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平成14年(ワ)第26828号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成15年9月9日
判    決
原    告       株式会社クレント
原    告       株式会社エルミーダイム
原    告       株式会社ブレスト
上記3名訴訟代理人弁護士 渡 部 照 子
同            井 上 直 子
被    告       エステー化学株式会社
同訴訟代理人弁護士    吉 武 賢 次
同            宮 嶋   学
同補佐人弁理士   三 好 千 明
主    文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告株式会社クレント(以下「原告クレント」という。)に対し,
金102万9035円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで
年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告株式会社エルミーダイム(以下「原告エルミーダイム」とい
う。)に対し,金102万9035円及びこれに対する平成14年12月19日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告株式会社ブレスト(以下「原告ブレスト」という。)に対し,
金1000万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分
の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 争いのない事実等(証拠により認定した事実については,項の末尾に当該証
拠を摘示した。)
(1) 原告クレント及び原告エルミーダイムは,以下の意匠権(以下「本件意匠
権」といい,その登録意匠を「本件意匠」という。)を共有している。
登録番号       第1106147号
    意匠に係る物品    換気口用フィルタ
    出願年月日      平成11年12月6日
出願番号       平成11年意匠登録願第033660号
登録年月日      平成13年2月9日
登録意匠       別紙「意匠公報」(以下「本件意匠公報」とい
う。)記載のとおり
(2) 原告クレント及び原告エルミーダイムは,平成12年3月14日,原告ブ
レストに対し,本件意匠権について,独占的に実施し,かつ,その実施に係る製品
を使用及び製造販売等することを許諾する旨の契約を締結した。原告ブレストは,
同年4月20日ころから,本件意匠権の実施に係る別紙原告商品目録記載の換気口
用フィルタ(商品名エリア。以下「原告商品」という。)を製造販売している(甲
7,弁論の全趣旨)。
(3) 被告は,平成14年2月5日から,別紙被告商品目録記載の通気口フィル
ター(商品名エアクリーン。以下「被告商品」という。)を製造販売している。
2 本件は,① 本件意匠権を有する原告クレント及び原告エルミーダイムが,
被告に対し,被告商品を製造販売する行為が,主位的に意匠権侵害,予備的に民法
709条所定の不法行為に該当するとして,損害賠償を求めるとともに,② 原告
商品を販売する原告ブレストが,被告に対し,被告が原告商品を模倣した被告商品
を販売する行為が,主位的に不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為,予
備的に民法709条所定の不法行為に該当するとして,損害賠償を求める事案であ
る。
3 本件の争点
(1) 意匠権侵害の成否
(2) 不正競争防止法2条1項3号該当性
(3) 不法行為の成否
(4) 損害の発生の有無及びその額
第3 争点に関する当事者の主張
 1 争点(1)(意匠権侵害の成否)について
〔原告クレント及び原告エルミーダイムの主張〕
被告商品の意匠(以下「被告意匠」という。)と本件意匠は,意匠に係る物
品が同一であり,両意匠は類似するから,被告商品の製造販売は,本件意匠権を侵
害する。
(1) 本件意匠の要部
ア 構成要素
本件意匠は,本体,裏蓋,フィルタを主な構成要素とし,本体に適度な
大きさの開口部(以下「正面開口部」という。)があり内部のフィルタの一部が視
認できる点,本体に内部のフィルタが正面からは視認できないスリット(以下「ス
