弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人に対し,7375円及びこれに対する平成28年2月2
6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,控訴人(原告)が被控訴人(被告)との間で,ワンセグ機能付き携
帯電話について放送受信契約(受信契約)を締結し(本件契約),受信料を
支払ったところ,控訴人は,本来,受信契約の締結義務がないにもかかわら
ず本件契約を締結したのであり,放送法64条1項は強行法規であり,本
件契約は同条に違反するから民法90条により無効である,又は,錯誤に
より本件契約は無効であると主張して,被控訴人に対し,不当利得返還請求
権に基づき,支払った受信料の残金7375円の支払を求めるとともに,被
控訴人は悪意の受益者であると主張して,民法704条に基づき,上記受信
料残金に対する受信料を支払った日である平成28年2月26日から支払済
みまで民法所定の年5分の割合による利息の支払を求めた事案である。
原審が控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が控訴を提起した。
2前提事実並びに争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり改めるほ
かは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の2から4まで
に記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決2頁15行目の「105を別宅」から同16行目末尾までを「1
05に所在する居宅を別宅(以下「本件別宅」という。)として使用し,
ワンセグ機能付き携帯電話(以下「本件携帯電話」という。)を携帯して
いた者である。」と改める。
原判決2頁19行目の「上記別宅」及び同21行目の「上記住所地」を
それぞれ「本件別宅」と改め,同20行目の「ワンセグ機能付き携帯電
話」及び同22行目の「上記携帯電話」をそれぞれ「本件携帯電話」と改
める。
原判決2頁23行目の「なお」から同25行目の「していた。」までを
削る。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとお
り改め,2に控訴理由に鑑み判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理
由」欄の「第3当裁判所の判断」の1から8までに記載のとおりであるか
ら,これを引用する。
原判決13頁2行目の「放送法は,」から同17行目末尾までを次のとお
り改める。
「放送は,憲法21条が規定する表現の自由の保障の下で,国民の知る権利
を実質的に充足し,健全な民主主義の発達に寄与するものとして,国民に広
く普及されるべきものである。放送法が,「放送が国民に最大限に普及され
て,その効用をもたらすことを保障すること」,「放送の不偏不党,真実及
び自律を保障することによって,放送による表現の自由を確保すること」及
び「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,放送が健全な民主
主義の発達に資するようにすること」という原則に従って,放送を公共の福
祉に適合するように規律し,その健全な発達を図ることを目的として(1
条)制定されたのは,上記のような放送の意義を反映したものにほかならな
い。
上記の目的を実現するため,放送法は,旧法下において社団法人日本放送
協会のみが行っていた放送事業について,公共放送事業者と民間放送事業者
とが,各々その長所を発揮するとともに,互いに他を啓もうし,各々その欠
点を補い,放送により国民が十分福祉を享受することができるように図るべ
く,二本立て体制を採ることとしたものである。そして,同法は,二本立て
体制の一方を担う公共放送事業者として被控訴人を設立することとし,その
目的,業務,運営体制等を定め,被控訴人を,民主的かつ多元的な基盤に基
づきつつ自律的に運営される事業体として性格付け,これに公共の福祉のた
めの放送を行わせることとしたものである。
放送法が,被控訴人につき,営利を目的として業務を行うこと及び他人の
営業に関する広告の放送をすることを禁止し(20条4項,83条1項),
事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うことと
しているのは,被控訴人が公共的性格を有することをその財源の面から特徴
付けるものである。すなわち,上記の財源についての仕組みは,特定の個
人,団体又は国家機関等から財政面での支配や影響が被控訴人に及ぶことの
ないようにし,現実に被控訴人の放送を受信するか否かを問わず,受信設備
を設置することにより被控訴人の放送を受信することのできる環境にある者
に広く公平に負担を求めることによって,被控訴人が上記の者ら全体により
支えられる事業体であるべきことを示すものにほかならない。」
