弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一、原告の請求を棄却する。
二、訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
一 請求の趣旨
1 被告が原告に対し、昭和四九年一一月二七日付で行なつた同年八月二七日付法
人市民税過誤納金等充当通知による処分の取消処分はこれを取消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求の原因
1 原告は、パチンコ遊戯場を営む株式会社であるが、法人税について訴外広島東
税務署長に対し、昭和三六年八月一日から昭和三七年七月三一日までの事業年度
(以下昭和三六年度という。)の所得を五三七万九、六八二円とし、昭和三七年八
月一日から昭和三八年七月三一日までの事業年度(以下昭和三七年度という。)の
所得を八〇七万七、五五〇円とし、昭和三八年八月一日から昭和三九年七月三一日
までの事業年度の所得を四三四万九、〇二四円として、それぞれ法定の期間内に申
告を行なつた。
2 ところが、右訴外人は昭和四二年六月二六日付で原告に対し、昭和三六年度の
所得を一、五一一万二、六八九円とし、昭和三七年度の所得を一、八〇九万四、八
四一円とし、昭和三八年度の所得を一、七五五万九、八八五円とする各増額更正処
分を行なつた。
3 原告は、法人税につき前項記載の各増額更正処分が行なわれたことに伴い、右
各事業年度の法人市民税について被告の行政指導により、昭和四二年七月二二日、
昭和五〇年法律第一八号による改正前の地方税法(以下単に地方税法という場合は
右改正前の地方税法をいう。)三二一条の八第三項に基づく申告を行なつたうえ、
法人市民税の本税及び延滞金として別表記載のとおり各納付年月日欄記載の日に同
納付済額欄記載の各徴収金を被告に納付した。
4 しかるのち、訴外広島東税務署長は法人税について、昭和四九年七月二六日付
をもつて前記2記載の各増額更正処分の取消処分を行なつた。
5 そこで、原告は法人市民税につき被告に対し昭和四九年七月更正の請求を行な
つたところ、被告は右請求に基づき昭和四九年八月一五日付で減額の更正処分を行
なつたので、前記3記載の原告が被告に納付した徴収金は、地方税法一七条所定の
過納金となつた。
6 そして、被告は原告に対し、昭和四九年八月二七日付で本件過納金及びこれに
対する還付加算金につき過誤納金等充当通知(以下第一次充当通知という。
)をなした、右充当通知においては、還付加算金の計算期間の始期は本件過納金を
納付した日の翌日とされており、還付加算金はその計算上全額で三五万七、二〇〇
円(その内訳額は別表還付加算金(第一次充当通知)欄記載のとおり)であつた。
しかるに被告は同年一一月二七日付で第一次充当通知を取消す処分(以下本件取消
処分という。)を行ない、同日付で新たに原告に対し過誤納金等充当通知(以下第
二次充当通知という。)を行なつたが、そこでは還付加算金の計算期間の始期を、
前記5記載の減額更正処分のあつた日の翌日から起算して一月を経過する日の翌日
としており、合計で三万二、六〇〇円(その内訳額は別表還付加算金(第二次充当
通知)欄記載のとおり)であつた。
そこで原告は第二次充当通知に対し、昭和五〇年一月一七日付で被告に対し異議申
立をなしたところ、被告は同年三月八日付で右異議申立を棄却した。
7 しかしながら、以下に述べるとおり、本件過納金に対する還付加算金の計算期
間の始期はその納付の日の翌日とすべきであり、被告が第一次充当通知においては
納付の日の翌日から還付加算金を付しながら、その後右充当通知を取消し新たに更
正のあつた日の翌日から起算して一月を経過する日を還付加算金の計算期間の始期
とする第二次充当通知をなしたのは正当でなく、本件取消処分は右還付加算金に関
する法令の解釈を誤つたものとして取消さるべぎである。
(一) 被告の本件取消処分は地方税法一七条の四第一項四号、同法施行令六条の
一五第一項一号に拠つたものである。しかし、本件過納金は、原告の申告によつて