リット状開口部」という。)がある点において特徴を有する。
イ 本体に存在する適度な大きさの正面開口部
本体に適度な大きさの円形の正面開口部が設置されており,正面から内
部のフィルタの一部を視認することができる。本件のような全く新規の意匠を商品
化した換気口用フィルタにおける意匠に関して,本体内部に外部から汚れを視認で
きる正面開口部を設置させること,また,その正面開口部の面積が適度な大きさで
あることは,意匠の要部とすべき事項である。けだし,フィルタの取替時期は,商
品説明においてフィルタ交換の目安時期を表示すること,購入者が本体を取り外し
て内部のフィルタを確認することにより可能だからである。適度な大きさの正面開
口部を設置することは,汚れたフィルタの変化を随時視認でき,変化する状態を一
覧できるという,商品を使用する上でのデザイン的な楽しさに直結する形状であ
る。
ウ 本体の外周付近に存在するスリット状開口部
正面から見ると円形の本体の外周付近に側面を向いて開口している細長
い半月型のスリット状開口部が存在している。このスリット状開口部は,外周と平
行な曲線及びその両端と繋がる曲線から構成される半月型の形状となっている。正
面からは内部に設置されたフィルタが視認できない構造となっているおり,スリッ
ト状開口部は,正面からは細長い半月型の模様として認識される。
エ 本体の形状及び色彩
本件意匠の形状は円形であり,原告商品の色彩はアイボリーである。
(2) 被告意匠と本件意匠との類否
ア 構成要素
被告意匠も本件意匠と同様,本体,裏蓋,フィルタを主な構成要素と
し,本体に適度な大きさの正面開口部があり内部のフィルタの一部が視認できる
点,本体に内部のフィルタが正面からは視認できないスリット状開口部がある点に
おいて,全く同一である。
イ 本体に存在する適度な大きさの正面開口部
被告意匠には,四つ葉のクローバー模様のうち3枚の葉が開口した正面
開口部が存在しており,そこから内部のフィルタが視認できる構造となっている。
そして,正面開口部を構成する四つ葉のクローバー総体の面積は,原告商品の正面
開口部の面積とほぼ等しく,かつ,クローバーの葉の窪み部分を繋いだ円は,原告
商品の正面開口部の円の大きさと全く同一である。
本件意匠と被告意匠の正面開口部を比較した場合,その形状には円形と
四つ葉のクローバーの総体という差異があるが,適度な大きさの正面開口部の存在
により,そこからフィルタの状態の変化を視認できるデザイン的な楽しさ,という
点においては全く同一であり,同様の美感を与えるものである。
ウ 本体の外周付近に存在するスリット状開口部
被告意匠にも本件意匠と同様,本体の外周付近にスリット状開口部が存
在する。被告意匠のスリット状開口部において,外周と平行な曲線及びその両端と
繋がる曲線から構成される形状が,正面から見た場合,模様として認識されること
は,本件意匠と同様である。ただし,被告意匠のスリット状開口部は細長い三日月
模様である。その他,正面からは内部に設置されたフィルタが視認できない構造と
なっていることまで,本件意匠のスリット状開口部と同一である。
被告意匠のスリット状開口部の形状は,スリット状開口部の形状が三日
月型である点において,本件意匠のスリット状開口部の形状と同一とはいえない
が,いずれも,月を連想させる細長い形状のものである点において同様の美感を抱
かせるものであり,その差異は微細なものである。
エ 本体の形状及び色彩
被告意匠は,本体の形状が円形であり,色彩がアイボリーである。
〔被告の主張〕
本件意匠と被告意匠とは,いずれも意匠に係る物品が換気口用フィルタであ
るが,以下のとおり,基本的構成態様,具体的構成態様及び意匠の要部において大
きく異なっているから,両意匠は類似しない。
(1) 本件意匠
ア 基本的構成態様
(ア) 正面視における外周形状が正円形である表蓋(以下,原告らの用語法
に合わせて「本体」という。)と,本体の背面に配置された裏蓋とを結合して構成
されている。
(イ) 本体は,正面視における全体形状がドーナツ盤(中心部の穴が大き
く,その形状がドーナツに似ている1分間45回転のレコードの俗称。EPレコー
ド。)状である。
(ウ) 本体には,正面を向いて開口する第1の開口部(以下「正面開口部」
という。)と,側面を向いて開口する第2の開口部(以下「スリット状開口部」と
いう。)とが形成されている。
イ 具体的構成態様
(ア) 本体は,正面視における全体形状がドーナツ盤状である正面板と,正
