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平成14年(行ケ)第491号 審決取消請求事件
平成15年10月28日口頭弁論終結
            判    決
        原   告     角林商事株式会社
        訴訟代理人弁理士    小 林 良 平
      同           竹 内 尚 恒
        被   告       エア・ウォーター株式会社
      訴訟代理人弁護士    田 倉   整
      同           田 中 成 志
      同           田 倉   保
      訴訟代理人弁理士    菊 池 新 一
      同           菊 池   徹
            主    文
    原告の請求を棄却する。
    訴訟費用は原告の負担とする。
        事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
 特許庁が無効2001-35203号事件について平成14年8月15日に
した,特許第3118444号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無
効とするとの審決をいずれの請求項についても取り消す。
   訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
 主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実等
1 特許庁における手続の経緯
  原告は,発明の名称を「ドライアイス生成装置」とする特許第311844
4号の特許(平成9年12月11日出願(以下「本件出願」という。),平成12
年10月6日設定登録。以下「本件特許」という。登録時の請求項の数は5であ
る。)の特許権者である。
 被告は,平成13年5月11日,本件特許を請求項1ないし5のいずれに関
しても無効にすることについて審判を請求した。
 特許庁は,この請求を無効2001-35203号事件として審理した。原
告は,この審理の過程で,特許請求の範囲の訂正を内容とする訂正の請求をした
(以下「本件訂正」という。本件訂正後の請求項の数は4である。)。特許庁は,
審理の結果,平成14年8月15日,「訂正を認める。特許第3118444号の
請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をし,審決
の謄本を同年8月27日に原告に送達した。
2 本件訂正による訂正後の特許請求の範囲(以下,【請求項1】ないし【請求
項4】に係る発明を,それぞれ「本件発明1」,「本件発明2」などといい,本件
発明1ないし本件発明4をまとめて呼ぶときには「本件各発明」という。別紙図面
A参照。)
「【請求項1】筐体に,前面に扉を有する作業室を設け,該作業室には容器を
非連続的に搬出入するようにし,該作業室の上部に膨張用筒を立てて固定し,該膨
張用筒の上端にドライアイス生成用の液化炭酸ガスを噴出するノズルを設け,且
つ,発生したドライアイスを膨張用筒の下端に開口させた容器に一定時間供給する
とともに,上記扉が閉止されないとドライアイス供給動作を行なわないように制御
する制御装置を設けたことを特徴とするドライアイス生成装置。
【請求項2】作業室に装入した上記容器を繋留するためのフックを作業室の上
部に設けた請求項1記載のドライアイス生成装置。
【請求項3】作業室に上記容器を装入するための扉が閉止されると,制御装置
が自動的にドライアイスを一定時間供給するようにした請求項1記載のドライアイ
ス生成装置。
【請求項4】作業室に上記容器を装入するための扉が閉止された後,更に,使
用者が手動スイッチを操作して初めてドライアイスが一定時間供給されるようにし
た請求項1記載のドライアイス生成装置。」
3 審決の理由
 別紙審決書写しのとおりである。要するに,本件各発明は,フランス特許発
明第2518237号明細書(本訴甲第3号証,審判甲第1号証。以下「刊行物
1」という。)に記載された発明(具体的には,そこにFIG.1として示されているも
のである。以下「引用発明」という。審決がいう「甲1発明」である。別紙図面
B・FIG.1参照。),及び,実願平1-38104号(実開平2-130089号)
のマイクロフィルム(本訴甲第11号証,審判甲第3号証。)などにみられる周
知・慣用手段に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特
許は,請求項1ないし4のいずれについても,特許法29条2項に違反して特許さ
れたものであるから,無効とすべきである,とするものである。
 審決が,上記結論を導くに当たり,本件発明1と引用発明との一致点及び相
違点として認定したところは,次のとおりである。
一致点
「筐体と,作業室を設け,該作業室には容器を非連続的に搬出入するように
し,該作業室の上部に膨張用筒を立てて固定し,該膨張用筒の上端にドライアイス
