弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人三輪一雄の上告趣意第一点について。
 所論は、まず、原判決が、「原麦受払帳の記載は不正確であり信憑性の薄いもの
であるから、これに基いて第一審判決が認定した本件期末原料在庫高は、誤りであ
る」との弁護人の主張を排斥して第一審判決を支持した点を論難し、刑訴三一七条、
三一八条に違反して誤つた事実を認定したものであり、延いては憲法三一条に違反
するといい、次に、「若し右期末原料在庫高を正当とすれば、当該年度における生
産量と原料の消費量とが計算上非常にくいちがうことにならざるを得ないのであつ
て、この点よりするも第一審判決認定の期末原料在庫高は誤りであると解せざるを
得ない。」との弁護人の主張に対し、「生産量と消費量とにそのようなくいちがい
の存することは記録上否定し得ないけれども、記録にあらわれた被告会社の事業内
容その他の状況から見て、それら多額の原料の消費に見合う記帳外の原料の受入れ
がなかつたとはたやすく断定し得ない。」として右期末原料在庫高に関する第一審
判決の認定を支持した原判決には理由齟齬ないし理由不備の違法があるというので
ある。
 所論は、憲法違反をいう点もあるが、その実質は、単なる訴訟法違反および事実
誤認の主張の域を出でず、適法な上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論は判例違反をいうけれども、原判決は、「およそ課税標準たる所得は、当該
事業年度の総益金から総損金を控除した金額により計算す」べき旨を判示している
のであつて、引用の判例と何ら異る判断をしていないことが明らかであるから、論
旨は、採ることができない。
 然しながら、上告趣意第一点後段の所論に鑑み、職権をもつて調査するに、所得
を算出するには、売上高(益金)より売上原価(損金)を控除すべく、売上原価は、
期首棚卸高に当期仕入高を加えたものから期末棚卸高を減ずることによつて之を得
べきものであるところ、原判決が、記帳外の原料仕入高の存在をもつて第一審判決
の原料期末在庫高についての認定の正当性の一の根拠としていることは、その判文
上明らかである。
 そして、右記帳外の原料仕入高については、一、二審ともに、本件犯則所得の算
出にあたり、これを考慮に入れた形跡は、記録上一切存しない。
 してみれば、原判決は、「記帳外の受入れ」すなわち「当期仕入高」が存し、こ
れが当期中に製品化され販売されたことを認めたことに帰するわけであるから、特
段の事情のない限り当然、右仕入高を確定して損金として計上するのでなければ犯
則所得を把握し得ない道理であるにもかかわらず、事茲に出でなかつたのであつて、
原判決は期末在庫高の認定の当否にのみ眼を奪われて、犯則所得の数額を争う論旨
の本意を正解しなかつたものというべく、上告趣意第一点所論後段摘示の原判断に
は理由齟齬ないしは理由不備の違法があること所論のとおりであつて、この違法は
判決に影響を及ぼすものというべく、原判決を破棄しなければ著しく正義に反する
ものと認められる。
 よつて刑訴四一一条一号、四一三条に従い、裁判官全員一致の意見により主文の
とおり判決する。
 検察官 米田之雄公判出席
  昭和三九年一一月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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