確定した税額に係るものとはいえ、右申告は法人税につき増額の更正処分がなされ
たことに伴い地方税法三二一条の八第三項に基づき義務的に行なわれたものであ
り、いわば、本件過納金は違法な右増額更正処分により必然的に強いられて生じた
ものといえる。そして、かかる場合については、地方税法には直接明白な規定はな
いものともみられ実質的にみて民法の一般規定に従つた理解が相当で、還付加算金
の計算期間の始期を納付の日の翌日と解するのが正当である。
(二) また、反に本件につき地方税法一七条の四第一項四号が適用されるとして
も、同規定に基づく同法施行令六条の一五第一項一号はかつこ書によつて更正の請
求に基づく更正によつて税額が減少した場合を除外しておるので、同条第一項二号
が適用さるべきである。
二 被告の答弁及び主張
1 請求原因1の事実中原告がパチンコ遊戯業を営む株式会社であることは認める
がその余の事実は知らない。同2の事実中、更正処分がなされたことは認めるがそ
の余の事実は知らない。同3の事実中被告が原告に対し行政指導を行なつたことを
否認しその余の事実を認める。同4の事実は認める。同5の事実中被告の更正処分
が原告の更正の請求に基づくものであることを否認しその余の事実を認める。右は
職権による更正処分である。同6の事実中、第一次充当通知の還付加算金の金額は
否認し、その余を認め同7は争う。
2 過誤納金を還付又は充当する場合の還付加算金の計算について、昭和四四年法
律第一六号による改正前の地方税法は過誤納金の生じた理由の如何を問わず一律に
その納付又は納入の日の翌日を計算期間の始期としていたが、右改正後の地方税法
では過誤納金の生じた原因によつて還付加算金の計算期間の始期が異なることとな
つた。そして右改正法附則三条によれば右改正後の地方税法の規定は施行日(昭和
四四年四月九日)以後に還付のため支出を決定し又は充当する過誤納金に加算すべ
き金額について適用し、当該加算すべき金額の全部または一部で同日前の期間に対
応するものの計算についてはなお従前の例によることとされている。本件過納金
は、原告の申告によつて税額が確定した徴収金にして被告の職権による減額更正に
よつて過納金となつたものであるから、右改正法附則三条、地方税法一七条の四第
一項四号及び同法施行令六条の一五第一項一号の規定に従つて還付加算金を計算す
べきものであり、これに従つてなした本件取消処分に何ら違法はない。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 当事者間に争いのない事実
1 原告はパチンコ遊戯業を営む株式会社であるが、昭和四二年六月二六日訴外広
島東税務署長から昭和三六年度、昭和三七年度、昭和三八年度の各事業年度分の法
人税についてそれぞれ増額の更正処分を受けた。そして原告は、法人税について右
増額の更正処分がなされたことに伴い、昭和四二年七月二二日被告に対し右各事業
年度の法人市民税につき地方税法三二一条の八第三項に基づく申告を行なつたう
え、別表の各納付年月日欄記載の日に同納付済額欄記載の各徴収金を法人市民税の
本税及び延帯金として被告に納付した。
しかして昭和四九年七月二六日訴外広島東税務署長は法人税についての右各増額の
更正処分を取消した。そして右取消処分に基づき被告は前記各事業年度の法人市民
税につき昭和四九年八月一五日付で減額の更正処分を行ない、そのため原告の納付
した前記徴収金はいずれも過納金となつた。
2 被告は本件過納金について、昭和四九年八月二七日過誤納金等充当通知(第一
次充当通知)を行なつたが、それによる還付加算金の計算期間の始期は各徴収金の
納付の日の翌日となつていた、(なお成立に争いのない甲第一号証の一ないし一一
によれば右充当通知における還付加算金は合計で三五万四、九〇〇円であつたこと
が認められる)。ところが被告は同年一一月二七日に至つて右第一次充当通知を取
消す処分をなし、改めて同日付で本件過納金の還付加算金の計算期間の始期を、前
記減額更正があつた翌日から起算して一月を経過する日の翌日として新たな過誤納
