弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
       事   実
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
 特許庁が平成10年審判第2917号事件について平成10年12月7日にした
審判請求書の却下決定を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
2 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第2 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
 原告は、平成6年7月12日に商標登録出願(平成6年商標登録願第69681
号)をしたが、平成10年1月23日に拒絶査定を受けたので、同年2月23日に
拒絶査定不服の審判を請求した。特許庁は、これを平成10年審判第2917号事
件として審理し、同年5月22日に原告に対して手続補正指令書(同書面発送の日
から30日以内に請求の理由を記載した書面を添付した手続補正書及び引紙55,
000円を貼付した手数料補正書を提出すること)を原告に発送した。これに対し
て、原告は、指定期間内に手続補正書(審判請求理由書)を提出したものの、手数
料補正書は提出しなかったところ、同年12月7日に「本件審判の請求書を却下す
る。」との決定(以下「本件却下決定」という。)を受け、同月24日にその謄本
の送達を受けた。
2 本件却下決定を取り消すべき事由
(1) 原告は、平成11年1月8日、被告に対して指定金額の印紙を貼付した手
数料補正書を提出したから、本件却下決定は取り消されるべきである。
 すなわち、商標法56条において準用される特許法133条3項は、審判手続に
ついて補正を命ぜられた者が指定期間内に補正をしなかったときは、審判長は決定
をもってその手続を却下することができる旨定めているところ、同条2項3号には
手続について納付すべき手数料を納付しないときも同様である旨が規定されてい
る。そして、同法178条1項には審判の請求書の却下の決定に対する訴えが規定
されているが、同条項には手数料不納付を理由とする請求書却下決定を除外するこ
とは規定されていない。したがって、たとえ請求書却下決定がされるまでに手数料
を納付しなくとも、同決定の取消訴訟の弁論終結時までに手数料を納付すれば審判
請求は適法であると解さなければ、手数料不納付を理由とする請求書却下決定に対
する取消訴訟の提起を認めている上記178条1項の規定が空文化するものという
べきである。
(2) 被告挙示の判決の見解は変更されるべきである。
第3 請求の原因に対する認否と主張
1 請求の原因1は認める。2のうち、原告が平成11年1月8日に被告に対して
指定金額の印紙を貼付した手数料補正書を提出したことは認め、その余は争う。
2 被告の主張
 本件却下決定の認定判断は、正当であって、これを取り消すべき理由はない。
 すなわち、手続について納付すべき手数科を納付しないとして補正を命ぜられた
者は、遅くとも請求書却下決定がされるまでに手数料を納付しなければならないの
であって、請求書却下決定がされた後は、たとえ同決定の確定前に手数料を納付し
ても、有効な補正があったといえない(最高裁昭和50年7月4日第二小法廷判
決・判例時報782号33頁参照)。したがって、原告の主張は失当である。
       理   由
第1 請求の原因1(特許庁における手続の経緯)、2(本件却下決定を取り消す
べき事由)のうち、原告が平成11年1月8日に被告に対して指定金額の印紙を貼
付した手数料補正書を提出したことは、当事者問に争いがない。
第2 原告は、平成11年1月8日に指定金額の印紙を貼付した手続補正書を提出
したから、本件却下決定は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、手続について納付すべき手数料を納付しないとして補正を命ぜら
れた者は、遅くとも請求書却下決定がされるまでにこれを補正すべきであって、請
求書却下決定がされた後は、たとえ同決定の確定前に手数料を納付しても、有効な
補正があったということはできないものと解するのが相当である(被告挙示の最高
裁第二小法廷判決参照)。したがって、本件却下決定の結論は正当である。
 この点について、原告は、たとえ請求書却下決定がされるまでに手数料を納付し
なくとも、同決定の取消訴訟の弁論終結までに手数料を納付すれば審判請求は適法
であると解さなければ、手数料不納付を理由とする請求書却下決定に対する取消訴
訟の提起を認めている特許法178条1項の規定が空文化する旨主張する。しかし
ながら、例えば適法にされた手数料納付を看過してされた請求書却下決定に対して
は、取消訴訟の提起が認められるのであるから、特許法178条1項の規定が空文
化するとはいえず、原告の上記主張は失当である。
 なお、原告は、上記判決の見解は変更されるべきであると主張するが、当裁判所
も上記判決の見解に立つものであって、この見解は変更されるべきものとは解され
ない。
第3 よって、本件却下決定の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求
は、失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件
訴訟法7条、民事訴訟法61条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結日 平成11年3月4日)
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 清永利亮
裁判官 山田知司
裁判官 宍戸充

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