弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破毀する。
     本件を広島高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人鍛治利一、同山村利宰平の上告趣意は末尾添附の別紙記載のとおりである。
同上告趣意第一点乃至第三点について。原判決はその冒頭に、被告人は郵便局に勤
務し電信事務を担当していたのを奇貨とし、其の職務に関しと判示し、つゞいて第
一事実中には、被告人が単独又は他と共謀して三回に亘り電信為替受信原本毎回一
通宛を偽造した事実を認定し、右所為に対し刑法第百五十六条を適用して被告人を
処断した。したがつて前記原判示冒頭の記載は少くとも第一事実に関する限りでは、
右法条にあたる犯罪事実の要件として判示せられたものと解しなければならない。
しかしながら刑法第百五十六条にいわゆる公務員は同法第七条の規定するところに
従い、法令により公務に従事する職員を云うのであるから、その公務に従事する資
格が法令に根拠ある者でなければならない。たとえ官庁其の他の公務所に勤務して
いても、なにら法令上の資格なくして、事実上公務に従事している場合もあつて、
必ずしもその資格が法令に基くものと云うことはできないから、原判示冒頭の記載
のように、被告人の官職名その他身分を確定しないで、単に郵便局に勤務し、電信
事務を担当していたと云うだけでは、果して被告人が法令に依り公務に従事する資
格ある者であつたかどうか明確でないのであつて、被告人が公務員であつたことの
判示としては不十分であると云はねばならない。そればかりでなく、記録を検討す
ると、原審公廷に於て、被告人が昭和二〇年六月一日から郵便局に勤務し、同二一
年八月頃まで電信係となり、その後郵便係となつた旨供述していることは明かであ
るが、右の供述だけでは、被告人の身分が明かでないことゝ相俟つて、被告人の職
務権限の範囲がわからないから、到底判示電信為替受信原本の作成が、被告人の職
務の執行に関するものなることを認定する資料とすることはできない。そのほか、
原審公廷に於て、被告人がどのような資格でどのような職務権限を持つていたかの
点について取調べた形迹はなく、又原判決の引用するどの証拠によつても、この点
に関する資料を見出すことができない。結局原判決は、被告人が公務員であるか、
どうかを確定せず、且証拠に基かないで、慢然と電信為替受信原本の作成が被告人
の職務に関する旨を認定したものであつて、理由不備の違法あり、破毀を免れない。
論旨は理由がある。
 ところで、右の違法は事実の確定に影響を及ぼすので、他の論旨に対する判断を
省略し、刑事訴訟法第四百四十八条の二に則り主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二三年七月二九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
 裁判官小谷勝重は差支につき署名捺印することが出来ない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

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