金等充当通知(第二次充当通知)を行なつた。それによると還付加算金は合計三万
二、六〇〇円となつた。
3 原告は、第二次充当通知に対し、昭和五〇年一月一七日付で被告に対し異議申
立を行なつたところ、被告は同年三月八日付をもつて右異議申立を棄却する決定を
なした。
以上の事実は当事者間に争いがない。
二 原告は、本件過納金の還付加算金の計算期間の始期は、その納付の日の翌日と
すべきであり、これにそう第一次充当通知は正当であつて、これを取消した本件処
分は違法として取消さるべきであると主張するので以下検討する。
まず、右判断に先だち、第一次充当通知の右、取消処分の抗告訴訟の対象としての
行政処分性について以下判断しておく。地方税法一七条は、地方団体の長は過誤納
に係る地方団体の徴収金があるときは遅滞なく還付すべきものとして、同還付にあ
たつては、同法一七条の二ないし四に従い、地方団体の長は過誤納金および還付加
算金の額を算出してその支出を決定し、池の徴収金で充当すべきものがあればまず
充当し、残余を現に還付すべきものとし、過誤納金充当(還付)通知書によりその
旨納税者に通知して右還付手続を履行すベきものとしている。これら一連の手続に
照らしてみると、右過誤納金等充当(還付)通知によりなされる地方団体の長の処
置は、過誤納金および還付加算金についての行政機関としての事実および法律上の
一応の判断を前提にその具体的な還付額、還付加算金額、充当額等を算出確定して
支出、充当、還付を決定する性質のものとみられ、単なる右支出のための行政事務
的な手続とはみられないところであつて、もとよりこれに対しては地方税法および
行政不服審査法に基づく不服申立も認められていること(地方税法一九条九号同法
施行規則一条の七第四号)、などからすると、右過誤納金等充当(還付)通知によ
りなされる地方団体の長の還付金、還付加算金、同充当に関する処置は、行政処分
として抗告訴訟の対象となりうるものと解するのが相当である。
なお、地方税法一七条の四第二項二号は過誤納金の返還請求権の存在を前提として
いるようであるが、過誤納金の返還請求権自体は過誤納となつたときに成立してい
るものとみられ、右地方団体の長の処置によつて始めて成立するものではなく、従
つてまた、右処置は権利関係の発生を生ぜしめる行政処分とはいえないとしてもこ
のことにより直ちにその後の具体的な確定した金額による還付請求に関する右処置
の行政処分性を否定するものとも解されない。そうだとすると、右過誤納金等充当
(還付)通知による右処分を取消す地方団体の長の措置もまた一個の行政処分と解
することに問題はないものといえる。なお、出訴期間の点につき(地方税法一九条
の一一・一二、行政事件訴訟法一四条一項)、成立に争いのない甲第六号証による
と、本件異議申立および同棄却決定は第一次充当通知の同取消処分についてもなさ
れているものと解することができる。
そこで、次に、前記原告の主張について検討する。
被告は、本件過納金の還付加算金の計算につき、本件は、昭和四二年六月二六日原
告の法人税額について増額の更正処分がなされたことに伴い、原告は同年七月二二
日地方税法三二一条の八第三項に基づき法人市民税(法人税割額)の修正の申告を
なし、その後同納付をなしたものであるから、同法一七条の四第一項四号同法施行
令六条の一五第一項一号に該当し、申告により納付した税額につき後に減額更正が
なされて過納金が生じた場合にあたるとして、右減額更正のあつた昭和四九年八月
一五日の翌日から一月を経過する日の翌日である同年九月一六日から起算すべきも
のとし、したがつて、当初の第一次充当通知に係る地方税法一七条の四第一項一号
に従つた納付の日の翌日からとする還付加算金の計算は誤りであるとしてこれを取
消すに至つている。
なるほど、本件還付加算金の計算につきその起算日を右被告主張のごとく解するこ
とは、たしかに以下述べるような不合理性を否めない。つまり、
1 元来、過誤納金の還付加算金の起算日については、従前、昭和四四年法律第一