面板の裏面周部に突設され正面板よりも小径のフランジとで構成され,したがっ
て,正面板の外周部は,フランジよりも外側に突出している。
(イ) 正面開口部は,本体の正面板の中心部に設けられ,正面板と同心円状
の正円形からなる。
(ウ) 正面開口部は,正面板の表面に連なる逆円錐面からなる周面部を有し
ている。
(エ) スリット状開口部は,正面開口部の近傍に設けられている。
(オ) スリット状開口部は,正面板の上面部と,この上面部よりも一段低い
位置に形成された正面板の下面部との間に開口を有する。
(カ) スリット状開口部の上面部側の縁部は,正面開口部に最も近い部位が
最も本体の中心方向に膨出した円曲線からなる。
(キ) スリット状開口部の下面部側の縁部も,同様に正面開口部に最も近い
部位が最も本体の中心方向に膨出した円曲線からなる。
ウ 本件意匠の要部
本件意匠に係る物品は,その裏蓋側を既存の給気口に接着固定して使用
するものであるから,物品の形態及び用途等からみて,具体的に当該物品が取引な
いし使用される過程において,取引者又は需要者の目につきやすく,看者の注意を
惹く部分は,本体の正面板部分である。
(2) 被告意匠
ア 基本的構成態様
(ア) 正面視における外周形状が正円形である本体と,本体の背面に配置さ
れた裏蓋とを結合して構成されている。
(イ) 本体は,正面視における全体形状が円盤状である。
(ウ) 本体には,正面を向いて開口する正面開口部と,側面を向いて開口す
るスリット状開口部とが形成されている。
イ 具体的構成態様
(ア) 本体は,正面視における全体形状が円盤状である正面板と,正面板の
外周縁に連続し裏面側に突設された前記外周縁と同径のフランジとで構成され,し
たがって,正面板の外周部は,フランジよりも外側に突出していない。
(イ) 正面開口部は,本体の正面板の周部に設けられ,ハートの下端部を中
心部に配置して放射状に形成された3個のハート形状の開口からなる。
(ウ) 正面開口部は,本体の正面板を単に前記3個のハート形状に開口させ
た形状である。
(エ) スリット状開口部は,正面開口部とは反対側の周部に設けられてい
る。
(オ) スリット状開口部は,本体の上面部と,この上面部よりも一段低い位
置に形成された下面部との間に開口を有する。
(カ) スリット状開口部の上面部側の縁部は,正面視における下部側が内側
に膨出しかつ上部側が外側に膨出した波形曲線からなる。
(キ) スリット状開口部の下面部側の縁部も,同様に正面視における下部側
が内側に膨出しかつ上部側が外側に膨出した波形曲線からなる。
(ク) 正面開口部の近傍には,前記放射状に形成された3個のハート形状の
開口とともに,放射状に配置された単一のハート形の模様が形成されている。
ウ 被告意匠の要部
被告意匠は,本件意匠に係る物品と同様に,その裏蓋側を既存の給気口
に接着固定して使用するものであるから,物品の形態及び用途等からみて,具体的
に当該物品が取引ないし使用される過程において取引者又は需要者の目につきやす
く,看者の注意を強く惹く部分は,本体の正面板部分である。
(3) 本件意匠と被告意匠との対比
ア 基本的構成態様における相違
  本件意匠は,正面視において外周形状が正円形である本体の中心部に外
周と同心円の正円からなる正面開口部を有するがゆえに,正面視における全体形状
はドーナツ盤状である。これに対し,被告意匠は,正面視において外周形状が正円
形である本体の中心部は無開口状であるがゆえに,正面視における全体形状は円盤
状である。
イ 具体的構成態様における相違
(ア) 本件意匠において,本体の正面板は外周部がフランジよりも外側に突
出していることから,本件意匠公報の左側面図から明らかなように,正面板の周部
は,家における屋根のごとく突出しており,フランジを含む本体の周部は,段差を
有する不連続状である。これに対し,被告意匠においては,本体は,フランジは正
面板の外周縁と同径であるので,別紙被告商品目録の左側面図から明らかなよう
に,フランジを含む本体の周部は,滑らかな連続状である。
(イ) 本件意匠において,正面開口部が本体の正面板の中心部に設けられ,
本体の外周と同心円状の正円形からなるのに対し,被告意匠においては,本体の正
面板の周部に設けられ,ハートの下端部を中心部に配置して放射状に形成された3
個のハート形状からなる。
(ウ) 本件意匠において,正面開口部が本体の表面に連なる逆円錐面からな
る周面部を有しているのに対し,被告意匠においては,本体の正面板を単に3個の