生成用の液化炭酸ガスを噴出するノズルを設け,且つ,発生したドライアイスを膨
張用筒の下端に開口させた容器に一定時間供給するように制御する制御装置を設け
たことを特徴とするドライアイス生成装置。」
相違点
「(イ)本件発明1では,「筐体に,前面に扉を有する作業室を設け」ているのに
対し,甲1発明では,作業室が筐体部分にはなく保護スカートで構成されているた
め扉を有するものでもない点。」(以下「相違点(イ)」という。)
「(ロ)本件発明1では,「上記扉の閉止を検出した場合にのみドライアイス供給
動作を可能とする」制御装置を設けているのに対し,甲1発明では,そのような制
御装置を設けていない点。」(以下「相違点(ロ)」という。)
第3 原告主張の審決取消事由の要点
 審決は,本件発明1と引用発明との一致点の認定を誤ったことにより,両発
明の相違点を看過し(取消事由1),相違点(イ)及び(ロ)についての判断も誤ったも
のであり(取消事由2,3),これらの誤りがそれぞれ本件各発明のいずれについ
ても結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,各請求項のすべてについて違法
として取り消されるべきである。
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)
(1)審決は,刊行物1のドライアイス供給装置の具体的構成を検討し,その中
で,「平行六面体のハウジング1は,箱状の構造であり,一般に機器類等を収納す
る箱は「筐体」とも称されているから,当該平行六面体のハウジング1は,「筐
体」であると云うことができる。」(審決書9頁6段)と認定した。しかし,引用
発明には,本件発明1における「筺体」は存在しない(原告は,審判手続におい
て,本件発明1の「筐体」が引用発明の平行六面体ハウジングと同じものであるこ
とを認める主張をした。しかし,本訴においてはこの主張を撤回する。)。
  本件発明1に係るドライアイス生成装置における最も重要な部分は,ドラ
イアイスが噴出する部分である。本件出願の願書に添付した明細書(以下「本件明
細書」という。)にも,「本発明のドライアイス生成装置の本体は,鉄又はプラス
チック製の板に囲まれた筐体であって,中間部に作業室を設け,該作業室の上部に
はドライアイスを生成するための膨張用筒が立てて固定されている。」(甲第2,
第6号証【0006】)と記載されている。この記載と本件発明1の趣旨からする
と,本件発明1における「筐体」は,少なくともドライアイスを噴出する部分を囲
うものでなければならない。
  しかし,刊行物1のFIG.1の記載によれば,引用発明の平行六面体ハウジ
ング1は,上面及び前後左右の面は板材により構成されているものの,その下面と
袋8を載置する水平支持プレート9とは完全に分離されており,平行六面体ハウジ
ング1の下端から水平支持プレート9までの間は前後左右とも開放されており,引
用発明のドライアイス装置の垂直管7の下端は,平行六面体ハウジング1の下端よ
りも下にあるため,ドライアイス噴出部分の前後左右が開放された構造となってい
る。したがって,引用発明の平行六面体のハウジング1を,本件発明1の「筐体」
に当たるものということはできない。
  引用発明では,平行六面体ハウジング1の下端と袋8を載置する水平支持
プレート9との間の部分を「好適には透明で柔軟なシートからなる保護スカート1
8で囲むことが望ましい。」とされている(甲第3号証訳文3頁下から13行~1
2行)。そこで,引用発明において,平行六面体ハウジング1にその下の透明柔軟
スカート等で囲われた空間を加えた部分を一つの単位としてとらえることが考えら
れる。しかし,このように考えることにしたとしても,この部分を,本件発明1の
「筐体」に当たるものということはできない。保護スカート18が設けられている
のは前方及び左右のみで,後方には設けられておらず,しかも,前方の保護スカー
ト18が覆っているのは開放部分の上半分程度のみで,下半分は依然開放されたま
まであるからである。
(2)審決は,引用発明の「袋8を載置する水平支持プレート9と保護スカート
18から構成される空間部分」が本件発明1の「作業室」に相当すると認定してい
る(審決書10頁4段)。しかし,この認定は誤りである。
  本件発明1においては,完全な「筐体」があってこそ,その中に「作業
室」が存在し得るのである。ところが,上記のとおり引用発明には「筐体」は存在
しない。そこに,本件発明1における「作業室」に当たるものが存在し得る余地は
ない。
 刊行物1のFIG.1を見れば明らかなとおり,引用発明において,保護スカー
ト18が設けられているのは前方及び左右のみで,後方には設けられていない。し
かも,前方は,保護スカート18が覆っているのは,開放部分の上半分程度だけで
あり,下半分は依然開放されたままである。したがって,「水平支持プレート9と
保護スカート18から構成される空間部分」は,そもそも「室」と呼べるものでは
