弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
1 被申請人が申請人らに対してそれぞれ昭和四八年一〇月三一日付文書を交付し
てした解雇の予告の意思表示の効力を停止する。
2 訴訟費用は被申請人の負担とする。
       事   実
第一 当事者の申立
一 申請人らの求める裁判
主文同旨の判決
二 被申請人の求める裁判
本件仮処分申請を却下する。訴訟費用は申請人らの負担とするとの判決
第二 当事者の主張
一 申請の理由
1 雇用契約の成立
 被申請人は航空運輸業を目的とし、フランス国法に準拠して成立した外国会社で
ある。
 申請人らは雇用地を東京、配属先を被申請人の日本支社とするスチユワーデスと
して被申請人の日本における代表者である同支社長においてその期間を定めないで
雇用した日本人であり、その雇用契約の成立の日は別表の記載のとおりであるが、
外国会社である被申請人と日本人である申請人ら間の右雇用契約の成立及び効力に
関しては日本国法によることとしている(準拠法の間題)。
2 解雇の予告の意思表示
 被申請人は、申請人らに対し、昭和四八年一〇月三一日頃同日付文書を交付し
て、その雇用契約を同年一二月三一日をもつて終了させる旨の解雇の予告の意思表
示をし、かつ、あらためてパリーを雇用地にしてパリー地区に配属される外国人ス
チユワーデスとして申請人ら再雇用することとする昭和四九年一月一日発効の新た
な雇用契約の締結すなわちパリー移籍についてその申込をする旨及び右申込みに対
する承諾の期日を昭和四八年一一月二〇日とする旨を通知した。しかし、申請人ら
はパリー移籍の申込に応じないこととし、右承諾期日を徒過した。
3 解雇の予告の意思表示の無効
(一) 申請人らは、被申請人の日本支社に配属される日本人スチユワーデスとし
て雇用されたものであるから、当然のことながら東京及びその近辺に居住し、東京
を基地として東京を発進し東京に帰着するスケジユールでその業務に従事している
が、被申請人の要求するパリー移籍に従えば、東京からパリーヘ生活の基盤をそつ
くり移し、パリーに居住してパリー発パリー帰着スケジユールで働くこととなる。
しかもパリー移籍の要求は拒否すれば解雇という威嚇のもとでおこなわれている。
 ところで申請人ら日本人スチユワーデスのパリー移籍に関する交渉経過は以下の
とおりである。
(1) 昭和四八年六月一四日及び一五日の二日間にわたつて、被申請人の日本支
社における日本人従業員の組織する労働組合であるエール・フランス日本人従業員
労働組合(以下「日本人労組」という。)と被申請人との間において同年の春闘要
求に関する団体交渉がおこなわれたが、その席上被申請人の本社人事課長aは、フ
ランスにおける職業別労働組合であるフランス全国客室乗務労働組合(略称SNP
NC)の書記長bがオブザーバーとして同席する理由について「一五年前からSN
PNCは外国籍客室乗務員をすべてフランス籍に移すように会社に要求してきた。
今回会社はSNPNCと協議した結果、全外国籍客室乗務員をフランス本国契約と
してフランス人と同一の労働条件を与えるということで原則的合意が成立した。こ
の問題の要求はSNPNCから出されたので書記長bに出席を要請したわけであ
る。」と述べ、ついでパリー移籍の具体的条件についての交渉を提案した。しかし
春闘要求に対する会社回答がなさるべき団交席上における移籍問題の提案自体唐突
であるので、申請人ら日本人スチユワーデスのパリー移籍の問題に深入りしないで
終つた。同年の春闘は右の団体交渉で妥結したが、交渉事項で合意に至らなかつた
ものを継続討議するための再度の団体交渉が同年七月末に予定されたが、被申請人
側はその際移籍問題に関しフランスにおける労働条件のすべてのインフオメーショ
ンを与えることのできる専門家を送るとの提案をした。
(2) 同年六月二一日に新労働協約が春闘要求に基づいて締結されたが、その協
約条項末尾に「乗員のパリー移行については日本人労組との協議を経て最終的に決
定される。」との特殊条項がある。
(3) 同年七月末に予定された再度の団体交渉がようやく同年八月二八日から三
〇日までにおこなわれたが、移籍問題に関し、インフオメーシヨンを与えるために
本社からきた客室乗務員担当人事課員cの言明は、移籍後の労働条件に関するもの
ではなく、移籍命令の通達であつた。すなわち「本日われわれがこの場に出席して
いるのは本社決定を正式に日本人労組に通知するためである。八月二一日に本社は
日本人、ドイツ人、ブラジル人を含め全外国籍客室乗務員を一九七四年一月一日を
もつてパリーに移籍させることに決定した。」といい、さらに「会社はこの決定を
各乗務員あてに手紙で通知する。具体的には一九七三年一二月三一日をもつて日本
における雇用契約が終了することを通知するとともに、フランスにおける新しい契
約の締結を申し入れる。これを受諾する者には自己退職の、拒否する者には会社都
合の退職金を支払う。期限までに返答のない者は拒否したものとみなす。これは本
社決定だから取り消すことはできない。」といつた。これに対して「会社が一方的
に移籍を決定したことは納得できない。各乗務員あての通知の発送はやめよ。この
問題について権限ある会社代表者との交渉を要求する。」との日本人労組の要求が
出され、被申請人側はこれを本社に伝えることに同意した。
(4) 日本人労組の右要求にもとづいて同年九月一二日から一四日までに団体交
渉がもたれたが、実質的にはこれが唯一の移籍問題の交渉であつた。被申請人側か
らaが交渉権限を有する者として出席した。日本人労組は、臨時組合大会を九月二
一日に予定しているので、組合の態度はその場で最終決定をするという立場を明確
にしながら、被申請人側の意向をくわしく質した。aは冒頭に「正直にいつて、本
社の決定を白紙に戻せないとは思うが、方法を討議することはてきる。」との意向
を明らかにしたうえ、日本人労組の質問に答えて、被申請人の申請人ら日本人スチ
ユワーデスに対する移籍要求の必要性と移籍後の労働条件、生活態様について説明
したが、移籍の必要性は各国客室乗務員の諸規則の調整と運航上の必要との二点に
すぎず、SNPNCの要求は二義的であるという。しかしいずれの理由も日本人労
組側を納得させるものではなかつた。同労組の激しい追及のあと、被申請人側は
「会社は日本人労組の組合大決定のあと、(イ)日本人労組の意向を受容、(ロ)
拒否、(ハ)協議という最終決定を選択しなければならないが、労働協約中の協議
条項は日本人労組の同意がなければパリー移籍を強行しないという精神であること
は認める。」といいながら、「強行もありうるか」という質問に対しては「答えら
れない」とつつぱねた。
(5) 日本人労組は、同年九月二一日に臨時組合大会を開いてパリー移籍問題を
討議した結果、出席した全客室乗務員を含め、満場一致でパリー移籍に反対する旨
の決議をし、同月二五日に日本支社を通じて被申請人に右決議の趣旨を通告した。
(6) 同年一〇月二五日に本社の決定を伝えて、aは開口一番移籍強行の方針と
