弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件控訴を棄却する。
理由
第1控訴理由等
1弁護人の控訴理由
原判決1の事実にかかる被告人の発言(以下「本件発言」という。)にある
「朝鮮学校」とは,朝鮮学校一般を指し,被告人の認識としてもそうであった
のに,その「朝鮮学校」というのはA学校を指し,被告人もその認識であった
と認定し,それを前提に本件発言につき真実性の証明及び真実であると信じた
ことについて相当な理由はないとした原判決には,判決に影響を及ぼすことが
明らかな事実の誤認,ひいては,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用
の誤りがある。
2検察官の答弁
本件発言にある「朝鮮学校」がA学校を指すことは明白であって,被告人も
そのことを認識・認容していた。したがって,原判決に事実の誤認(ひいては
法令適用の誤り)はなく,弁護人の控訴理由はいずれも理由がない。
第2当裁判所の判断
1原判決が,本件発言中の「朝鮮学校」とはA学校を指し,被告人もそのこと
を認識していたと認定し,それを前提に本件発言につき真実性の証明及び真実
であると信じたことについて相当な理由がないとして被告人を有罪としたのは
正当であり,その理由について「弁護人の主張に対する判断」の項で述べると
ころも相当であって,原判決に事実の誤認や法令適用の誤りはない。
2⑴弁護人は,本件当日の本件現場において被告人が言及した「朝鮮学校」に
は,原審甲3号証の表示時刻「8分02秒」及び「10分07秒」の発言の
ように明らかに朝鮮学校一般を指して言ったものがあることから,本件発言
中のA学校のことを指す「朝鮮学校」は,朝鮮学校の具体的な例示にすぎな
いことは通常の国語力のある一般人であれば容易に理解できるはずであると
主張する。
しかしながら,弁護人の指摘する発言は,いずれも本件発言とは異なる文
脈におけるものであって,同じ「朝鮮学校」という言葉であっても意味が異
なることは前後の文脈から明らかである。このような発言から本件発言の意
味内容を判断することはできない。
⑵弁護人は,原判決が,本件発言はA学校のことを指して言ったものである
と認定したのは,一方で,本件発言の意図について,朝鮮学校一般及び朝鮮
総聯そのものを糾弾することと認定していることと合っておらず不自然であ
るし,本件発言の目的について,主として日本人拉致事件に関する事実関係
を一般に明らかにするというもので,公益を図る目的があったと認定してい
ることとも矛盾していると主張する。
しかしながら,被告人は全ての朝鮮学校は朝鮮総聯に支配された一体的な
ものとみなしていると認められるところ,そのような被告人の認識を前提と
すれば,前記のような意図であっても,A学校のことを指して本件発言をす
ることも不自然ではないし,A学校を運営する法人の名誉が害されることを
認識しながら本件発言をしたとしても,被告人の主観においては前記目的と
矛盾しないといえる。
また,被告人は,本件当日は,当初予定していた場所に代えて,かつてA
学校が存在していた場所に近い本件現場で演説を行うことにし,その際,本
件発言などに加えて「この京都の朝鮮学校ね。これが出ていく原因になった
んは我々でございます。」などと自己の活動の結果を誇示する発言もしてい
る。加えて,本件現場は,人通りが少ないのどかな公園であり,突如として
マイクと拡声器による演説をするのは近隣住民の理解を得にくい場所であっ
た。以上の事実によれば,本件発言には,かつて本件現場近くにあったA学
校の関係者が日本人拉致事件を起こしたと言うことによって,被告人が行っ
てきた活動を正当化し,近隣住民に演説を聴いてもらおうとする意図もあっ
たことがうかがわれる。そうであれば,A学校のことを指して本件発言をし
たとしても,何ら不自然ではない。
⑶弁護人は,本件発言のような口頭表現の場合,発言者の意図するところと
違う意味内容の解釈によって表現者が不利益を受ける事態は,表現の自由を
危うくするものであって避けなければならず,名誉毀損が成立する解釈とそ
うでない解釈が並立し得る場合には,後者を選択しなければならないなどと
主張する。
しかし,既に述べたとおり,本件発言中の「朝鮮学校」という言葉がA学
校を指すことは明白であり,異なる解釈が並立し得る場合ではないから,弁
護人の主張はその前提を欠いている。
⑷弁護人の主張はいずれも採用できない。
第3適用した法令
刑事訴訟法396条
令和2年9月14日
大阪高等裁判所第2刑事部
裁判長裁判官長井秀典
裁判官佐茂剛
裁判官太田寅彦

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