ない。引用発明には,本件発明1でいうところの「作業室」に当たるものは存在し
ない。
2 取消事由2(相違点(イ)についての判断の誤り)
(1)審決は,相違点(イ)について,「「筐体に,作業室を設ける」点の意義につ
いては・・・筐体内に作業室を設けこの作業室に出し入れする容器を外部と隔離す
る程度のことと解するのが相当であるが,家電機器に限らず物を収納する機器の場
合,その収納空間を筐体で包囲して構成することは最も一般的な周知・慣用手段で
ある。」(審決書11頁5段)と判断している。しかし,この判断は,誤りであ
る。
 本件発明1のドライアイス生成装置では,二酸化炭素をノズルから噴出さ
せ,断熱膨張によりドライアイスを生成するため,もうもうたる白煙(固体の二酸
化炭素の微粉末)及び気体の二酸化炭素(周知のとおり,これは有毒ガスであり,
濃度が規制されている。)の発生が避けられない。加えて,二酸化炭素がノズルか
ら噴出する際には大きな噴出音も発生する。
 本件発明1における筐体,作業室及び扉は,これらのドライアイス生成時
の大きな噴出音,もうもうたる白煙,有毒な気体の二酸化炭素を外部に流出させな
いという重要な役割を果たすために設けられている。
 本件発明1に係るドライアイス生成装置は,小売店の店頭等での使用を前
提としており,例えば,スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭で生鮮
食品や冷凍食品等を購入した顧客にドライアイスを提供するために使用されるもの
である。日本の文化を考えた場合,スーパーマーケットやコンビニエンスストアの
店内において,このような噴出音,白煙,二酸化炭素を発生させることは許されな
い。特に,有毒な気体の二酸化炭素が顧客の方に向かって流出するような装置が一
般の小売店において採用されることは,あり得ないことである。
 本件発明1に係るドライアイス生成装置においては,このような噴出音,
白煙,気体の二酸化炭素の流出防止が至上課題であるとされている。そして,相違
点(イ)に係る本件発明1の構成は,この課題を解決するための手段として採用された
ものである。このようにして採用された上記構成につき,当業者が適宜なし得る設
計的事項にすぎない,ということは許されない。
 第1に,上記課題に配慮を及ぼすこと自体,当業者が適宜なし得ることで
はない。
 第2に,仮に,上記課題に配慮を及ぼしたとしても,引用発明のような
「透明で柔軟な保護スカート」を三方に垂らした構造を,本件発明1のように,
「筐体に,前面に扉を有する作業室を設け,該作業室には容器を非連続的に搬出入
するよう」な構成に置き換えることは,「筐体」の語が上記のような意義を有する
ことを考慮した場合,決して,単なる設計的事項ということはできない。
 審決の判断は,上記課題に関するこれらの点についての判断を怠ったため
に犯した誤りである。
(2)本件発明1の「前面に扉を有する作業室」について,審決は「「容器の出
し入れ」という観点から,そこに扉を設けることは極めて当然の帰結と云うべきで
ある。」(審決書11頁7段)と判断している。しかし,この判断は,誤りであ
る。
  審決は,本件発明1における「扉」を容器の出し入れという観点のみから
とらえており,これとは別の,ドライアイス生成時の大きな噴出音,もうもうたる
白煙,有毒な気体の二酸化炭素の外部流出防止という重要な観点を看過している。
単に容器を出し入れするだけであれば,本件発明1のような面倒な扉を設ける必要
はなく,引用発明のように,柔軟なシートを上半分に垂らすだけで十分である。
 本件発明1において,わざわざ扉を設けて作業室を外界から完全に遮断す
るとともに,扉を開け・容器を入れ・扉を完全に閉めないとドライアイスが生成さ
れないという面倒な操作を使用者に要求するのは,安全性のためである。本件発明
1の目的は,本件明細書にも明確に記載されているとおり,第1に,使用者が直接
ドライアイスに触れなくてもすむようにするという意味での安全性の確保であり,
第2に,扉を閉めなければドライアイスを生成しないという本件発明1の構成によ
り,ドライアイス生成時の噴出音,白煙,気体の二酸化炭素の外部への流出を防止
するという意味での安全性の確保でもある。引用発明のドライアイス生成装置に
は,この第2の安全性の確保の目的についての考慮がない。審決の「上記相違点(イ)
は,当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないと云うべきである。」(審決書1
2頁2段)とした判断は誤っている。
3 取消事由3(相違点(ロ)についての判断の誤り)
(1)扉スイッチが,「周知・慣用手段として一般的な家電機器などに汎用され
ている」(審決書12頁3段)との審決の認定については異論はない。
 しかし,このような扉スイッチをドライアイス生成装置に適用することに
困難性がないとする根拠については,審決は何も述べていない。上記のとおり,ド
ライアイス生成の際に生じる噴出音,白煙,気体の二酸化炭素の流出防止との課題
を発見し,本件発明1の構成に至ることについては,十分な創意性があり,扉スイ