ハート形状に開口させた形状であって,本体の表面に連なる逆円錐面からなる周面
部を有していない。
(エ) 本件意匠において,スリット状開口部は正面開口部の近傍に設けられ
ているのに対し,被告意匠においては,正面開口部とは正反対の周部に設けられて
いる。
(オ) 本件意匠において,スリット状開口部の上面部側の縁部は,正面開口
部に最も近い部位が最も本体の中心方向に膨出した円曲線からなるのに対し,被告
意匠においては,正面視における下部側が内側に膨出しかつ上部側が外側に膨出し
た波形曲線からなる。
(カ) 本件意匠において,スリット状開口部の下面部側の縁部も,同様に正
面開口部に最も近い部位が最も本体の中心方向に膨出した円曲線からなるのに対
し,被告意匠においては,同様に正面視における下部側が内部に膨出しかつ上部側
が外側に膨出した波形曲線からなる。
(キ) 被告意匠においては,正面開口部の近傍には,放射状に形成された3
個のハート形状の開口とともに放射状に配置されたハート形の模様が形成されてい
るのに対し,本件意匠においては,そのような模様は形成されてはいない。
ウ 意匠の要部における相違
  前記のとおり,両意匠の要部は,本体の正面板部分である。そして,両
意匠における本体の正面板部分は,本件意匠の全体形状はドーナツ盤状であるのに
対し,被告意匠は円盤状であり,両意匠は要部における基本的構成態様において顕
著に相違する。また,上記イにおいて,(ア)を除く(イ)ないし(キ)は,両意匠の要部で
ある本体の正面板部分に関する相違である。よって,両意匠は,要部における具体
的構成態様においても顕著に相違する。
 2 争点(2)(不正競争防止法2条1項3号該当性)について
〔原告ブレストの主張〕
  原告ブレストは,平成12年4月20日から,全く新規な商品である原告商
品の販売を開始し,順調に売上げを伸ばし,各種雑誌等に掲載され,商業上の成功
を収めていた。しかるに,被告は,その販売開始後3年を経過しない平成14年2
月5日から,原告商品の形態を模倣した被告商品の販売を開始した。よって,被告
の行為は,不正競争防止法2条1項3号に該当する。
(1) 原告商品と被告商品との類似点
原告商品と被告商品とは,別紙類似点目録(商品)記載の各類似点を有し
ている。
また,原告商品と被告商品は,完成時及び使用時において,最も購入者の
注意を惹く,本体の材質,色彩,デザイン及び本体からフィルタの一部が視認でき
る点において,商品の形態上,同一の特徴を有している。具体的には,以下のとお
りである。
ア 原告商品のような全く新規のアイデアを商品化した換気口用フィルタに
おける形態において,本体に外部から汚れを視認できる正面開口部を設置するこ
と,また,正面開口部の面積に適度な大きさを選択することは,形態上重要な要素
である。
被告商品にも,四つ葉のクローバー模様のうち,3枚の葉が開口した正
面開口部が存在しており,そこから内部のフィルタが視認できる構造となってい
る。そして,正面開口部を構成する四つ葉のクローバーの葉の総体の面積は,原告
商品の正面開口部の面積とほぼ等しく,かつ,クローバーの葉の窪み部分を繋いだ
円は,原告商品の正面開口部の円の大きさと全く一致している。このように,原告
商品と被告商品の正面開口部は面積がほぼ等しく,正面からフィルタの状態が視認
できる点,フィルタの状態の変化を正面開口部から視認できるデザイン的な楽しさ
があるという点において,全く同一である。
なお,原告商品と被告商品の正面開口部を比較した場合,その形状及び
位置には,中央部に存在する円形と,中央よりやや外側に存在する四つ葉のクロー
バーの総体という差異があるが,このような差異は微少なものである。被告商品の
正面開口部の四つ葉のクローバーは,ごくありふれた周知のデザインであり,原告
商品の円形の正面開口部のデザインを若干変更して周知の四つ葉のクローバーに置
き換えることに,新規な独創性はなく,かような改変は,その着想においても容易
であり,原告商品及び被告商品は酷似している。
イ 被告商品のスリット状開口部は,正面から見た場合,模様として認識さ
れること,正面からは内部に設置されたフィルタが視認できない構造となっている
ことにおいて原告商品のスリット状開口部と同一である。また,原告商品と被告商
品のスリット状開口部は,垂直断面で比較した場合,ほぼ同一の形状,大きさであ
る。
被告商品のスリット状開口部は三日月模様であり,原告商品のスリット