六号による改正前の地方税法においては過誤納金の生じた理由の如何を問わず一律
に納付または納入の日の翌日とされていたものであるが、右改正後においては、右
過誤納金の生じた理由によつて還付加算金の起算日を異ならしめることとした。す
なわち、その改正規定(地方税法一七条の四第一項一ないし四号同法施行令六条の
一五第一項一、二号)によると、更正、決定、賦課決定等地方団体側の処分によつ
てその額が確定し納付、納入すべきとなつた地方団体の徴収金について過納金を生
じた場合は、納付、納入した日の翌日から還付加算金を起算すべきものとし、他
方、納税者の申告、修正申告等納税者側の自主的な行為によつてその額が確定し納
付、納入すべきこととなつた地方団体の徴収金につき後の減額更正等で過納金を生
じた場合は、その更正のあつた日の翌日から起算して一月を経過する日の翌日等か
ら還付加算金を起算すべきものとしている。つまり、右改正の骨子は、過誤納金の
生じた原由が地方団体側の措置に由来するのか、納税者側の自主的な行為に由来す
るのかにより、いわばその責任の区分に応じ、本来過誤納金、同還付加算金が実質
的には民法上の不当利得返還請求の関係にあるともみられるところからこれに類比
する形で改正されるに至つたものと解せられ、この点に右改正の主眼もあつたもの
とみられる。
右改正の内容を通らんとすると、次のとおりである。すなわち、まず、還付加算金
の生ずる過誤納金につき、過納金(申告、更正、決定等一応納付すべき何らかの根
拠-確定措置があつて納付したものにつきそれが後に誤りであつたという場合)
と、誤納金(右何らの根拠もないのに錯誤等全くの誤りで納付したような場合)と
を区分し、これらにつき、(1)、地方税法一七条の四第一項一号は、更正、決
定、賦課決定等地方団体側の処分によつて、その額が確定し納付するに至つた地方
団体の徴収金につき、それが後に減額更正等により過納金となつたような場合、還
付加算金の起算日は右納付のあつた日の翌日とするものであり、(2)、右同項二
号および同項四号同法施行令六条の一五第一項一号は、申告書、修正申告書等の提
出、つまり納税者側の行為によつてその額が確定し納付するに至つた地方団体の徴
収金につき、それが後に減額更正されて過納金となつたような場合、還付加算金の
起算日は右減額更正が納税者の更正の請求に基づく場合は更正の請求があつた日の
翌日から起算して三月を経過する日と当該更正があつた日の翌日から起算して一月
を経過する日とのいずれか早い日の翌日とし(右同項二号)、右更正の請求に基づ
かない場合は更正があつた日の翌日から起算して一月を経過する日の翌日とするも
のであり(右同項四号、同法施行令六条の一五第一項一号)(3)ただ、個人住民
税(所得割額)については、賦課徴収制をとつてはいるが、個人住民税のうち所得
割額は、国の所得税の確定手続と必須的に連動する関係をとつていることから、賦
課決定により納付するに至つたものについてもこれが所得税の申告納付に係るもの
であれば、後に所得税の減額更正により個人住民税も減額されて過納金となつたよ
うな場合は、実質、申告書の提出により納付した地方団体の徴収金につき生じた過
納金とみられるところから、この場合は、特に右同項三号で、還付加算金の起算日
は、右所得税の減額更正の通知のなされた日の翌日から起算して一月を経過する日
の翌日とし、(4)最後に、右以外の過納金、誤納金については、すべて同法施行
令六条の一五第一項二号で、納付、納入のあつた日の翌日から起算して一月を経過
する日の翌日と、各規定するに至つているものとみられる。
2 そして、このような改正の経過、内容に照らし、本件関連条文を検討してみる
に、被告は、本件過納金となつた法人市民税は、原告が地方税法三二一条の八第三
項による申告に基づき納付したものであつて、被告の更正、決定等によるものでは
ないから、同法一七条の四第一項一号には該当しないという。しかしまず、同法三
二一条の八第三項の申告の実質的な意味についてはさらに考えてみる必要がある。
同申告は、法人市民税については個人の場合と異なり申告納付制をとつていること