ッチの構成に想到することも当業者にとって容易とはいえない。
(2)審決は,刊行物1に「「ドライアイスの生成に伴って霧がもうもうと立ち
こめて使用者を驚かせるといったあらゆる不愉快な目に使用者をあわせないように
するために,また換気していない閉鎖した場所で気体の炭酸ガスが蓄積して窒息す
る恐れのないように,ドライアイス生成機の出口には,可動シャッタによって閉じ
られるハウジングから構成された気密室」を設ける等,ドライアイスとの直接接触
を回避する安全策に関する教示がされている」(審決書12頁4段)と判断した。
  しかし,この可動シャッタは,刊行物1のFIG.2にのみ記載されている構成
であり,刊行物1のFIG.1にはこのような構成は記載されていない。審決は,刊行物
1のFIG.1に記載された装置を引用発明として認定し,本件発明1と対比してきたの
であるから,あくまでもFIG.1に記載された装置と対比すべきである。また,刊行物
1のFIG.2に記載された装置の場合,気密室14の中に容器(袋)を入れることはで
きないのである。審決は,本件発明1と引用発明とを,作業室に容器(袋)を入れ
ることを前提として対比してきたのであるから,そのような構成となっていない刊
行物1のFIG.2に記載された装置をそのような対比に用いることは全く意味をなさな
い。
  仮に,刊行物1のFIG.2に記載された装置から成る発明を本件発明1との対
比に用いたとしても,同装置において,ドライアイスが最終的に容器(袋)の中に
入るのはシャッタ15を開けた時点であり,このときに気密室14内の所定量のド
ライアイスが一挙にドサッと容器(袋)内に落ち,同様に白煙及び大量の気体の二
酸化炭素が発生して外部に流出する。これに対し,本件発明1に係るドライアイス
生成装置では,生成されたドライアイスがすべて袋の中に入り,白煙や気体の二酸
化炭素の発生が十分に収まった時点で扉を開けるものである。
 以上からすれば,相違点(ロ)についての,「ドライアイスとの直接接触を回
避する安全策に関する教示がされているのであるから,上記相違点(イ)について前示
した「前面に扉を有する作業室」を設計するに際し,その扉に上記「扉スイッチ」
を設けること,すなわち「扉の閉止を検出した場合にのみドライアイス供給動作を
可能とする制御装置」を設けることも,上記家電機器等の周知・慣用の安全手段を
参考にすれば当業者が何ら困難なく適宜なし得ることと云うべきである。」(審決
書12頁4段)との審決の判断は,誤りである。
第4 被告の反論の骨子
 審決に,原告主張の誤りはない。
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について
 刊行物1における「ハウジング」との表現(訳文2頁10行目など)
は,「boitier」の和訳である。「boitier」とは,例えば旺文杜のロワイヤル仏和
中辞典(1985年初版,2002年重版,乙第1号証の1,213頁)では,
「[仕切りのある]収納箱;ケース;覆い~dechirurgien外科用器具箱」等の和
訳及び使用例が与えられている。このように「boitier」の意味が「収納箱」である
から,引用発明の平行六面体ハウジング1は,正に,機器を収めている「収納箱」
に該当する。
 刊行物1において,平行六面体ハウジング1の本体は,「壁にかけるか脚部
で取り付け可能」(甲第3号証訳文2頁10行~11行)であると記載されてお
り,現実には,保護スカートの後方が壁になるか,又は,その本体部分が4本の脚
により支持されるか,である。したがって,その本体部分の下部は,後方の壁又は
4本の脚という堅固な構造体により構成されており,保護スカートで囲まれること
で作業「室」としての構造を有している。作業室は,袋などのドライアイスを受け
入れる容器を入れる場所であって,前後左右の4面がすべて堅固な壁面である必要
はない。この作業の目的を達成するためには,作業室の壁面が,本件明細書に記載
された「鉄又はプラスティック製の板」(甲第2,第6号証【0006】)であろ
うが,刊行物1に記載された「透明で柔軟なシート」(甲第3号証訳文3頁18
行)であろうが,違いはない。
2 取消事由2(相違点(イ)についての判断の誤り)
 本件明細書の「発明が解決しようとする課題」には,「固形のドライアイス
は直接手に触れると凍傷等の危険があり,その取り扱いは注意が必要である。店頭
の販売では特に迅速を必要とするが,商品ヘドライアイスを添付する場合には,そ
の度に手袋を着用せねばならないなど,特に小売店での店頭販売の障害となってい
た」(甲第2,第6号証【0003】)と記載されているだけであり,他に何も記
載されていない。このように,本件明細書に課題として記載されているのは,ドラ
イアイスとの直接接触の危険性を回避することだけである。審決は,ドライアイス
生成装置における噴出音・白煙・二酸化炭素の外部流出防止という課題を看過して
いる,との原告の主張は,本件明細書に基づかない主張である。
 原告は,相違点(イ)についての置き換えは,本件発明1における「筐体」及び
