あるに帰し原判決はこの点において破棄を免れ
ない。
 よつて本件控訴は理由があるから弁護人のその余の論旨に対する判断はこれを省
略し刑事訴訟法第三百九十七条により原判決を破棄し但し当裁判所は同法第四百条
但し書により直ちに判決することができるものと認め更に本件について判決をす
る。
 (事実)
 被告人は昭和二十七年十一月十五日頃肩書本籍地の居宅において、覚せい剤注射
液の製造販売をしていたEの来訪を受け、同人の製造に係るフエニルメチルアミノ
プロパンを含有する覚せい剤注射液の取引を申し込まれるやこれを承諾し二㏄アン
プル入三百本を譲り受けてから、爾来継続的に買い受けてこれを他に販売する意思
の下に同人の製造に係る前同様の注射液を別紙犯罪表(省略)の(2)乃至(6)
掲記の如く法定の除外事由のないのに譲り受けたものである。
 (証拠説明省略)
 (前科)
 なお被告人は昭和二十七年十二月二十三日静岡簡易裁判所において覚せい剤取締
法違反罪により罰金五千円に処せられ右裁判は同二十八年一月十四日確定したもの
であつてこの事実は静岡地方検察庁検察事務官作成に係る被告人に対する前科調書
の記載によりこれを認める。
 (法律の適用)
 法律に照らすと被告人の判示の所為は覚せい剤取締法第十七条第三項第四十一条
第一項第四号に該当なるところ別紙犯罪表(1)乃至(4)の所為と前記確定判決
を経た罪とは刑法第四十五条後段の併合罪であるから同法第五十条により未だ裁判
を経ない(1)乃至(4)の罪につき更に裁判をすべく以上は包括一罪であるから
所定の懲役を選択しその刑期の範囲内で被告人を懲役四月に処し(5)(6)の罪
は包括一罪であるから所定の懲役を選択しその刑期の範囲内で被告人を懲役二月に
処すべきものとし主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 中村光三 判事 脇田忠 判事 鈴木重光)

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