いうことであり、同日は団体交渉の予定であつたが、もはや交渉の余地はなかつ
た。
 以上のような交渉経過のあと、被申請人の申請人ら日本人スチユワーデスに対す
る同年一〇月三一日付の前記文書が発送されたのであるが、すでに明らかなよう
に、被申請人は申請人ら及び日本人労組との協議をしない以前に移籍強行の方針を
決定し、これを承諾させるために交渉をしたにすぎないし、日本人労組が大会で態
度を決定した以後(実はこのあとにこそ本来の交渉がなされるべきである。)はな
んら交渉の余地がなく問答無用で解雇の予告を断行してきたのである。
 およそ協議約款は単に労組との協議に付せば足りるというものではなく、信義則
にもとづいて誠実かつ慎重に協議することが必要であり、実質的に同意約款と大差
ないと解されている。この基準からいつて、誠実な協議を経ることなくただ移籍を
強行しようという意図に出た本件解雇は前記労働協約の特殊条項に違反するもので
ある。
(二) 本件各雇用契約は東京を勤務地とする契約に他ならず、国境を越えた配置
転換を是認する事前の包括的同意が存したとは考えうべくもないから、被申請人の
一方的決定である日本人スチユワーデスのパリー移籍を申請人らにおいて承諾すべ
き義務はもとより存しない。被申請人もこれを認識していればこそ移籍のために配
置転換命令を発することをしないで、いつたん現在の雇用契約を終了させ、あらた
めて別個のパリーを雇用地とする新契約を締結しようとしているのである。要する
に、本件解雇予告は、申請人らにつきなんらの落度や欠陥があつたことを理由とす
るものではなく、もつぱらパリー移籍を強行する意図にもとづいて、実質的には応
諾の義務のない移籍要求を拒否したことを解雇事由とするものであるから、解雇権
の乱用にほかならないことが明らかである。
(三) パリー移籍によりこうむる不利益は申請人らにおいて忍受しがたいものが
あるから、この点でも、移籍に応じないからといつて申請人らを解雇することは暴
挙である。
 すなわち、申請人らは二〇歳代ないし三〇歳代の独身の日本人女性であり、現在
東京及びその近郊に生活の本拠を有し、多くは両親のもとから通勤しているが、パ
リー移籍後は家族より切り離され、異邦人として異国に放り出されることになる。
言語上の不便、急激かつ決定的な風習・生活環境の変化は忍受しがたいものがあ
り、そのことだけで申請人ら大部分の者は移籍が不可能である。申請人らのなかに
は父母弟妹らの扶養をしている者もあり、パリー移籍はその扶養を困難にする。ま
た申請人らには日本人として将来当然に日本人の配偶者と日本で結婚生活を送るこ
とを考えるのが普通であるが、パリーでの常駐はそれだけ配偶者選択の機会を減
じ、結婚後もスチユワーデスの職業を続けようとするものにとつて結婚と職業との
両立を不可能にし、事実上婚姻の自由を阻害するが、結婚による退職をよぎなくさ
れる。そして申請人らは生活の本拠をパリーに移すことにより日本における公民権
の行使を制限される。さらに申請人らは女性としては比較的恵まれた職業に従事し
ており、特に近年労働組合運動の昂揚のなかでフランス人労働者と同等あるいはこ
れを上回る労働条件を獲得している。やがて数年を経ずして日本人スチユワーデス
の労働条件がフランス人のそれを大きく上回ることが確実であつて、パリー移籍は
賃金を初めとする労働条件の上でも申請人らに不利益をもたらすのである。
(四) 被申請人は、パリー移籟の必要性・合理性に関し、(イ)同一労働同一賃
金の要請、労働条件の公正化の要請(ロ)運航上の必要性の二点をあげるが、右
(イ)については、要するにSNPNCが年来強く主張しているからやむをえない
のだということのみであり、特に労働条件統一の要請が何故パリー移籍に結びつか
なければならないかについての諭理が欠落しているし、右(ロ)についても、何故
のコンピユーター管理なのかその理由もまつたく首肯しえない。
 被申請人は本件解雇の正当事由として被申請人の日本における客室乗務員部門の
事業閉鎖を云々するが、このような事業閉鎖の用語はいままでの団体交渉の席上に
も、申請人らに対する通知中にも現われなかつたものである。通常一部の事業閉鎖
という場合には、当該閉鎖部門における物的設備の消滅、経営活動の継続不能等に
より労務の提供及び受領が不能となつた場合をさし、これに伴う解雇については、
閉鎖の動機、帰責事由の有無、他部門への配置吸収の可否、その他の事情を考慮し
て解雇の正当性如何を判断することとなる。ところが本件においては、被申請人が
再雇用を申し入れているように、労務の提供及び受領が可能であることは従前と変
らないのであるから、被申請人主張のいわゆる事業閉鎖は全く観念的操作にすぎ
ず、到底本件解雇の正当事由たりえないものである。
 以上((一)から(四)まで)に述べたところにより、本件解雇は解雇権を乱用
したものとして無効である。
二 被申請人の主張
1 外国人客室乗務員の雇用状況
(一) 申請の理由1及び2記載の申請人らの主張事実は認める。
(二) 航空機により国際間の運輸事業を経営することを目的とする国際航空会社
はいずれも自国以外の外国においては営業所を設けあるいはその外国の人をスチユ
ワーデスに採用して旅客のサービスをはかり業績の向上を期している。被申請人に
は現在約四〇〇〇名の客室乗務員がおり、そのうち外国人スチユーデスは日本人、
ドイツ人及びブラジル人あわせて約一〇〇名がいる。これら外国人スチユワーデス
は、当初はフランス人でフランス国民間航空法に基づき職業的乗務員として公認さ
れたものすなわち正規のスチユワーデスの補助的地位にあつて、言語、風俗、習慣
の異なる国の旅客のサービス業務に従事するものであつたので採用人員も限定され
ていたが、近時外国航空路における旅客の激増及び路線の拡大に伴い外国人スチユ
ワーデスの採用増をきたし、被申請人においても昭和四九年一月以降外国人スチユ
ワーデスとしてアラブ人一〇〇名、中国人一五名及び日本人四五名の採用増員が予
定されている。
(三) これら国際航空会社においては、外国営業所の地上職員は大部分現地採用
制をとつているが、スチユワーデスについては大手の半数以上が会社所属の本国を
ベース(基地)とする雇用契約を締結している。現在被申請人の外国人スチユワー
デスはその所属国における被申請人の支社又は営業所をべースとして採用され、賃
金その他の労働条件はそのベースごとに独自の取極がなされてきた。しかし被申請
人においても路線の拡大、客室乗務員の大幅な増員に対応し、適正円滑な事務運営
のためには外国人スチユワーデスを含めた全客室乗務員の配置、チーム編成等勤務
のスケジユールにつき集中管理が不可欠の事態となつている。
2 外国人客室乗務員のパリー移籍
(一) 沿革
 被申請人の従業員のうち客室乗務員(スチユワーデス、スチユワード及びパーサ
ー)の労働条件については、フランスにおける航空機の客室乗務員の職業別労働組
合であるSNPNCとの間に締結された労働協約に従つているが、同じ被申請人の
従業員でありながら外国人客室乗務員の労働条件については前記のとおりその所属