「作業室」が,ドライアイス生成時の大きな噴出音,白煙,気体の二酸化炭素を外
部に流出させないという役割を果たすものであることを考慮した場合,単なる設計
事項ではない,と主張する。
 しかし,刊行物1には,「有利には,本発明による装置の主要要素をまとめ
て,・・・ハウジングに入れる」(甲第3号証訳文2頁10~11行)との記述
や,「主要要素が,・・・ハウジング内に含まれることを特徴とする・・・装置」
(同訳文4頁クレーム10)との記載があり,これらの記載からは,作業室をハウ
ジング内に入れることが刊行物1においても明確に教示されているのである。この
ように,刊行物1には,作業室を筐体の内部に置くとの構成も教示されているので
あるから,相違点(イ)を,当事者が容易になし得る設計的事項にすぎないとした審決
の判断に誤りはない。
 引用発明では,生成したドライアイスをドライアイスが貯められたところか
ら取り出すときに,なるべく取り出しの邪魔にならないように保護スカート18が
設けられている。この保護スカート18が本件発明1の作業室に出し入れする容器
を外部から隔離する扉に対応している。刊行物1には,ドライアイスの生成中は,
「ドライアイスの生成に伴う霧の放出をなくすために」(訳文3頁9行)「保護ス
カート18で囲むことが望ましい」(同18行)と記載されており,これらの保護
スカートが設置された理由には,利用者の手との直接の接触防止のほか,ドライア
イス生成に伴う霧の放出の防止も含まれているのである。
3 取消事由3(相違点(ロ)についての判断の誤り)について
 原告は,扉スイッチを本件発明1のドライアイス生成装置に適用することに
困難性がないとする根拠については,審決は何も述べていない,と論難する。しか
し,周知・慣用技術として家電機器などに汎用されている扉スイッチを本件発明1
のドライアイス生成装置に適用することは,技術分野も共通しており,当業者であ
れば容易になし得ることである。審決の判断に誤りはない。
第5 当裁判所の判断
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について
 原告は,①本件発明1における「筐体」は,少なくともドライアイスを噴出
する部分を囲うものでなければならない,引用発明のドライアイス供給装置では,
ドライアイスを噴出する部分である垂直管7の下端を囲うものは,平行六面体ハウ
ジング1ではなく,その1面が上半分しかない保護スカート18であるから,引用
発明の平行六面体ハウジング1を本件発明1の「筺体」ということはできない,②
本件発明1では,「筐体」があってこそ,その中に「作業室」が存在し得るのであ
るから,「筐体」が存在しない引用発明において,本件発明1における「作業室」
なるものが存在し得る余地はない,と主張する。
 確かに,本件発明1は,その請求項1から明らかなように,「筐体に,前面
に扉を有する作業室を設け,・・・該作業室の上部に膨張用筒を立てて固定し,該
膨張用筒の上端にドライアイス生成用の液化炭酸ガスを噴出するノズルを設け,且
つ,発生したドライアイスを膨張用筒の下端に開口させた容器に一定時間供給す
る・・・ことを特徴とするドライアイス生成装置。」である。本件明細書の「本発
明のドライアイス生成装置の本体は,鉄又はプラスチック製の板に囲まれた筐体で
あって,ドライアイス生成用の液化炭酸ガスを噴出するノズル中間部に作業室を設
け,該作業室の上部にはドライアイスを生成するための膨張用筒が立てて固定され
ている。該膨張用筒の上部にはノズルがあり,該ノズルは電磁弁を介して液化炭酸
ガスのボンベに通じている。作業室の前面には,容器を装入するための装入口を設
け,装入口には扉を設けておく。」(甲第2,第6号証【0006】)との記載か
らも,本件発明1では,「筺体」が,液化炭酸ガスを噴出するノズルとその下端に
設けた膨張用筒,及び,その下に設けた作業室を囲む箱状のものであると認められ
る。
 これに対し,引用発明においては,平行六面体ハウジング1が,液化炭酸ガ
スを噴出するノズル5とその下端に設けた垂直管7を囲む箱状のものである(甲第
3号証)。したがって,本件発明1の筺体と引用発明の平行六面体ハウジング1と
は,液化炭酸ガスを噴出するノズルとその下端に設けた膨張用筒を囲むものである
点では共通するものの,本件発明1の筺体は,膨張用筒の下に設けた作業室をも囲
むのに対し,引用発明の平行六面体ハウジング1は,垂直管7の下端近くまでを囲
むだけで,その下は保護スカート18と水平支持プレート9が設けられ,同プレー
ト上に袋8が置かれてドライアイスを受け取る作業が行われる点で異なるものであ
る。
 審決は,本件発明1と引用発明との一致点を,「筐体と,作業室を設け,該
作業室には容器を非連続的に搬出入するようにし,該作業室の上部に膨張用筒を立
てて固定し,該膨張用筒の上端にドライアイス生成用の液化炭酸ガスを噴出するノ
ズルを設け,且つ,発生したドライアイスを膨張用筒の下端に開口させた容器に一
定時間供給するように制御する制御装置を設けたことを特徴とするドライアイス生