原判決13頁24行目の「所持」を「携帯」と改める。
2控訴人の当審における主張について
控訴人は,電話で確認したところ,ワンセグ機能付き携帯電話の携帯によ
り被控訴人と受信契約を締結した国の組織や地方公共団体は存在しないか
ら,控訴人に対し受信料を請求するのは不当である旨主張する。
しかし,上記主張は放送法64条1項の「設置」に「携帯」が含まれるか
否かの判断を左右しないから主張自体失当である。
控訴人は,①アンテナがないと満足のいく視聴のできないテレビ放送につ
いての放送法64条1項の「設置」を,ほぼ日本全国どこでも,また高速
移動中もクリアに放送を受信できるラジオ放送を前提とした他の法律の
「設置」と同様に扱うのは不当である,②国会でワンセグ機能付き携帯電
話を受信契約の対象とするのか否かが質問されていた放送法の平成21年
改正及び平成22年改正時に放送法64条1項の「設置」の文言が改正さ
れなかったのは同項に「携帯」を含めない趣旨である旨主張する。
しかし,引用に係る原判決第3の6のとおり,放送法制定の経緯,放送法
64条1項の受信契約締結義務に関する国会での答弁等,放送法における
受信料制度の趣旨,さらに,他の法令における「設置」の文言の解釈例も
斟酌すると,放送法制定当時から,旧32条1項及び現行の放送法64条
1項の「設置」の文言は,受信設備を物理的に「設けおくこと」に限られ
ず,広く受信設備を「被控訴人の放送を聴取可能な状態におくこと」「使
用可能な状態におくこと」を意味していると解するのが相当である。ワン
セグ機能付き携帯電話とラジオ放送とによって「設置」の文言を使い分け
るべきであるとの控訴人の主張は独自の主張であって採用できない。
また,原判決第3の7のとおり,平成21年改正により放送法2条2号の
2の6に「設置」と「携帯」の文言を区別して使用した定義規定が新たに設
けられたものの,旧32条1項及び現行の放送法64条1項の「設置」の意
味は同法制定当時から現在まで変更されていないと解するのが相当であるか
ら,控訴人の上記主張は採用することができない。
控訴人は,ワンセグ機能付き携帯電話は,ラジオ受信機と比較して電波の
受信能力が低いから,据え置き型のテレビと同じ金額の受信料を支払わな
ければならないのは不当である旨主張する。
しかし,受信設備の受信能力に受信料が対応しているか否かは,放送法6
4条1項の「設置」に「携帯」が含まれるか否かの判断を左右しないから
主張自体失当である。
控訴人は,受信料は税金のような性格を持つとして,課税要件明確主義の
観点から「設置」の文言を広く解釈すべきではない旨主張する。
しかし,被控訴人は,公共放送事業者,すなわち放送法16条に基づき設
置された公共的な事業体(特殊法人)であり,受信設備設置者は,同法6
4条1項により一律に受信契約の締結義務が課され,受信契約に基づいて
受信料支払義務を負うのであるが,同項の受信設備の設置による受信契約
の締結の強制は,民法及び民事訴訟法の各規定により実現されるものとし
て規定されたと解するのが相当であり,被控訴人において租税と同様の強
制徴収が認められているわけではないから,受信料が,国,地方公共団体
が賦課徴収する租税に類似する性質を有するとはいえず,受信料に課税要
件明確主義の趣旨が及ぶということはできない。
したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
控訴人は,テレビの受信を目的として本件携帯電話を購入したわけではな
く,実際に本件携帯電話でテレビを視聴したことがないから,放送法64
条1項ただし書に照らし,受信契約の締結義務がない旨主張する。
しかし,放送法64条1項ただし書の「放送の受信を目的としない受信設
備」とは,電波監視用の受信設備,電気店の店頭に陳列された受信設備,
公的機関の研究開発用の受信設備,受信評価を行うなどの電波管理用の受
信設備等,放送される番組の視聴を目的としないことが客観的に明らかな
状況において設置された受信設備をいうものであるところ,専ら設置者の
意思により放送の受信をしないというだけでは,同項ただし書の「放送の
受信を目的としない受信設備」に該当しないことは明らかである。
したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
控訴人は,自宅内で知人のワンセグ機能付き携帯電話を使用して被控訴人
の放送を受信できるか試したところ,放送を受信できなかった旨主張す
る。
しかし,上記主張事実につき証拠はない上,本件携帯電話の受信状況とは
関連しないから,控訴人の主張は採用することができない。
3そうすると,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理
由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第2民事部
裁判長裁判官白石史子
裁判官浅井憲
裁判官鈴木義和

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