型開口部が細長い半月型の形状であることと同一とはいえないが,いずれも,正面
から見た時には,月を連想させる細長い形状のものである点において,その差異は
微細なものである。
そして,商品の形態が実質的に同一の形態というべきか否かの基準は,
改変の着想の難易,改変の程度,改変による形態的効果等を総合的に判断して決定
するべきであるところ,本件では,本体の外周付近に1か所,細長いスリット状開
口部を設けている点において全く同一であり,単にスリット状開口部の形状を若干
改変し,細長い半月型を細長の三日月模様としたのみである。かような改変は,着
想も容易であり,改変の程度,改変による形態的変化も微細なものである。
ウ 原告商品は,本体を室内の壁と調和するアイボリー色の円形としてい
る。このような形状,色彩により,室内のインテリアの邪魔とならないデザインを
実現したものであるが,被告商品は,これらの形態を模倣している。
(2) 原告商品と被告商品の販売宣伝方法の比較
被告が被告商品に使用している包装袋(甲4)は,原告ブレストの販売促
進用資料であるパンフレット(甲1)と,別紙類似点目録(宣伝物)記載の各点に
おいて同一であり,実質的には,同原告のパンフレットに微細な改変を加えている
にすぎない。
(3) 構成要素の模倣
原告商品と被告商品は,本体,裏蓋,フィルタを主な構成要素としている
点,これらの構成要素である各部品から成るセット商品として販売されている点
が,いずれも共通している。また,販売時においては,商品包装袋の表側部分か
ら,本体の一部に開口部があり,この開口部からフィルタが視認できることがわか
るように収納されている。
このようにしてセット販売された各部品は,購入者が自ら組み立て,取り
付けることとなっているので,一般購入者にとって,原告商品の各部品及び各部品
の組み合わせは,商品の形態として明確に認識,識別されることとなる。よって,
被告商品を構成する各部品及び各部品の組み合わせも重要な「商品の形態」として
捉えるべきである。
(4) 形態の模倣の故意
原告商品は,東急ハンズの新聞折り込み広告,雑誌への掲載による宣伝活
動が頻繁になされており,被告は,被告商品販売以前に原告商品のホームページを
閲覧していたことから,原告商品について認識した上で被告商品を開発したもので
ある。また,被告商品について,「お得な交換用フィルタは,『エリア』にも,使
用できます。」等との商品説明を行っていたのであるから,被告は,原告商品を認
識し,原告商品の交換用フィルタとの互換性を備えた被告商品を開発したものであ
る。
被告商品と原告商品は,実質的には同一性を有する商品であるが,模倣の
故意を有する被告は,原告ブレストの非難を避けるため,わずかに原告商品のデザ
インに変更を加えている。本件のように,原告商品のホームページを閲覧する等し
て原告商品を研究した上で,改変が行われていることが明らかなケースにおいて
は,当該改変に特別の独創性や機能性がない限り,被告商品は,先行者の商品の形
態を模倣した商品に該当すると認定すべきである。
(5) 後記被告の主張(2)に対する反論
原告ブレストは,原告商品の開発者Aを代表取締役としており,原告商品
の意匠権及び実用新案権を有する原告クレントと代表取締役を同一としており,ま
た,原告商品の開発に協力してきた原告エルミーダイムの代表取締役Bを取締役と
して,原告商品の製造販売のために新たに設立された株式会社である。また,原告
ら3名は,本店所在地が同一であって,互いに密接な関係がある。よって,原告ブ
レストは,第三者によって商品開発がされた後にその商品を単に製造販売するにす
ぎない者とは到底評価し得ない。
〔被告の主張〕
  不正競争防止法2条1項3号所定の形態模倣が成立するためには,被告商品
の形態が,原告商品の形態と同一又は実質的同一でなければならないところ,被告
商品の形態は,原告商品の形態とは著しく異なっており,到底これと同一又は実質
的同一ということはできない。
(1) 原告商品の形態,被告商品の形態及び両商品形態の対比は,それぞれ前記
1の〔被告の主張〕(1)ないし(3)で主張したとおりである。ただし,同主張中,
「本件意匠」を「原告商品の形態」と,「被告意匠」を「被告商品の形態」と読み
替える。
  よって,原告商品の形態と被告商品の形態とは,基本的構成態様,具体的
構成態様及び商品形態の要部において大きく異なっているのであるから,両商品形
態が同一であるということはできない。
(2) 不正競争防止法2条1項3号の趣旨は,先行者がそれなりの努力をし,費