国ごとに独自に決定されてばらばらなのが現状である。その不合理を早くから指摘
して、SNPNCは外国人客室乗務員が被申請人の正常な乗務員構成に一体化され
たのちにおいてはフランス国籍客室乗務員の享受する労働条件はすべて外国客室乗
務員にも適用すべきことを数年来強く要求してきており、そのためには外国人客室
乗務員の所属基地(ベース)をフランスにおくことによりこれに対して全面的にS
NPNCとの労働協約を適用させるのが唯一の手段であるとして、同一労働同一賃
金の原則を実現するため、そしてSNPNCが総力をあげて賃金その他の労働条件
の改善を要求して争議行為に入つているとき外国人客室乗務員部門が結果的にはス
ト破りをおこなつているような事態をなくすため、外国人客室乗務員のパリー移籍
を実現することとし、あえて争議行為に訴えるのも辞さぬ決意をしばしば表明する
にいたつた。
 同一労働同一賃金の原則は、国籍の如何を問わず、これを実現すべきであるとの
要求が日本人客室乗務員からも、そして労働後進国からも強く打ち出されてきたこ
と、パリー移籍がいよいよ不可避的問題となる事態にいたつて、SNPNCと日本
人労組との間においても協議がもたれてパリー移籍につき原則的諒解があつたもの
と理解されたこと、及び大手の国際航空会社の多くが外国人客室乗務員の採用にあ
たつて会社所属の本国を基地としている情勢であることなどを背景にして、被申請
人は昭和四八年八月二日にSNPNCに対して全外国人客室乗務員のパリー移籍の
実施を約諾し、その協約が昭和四九年一月一日に完全に発効するものとした。すで
にドイツ人及びブラジル人の客室乗務員のパリー移籍は完了したが、日本人人スチ
ユワーデス四二名のうち申請人ら三三名が移籍を応諾しないでいる。
(二) 移籍の必要性
 申請人ら日本人スチユワーデスは被申請人の日本における代表者すなわち日本支
社長が採用した被申請人のいわゆる現地職員又は地方職員に属するが、その業務の
遂行についてはすべてパリー本社運航本部の指揮命令下に入り、直属の上司である
日本支社東京国際空港支店客室乗務員課長が運航本部の決定するスケジユール又は
編成に応じてスチユワーデスの組分けをするだけであり、機上における業務につい
ては日本支社の管理から全く離れてしまつている。このような形態は外国人スチユ
ワーデスの採用が現地支社の地上職員の採用より遅れて始まり、その人員がきわめ
て少数であつた(ちなみに、昭和二五年に日本支社が開設され、昭和二七年に最初
の日本人スチユワーデスが四名採用された。)ことによるものである。
 したがつて、外国人スチユワーデスがフランス人の正規のスチユワーデスの補助
的地位にとどまつている間はそれほど問題はなかつたが、近時各国旅客の激増及び
路線の拡大に伴い外国人スチユワーデスの採用数が漸増して正常な乗務員講成に編
入され、均一の業務に同一の指揮命令下に従事するようになつたのちにおいては、
同一機内に雇用条件の全く異なるスチユワーデスが同じ労働に従事するという好ま
しくない状態が拡大され、その編成がいよいよ困難となることはきわめて明らかで
ある。外国人スチユワーデスの右のような勤務形態統一をはかろうとするのがパリ
ー移籍なのである。すなわち被申請人における全客室乗務員部門をパリーに集中し
統一することは十分合理性がある。これにより同一労働同一賃金の原則の適用、そ
の他勤務に関するすべての法規が均一に適用されることが可能となり、複雑困難な
客室乗務員の勤務について運行計画の立案、運行業務の円滑かつ適正な運用が可能
となり(パリー・オルリー客室乗務員センターには、四〇〇〇名からの客室乗務員
を円滑にかつ協約違反にならぬように勤務につかせるためにそれを運用するに足る
下部組織と時計のように正確なメカニズムを必要とするすべての条件が整備されて
いる。)、さらに唯一団体交渉の主体であるSNPNCの外国人客室乗務員のパリ
ー移籍の要請にも応じられることにより移籍問題に起因する争議行為を未然に防止
しうることなど、全外国人客室乗務員のパリリー移籍の必要性を首肯するに足る。
なお、SNPNCとの労働協約の適用の対象となる客室乗務員はその主な所属基地
がフランス本国又海外県にあること、及びフランス国籍を有するかまたはEEC加
盟国の者もしくはフランスの法規に定められた外国人雇用条件を満たす者とされて
おり、現在の日本人客室乗務員には適用されず、その適用を受けるためにはフラン
スに住居を定めて正規の労働ピザをとり、フランスを所属基地とする外国人客室乗
務員となることが必要である。
(三) 移籍による利点
(1) パリー移籍によつて日本人スチユワーデスの受ける利益は数多くあるが、
その主なものをあげると次のとおりである。
(イ) 申請人ら日本人スチユワーデスが長い間その適用を要求してきたSNPN
Cとの労働協約に基づく労働条件が全面的に適用される。
(ロ) フランス国労働関係法規及びSNPNCとの労働協約に基づき毎月必ず継
続した六日間の休息日に三六時間の休養時間を加え、さらに通常の勤務スケール上
予定されている休息日数を加えて取得することが可能となり、年次有給休暇の大幅
な増加(東京基地の場合は勤務年数に応じて一五日から二二日。これに対しパリー
移籍後は年間四〇日のほか、有給休暇を一一月一日から三月三一日までにとつたと
きは四日につき一日の割増休暇が与えられる。)、並びに東京を寄港地として立寄
ることのできる時間等を考えると、現在の東京滞在日数よりふえる可能性がある。
(ハ) 賃金条件が上回ることは乙第一六号証の一から三に記載したとおりであ
る。なお、フランスにおけるフランスのもつ実際の購買力が日本円のそれを上回る
ものとみるべきであるから実質上の収入はさらに向上すると考えてよいし、SNP
NCとの労働協約により昭和四八年八月一日から一二月一日までの間すでに四回ベ
ースアツプがおこなわれている。
(ニ) フランス国の社会保障及び被申請人独自の年金制度の適用があり、支給期
間は五〇歳から死亡までである。ちなみに勤務年数五年の場合四半期毎に一三五〇
フラン、年間五四〇〇フラン(三四万円)であるが、東京基地の五年勤務の場合の
退職一時金五二万九二四八円に対しいかに有利であるかがわかる。なお支給率は昭
和四九年一月一日以降約八パーセント引き上げられる。
(ホ) 身分上有利な取扱いを受ける。東京基地の場合はあくまで地方職員にすぎ
ないが、パリー移籍によつて終身契約職員となり、さらに資格取得(乙第一九号証
参照)の可能性並びにパーサー以上に昇進する途が開かれるし、地上職員への転職
がフランス又は日本において可能となる。
(ヘ) 東京滞在期間が出張となり、パリー出張の場合の倍額の出張手当が支給さ
れる。
(ト) パリーにおける定期的教育を受ける機会が与えられる。
(チ) 定年は東京基地の場合三五歳、その後は一年毎に更新して四〇歳までであ
るが、パリー移籍後は四〇歳定年で五〇歳まで更新できる。なお、日本における勤
務年数は移籍後はその序列に折り込まれるし、移籍に伴い日本支社との雇用契約が
解消するので自己退職の場合の退職金の支給がある。
