弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人清源敏孝、同藤本正、同村井正義の上告趣意第一の一、同上告趣意補充一
について。
 論旨は、公職選挙法二五二条は、選挙権及び被選挙権の停止という参政権に対す
る重大な制限につき、法律上の要件ないしは具体的・個別的基準を明確に定めるこ
となく、裁判所の裁量にまかせているが、かような規定は憲法三一条、二一条に違
反するというにある。
 しかしながら、公職選挙法(昭和三七年法律一一二号による改正前のもの、以下
同じ)二五二条一、二項は、(1)同法一六章に掲げる罪(二四〇条、二四二条、
二四四条、二四五条、二四九条の二、同条の三、同条の四、二五二条の二、同条の
三を除く)を犯した者で、罰金の刑に処せられたものは、その裁判が確定した日か
ら五年間(刑の執行猶予の言渡を受けた者については、その裁判が確定した日から
刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、禁錮以上の刑に処せられたものは、
その裁判が確定した日から刑の執行を終るまでの間又は刑の時効に因る場合を除く
外刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後五年間(裁判が確定した後刑の執行
を受けることがなくなるまでの間も同様)、(2)同法二二一条、二二二条、二二
三条又は二二三条の二の罪につき刑に処せられた者で更に同法二二一条から二二三
条の二までの罪につき刑に処せられた者については右五年間を一〇年間とし、右各
期間選挙権及び被選挙権を有しない旨法律上の要件について明確に規定し、同法二
五二条三項は、情状に因り裁判所は右(1)に該当する者に対し、選挙権及び被選
挙権を有しない旨の規定を適用せず若しくはその期間を短縮し、(2)に該当する
者に対し右期間を短縮する宣告をすることができる旨規定しているのであつて、か
ような裁判所の裁量は、一般犯罪の法定刑の範囲内における量刑となんらかわりが
ないと認められるから、結局公職選挙法二五二条は、選挙権及び被選挙権の停止に
つき、法律上の要件及びその基準を明確に定めているものと解せられる。されば、
所論違憲の主張は前提を欠き、適法な上告理由とならない。
 弁護人清源敏孝、同藤本正、同村井正義の上告趣意第一の二の(一)(二)につ
いて。
 論旨は、公職選挙法一二九条、二三九条一号は、立候補届出前の選挙運動を禁止
し、これに違反した者を処罰するが、同法には選挙運動とは何かにつき規定されて
いないので、構成要件の内容は実質的に白地であり、少なくとも明確ではないから、
憲法三一条に違反するというにある。
 しかしながら、公職選挙法には選挙運動の定義規定は見当らないけれども、同法
を通読すれば、同法における選挙運動とは、特定の選挙の施行が予測せられ或は確
定的となつた場合、特定の人がその選挙に立候補することが確定して居るときは固
より、その立候補が予測せられるときにおいても、その選挙につきその人に当選を
得しめるため投票を得若くは得しめる目的を以つて、直接または間接に必要かつ有
利な周旋、勧誘若くは誘導その他諸般の行為をなすことをいうものであると理解せ
られる。このことは、大審院以来判例の趣旨とするところでもある(昭和二年(れ)
第一四八九号同三年一月二四日大判、大刑集七巻六頁、昭和四年(れ)第九八一号
同年九月二〇日大判、大刑集八巻四五〇頁、昭和一一年(れ)第一〇〇二号同年七
月六日大判、大刑集一五巻九四三頁、昭和二九年(あ)第一七九七号同三〇年二月
一〇日最高裁決定、刑集九巻二四〇頁、同二九年(あ)第三七〇一号同三〇年七月
二二日最高裁判決、同巻一九四八頁参照)。されば、同法における選挙運動の意義
が、所論の如くに、不明確であるとはいえない。同法第一二九条は、かかる選挙運
動を一定の期間においてのみなすことを許し、同法二三九条はこれに違反した者を
罰して居るのであるから、右違反の罪の構成要件が実質的に白地であるとはいえな
いのみならず、明確を欠くともなし得ない。従つて、所論違憲の主張は、結局、そ
の前提を欠くものであつて、適法な上告理由とならない。
 同第一の二の(三)について。
 論旨は、公職選挙法一二九条は抽象的一般的に事前運動を禁止しているが、公明
選挙を推進するために不当な事前運動を制限する必要はあつても、本条のごとくな
んらの限定もなく事前運動を一般的に禁止するのは憲法二一条に違反し、また仮り
に公職選挙法一二九条が違憲でないとしても、原判決はいたずらに同条を拡大して
解釈し、その結果同条の具体的適用に際し憲法に違反したものであるというにある。
 まづ、所論前段について考えるに、原判決の維持する第一審判決において確定せ
られたところによれば、被告人等の所為は、本件選挙につき立候補したAの当選を
得しめる目的を以つて、その立候補届出前、選挙運動を依頼し、その運動の報酬と
して金員を供与し、かつ事前運動をしたものであるから、同法の禁ずる選挙運動を
したものとなすべきである。論旨は、結局、被告人等の所為として、右確定に即し
ない事実を主張し、これを前提として、同法一二九条が憲法の所論法文に違反する
ことを云為するに帰着する。また論旨後段は、その実質は単なる法令違反の主張を
いでない。
 されば論旨は、すべて、適法な上告理由に当らない。
 弁護人清源敏孝、同藤本正、同村井正義の上告趣意第二、同上告趣意補充二ない
し五について。
 論旨は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由とならない。
 弁護人清源敏孝、同藤本正、同村井正義の上告趣意第三について。
 論旨は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由とならない。
 弁護人羽田野忠文の上告趣意について。
 同第一点は事実誤認の主張であり、同第二点は単なる法令違反の主張であり、同
第三点は量刑不当の主張であつて、いづれも適法な上告理由とならない。
 被告人Bの上告趣意について。
 論旨は、違憲の主張もあるけれども、それは、原判決の認定に副わない事実を前
提とするものであり、その他は、単なる事実誤認の主張であつて、すべて、適法な
上告理由に当らない。
 被告人Cの上告趣意について。
 論旨は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由とならない。
 また、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと
おり決定する。
  昭和三八年一〇月二二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    横   田   正   俊

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