用と時間をかけて製作,開発した成果に模倣者がただ乗りするのを防止することに
あるから,同号による保護を求め得る者は,自ら費用と時間をかけて商品を開発し
て市場に置いた者に限られ,第三者によって当該商品が開発された後にその商品を
単に製造販売するにすぎない者は,同号に基づく保護を求めることはできない。
しかるところ,原告ブレストは,原告商品の製造販売を目的として設立さ
れた会社であるというのであるから,原告商品を自ら費用と時間をかけて開発し市
場に置いた先行者には該当せず,不正競争防止法2条1項3号に基づく保護を求め
ることはできない。
3 争点(3)(不法行為の成否)について
〔原告らの主張〕
  被告製品の製造販売は,不公正な競争として,不法行為(民法709条)を
構成する。
(1) 原告クレント及び原告ブレストの代表者であるAは,平成8年ころから,
給気口フィルタ及びフィルタ装置の商品開発に向けた調査研究作業を続け,工夫に
工夫を重ねた上で,原告商品を開発し,商品化したものであり,原告商品は,新規
商品である。Aは,出資者を募って,平成12年3月15日原告ブレストを設立
し,同原告は,同年4月20日から原告商品の販売を開始した。当初は,同様の商
品が市場になく,販路の交渉は難航したため,同原告は,多大の費用及び労力をか
けて給気口用フィルタの存在意義等の啓蒙活動,精力的な広報活動を展開する必要
があった。その結果,原告商品は,同年9月,東急ハンズ新宿店において初めて店
頭で販売されるに至り,次第に社会的に認知され,順調に売上げを伸ばしてヒット
商品になっていった。
(2) 被告は,このように原告商品が認知されるに至った時期である,平成14
年2月,被告商品の販売を開始した。被告は,平成13年3月以降16回も原告ブ
レストのホームページを閲覧することにより,原告商品を熟知した上,形態が原告
商品に若干似ないように注意しながら,被告商品を開発した。そして,被告は,原
告らとの競合を意図し,原告商品の市場を奪い原告らに損害を与えることを意図し
て,被告商品を製造販売したものである。
(3) 被告製品の製造販売は,上記被告商品の開発経緯等に照らし,不公正な競
争として,不法行為(民法709条)を構成する。被告の不法行為の具体的内容
は,以下のとおりである。
ア 商品自体の開発について,別紙類似点目録(商品)記載のとおり,①商
品の形態,②商品構成,③商品用途,④商品機能,⑤商品の材質,⑥商品の色等に
おいて,原告商品と酷似する被告商品を製造した。また,被告は,本件意匠の出願
書類に添付された「使用状態を示す参考斜視図」を複写した上,これに若干の変更
を加えて,意匠出願書類に添付する「使用状態を示す参考図」を作成するととも
に,「意匠に係る物品の説明」欄の文章も本件意匠の出願書類の文章をほぼそのま
ま利用して,被告意匠の登録出願を行った。
イ 被告商品の包装袋の宣伝広告は,原告商品のパンフレットにおける宣伝
内容に微少な改変を加え,①「外気の汚れをシャットアウト」との同じキャッチコ
ピーを使用し,②取付説明につき類似の表現方法を用い,③エプロン姿の女性が給
気口フィルタを取り付けているという類似するキャラクターを使用し,④既存の給
気口の表現につき類似の表現方法を用い,⑤類似のフィルタ拡大図を使用するな
ど,全体として,原告らの創意工夫した各種表現を盗用した。
ウ 被告商品は,原告らが宣伝用に作成した販売促進用プロモーションビデ
オが放映され,原告商品が陳列されている棚に並べて陳列され,原告商品よりもは
るかに低価格に設定されている。また,被告は,平成14年2月,お客様相談への
メールでの問い合わせに対し,「お得な交換用フィルタは,原告商品にも使用でき
る」と回答するなどして,原告商品の販売を妨害した。
〔被告の主張〕
被告は,あくまでも法律上許された自由競争の範囲内で被告自身の利益を獲
得するために被告商品を製造販売しているのであり,ことさら原告らに損害を与え
ることのみを目的として行っているものではなく,被告の行為は,何ら違法性はな
く,不法行為を構成するものではない。
(1) 被告は,それなりのコストと時間をかけて被告商品を独自に開発したもの
である。すなわち,被告は,平成13年11月26日,その意匠について意匠出願
をし,同意匠は,平成14年9月20日,それぞれ意匠登録第1157685号
(全体意匠),意匠登録第1157686号(部分意匠)として設定登録を受け
た。被告商品は,これらの登録意匠の実施品である。原告商品は,原告クレントら