成装置。」と認定した上で,「(イ)本件発明1では,「筐体に,前面に扉を有する作
業室を設け」ているのに対し,甲1発明では,作業室が筐体部分にはなく保護スカ
ートで構成されているため扉を有するものでもない点。」を両発明の相違点の一つ
(相違点(イ))として認定している。この相違点(イ)の認定からすれば,審決が本件
発明1と引用発明との上記相違点(引用発明においては,平行六面体ハウジング1
が,垂直管7の下端近くまでを囲むだけで,その下は保護スカート18と水平支持
プレート9が設けられているだけであること)を看過するものではなく,この点を
相違点として認定していることが明らかである。したがって,審決が「筐体と,作
業室を設け」ていることを本件発明1と引用発明との一致点と認定したからといっ
て,両発明の上記相違点を看過していることになるわけのものではない。
 本件発明1の請求項1の記載は上記のとおりであり,そこには,本件発明1
の筺体内に,ノズル,膨張用筒及び作業室が設けられるものであることが明記され
ている。したがって,本件発明1においては,ノズルも,膨張用筒も,作業室も,
すべて筒体内に設けられることが明らかである。しかし,このことは,何ら,本件
発明1における「筺体」との用語自体が,ノズル,膨張用筒及び作業室などを収め
るものを意味するものとして用いられていることを物語るものではない。請求項1
においては,「筺体」に「作業室を設け・・・膨張用筒を立てて固定し・・・ノズ
ルを設け」と規定されていることから,本件発明1の構成がそのようなものとして
理解されるにすぎない。このような理解を排斥して,本件発明1における「筒体」
の語自体に,一般的にこの語が意味するのとは異なる意味を与えるべき事情は,本
件全証拠によっても認めることはできない。したがって,引用発明の平行六面体ハ
ウジング1が本件発明1の「筺体」に相当し,引用発明の平行六面体ハウジングの
下端部と水平支持プレート9及び保護スカート18により囲まれた部分が本件発明
1の「作業室」に相当するとした上で,上記のように「相違点(イ)」を認定した審決
の認定に,何ら相違点の看過はない。原告の前記主張は理由がない。
2 取消事由2(相違点(イ)についての判断の誤り)
 審決は,「相違点(イ)のうち「筐体に,作業室を設ける」点の意義について
は,本件明細書に特段説明されているわけではないから,この構成の技術的な意義
は,筐体内に作業室を設けこの作業室に出し入れする容器を外部と隔離する程度の
ことと解するのが相当であるが,家電機器に限らず物を収納する機器の場合,その
収納空間を筐体で包囲して構成することは最も一般的な周知・慣用手段である。こ
の点について,甲第1号証(判決注・刊行物1)の上記(A-5)にも,「有利に
は,本発明による装置の主要要素をまとめて,壁にかけるか脚部で取り付け可能な
ハウジングに入れるが,」と記載されているとおり,装置の主要要素をまとめて
「ハウジングに入れる」方が有利であるとも教示されている。そうであれば,甲1
発明(判決注・引用発明)の「保護スカート」に替えて,「ドライアイス生成装
置」全体をハウジング1(筐体)で構成する(筐体内に作業室を設ける)程度のこ
とも,甲第1号証の上記教示や一般的な周知・慣用手段からみて当業者が適宜なし
得る設計的事項にすぎないと云うべきである。」(審決書11頁5段,6段)と判
断した。原告は,本件発明1に係るドライアイス生成装置においては,ドライアイ
ス生成に伴う噴出音,白煙,気体の二酸化炭素の流出防止が至上課題である,この
ような課題に配慮すること自体も,このような課題に配慮した後に,本件発明1の
構成に至ることも,当業者が適宜なし得ることではないにもかかわらず,審決は,
これらの点に関する判断を怠っている,などと主張する。
 審決が「上記相違点(イ)のうち「前面に扉を有する作業室」という点について
検討すると,甲1発明の作業室は,保護スカートで構成されているものの,容器
(袋8)を出し入れするところに変わりはないのであるから,この作業室を筐体で
構成する場合でも「容器の出し入れ」という観点から,そこに扉を設けることは極
めて当然の帰結と云うべきである。」(審決書11頁7段)と判断したことについ
ても,原告は,審決は,本件発明1における「扉」を容器の出し入れという観点の
みからとらえており,ドライアイス生成時の大きな噴出音,もうもうたる白煙,有
毒な二酸化炭素の外部流出防止という重要な観点を看過している,と主張する。
 しかしながら,仮に,本件発明1の課題の中に,原告主張のように,ドライ
アイス生成時の噴出音,白煙,気体の二酸化炭素の流出防止が含まれているとして
も,そのような課題の有無にかかわらず相違点(イ)に係る同発明の構成に至ることが
容易であるならば,そのような構成を進歩性の根拠にすることができないことは論
ずるまでもないことであるから,原告の上記主張は,本来,主張自体として失当と
いうべきである。
 この点はおくとしても,本件発明1の解決しようとする課題,目的が,ドラ
イアイスが直接手に触れないような装置とすることにより安全性を確保しようとす