(リ) フランス国における労働者の力はきわめて強い。そして同国の労働者に対
する権利保護は決して日本に劣るものではなく、むしろはるかに進歩しているとい
つてよいであろう。
(2) 申請人らはパリー移籍によりこうむる不利益をあげるが、いずれもパリー
移籍の実態にそわないものである。
 (イ) 申請人ら日本人スチユワーデスは現在においてもその大部分の時間をロ
ーテーシヨン地又は機上で過し、東京の地上で過す時間は一箇月のうち僅か七日前
後にすぎないし、パリー移籍後においても日本を中心とする航路に日本人スチユワ
ーデスが起用される勤務の実態には殆んど変化がないといつてよい。申請人らにと
つて大切なことは名目上の居住地すなわちべース(基地)をどこにおくかというこ
とではなく、現実に日本で過せる日数が何日確保されるかにある筈である。被申請
人はパリー移籍後の日本人スチユワーデスの乗務、休暇等について十分配慮するこ
とを提案しているのである。
(ロ) 日本人スチユワーデスの現実の勤務態様はパリー移籍後においても殆んど
変化がなく、日本滞在期間にもさしたる変化はない(ただ観念的には出張扱いとな
る。)とすれば、パリー移籍についての申請人らの不安・不満は心理的なものはす
ぎない。国際航空路線に搭乗するスチユワーデスという職業の特殊性から申請人ら
の主張は理解できない。
(ハ) かねてから申請人ら自らフランス人スチユワーデスと同一労働条件とする
ことを要求してきており、移籍によつて労働条件についてフランス人と同一になる
のであるから、申請人らが移籍反対の理由の一に賃金その他の労働条件の不利益を
あげるのは首尾一貫しないものである。
(3) 被申請人は、その従業員の国籍の如何を問わず、労働者の権利はこれを尊
重すみ態度をとりつづけてきており、日本の実情に対しても理解しようと努力して
きている。国際化が急激に進行している今日、偏狭なナシヨナリズムやセンチメン
タリズムのため、世界にはばたく機会を自ら閉し、同僚や後輩のためにもこれらの
職域を狭め、あるいは失うことのないように着意すべきではなかろうか。
(四) 移籍についての交渉経過
 申請人ら日本人スチユワーデスのパリー移籍問題については、さきにSNPNC
と日本人労組との間において協議がもたれ、原則的には移籍についての諒解がなさ
れたものとみられるが、被申請人と日本人労組との間においては昭和四八年六月一
四日及び一五日に交渉をもち、かなり突込んだ話合が長時間なされ、移籍の諸条件
についてさらに協議することを確認し、同年六月二一日付労働協約中に「賃金に関
する本協約条項は一九七三年四月一日から発効するが、日本人ホステスのパリー配
属に関する最終決定までの暫定的なものであり、同決定は日本人労組との交渉の後
なされるものである。一九七四年三月三一日までに決定をみない場合はこれらのす
べての条項は同日効力を失うものとする。」との記載がなされた。右記載の協約条
項は明らかに移籍の実現を前提として移籍をおこなうべき時期、移籍の諸条件、特
に移籍後の雇用条件を交渉の対象とすべきことが看取される。ついで同年八月二八
日から三〇日までの三日間、さらに同年九月一二日から一四日までの三日間の各協
議においても、被申請人は本社の責任者を日本に派遣し、移籍の諸条件について詳
細に会社側の提案をおこない協議を求めたが、同労組は移籍の条件について話し合
うことに反対するとの態度を固執し、移籍問題自体を白紙撤回せよと迫り、全く協
議不可能な態度をつくりあげてしまつた。そして同年一〇月二五日には同日に予定
された協議について同労組は協議の意思を放棄したとみられ、一時間半も遅れてよ
うやく出席したが、従前同様協議はまつたく進展しえない状態となつた。このよう
な日本人労組の態度は明らかに前記労働協約条項に違反するものというべく、か
つ、あまりにも戦術的であり不誠実な態度といわなければならない。
3 解雇の正当性
(一) 被申請人の申請人らに対する昭和四八年一〇月三一日付文書による申入れ
は、被申請人の外国支社における外国人客室乗務員の事業部門を閉鎖して、全客室
乗務員部門をパリーに統合することとした本社決定にもとづいて、日本支社におけ
る申請人ら日本人スチユワーデスとの雇用契約解消の申入れすなわち解雇の予告の
意思表示とパリーを採用地とする再雇用契約の締結すなわちパリー移籍の申込を同
時にしたものである。したがつて、本件解雇の必要性・合理性はすでにパリー移籍
の必要性・合理性について述べたとおりである。
(二) 被申請人の外国支社における従前からの外国人客室乗務員は従来どおりそ
の支社を雇用地とする契約関係を存続させながら、昭和四九年一月一日以降新規に
採用することとした日本人四五名、中国人一五名及びアラブ人一〇〇名の外国人客
室乗務員についてはパリー本社を雇用地とする契約(この場合においてSNPNC
に加入すると否とにかかわらず、同労組との労働協約が全的に適用される。)を締
結してまつたく異なつた条件で同一労働に従事させることは、その関係をますます
混乱に導くことにしかならない。すなわち
(1) SNPNCとの労働協約は、東京ベースのままの日本人スチユワーデスに
適用することが技術的にきわめて困難ないし不可能である。同協約付属書に賃金協
定があるが、同付属書三条の想定乗務時間の算定、同四条の超過勤務時間の計算な
ど、どれ一つをとつてみても理解しがたいほどの困難を伴うのである。
(2) 乗務時間についてのきわめて厳格な規制は、多くの乗務員を同じ管理下に
おかなければ到底実行することができない。従来東京べースの日本人スチユワーデ
スの勤務時間の規制は比較してかなりゆるやかなものであつたので、少数の乗務員
であつても相互に乗務の都合をつけることによつて病気その他予期しない事故によ
る休暇や欠勤にも対応しえたが、厳格な乗務時間の規制は小人数では到底実行でき
ない。しからば東京における客室乗務員の人員をふやせば可能ではないかといわれ
るわけであるが、経済性を無視して剰員を雇用し、スタンドバイの人員を搭乗員と
同数にするようなことを企業に強いることは無理な注文といわなければならない。
全体としての飛行時間が増加しないのに人員をふやすなら一人当りの給与はそれに
応じて低下せざるをえない。かといつて人員を増加しないで乗務時間の厳格な規制
を実施するならば、航空磯の正確な運行時間の厳守すら困難となる場合が予想され
る。
(三) 被申請人は、その業務遂行上不可欠の懸案事である全客室乗務員のパリー
統合を実現するため、日本における客室乗務員の業務部門の活動を停止し、閉鎖す
ることとし、同部門における申請人ら日本人スチユワーデスの勤務条件について不
利益にならないよう可能な条件を折り込み、十分な配慮の下にきわめて有利な再雇
用の条件を提示し、申請人らの日本人労組とも誠意をもつて協議をかさね、かつ、
協議を続ける用意をもつて対処して、会社都合による退職をとるか、再雇用を希望
するか、いずれかの選択を求めたのである。同労組は被申請人の提示した諸条件を
そのまま組合員である申請人らに伝えてその選択に委ねるべきであるところ、協議