が有する本件意匠権の実施品であるところ,被告の登録意匠は,本件意匠と非類似
のものとして設定登録されたものであるから,その実施品である被告商品が原告商
品と非類似の独創性ある商品であることは明らかである。
(2) なお,原告商品と被告商品の形態は顕著に異なるし,本件意匠の出願書類
に添付された「使用状態を示す参考斜視図」は,ありふれた換気口の斜視図や換気
口が取り付けられた壁を示す影線等を通常用いられる手法で描いたもので,創作性
はない。また,被告商品の消費者への販売価格(小売価格)は,個々の小売店が独
自に決定したものである。
4 争点(4)(損害の発生の有無及びその額)について
〔原告らの主張〕
被告が被告商品を販売する以前は,原告商品及び交換用フィルタの販売個数
及び売上額が順調に伸びていたものであるが,被告が被告商品の販売を開始した
後,原告商品及び交換用フィルタの販売個数及び売上額が減少し,これにより,原
告らは,平成14年3月から同年10月までの間に,以下のとおりの損害を受け
た。
(1) 原告ブレストの損害             2282万2716円
原告商品の販売により原告ブレストが受ける利益は,1個当たり750円
であるところ,被告商品の販売により,原告商品の販売個数は1万0693個減少
した。よって,これにより,同原告は,801万9750円の損害を受けた。
また,交換用フィルタ10枚入りの販売により同原告が受ける利益は,1
個当たり525円であるところ,被告商品の販売により,交換用フィルタ10枚入
りの販売個数は2万5982個減少した。よって,これにより,同原告は,136
4万0550円の損害を受けた。
同様に,交換用フィルタ30枚入りの販売により同原告が受ける利益は,
1個当たり1464円であるところ,被告商品の販売により,交換用フィルタ30
枚入りの販売個数は794個減少した。よって,これにより,同原告は,116万
2416円の損害を被った。
原告ブレストは,これらの合計2282万2716円のうち,1000万
円につき,損害賠償を請求する。
(2) 原告クレント及び原告エルミーダイムの損害  各102万9035円
原告クレント及び原告エルミーダイムは,それぞれ,原告商品,交換用フ
ィルタ10枚入り及び同30枚入りの売上げから,1個当たりそれぞれ50円,1
7.5円及び50円のロイヤリティーを受領することになっていた。被告商品の販
売により,上記(1)のとおり,各製品の販売個数が減少したため,各ロイヤリティー
の単価に販売減少数を乗じた金額,すなわち,原告商品につき53万4650円,
交換用フィルタ10枚入りにつき45万4685円及び同30枚入りにつき3万9
700円の損害を被った。
〔被告の主張〕
不知ないし争う。
第4 争点に対する判断
1 争点(1)(意匠権侵害の成否)について
(1) 本件意匠の構成
願書の記載及び願書に添附した図面に記載された意匠によれば,本件意匠
は,本件意匠公報添付の図面のとおりであり,これを文言で表すと,以下のとおり
である(甲9の1及び3)。
   ア 基本的構成態様
     本件意匠は,正面視及び背面視における外周形状が正円形であり,背面
が平らで正面に膨らみを持った円盤状である。正面視において,正円形の中心部に
同心円状で正面を向いた開口部(以下「正面開口部」という。)が形成され,ドー
ナツ盤状となり,正面開口部の右側に扁平の凸レンズ形の窪みが形成されている。
なお,本件意匠は,本体,フィルタ,リング及び裏蓋から成り,本体と裏蓋の間に
フィルタを入れる構造となっている。
イ 具体的構成態様
(ア) 本体は,正面視において正円形であり,正面部とその裏面に突設した
周状の側面部とで構成されている。正面部は,中心にある正面開口部を除き側面視
において膨らみを有する。側面部は,正面部の裏面に,正面部の外周縁よりやや小
径の正円形状に突設している。側面視によれば,正面部は上記突設した側面部より
も外側に鍔状に突出している。
(イ) 本体の中心部には,正面開口部が設けられ,正面開口部は,外周部と
同心円状で,外周部の約3分の1の半径の正円形からなり,背面側はこれよりやや
半径が小さい正円形となり,逆円錐状の周面を有している。
(ウ) 本体の正面開口部の右側に形成されている扁平の凸レンズ形の窪み
は,正面視において2つの円弧により形成されている。正面視外側の円弧は外周部
と同心円の円弧であり,正面視内側の円弧はそれより緩やかな円弧をなす。側面視
