弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役三月及び罰金五〇〇〇〇円に処する。
     但し三年間右懲役刑の執行を猶予する。
     右罰金を完納することが出来ないときは金二〇〇〇円を一日に換算した
期間同被告人を労役場に留置する。
     訴訟費用中予審における証人B、第一審における証人Cに支給した分は
被告人Aの負担とし、第一審及び原審における証人D並びに第一審における証人E
に支給した分は同被告人と相被告人Fとの連帯負担とする。
     本件公訴事実中釘に関する物価統制令違反の点につき被告人Aを免訴す
る。
     被告人F及び同Gの上告はいずれもこれを棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人井本台吉、同草野治彦の上告趣意、被告人Fの弁護人松永東、
同名尾良孝、同真室光春の上告趣意及び被告人Gの上告趣意はいずれも末尾添付の
別紙書面記載のとおりである。
 弁護人井手台吉及び同草野治彦の上告趣意第一点前段について。
 所論は原判決後における大赦の主張であつて、刑訴四〇五条に当らない。尤も、
原判決が判示第四の(一)において引用している第一審判示第四の(一)の事実中、
乾パン及び自動車用揮発油を除くその余の物品については、その統制価格を指定し
た各関係官庁の告示が昭和二七年四月二八日までには既に悉く廃止せられるに至つ
ていたことは所論のとおりであるが、これ等の物品に関する国家総動員法違反或い
は物価統制令違反の事実は前記乾パン及び自動車用揮発油に関する物価統制令違反
の事実と連続一罪の関係にあるものとして起訴処断せられているのであり、昭和二
七年四月二八日政令第一一七号大赦令二条には「前条に掲げる罪に当る行為が、同
時に他の罪名に触れるとき、又は他の罪名に触れる行為の手段若しくは結果である
ときは、赦免をしない」とあつて、いわゆる連続犯は想像的併合罪や牽連犯と同様
処分的一罪であるから、本件の如く連続犯中に大赦令によつて赦免される罪と然ら
ざる罪とがある場合には、その連続一罪を為す犯罪は総べて赦免されないものと解
するのが相当である。
 同第二点、弁護人松永東、同名尾良孝及び同真室光春の上告趣意並びに被告人G
の上告趣意は、事実誤認又は単なる法令違反の主張であるから、いずれも刑訴四〇
五条の上告理由に当らない。
 しかし、職権で調査すると、弁護人井本台吉及び同草野治彦の上告趣意第一点後
段も指摘しているとおり、被告人Aに対する本件公訴事案中、原判決が判示第四の
(二)において引用している第一審判決判示第四の(二)の釘に関する物価統制令
違反の点については、前記大赦令一条八七号により大赦があつたので、刑訴施行法
三条の二刑訴四一一条五号により原判決中同被告人に関する部分はこれを破棄し、
刑訴施行法二条旧刑訴四四八条に則り当裁判所において更に判決をすることとし、
同四五五条三六三条三号を適用して右事実につき同被告人に対し免訴の言渡をする。
而して、原判決が証拠により確定したその余の事実を法律に照らすと、被告人Aの
原判示第一の(一)及び(二)の所為は刑法一九八条(但し刑法六条一〇条により
罰金等臨時措置法二条一項三条一項一号は適用しない) 昭和二二年法律第一二四
号附則四項により同法律による改正前の刑法五五条に該当するので、所定刑中懲役
刑を選択し、原判示第四の(一)に引用してある第一審判決判示第四の(一)の所
為は昭和二七年四月一二日法律第八八号四条により物価統制令五〇条国家総動員法
一九条三一条ノ二(但し刑法六条一〇条により罰金等臨時措置法二条一項四条一項
は適用しない)価格等統制令七条昭和二〇年六月一八日農林省告示第三二五号昭和
二一年一月一八日大蔵省告示第一〇号昭和二〇年九月一八日農林省告示第八号(以
上は昭和二一年三月二日までの行為につき適用)物価統制令三条四条四三条三三条
(但し刑法六条一〇条により昭和二四年政令第二六号にる改正前の物価統制令三三
条を適用し、なお罰金等臨時措置法二条一項四条一項は適用しない)昭和二一年三
月三日大蔵省告示第八九号昭和二一年二月二〇日商工省告示第三六号昭和二一年三
月三〇日大蔵省告示第七三号昭和二一年二月二〇日商工省告示第三六号昭和二一年
三月三一日大蔵省告示第二二六号昭和二一年五月二一日大蔵省告示第三四七号昭和
二〇年四月二〇日農林省告示第二三四号昭和二一年三月三日農林省告示第五〇号昭
和二一年三月三日大蔵省告示第八九号昭和二一年三月三日大蔵省告示第六一号(以
上は昭和二一年三月三日以降の行為につき適用)昭和二二年法律第一二四号附則四
項により同法律による改正前の刑法五五条に該当するので物価統制令違反の一罪と
為し、所定刑中罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同四八
条一項本文を適用し、いずれもその刑の範囲内で同被告人を懲役三月及び罰金五〇
〇〇〇円に処し、情状右懲役刑の執行を猶予するのが相当と認められるので同二五
条によりこの判決確定の日から三年間同刑の執行を猶予し、右罰金を完納すること
ができないときは刑法一八条により金二〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を
労役場に留置し、訴訟費用中予審における証人B、第一審における証人Cに支給し
た分は刑訴施行法二条旧刑訴二三七条一項により同被告人の負担とし、第一審及び
原審における証人D並びに第一審における証人Eに支給した分は刑訴施行法二条旧
刑訴二三八条により同被告人及被び相被告人Fをして連帯してこれを負担せしむべ
きものとする。
 なお、被告人F及び同Gについては、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき
事由は認められないので、同被告人等の上告は刑訴施行法二条旧刑訴四四六条によ
りいずれもこれを棄却すベきである。
 よつて主文のとおり判決する。
 右は、弁護人井本台言及び同草野治彦の上告趣意第一点前段に関し、前記乾パン
及び自助車用揮発油についても、その統制価額を指定した主務大臣の告示は既に今
日では廃止されているので、犯行後にいわゆる刑の廃止があつた場合として、被告
人Aはこれ等に関する物価統制令違反の点についても免訴さるべきであり、従つて
同被告人に対しては贈賄の点を除くその余の公訴事実については結局すべて免訴の
言渡を為すべきものであるとの裁判長裁判官井上登及び裁判官小林俊三の少数意見
がある外、裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 岡琢郎関与
  昭和二七年一一月一一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