弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Bに関する部分を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人根ケ山博の上告趣意は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告
理由にあたらない。
 しかしながら、職権をもつて調査するに、本件記録並びに当審において取調をし
た被告人Aに対する大阪地方裁判所昭和五二年(わ)第五三九二号、第五七三九号
業務上過失傷害、犯人隠避教唆被告事件、大阪高等裁判所昭和五三年(う)第一〇
五〇号業務上過失傷害、犯人隠避教唆被告事件及び被告人Bに対する大阪地方裁判
所昭和五二年(わ)第五七四〇号犯人隠避被告事件の各記録によると、以下の事実
が認められる。
 (一) 本件公訴事実のうち、被告人B(以下単に「被告人」ともいう。)に対
する業務上過失傷害の事実の要旨は、「被告人は、自動車運転の業務に従事するも
のであるが、昭和四九年一一月六日午前零時五〇分頃、普通乗用自動車を運転して
東大阪市a町b丁目c番d号先の交通整理の行われていない交差点を西から東に向
かい直進するにあたり、同交差点手前に一時停止の標識が設置され、かつ左右の見
通しも困難であつたのであるから、同交差点西詰の停止線の直前において一時停止
して左右道路の交通の安全を確かめるべき業務上の注意義務があるのに、交通閑散
なことに気を許して他車はないものと軽信し、同停止線の直前で一時停止せず左方
道路の交通の安全を確かめることなく時速約四〇キロメートルで同交差点に進入し
た過失により、折から左方道路より時速約四〇キロメートルで同交差点に進入して
きたC(当三二年)運転の普通乗用自動車の前部に自車左側面を激突させ、その反
動により右C運転車両を東南方向に暴走させて同車左前部を同交差点南詰東側のガ
レージ塀に衝突させたほか、自車を東南方向に逸走させて同交差点東南角路外の電
柱に衝突させ、よつて、右Cに対し加療七日間を要する頭部挫創の傷害を、自車の
同乗者DことE(当一七年)に対し加療約三二一日間を要する脳挫傷等の傷害を、
同F(当二二年)に対し加療約一七日間を要する頭部外傷Ⅱ型等の傷害を負わせた
ものである。」というものであつて、第一審裁判所は、右公訴事実及び競馬法違反
の公訴事実につき、ほぼそのとおりの事実を認定したうえ、刑法二一一条前段、競
馬法三〇条三号、三二条を適用して、被告人を懲役一〇月及び罰金三万円に処する
旨の判決を言い渡した。これに対し、被告人は量刑不当を理由に控訴の申立をした
が、原審裁判所は理由がないとして控訴棄却の判決を言い渡した。
 (二) 右の原判決に対し、被告人から本件上告が申し立てられたところ、右上
告申立後、被告人は所轄警察署の警察官に対し「自分はGのため身代り犯人となつ
ていたものである」旨申告し、当裁判所に対してもその旨の上申書を提出するに至
つた。これらの事情により本件事故についてあらためて捜査がなされた結果、右G
ことAに対しては、昭和五二年一二月一五日業務上過失傷害の罪により、同月二七
日犯人隠避教唆の罪により、被告人に対しては、同日犯人隠避の罪により、それぞ
れ大阪地方裁判所に公訴が提起され(同裁判所昭和五二年(わ)第五三九二号、第
五七三九号、第五七四〇号)、同裁判所は審理の結果右公訴事実のすべてを有罪と
認め、昭和五三年六月八日Aに対して懲役一年二月、同年八月二九日被告人に対し
て懲役一〇月(ただし、三年間刑の執行猶予)に処する旨の判決を言い渡した。右
のうち、被告人に対する判決については、被告人、検察官のいずれからも控訴がな
く、すでに裁判が確定しており、Aに対する判決については、同人から量刑不当を
理由とする控訴の申立があり(大阪高等裁判所昭和五三年(う)第一〇五〇号)、
同裁判所は同年一一月一日理由不備を理由として第一審判決を破棄し、あらためて
懲役一〇月に処する旨の判決を言い渡した。
 (三) 右大阪地方裁判所昭和五二年(わ)第五三九二号、第五七三九号、第五
七四〇号事件において取り調べられた各証拠によると、前記(一)記載の公訴事実
のように昭和四九年一一月六日普通乗用車を運転して業務上過失傷害の罪を犯した
のは、被告人ではなくてAであること、Aは当時公務執行妨害罪等による懲役八月
執行猶予三年の刑の執行猶予期間中であつたため、執行猶予の取消をおそれて被告
人に身代りを依頼し、被告人においてこれを承諾したものであること、被告人は、
前記(一)のように起訴され、第一審で有罪の判決を受け、控訴も棄却されたうえ、
Aに対して不信の念を抱くようになつたことなどから、真実を述べる気持となり、
前記(二)のように所轄警察署の警察官に対し身代り犯人となつていた旨申告し、
捜査の結果右のような真相が判明するに至つたこと、以上の事実を明らかに認める
ことができる。
 これらの事実に照らすと、本件業務上過失傷害の事実については、原判決後にお
いて、刑訴法四一一条四号、四三五条六号にいわゆる再審の請求をすることができ
る場合にあたる事由があることになり、かつ原判決を破棄しなければ著しく正義に
反するものと認められるから、原判決中被告人Bに関する部分は破棄を免れない。
 よつて、同法四一三条本文に従い、本件を原審である大阪高等裁判所に差し戻す
こととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。検察官金吉聰 公判
出席
  昭和五三年一二月一五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       讓

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