拒否の戦術をとつて協議の続行を不可能にした。これはきわめて遺憾というのほか
はない。
 そこで被申請人は申請人らが右の再雇用を選択しない以上、法律の定める手続に
従い一定の予告期間の設定と会社都合による退職金の支払とをもつて、申請人らと
の雇用契約を終了させるほかになすすべはない。現在日本人スチユワーデスの大幅
増員(昭和四九年一月一日以降四五名増員採用決定)を実現しようとして、いずれ
もパリーを雇用地とする新規採用をしているが、さらにパリー移籍に応じない申請
人らと同数の日本人スチユワーデスの新規募集をせざるをえない。
 本件解雇は正当というべきである。
4 以上のとおりであるから、本件解雇の予告の意思表示にはなんらの瑕疵も存し
ないし、その有効なることはいうまでもない。したがつて、右意思表示の効力の停
止を求めるいわれはないから、本件仮処分申請は理由がないものとして却下すべき
である。
三 証拠(省略)
       理   由
一 雇用の成立
 被申請人が航空運輸事業を目的としフランス国法に準拠して成立した外国会社で
あること、申請人らが雇用地を東京、配属先を被申請人の日本支社とするスチユワ
ーデスとして被申請人の日本における代表者である同支社長においてその期間を定
めないで雇用した日本人であること、被申請人と申請人ら間における雇用契約の成
立の日が別表の記載のとおりであること、外国会社である被申請人と日本人である
申請人ら間の右雇用契約の成立及び効力に関し準拠法として日本国法を適用するも
のとしていることは、いずれも当事者間に争いがない。
二 解雇の予告
 被申請人が昭和四八年一〇月三一日頃申請人らに対してそれぞれ同日付文書を交
付してその雇用契約を同年十二月三一日をもつて終了させる旨の解雇の予告の意思
表示をしたことは当事者間に争いがない。
三 解雇の経緯
 成立に争いのない甲三号証、乙第一号証から、第三号証まで、第二二号証の一か
ら三まで、第二七号証、証人dの証言により真正に成立したと認める甲第六号証、
第七号証、申請人eの本人尋問の結果により真正に成立したと認める甲第八号証、
第九号証、証人d及びfの証言により真正に成立したと認める甲第一四号証、証人
dの証言並びに本件弁論の全趣旨を総合すると、次のとおり認めることができる。
1 SNPNCすなわちフランスにおける客室乗務員(スチユワーデス、スチユワ
ート及びパーサー)の職業別労働組合で被申請人の唯一の交渉団体であるフランス
全国客室乗務員労働組合は一五年も前から被申請人の外国支社における現地雇用職
員たる外国籍客室乗務員をすべてパリー本社雇用に改める(すなわちパリー移籍)
の要求をもつていた。それは、SNPNCが被申請人との労働協約の適用を外国籍
客室乗務員に及ぼしてこれをSNPNCの影響下におくには、どうしてもパリー移
籍が必要だつたからである。昭和四八年にいたつて外国人客室乗務員は日本人のほ
かドイツ人、ブラジル人あわせて約一〇〇名を数え、うち四二名が日本人スチユワ
ーデスであるが、宿願の全外国人客室乗務員のパリー移籍を実現するには、日本人
労組(すなわち被申請人の日本支社における日本人従業員をもつて組織する企業別
労働組合工ール・フランス日本人従業員労働組合)の昭和四八年春闘の収拾の折が
逸すべからざる好機であり、かつ、これ以上遷延させるわけにいかない問題解決の
最後の機会であるとして、SNPNCは被申請人及び日本人労組とそれぞれ接触を
始め俄然精力的に動き始めた。被申請人も潮時と見て、SNPNCの解決法に原則
的賛意を表明した。(原則的合意の成立日時は明確でないが、遅くとも同年五月中
旬までである。)この同意は抜き差しならぬ決定的なものであつた。しかし日本労
組はそれとは対照的に気乗薄で日時の経過につれてかえつて否定的、警戒的な対応
ぶりに傾き、熱心に説得を試みるSNPNCの書記長bを失望させた。それという
のも、SNPNCの標榜するフランス人客室乗務員と外国人客室乗務員間にはいか
なる差別待遇もあつてはならない、前者の享受するすべての条件は後者にも適用さ
れるべきであるというのはわかるが、そのためにパリー移籍だけがどうして唯一の
手段たりうるのか。また国籍の如何を問わない均等待遇の要求も、むしろ従来、被
申請人の外国支社で採用された外国籍客室乗務員であることを口実にしてことさら
に劣悪な労働条件で雇用してきた被申請人の労務政策がSNPNCに対して必然的
に負因に作用しその組合員の経済的地位の向上を相対的に制肘する営みをはたして
きていることへの不満からの発想ではないのか。さらにパリー移籍の要求貫徹のた
めにストライキも辞さぬといつて憚らないSNPNCの不退転の決意も、実はフラ
ンス人客室乗務員が労働条件の擁護のためにストライキを敢行しているときに片方
で外国人客室乗務員が勤務に服し結果的にスト破りの役目を果しているという年来
の矛盾をもはやこれ以上容認してはならないとする戦略的意欲のあらわれではない
のか。懐疑的なこれらの視点から、一見国境を超越した労働者の結束のような装い
の下にSNPNCの労組ニゴイズムがちらつくようにみえたからである。b書記長
の意欲的説得は、五月一七日付書簡形式で日本人スチユワーデスあて直接に呼び掛
けたことといい、また五月三一日にパリー事務所で申請人g、hに対し四時間半に
及ぶ長広舌を奮つたことといい、パリー移籍への誘いまことに花花しいものであつ
たが、ついに彼女らを同意させるにはいたらなかつた。
 被申請人は昭和二五年に日本に支社を開設し、昭和二七年にはじめて日本人四名
をスチユワーデスに採用した。日本人労組は昭和三〇年に結成され現在組合員数約
三〇〇名、うち四一名のスチユワーデスが日本人労組客室乗務員支部を組織して独
自の地歩と組合活動の領域を占め組合員の経済的地位の向上に大きく寄与してい
る。日本人スチユワーデスの賃金、休暇その他の労働条件の改善要求がとみに昂ま
り、フランス人スチユワーデスの労働条件を上回るようなものもあり、フランス本
国の労働条件の域に全般的に到達するに数年を要しないという意欲と目標をもつて
活溌に組合活動がおこなわれているので、日本支社の業務草創期から二〇年を経過
したいまでは、SNPNCの指摘する客室乗務員の差別処遇は政策的にも維持しが
たくなつてきたし、事実この小グループ(日本人労組客室乗務員支部)が機会ある
ごとにしかも根気よく提起してくる待遇改善の種種の要求に対応してゆくのはかた
りの負担になつてきた。そこでこれ以上外国人客室乗務員のパリー移籍を遷延させ
てはストを仕掛けかねないほど追撃急なるSNPNCの積年の要求に応えることに
もなり、同時に全外国人客室乗務員をパリーに移籍させることにより、従来の地域
別労働組合との団体交渉の必要もなくなつて客室乗務員との労働関係については唯
一交渉団体であるSNPNCと交渉すれば足り、したがつて、右小グループのユニ
ークな組合活動をSNPNCの傘下において発展的に解消させる契機ともなろうと
いう一石二鳥を狙い、被申請人は日本人スチユワーデスのパリー移籍を実施する潮
時と睨んだ。
2 昭和四八年六月一四日及び一五日に日本人労組の同年の春闘要求に関する団体