るものであることだけであることは,本件明細書の次の記載から明らかである。
「【発明が解決しようとする課題】固形のドライアイスは直接手に触れると
凍傷等の危険があり,その取り扱いは注意が必要である。店頭の販売では特に迅速
を必要とするが,商品へドライアイスを添付する場合には,その度に手袋を着用せ
ねばならないなど,特に小売店での店頭販売の障害となっていた。」(甲第2,第
6号証【0003】),
「更に,安全性を確保するために,作業室に装入した把手付袋状の容器を繋
留するためのフックを作業室の上部に設け,ドライアイスを袋に供給する間,使用
者が袋を手で保持する必要がないようにすることが望ましい。また,扉が閉止され
ないと制御装置がドライアイス供給動作を行なわないようにすることも望ましい。
更に,扉を閉じると自動的にドライアイス供給動作が開始するようにすると便利で
ある。もちろん,扉を閉じた後,使用者が手動スイッチを入れて初めて供給動作が
開始するようにしてもよい。」(同【0005】),
「【発明の効果】本発明に係るドライアイス生成装置では,作業室内に容器
を入れると,制御装置が一定時間だけ液化炭酸ガスをノズルから膨張用筒内に噴出
させ,断熱膨張により生成されたドライアイスをその容器内に入れるようにしてい
るため,使用者がドライアイスに触れることなく容器に入れることができる。この
ため,一々手袋をはめたりする必要もなく,一般の使用者でも容易に扱うことがで
きる。しかも,例えば,作業室の扉が完全に閉まらないと作動しないように,或い
は,容器が作業室に装入されないと作動しないように等,種々の安全装置を設ける
ことにより,一般の人が安全に用いることができるようになっている。」,「この
装置の導入によりスーパーマーケットなどの冷凍商品の取り扱いが容易となり,持
ち帰り商品の販売増進が図られる効果がある。」(同【0018】~【001
9】)
 一方,原告が主張する,上記のドライアイス生成時の噴出音,白煙,気体の
二酸化炭素の外部流出の防止という安全性確保の観点からの説明は,本件明細書に
は全く示されていない。原告の上記主張は,いずれも本件明細書の記載に基づかな
い主張である。
 もっとも,ドライアイスの生成に伴い,噴出音の発生,白煙,気体の二酸化
炭素の外部流出等の不快な事態が生じる,という事態を改善すべきであるとの課題
自体は,本件明細書に記載はなくとも,刊行物1に開示されている。すなわち,刊
行物1には,そのFig.2に示された装置に関する記載ではあるものの,「ドライア
イスの生成に伴って霧がもうもうと立ちこめて使用者を驚かせるといったあらゆる
不愉快な目に使用者をあわせないようにするために,又換気をしていない閉鎖され
た場所で気体の炭素ガスが蓄積して窒息する恐れのないように,ドライアイス生成
機の出口には,可動シャッタによって閉じられるハウジングから構成された気密室
を設け」(甲第3号証訳文2頁1段)との記載,及び,「ドライアイスの生成に伴
う霧の放出をなくすために,管7(FIG.2)の口元に気密室を設けることができ
る。」(同訳文3頁3段)との記載がある。このように,原告が主張する,ドライ
アイスの生成に伴い,噴出音の発生,白煙,気体の二酸化炭素の外部流出等の不快
な事態が発生するのを防ぐ,との課題は,刊行物1に開示されている課題であるか
ら,当業者が,引用発明の保護スカートに代えて,本件発明1の筺体と筺体に作業
室と扉を設けた構造に想到するに至るには十分な動機付けがあったものということ
ができる。現に,刊行物1には,「有利には,本発明による装置の主要要素をまと
めて,壁にかけるか脚部で取り付け可能なハウジングに入れる」(甲第3号証訳文
2頁10~11行)との記述や,「主要要素が,壁にかけるか脚部で取り付けたハ
ウジング(1)内に含まれることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記
載の装置」(同訳文4頁クレーム10)との記載があり,作業室を平行六面体ハウ
ジング1の内部に設けるとの構成が,刊行物1においても明確に教示されているの
である。このように,刊行物1には,引用発明における作業室を平行六面体ハウジ
ング1の内部に設けるとの構成も教示されていることと,「家電機器に限らず物を
収納する機器の場合,その収納空間を筐体で包囲して構成することは最も一般的な
周知・慣用手段である」(審決書11頁5段)ことからすれば,引用発明と本件発
明1との相違点(イ)を,当事者が容易になし得る設計的事項にすぎない,とした審決
の判断に,誤りはないことが明らかである。
3 取消事由3(相違点(ロ)についての判断の誤り)
 審決は,「本件発明1の上記相違点(ロ)の制御装置は,・・・周知・慣用手段
として一般的な家電機器などに汎用されている「扉スイッチ」というものであ
る・・・。・・・甲第1号証(判決注・刊行物1)・・・にも,「ドライアイス供
給装置」について,「ドライアイスの生成に伴って霧がもうもうと立ちこめて使用
者を驚かせるといったあらゆる不愉快な目に使用者をあわせないようにするため
