弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
一 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和六三年七月一日付けでした社
団法人神奈川県警親会の定款変更認可処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも
被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文と同旨の判決を求め
た。
二 当事者双方の主張は、当審における控訴人の主張を次のように加えるほか、原
判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
(控訴人の主張)
知事の所管に属する公益法人の設立等に関する規則(昭和二九年六月二五日神奈川
県規則第四〇号)九条は、定款の変更認可申請手続につき、「法人は、定款の変更
について認可を受けようとするときは、認可申請書に次に掲げる書類を添えて知事
に正副二部を提出しなければならない。」と定め、その(1)として、「変更条項
に係る新旧比較対照表及び変更の理由を記載した書類」を掲げている。この規定
は、公益法人が定款変更決議をするには、総会においてあらかじめ会員に配布され
た定款変更の提案理由書及び「新旧対比」の議案書によって十分審議しなければな
らない旨を定めたものであり、それが定款変更の認可についての要件となるもので
ある。
被控訴人は、昭和六三年六月一三日、控訴人から、警親会の定款改正認可申請不認
可申入書(甲第一号証)の交付を受け、また、本件決議後、警親会から、本件総会
の議事録(乙第一号証の一)及び定款改正の提案理由書、同添付の定款改正案(乙
第一号証の三)の交付を受けて、本件決議に控訴人主張のとおりの違法事由があ
り、前記規則九条に違反することを知ったのであるから、本件決議の適法性につい
て審査する義務があるというべきである。
三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する本訴請求は理由がなく、これを棄却す
べきものと判断する。その理由は、当審における控訴人の主張に対する判断を次の
ように加えるほか、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。
控訴人主張の規則九条は、定款の変更認可申請手続をする際に提出すべき書類を掲
げた手続規定であって、これを控訴人主張のような趣旨の規定であると解すること
はできない。また、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一号
証、原本の存在とその成立に争いのない乙第一号証の一・三及び弁論の全趣旨によ
れば、被控訴人は、本件認可処分をする前に、控訴人及び警親会から、それぞれ控
訴人主張の書類(右甲第一号証、乙第一号証の一・三)の交付を受けたことが認め
られる。しかし、これらを閲読しただけでは、本件決議に違法事由があると判断す
ることはできないし、これらが提出されたことによって被控訴人に本件決議の適法
性について審査する義務が生じたものということもできないから、本件決議の違法
に関する控訴人の主張は、採用することができない。
二 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することと
し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用し
て、主文のとおり判決する。
(裁判官 橘 勝治 安達 敬 鈴木敏之)

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