交渉がかねての約束にしたがつて日本支社で開かれた。これには被申請人側から本
社人事課長aが交渉権限を有する者として出席したが、春闘要求に対する回答に先
立つて、予定されないパリー移籍問題をだしぬけに提案してきた。手続上の唐突さ
はともかく、労使相対する場で被申請人側からこの問題に触れてきた最初である。
皮切りにa人事課長は、SNPNCのb書記長がオブザーバーとして出席している
ことについて「SNPNCは一五年前から全外国籍客室乗務員をフランス籍に移す
ように要求してきた。そこで全外国籍客室乗務員をフランス本国契約としてフラン
ス人と同一の労働条件を与えることについてSNPNCとの間に原則的合意が成立
した。この問題の要求をしたSNPNCのb書記長が出席した機会に必要とあれば
アドバイスがえられるであろう。」といつて、移籍の具体的条件に関する交渉を提
案した。これに対し日本人労組委員長dは「被申請人がフランスにおいてSNPN
Cとの間にどのような協約を結ぼうとそれは被申請人の自由である。しかしその内
容がわれわれの労働条件にかかわつてくるものであれば、その部分はわれわれにと
つては無効である。被申請人は自らの決定にしたがつてわれわれに申入をおこなう
べきである。それに対してわれわれは組織内で検討し、組合員の利益になるかどう
かを基準にして、その申入れを受け入れるか否かを決定する。われわれの運命を決
定するのはわれわれ自身なのである。」と答えて、日本人スチユワーデスのパリー
移籍間題に深入りすることを避けた。またb書記長とはすでに前日接触したが、物
別れの状態で終つたこともあつて、被申請人やSNPNCの思惑どおりにはいか
ず、b書記長の助言が出る幕もなく、せつかくの機会が無為に終つた。右両日の交
渉により春闘は妥結したが交渉事項でまだ合意に達しなかつたものを継続討議する
ために再度の団体交渉が同年七月末日に予定された。結局移籍問題については、S
NPNCとの原則的合意なるものはまだ協約化されていないこと、及び被申請人は
日本人労組に対してまだ正式に移籍問題を提案するまでにいたつていないが、その
可能性はあることの二点が明らかにされたうえ、移籍問題に関する資料の説明のた
めに次回に本社における専門家を東京に送ることを約束した。
3 同年六月二一日に日本人スチユワーデスの賃金その他の労働条件に関して同年
四月一日に遡つて適用される新しい労働協約がさきの春闘妥結にもとづいて締結さ
れたが、その協約書面末尾に「賃金に関する本協約条項は一九七三年四月一日から
発効するが、日本人スチユワーデスのパリー配属に関する最終決定までの暫定的な
ものであり、同決定は日本人労組上と交渉の後になされるものである。一九七四年
三月三一日までに決定をみない場合はこれらの条項はすべて同日効力を失うものと
する。」との条項が付加された。
4 同年八月二日にパリーにおいて被申請人とSNPNC間に外国籍客室乗務員の
採用と乗務に関する協約議定書が調印されたが、その中において「外国籍客室乗務
員は本拠をパリーに定める。会社は外国籍客室乗務員各自あて速かに書簡をもつて
パリー移籍の一般条件及び補償に関し通知する。地域代表組合が存する場合にはそ
の組合との交渉を経た後に右の条件及び補償について決定する。協約は一九七四年
一月一日に完全に発効する。」ものとした協約条項が規定された。日本人労組がこ
の協約のことを知らされたのは同年八月二八日にいたつて本社客室乗務員担当人事
課員cとの会談においてであつた。なお右協約中の地域代表組合との交渉条項にも
とづいて、被申請人は右議定書調印と同時にSNPNCに対して「日本人スチユワ
ーデスをパリーに移籍させる決定の事前に東京において日本人労組との協約にもと
づく交渉を開いてその交渉が終了した時点においてはじめて日本人スチュワーデス
に対して八月二日付協約議定書を適用するか否かの決定を下すことになる。」旨を
通知した。
5 再度の団体交渉が予定より一か月遅れて同年八月二八日に開かれた。移籍問題
に関する資料説明の専門家として本社からc人事課員がやつてきた。同人は自己の
出席について「この場に出席しているのは本社決定を組合に正式に通知するためで
ある。」とことわつたうえ「本社は同年八月二日のSNPNCとの協約にもとづい
て全外国人客室乗務員を一九七四年一月一日をもつてパリーに移籍させることを決
定した。これは本社決定だから取り消すことはできない。わたくしはこの決定の枠
内で移籍の具体的手続、フランスおける労働条件について今明日の二日間日本人労
組と話し合いたい。」といつた。そして右の本社決定は九月一五日に日本支社長か
ら申請人ら日本人スチユワーデスに手紙で通知されること、右通知の内容は「同年
一二月三一日をもつて日本における雇用契約が終了し、同時にフランスにおける新
しい雇用契約を申し入れる。この申入を受諾した者には自己退職の、拒否する者に
は会社都合の各退職金を支払う。右通知に対する返答は一〇月一五日までとし、同
日までに返答のないものは拒否とみたす。」というものであることを明らかにし
た。これに対しd委員長は六月二一日付労働協約の「日本人スチユワーデスのパリ
ー配属に関する最終決定は日本人労組との交渉の後になされるものである。」とい
う協議条項を引いて、会社が一方的に移籍を決定したことは納得できないから具体
的な話合いには応じられないとして、会談はかなり難航もようになり、c人事課員
からときには「六月当時と八月二日の本社方針の決定以後のいまとでは根本的な変
化があるから日本支社長が調印した協約中の協議条項には拘束されない。」とか、
「木社としては全外国人客室乗務員を解雇することも可能であつたが、あえてフラ
ンスにおける再雇用という方針をとつた。」とかいう発言まで飛び出したりした。
やや険しい雰囲気のなかではあつたが、ある程度の資料説明がおこなわれた。d委
員長はc人事課員に対して各本人あての九月一五日付日本支社長通知の発送をやめ
ること、及び被申請人側の交渉権限を有する者との交渉を早急に開始することを強
く要求し、同人は右要求を本社に伝えることを約束した。
6 日本人労組の団体交渉の開始の要求によつて同年九月一二日に被申請人側から
交渉権限のあるa人事課長がやつてきてパリー移籍問題について日本人労組との正
式交渉をしようということになつた。まずd委員長は、いまは「九月二一日に臨時
の組合大会を開いてパリー移籍問題につき組合の態度を最終的に決定する。」とい
う段階にあることを明らかにして交渉に臨んだ。a人事課長は、日木人スチユワー
デスパリーの移籍の提案理由として、各国籍にわたる外国人客室乗務員の諸規則の
調整と運航上の必要という二点をあげて説明をした。諸規則の調整とは結局外国人
客室乗務員についてもフランス人同様にフランス国法下の労働関係諸法規、とりわ
けSNPNCとの労働協約が適用される必要があるということで理解に困難はなか
つた。しかし、運航上の必要性の点ではどうしてパリー移籍と結びつくのか合点が
いかなかつたので、日本人側の真摯な追究が続いたが、説得力を欠く抽象的かつ平