に,また換気していない閉鎖した場所で気体の炭酸ガスが蓄積して窒息する恐れの
ないように,ドライアイス生成機の出口には,可動シャッタによって閉じられるハ
ウジングから構成された気密室」を設ける等,ドライアイスとの直接接触を回避す
る安全策に関する教示がされているのであるから,上記相違点(イ)について前示した
「前面に扉を有する作業室」を設計するに際し,その扉に上記「扉スイッチ」を設
けること,すなわち「扉の閉止を検出した場合にのみドライアイス供給動作を可能
とする制御装置」を設けることも,上記家電機器等の周知・慣用の安全手段を参考
にすれば当業者が何ら困難なく適宜なし得ることと云うべきである。」(審決書1
2頁3段,4段)と判断した。
 原告は,①扉スイッチをドライアイス生成装置に適用することに困難性がな
いことの根拠については,審決は何も述べていない,上記のとおり,ドライアイス
生成の際に生じる噴出音,白煙,気体の二酸化炭素の流出防止との課題を発見し,
本件発明1の構成に至ることについては,十分な創意性があり,扉スイッチの構成
に想到することも当業者にとって容易とはいえない,②可動シャッタは,刊行物1
のFIG.2にのみ記載されている構成である,審決は,刊行物1のFIG.1に記載された
装置を引用発明として認定し,本件発明1と対比してきたのであるから,あくまで
もFIG.1に記載された装置と対比すべきである,③刊行物1のFIG.2に記載された装
置において,ドライアイスが最終的に容器(袋)の中に入るのはシャッタ15を開
けた時点であり,この時に気密室14内の所定量のドライアイスが一挙にドサッと
容器(袋)内に落ち,同様に白煙及び大量の気体二酸化炭素が発生して外部に流出
する,これに対し,本件発明1に係るドライアイス生成装置では,生成されたドラ
イアイスがすべて袋の中に入り,白煙や気体の二酸化炭素の発生が十分に収まった
時点で扉を開けるものである,と主張する。
 しかし,審決は,「扉スイッチ」をドライアイス製造装置に適用し得ること
については,上記のとおり,刊行物1に「ドライアイス生成機の出口には,可動シ
ャッタによって閉じられるハウジングから構成された気密室を設け」(甲第3号証
訳文2頁1段)る等,ドライアイスとの直接接触を回避する安全策に関する開示が
あることをその根拠として示しているのであり,審決がその困難性がないことにつ
いて何らその根拠を示していない,との原告の主張は理由がなく,また,本件発明
1の前記課題を発見し,その構成に至ることについて困難性がないことは,取消事
由2において述べたとおりである。原告の上記①の主張は理由がない。
 審決は,刊行物1のFIG.1に記載された発明を引用発明として本件発明1と対
比し,その上で,本件発明1と引用発明との相違点(ロ)について,刊行物1の
FIG.2に記載された発明について刊行物1に記載された課題,すなわち,ドライアイ
スの生成に伴って生じる霧や気体の炭酸ガス及びドライアイスとの直接接触を避け
るための安全策が求められているとの課題を紹介し,このような課題を解決するた
めに,周知慣用の安全手段である「扉スイッチ」を設けることは,当業者にとって
容易である,と判断したものである。審決は,刊行物1のFIG.2に記載された発明に
関する刊行物1における上記記載を,引用発明として認定しているものではなく,
引用発明から本件発明1に想到するに至る動機付けとなる課題として認定している
ことは明らかである。そして,直接にはFIG.2に記載された発明に関して記載された
ものとはいえ,刊行物1の上記記載の内容が,FIG.1に記載された発明(引用発明)
にも当てはまるものであることは,明白である。原告の前記②の主張は,審決の内
容を誤解しているものであり,理由がない。
 審決は,上記のとおり,刊行物1のFIG.2に記載された発明を引用発明として
認定しているわけではなく,同発明に関して記載されたドライアイス生成装置にお
ける技術的課題として認定しているものであることは上記のとおりである。したが
って,原告が刊行物1のFIG.2に記載された発明と本件発明1とを対比して,その技
術的相違点を主張することは,審決の取消事由の主張としては,意味のないことで
ある。原告の前記③の主張も理由がない。
第6 結論
 以上に検討したところによれば,原告の主張する取消事由にはいずれも理由
がなく,その他,審決には,これを取り消すべき誤りは見当たらない。そこで,原
告の本訴請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7
条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第6民事部
      裁判長裁判官    山  下  和  明
        
         裁判官     設  樂  隆  一
 
         裁判官    高  瀬  順  久
(別紙)
図面A図面B

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