によるものではあるが、法人市民税のうち法人税割額は法人税法所定の法人税額を
課税標準とするものであつて、法人税の申告書の提出と同期限内にその申告税額を
課税標準とする法人市民税の申告書をも市町村長に提出すべきものとしており(地
方税法三二一条の八第一項)そしてまた、国の税務官署により右法人税額が増額更
正されたような場合には、当然これに応じ右法人市民税(法人税割額)も連動的に
増額変更されることとなるが、この場合も、納税者は市町村長に対し右法人税額の
更正に応じた法人市民税の修正の申告書を提出すべきものとされているのであつ
て、いわば、右法人市民税に関する申告は、それ自体は国の法人税額の確定手続に
依拠する自主性のない義務的なものともいえる。本件の場合、国の法人税が増額更
正されたことに伴い、原告は、これに応じ右更正された法人税額を課税標準として
法人市民税のうち法人税割額を計算し直し、被告に同修正の申告をなして納付に至
つているというのであるから、右申告は形式的なものにすぎず、実質は、右国の法
人税額の更正に起因して右納付に至つたものであつて、国と市とを一体的にみてこ
れについて生じた過納金は、むしろ、地方税法一七条の四第一項一号所定の「更
正、決定等により納付した地方団体の徴収金に係る過納金」と解するのが相当なよ
うにもみえる。
この点は、かりに被告主張のごとくとし、地方税法三二一条の八第三項の申告によ
り納付した場合の過納金は同法一七条の四第一項四号による同法施行令六条の一五
第一項一号所定の「申告書の提出により納付すべき額が確定した地方税に係る過納
金」に該ると解するとしたら、法律に従つて申告納付した者が同申告を怠つて職権
で法人市民税の増額更正(同法三二一条の一一)を受け納付するに至つた者に比
し、却つて還付加算金の算定につき不利益を甘受すべきようなことともなり(右申
告を怠つたことにより延滞金等を支払うこととなるが、これも結局還付の対象とな
る)課税上不公平の観を免れないともいえる。
3 これらのことはさらに、所得税と個人市民税との関係に関する還付加算金の規
定(地方税法一七条の四第一項三号)と対比してみるとなお明らかとなる。この規
定は、所得税が減額更正されたことに伴い個人市民税も減額されることとなつた場
合の過納金に関するものであるが、右所得税の減額更正は「申告書又は修正申告書
の提出によつて納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る」もの
であることを右同号括孤書で特に文言上明らかにしていて、つまり、所得税の増額
更正を受けたことに伴い個人市民税につき増額の賦課決定を受けて納付したものに
ついては、それが後にさらに所得税の減額更正を受けたことに伴い個人市民税も減
少することとなつたような場合の過納金については、右一号に該当し、右納付の日
の翌日から還付加算金を起算すべきものとしている。このことは前記法人市民税に
つき述べたところと同旨の趣意を右個人市民税の規定で明らかにしているものとい
える。
かように、右改正の経過に照らし、還付加算金に関する関連条文を検討してみる
と、たしかに、実質的にみると被告主張のごとき解釈には多くの不合、理性を否め
ない。しかしながら、他面、前記地方税法の昭和四四年法律第一六号による改正の
立法上の趣旨についてみるに、これが地方税法三二一条の八第三項の申告により納
付した法人市民税に係る過納金の還付加算金の計算についても、これが申告納付に
係るものとして同法一七条の四第一項四号同法施行令六条の一五第一項一号に該当
し、同法一七条の四第一項一号に含まれないものであるとした趣旨であることは、
右各関連規定の文言上の理解のほか、地方税法が個人市民税については賦課徴収制
をとつているのに対し法人市民税については申告納付制をとつていること、地方税
法一七条の四第一項三号が、個人市民税につき賦課徴収制をとつているためとはい
え、実質的に法人市民税と同じような関係にあるとみられる個人市民税についての