板な説明の域を出なかつた。八月末のc人事課員との会談のときとば打つて変つた
穏やかな装いのなかで、a人事課長は「SNPNCの要求は二義的理由」といつた
り、六月二一日付労働協約中の協議条項については「日本人組合の同意がなければ
パリー移籍を強行しないという精神であることは認める。」といつたりしながら、
強行もありうるかという質問には「答えられない」といつて突つ撥ねた。そして同
人は右協約中にいうような最終決定は日本人労組の組合大会による決定のあと被申
請人が日本人労組の意向に対して、受容、拒否、協議のいずれかを選択しなければ
ならないものであること、日本人スチユワーデスの各本人あての日本支社長による
被申請人の通知は右の最終決定があるまでは発送しないことを明確にした。三日間
にわたる協議は一応意をつくしたものとなつたが、基本的な意向の対立による双方
の隔たりはついに歩み寄ることがなく、パリー移籍の必要性について日本人労組側
のえた理解の程度は、熱心に質疑応答が交わされたのにもかかわらず、心証稀薄に
して「全外国人客室乗務員をパリーベースにした方がなにかと会社にとつて便利
だ。」というほどのものでしかなかつた。
7 同年九月二一日に臨時に組合大会を開いて日本人スチユワーデスのパリー移籍
問題を討議した結果、出席した客室乗務員全員を含め満場一致でパリー移籍につい
て被申請人の提案を受諾しない方針を決定し、同月二五日に日本支社長あてに右決
定を通告した。
8 パリー移籍問題に関する団体交渉の最後は一〇月二五日であつた。被申請人側
はこの問題で三たび来日したa人事課長であつた。この日の同人の役目は、すでに
本社において一〇月三日にSNPNCに対し「一九七三年八月二日に定めた一般原
則にもとづいて(被申請人とSNPNC間で締結された外国籍客室乗務員の採用と
乗務に関する協約議定書による)、日本人客室乗務員をパリーに移籍させることに
決定した。」旨を通知したことについて、これを日本人労組に通知すること、そし
て右の移籍決定の適用面につき日本人労組との細目的な詰めを取り極めることであ
つたが、適用方法の話合いに入ることはできなかつた。そこでa人事課長は日本人
労組側に対し本社予定として「日程上週末にも各本人あて移籍の条件等の説明書を
添えた書簡を送る。これに併行して新しい乗務員を雇用して昭和四九年に必要な人
員を確保する。」旨を伝えた。d委員長は、これに対して再考慮を要求したが、容
れられなかつたので、ついに「われわれは第三者の力を借りてでも理解させるよう
に行動する。」といつて、被申請人の最終的通告に対する法的救済手続をとるべき
旨をきわめて婉曲に示唆した。幕切れは、a人事課長が「再雇用か退職か二者択一
の選択しかないだろう。」と切口上をいえば、d委員長が「新しいポストを用意し
て、それがいやならやめろというのは命令だ。」と切り返すような応酬で終つた。
9 このようにして被申請人は同年一〇月三一日頃申請人ら日本人スチユワーデス
に対してそれぞれ書簡形式の同日付文書をもつて「ここに全外国人客室乗務員をパ
リー配属にするという本社決定を正式に知らせる。したがつて日本における日本人
スチユワーデスとの雇用契約を解消し、同時にパリーにおける新しい雇用契約を提
案する。移籍の諾否は一一月二〇日までに返答されたい。移籍を拒否された場合、
及び期日までに回答がない場合には右期日の日から解雇予告期間に入つたものとみ
なされ一九七三年一二月一三日をもつて解雇となる。」旨を申し入れた。
以上のように認めることができ、この認定をうごかすに足りる証拠はみあたらな
い。右認定の事実によれば、さらに次のようにいうことができる。
 被申請人における全外国籍客室乗務員のパリー移籍という一斉配置転換は、SN
PNCが被申請人に課した年来の宿題であつたが、いよいよその実現を銘銘の思惑
と意図による同床異夢の労使提携によつて指向するにいたつた。a人事課長は日木
人労組との交渉席上でバリー移籍の必要性に関連して「SNPNCの要求は二次的
理由」であるといつているが、この発言は、日本人労組との団体交渉の場において
SNPNCの役割をことさらに過小評価しようとした意図によるものであり、ま
た、a人事課長がSNPNCの書記長bを同席させた際、日本人労組のd委員長が
同人事課長に対して「パリー移籍の提案は被申請人が自らの決定によつて日本人労
組にたされるべきものである。」と指摘したのも、移籍問題の仕掛人的存在である
b書記長の動きに対する懸念から出たものであろう。しかし、日本人労組の憂慮を
よそに、事態はSNPNCの筋書通りに進展して、SNPNCが被申請人から原則
的合意を取り付けたこと(遅くとも五月頃)から、八月二日付協約議定書の調印を
経て、最後には被申請人が申請人ら日本人スチユワーデスに対して「再雇用か退職
かの二者択一」を迫つて一〇月三一日付書簡による解雇予告となつたとみることが
できる。
四 解雇の効力
1 申請人がパリー移籍には応じまいとしてその諾否の返答の期日である昭和四八
年一一月二〇日を徒過した(このことは当事者間に争いがない。)ことより、本件
解雇の予告の意志表示は、申請人らに対して右期日から解雇の予告の期間に入り、
まえに認定したとおり、同年一二月三一日をもつて解雇の効力生ずべきものとして
なされたというべきである。
 本件パリー移籍は、日本人スチユワーデスの雇用及び配属地を東京からパリーに
変更するために、従前の雇用契約を終了させると同時に新しい雇用契約を成立させ
るという手紙がとられたが、再雇用の成立するかぎりにおいて実質上の転勤すなわ
ち配置転換にはほかならない。ところが、申請人らが東京を雇用地とし、被申請人
の日本支社を配属先とするスチユワーデスとして期間を定めないで被申請人に雇用
されたものであることは当事者間に争いがないから、その雇用契約上勤務地は東京
と特定されているのである。したがつて、被申請人は申請人らに対してその雇用地
又は配属地を東京以外の場所に変更する転勤その他の配置転換を命ずることができ
ないし、申請人ら自己の意思にもとづくのでなければ東京以外の場所にその雇用地
及び配属地を変更されることがないというべきである。申請人らはその雇用契約上
右のような地位を有するものであるが、さらに、成立に争いのない甲第二号証の
一、二、乙第一六号証の一から三まで、第二八号証並びに本件弁論の全趣旨をあわ
せると、日本人スチュワーデスの採用条件は、年令二〇歳以上二七歳未満の日本人
女で独身者であること、フランス語又は英語のいずれか一か国語を完全に話すこと
ができ、かつ、他の一か国語につき実用に供しうる程度の知識を有すること、被申
請人が行なう選考試験並びに指定医による健康診断に合格することであり、試用期
問六か月、一おう三五歳をもつて定年とするが、四〇歳まで一年毎に更新すること
ができるものとし、解雇事由につき就業規則は、服務上の義務違背にもとづく制裁
たる解雇(これはさらに予告を伴うものとそうでないものの二段階がある。)を規
定するだけであり、年収は在職一年(平均二四歳)で四万八一四二フラン、同六年
