弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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             主        文
被告人を懲役8月に処する。
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
             理        由
(犯罪事実)
 被告人は
第1 平成13年11月8日,A地方裁判所において,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律10条
づき,同日から起算して6か月間,a市b町c番地の住居以外の場所において被告人の配偶者であるBの身辺につ
とい,又は住居以外のBの勤務先その他通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないとの保護命令を受けて
ものであるが,同年12月13日午前零時30分ころから午前零時45分ころまでの間,Bが居住するa市b町
eのBの祖父C方付近をはいかいし,もって,保護命令に違反した
第2 正当な理由がないのに,同日午前零時45分ころ,上記C方の1階台所勝手口のガラス戸の鍵をはずして,同所
C方に侵入したものである。
(証拠)

(適用法令)
1 罰 条       判示第1の所為について
              配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律29条
            判示第2の所為について
              刑法130条前段
2 刑種の選択     いずれも懲役刑
3 併合罪の処理    刑法45条前段,47条本文,10条,47条ただし書(重い判示第2の罪の刑に法定の加
4 未決勾留日数の算入 刑法21条
5 訴訟費用の不負担  刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑事情)
 本件は,配偶者の通常所在する場所付近をはいかいしてはならないとの保護命令を受けていた被告人が,これに違反
かつ,正当な理由がないのに配偶者の居住する建物に侵入したという事案である。
 被告人は,配偶者から自動車の返還を求められ,所持していた自動車の鍵を返還しようとして配偶者の居住する祖父
近づいたと述べている。しかし,他人に依頼し,あるいは郵送するなどして鍵を返還することが可能である。保護命令
反し,午前零時30分ころという深夜に,配偶者の居住する建物に近づいた行為が,そのような動機に基づくものとは
られない。また,被告人は,配偶者の浮気を問い詰めてやろう,子供を連れて帰ろうという気持ちから,怒りにまかせ
手口を叩き,ガラスを割って内鍵をはずし,配偶者の祖父方に侵入している。居住していた配偶者らの感じた恐怖は大
住居侵入の態様は悪質である。
 被告人は,平成9年12月配偶者と婚姻したものだが,仕事をするよう注意する配偶者に対し,平成10年9月ない
0月ころから,乱暴を加えるようになり,月1回程度と頻繁ではないものの,ささいなことに機嫌を損ねて乱暴を繰
子供にまで乱暴するようになった。また,被告人は,本件時,住居侵入を制止しようとした配偶者の祖父にも乱暴を加
いる。さらに,被告人は,本件後,警察署で保護命令を守る旨の誓約書を作成しながら,配偶者に対し,「浮気はほん
していないんやな。明日の夜9時ころ電話するから取ってくれ」などと無神経な電話をしている。被告人は,ガラス代
償するなど,本件犯行の後始末をしていない。これらの事実は,被告人の身勝手さや社会性の乏しさを窺わせている。
人は,配偶者に加えた乱暴の程度が高くないように供述するものの,配偶者の供述と相違し,信用することができない
偶者は,乱暴を繰り返す被告人の態度に怯えている。裁判所の保護命令に違反し,悪質な住居侵入にまで至った被告人
為は強く非難されるべきであり,その刑事責任は重い。
 他方,被告人は,本件について自白して反省の態度を示し,現在は配偶者との離婚を決意したと述べている。また,
において,配偶者に接近したり,接触しないと約束している。被告人は,本件後,まじめに働くようになり,その生活
を改めた様子がある。被告人は,これまで処罰されたことがない。さらに,配偶者は,被告人の乱暴を相談した男性と
行為に及んでいた。配偶者に大きな落ち度があるといえ,被告人が犯行に及んだ経緯には同情の余地がある。
 このように被告人に有利な事情が何点かあるものの,本件は,裁判所の保護命令に違反した事案であり,住居侵入の
が悪質であること,配偶者がなお被告人の乱暴に怯える状況にあることなどを考慮すると,被告人に対し,その刑の執
猶予すべき事案とはいえず,主文の実刑が相当であると判断した。
(求刑‐懲役1年)
  平成14年3月18日
    高松地方裁判所刑事部
        裁判官  高 梨 雅 夫

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