み特に規定を設けていること、昭和五〇年法律第一八号による改正で地方税法一七
条の四第一項一号に、同法三二一条の八第三項により申告納付に係るものも含まし
めることを明定したが、その改正法律附則三条では「改正後の地方税法一七条の四
第一項の規定は昭和五〇年四月一日(施行日)以後に還付のための支出を決定し、
又は充当する過納金に加算すべき金額について適用し、施行日前に還付のため支出
を決定し、又は充当した過納金に加算すべき金額についてはなお従前の例によ
る。」として、右改正前の規定による取扱いは右改正後の規定によるそれと異なる
ことを前提としたとみられるような経過規定を定めていること、などに照らし明ら
かなものといえる。もつとも、立法の条文上現れた意図に反してでもなお合理的解
釈を試みなければならないような場合のあることは、その不合理性の度合に応じて
は全くないともいえないであろう。しかし本件の場合、法人市民税の確定、納付手
続に個人の場合と異なり申告納付制をとつていることは、全く納税上の形式にすぎ
ないともいえず、法人と個人の納税主体(計算、納付)としての一般的性格の相違
に着目したものとみられるし、また地方税法三二一条の八第三項の申告にしても、
実質は法人税額の更正に由来するものとはいえ、真実所得額を争うべき場合であれ
ば、その自主的な判断により右更正処分に異議申立をなして右修正申告もしないで
おく可能性も全くないわけでもないのであるから、法人と個人を区別し、また、同
申告による納付を、他の一般自主申告により納付した場合と同一視して扱うとした
ことにも全く理由がないわけでもない。
そしてまた、元来、過誤納金の還付および同還付加算金請求の関係は、すでに前叙
のとおり実質は不当利得返還請求の関係にあるとみられるところ、還付加算金の計
算利率年七・三パーセントは、延滞税の利率に見合うものではあろうが、右利率の
うち民法上の悪意の受益者の返還義務の場合の利率年五パーセントを超える範囲は
延滞税との均衡をはかるなどのための立法上の措置にすぎないともみられ、還付加
算金の請求が認められないとしても民法上の不当利得一般の法理に従つた個別の不
当利得返還請求の途は鎖されないと考えられることからすると、ある期間、特に右
還付加算金の請求が否定される立法がなされたとしても、その立法の現われた意図
に反してまでこれが解釈によつて是正しなければならない程のこととも考えられな
い。
このようなことからすると、結局、本件については、還付加算金の計算につき被告
が地方税法一七条の四第一項四号同法施行令六条の一五第一項一号に従い計算すべ
きものとし、同法一七条の四第一項一号に従い納付の日の翌日からとして計算した
第一次充当通知による処分の取消の処分をなしたことは法令の解釈上やむをえない
ところであつて、この解釈適用に誤りがあるともいえないこととなる。
三 なお原告は、本件還付金の基になつた法人市民税の減額更正処分は地方税法三
二一条の八の二による更正の請求に基づぎなされたものである旨主張しているが、
たしかに成立に争いのない甲第五号証の一ないし三、証人Aの証言により真正に成
立したものと認められる甲第四号証の一ないし一二によると、右減額更正処分は、
右更正の請求に基づきなされたものと認められなくもない(取消は減額更正の一種
と解せられる)。しかし、この点はかりに右更正の請求に基づくものとしても、そ
の場合には同法一七条の四第一項二号が適用され、本件還付加算金の計算上は結論
になんら差異は生ぜしめない。
四 そうだとすると、右説示したところから結局、還付加算金に関する第一次充当
通知による処分を取消した本件処分には、原告主張のごとき違法はないといわざる
をえず、したがつて、右取消を求める原告の本訴請求は理由がないから失当として
これを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文の
とおり判決する。
(裁判官 渡辺伸平 平湯真人 田中澄夫)
別紙(省略)

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