で五万四九六二フラン、同九年で六万四九〇フラン(標準レート一フラン=六二円
三一銭換算三七六万九一三九円)であることが認められるから、申請人らの雇用契
約上の地位は比較的に高く、かつ、安定したものということができる。しかも、日
本人女にとつて、英仏二か国語につき一か国語を完全に話すことができ、他の一か
国語につき実用に供しうる程度の知識を有することを案されることは、その習得の
努力及び困難において英米仏人と同日の談ではなく、入社競争率においても、被申
請人をはじめノース・ウエスト、BOACなどの一流外国航空会社のスチユワーデ
スヘの関門を通ることが、ときには三〇倍を越える狭き門となつていることは当裁
判所に顕著な事実であるから、申請人らが被申請人会社のスチユワーデスとしてそ
の雇用関係上有する右地位及び利益は、もとより被申請人が与えたものではある
が、同時に自己の刻苦勉励に負うものであり、かつ、既得のものというべきであ
る。したがつて、被申請人は、申請人ら日本人スチユワーデスがパリー移籍に応じ
ない場合においても、みだりに右既得の地位及び利益を一方的に奪うことを許され
ないものといわなければならない。
 被申請人は「申請人らが再雇用を選択しない以上、申請人らとの雇用契約を終了
させるほかない。」といつて解雇の自由を志向するもののような主張をする。すで
に認定したところであるが、本件パリー移籍問題に関する交渉及び会談の場で日本
人労組側に向つて、a人事課長が「再雇用か退職か二者択一の選択しかない。」と
うそぶき、c人事課員が「本社としては全外国人客室乗務員を解雇することも可能
であつたが、あえてフランスにおける再雇用という方針をとつたのだ。」と言い放
つ。また「法律に従い」解雇の予告と補償(退職金)を支払う以上解雇は有効であ
るという越旨のものが木件訴訟資料で被申請人の提出に係るもののなかに散見され
る。これらは、いずれもその基調を一にして、解雇の自由の原則に立つものであ
り、法の適正な手紙に従うかぎり解雇を正当とするものである。ここで解雇の自由
についてかれこれ論ずるつもりはない。ただ本件においては、被申請人と申請人ら
間の本件雇用契約の成立及び効力に関しては日本国法を準拠法とすることにつき当
事者間に争いがないが、被申請人がフランス国法に準拠して成立した外国会社であ
るので、以下にふれる程度にとどめる。日本国法のもとにおいても、解雇の自由は
存する。しかし、権利の乱用は許されないから、解雇の自由の範囲は広くない。使
用者の解雇権の行使は、労働者の雇用関係上の地位と利益の保護のために、客観的
に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるもの
とするのである。すなわち、講学上にいう解雇権乱用の法理が認められているが、
この法理はわが国において判例上定着したものということができる。
2 申請人ら三三名の者がパリー移籍に応じなかつたことにもとづいて一斉に本件
解雇がなされたが、パリー移籍を応諾すべき雇用契約上の義務が申請人らに存しな
いことがすでに明らかであるから、本件解雇の性格は、解雇の経緯に関する前記認
定事情に照らして、その果断強行性において会社倒産、事業場閉鎖等に伴ういわゆ
る整理解雇に似た面を呈するものというべきである。しかし、弁論の全趣旨によれ
ば、被申請人の場合においては、事業の伸長がめざましく、外国人客室乗務員は現
在の約一〇〇名のほか昭和四九年一月一日以降さらに一六〇名(内訳日本人四五、
ドイツ人一五、アラブ人一〇〇)を増員することを決定しているほどであることが
認められるから、本件解雇はただ果敢さ、強行さの故をもつて整理解雇的属性を有
するものといわなければならない。
 ところで、被申請人は、本件解雇の理由として、パリー移籍の必要性及び合理性
にもとづいて外国人客室乗務員に適用すべき諸規則(労働契約が主たるものであ
る。)の調整及び運航上の必要をあげるけれども、被申請人と外国支社における地
域労働組合間において客室乗務員のパリー統合後に適用すべき労働協約の各規定と
同一内容のものを協定することができるわけであり、また、成立に争いのない乙第
六号証によると、在日主要外国航空会社で被申請人同様いわゆる東京ペース制(東
京を基地にして東京で雇用した日本人スチユワーデスを配属させる。)を採用して
いるものに、ノース・ウエスト、BOAC、アリタリヤ及びスカンジナビヤ航空の
各社があることが認められ、また被申請人自身昭和二七年いらい東京ベースを一貫
して維持しているのであるから、反対の事情のないかぎり、被申請人をはじめこれ
ら主要外国航空会社はいずれも東京ペース制によつて業務の正常な運営をはたして
いるとみるのほかはないし、パリーに移籍したからといつても、スチユワーデスの
勤務の特殊性から、ただ名目的に配属根拠地(基地又はベースともいう。)がパリ
ーに変るだけのことであり、勤務の態様及び生活の実態等にさしたる変化をきたす
ものでないことが本件弁論の全趣旨によつて認められる。したがつて、被申請人の
主張する解雇の理由はにわかに首肯しがたいものというべきである。
 また、被申請人は、本件解雇は被申請人の外国支社における外国客室乗務員部門
の事業閉鎖に基因するとも主張する。しかし、被申請人の企業組織中の一部の事業
閉鎖といつても、被申請人も自認するとおり、被申請人航空運輸企業を全体的にみ
てその人的機構、物的設備及び業務量に縮減をきたすものではなく、たんにパリー
移籍のことを意味するにすぎないから、被申請人のいうところは類語反覆に陥入る
ものというべきである。
3 以上の理由によれば、被申請人が申請人らに対してそれぞれ昭和四八年一〇月
三一日付文書を交付して申請人らとの各雇用契約についてしたその「雇用契約を同
年一二月三一日をもつて終了させる」旨の解雇の予告の意思表示は、パリー移籍の
動機的事情並びに解雇の理由に照らして、到低客観的に合理的な理由が存するもの
とはいえないから、解雇権を乱用したものとして無効と解するのが相当である。し
たがつて、被申請人と申請人ら間の各雇用契約は右の解雇の予告により同年一二月
三一日をもつて終了することはありえないというべきである。
五 保全の必要
 申請人らとの各雇用契約がいずれも本件解雇予告により昭和四八年一二月一三日
をもつて終了するものとして、被申請人が申請人らに対して昭和四九年一月一日以
降における雇用契約上の地位を認めないことは当事者間に争いがなく、被申請人は
フランス国営の航空会社であり、申請人らはいずれも同会社に雇用されたスチユワ
ーデスである。このような事情のもとにおいては、特段の事情のないかぎり、申請
人らは著しい損害をこうむる虞れがあるから、本案判決が確定するまで、申請人ら
が右の雇用契約上の地位にあることを仮に定める必要があるといわなければならな
い。
 よつて、申請人らの本件仮処分申請は、被保全権利及び保全の必要性について疎
明があるものというべきであるから、申請人らに保証を立てさせないで、これを認
容し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