によれば,本体正面部の上面と,この上面部よりも一段低い位置に形成された下面
との間が,側面を向いて開口し,スリット状開口部となっている。スリット状開口
部は,側面視において,背面側が平らで正面側が膨らんだ細長い形状である。
(エ) 背面は正円形であり,裏蓋は,本体の側面部を形成する周面と同径の
正円形であり,これよりやや小径の同心円で大きく開口し,細いリング状を形成し
ている。
  (2) 被告意匠の構成
    被告商品の形態は別紙被告商品目録添付の図面のとおりであり,被告意匠
の構成は次のとおりであると認められる(検乙1)。
 ア 基本的構成態様
被告意匠は,正面視及び背面視における外周形状が正円形であり,背面
が平らで正面に膨らみを持った円盤状である。正面視において,正円形の左上部に
4個のハート形状の正面開口部又は窪みが形成され,右下部に波形の窪みが形成さ
れている。なお,被告意匠は,本体,フィルタ,両面テープ及び裏蓋から成り,本
体と裏蓋の間にフィルタを入れる構造となっている。
イ 具体的構成態様
(ア) 本体は,正面視において正円形であり,正面部とその裏面に突設した
周状の側面部とで構成されている。正面部は,側面視において膨らみを有する。側
面部は,正面部の裏面に,正面部の外周縁に連続して,外周縁とほぼ同径の正円形
状に突設している。側面視によれば,正面部は側面部よりも外側に突出していな
い。
(イ) 本体の中心部に開口部はなく,正面視左上部には,3個のハート形状
の正面開口部と1個のハート形状の窪みが設けられ,上記合計4個のハート形状
は,下端部を中心部に配置して,上下左右に放射状に形成されている。
(ウ) 本体の右下部に形成されている波形の窪みは,正面視において2つの
曲線により形成されている。正面視外側の曲線は外周部と同心円の円弧であり,正
面視内側の曲線は,正面視における下部側が内側に膨出しかつ上部側が外側に膨出
した波形曲線からなる。側面視によれば,本体正面部の上面と,この上面よりも一
段低い位置に形成された下面との間が,側面を向いて開口し,スリット状開口部と
なっている。スリット状開口部は,側面視において,背面側が平らで正面側が膨ら
んだ細長い形状である。
(エ) 背面は,正円形であり,裏蓋は,本体の外周を形成する縁の半径の約
2分の1の半径の同心円で開口し,ドーナツ状を形成している。
  (3) 本件意匠と被告意匠との対比
   ア 上記認定によれば,本件意匠の構成と被告意匠の構成は,基本的構成態
様においては,正面視及び背面視における外周形状が正円形であり,背面は平らで
正面に膨らみを持った円盤状である点,本体には,正面開口部と窪みとが形成され
ている点,本体,フィルタ及び本体の背面に設置された裏蓋とを主な構成要素とし
ている点において共通している。また,具体的構成態様においては,本体が,正面
部とその裏面に突設した周状の側面部とで構成されている点,スリット状開口部
が,本体の正面部の上面と,この上面よりも一段低い位置に形成された下面との間
に側面を向いて開口する形態で存在する点において共通している。
他方,両意匠の構成は,①本件意匠における正面開口部の位置は中心部
であるのに対し,被告意匠における正面開口部の位置は左上部である点,②本件意
匠の正面開口部の形態は正円形であるのに対し,被告意匠の正面開口部の形態は3
個のハート形状である点,③本件意匠の窪みは正面視において2つの円弧により形
成される扁平の凸レンズ形であるのに対し,被告意匠の窪みは正面視において円弧
と波形曲線により形成されている点,④本件意匠のスリット状開口部の上面側及び
下面側の縁部は開口部に最も近い部位が最も本体の中心方向に膨出した円弧からな
るのに対し,被告意匠のスリット状開口部の上面側及び下面側の縁部は,正面視に
おける下部側が内側に膨出しかつ上部側が外側に膨出した波形曲線からなる点,⑤
本件意匠の背面は大きく開口しているのに対し,被告意匠の背面の開口は小さい
点,⑥本件意匠における本体の側面部を形成する周面は外周縁より小径で正面部が
鍔状に突出しているのに対し,被告意匠における本体の側面部を形成する周面は正
面部と同径で連続している点等において,相違している。
イ 本件意匠に係る物品は換気口用フィルタであり,本件意匠公報における
「意匠に係る物品の説明」の欄には,「マンションの壁等に設けられる換気口に
『裏蓋』を固定することにより取付けられ,内部の『フィルタ』により塵埃が除去
される。」と記載されている(甲9の1及び3)。前記認定の本件意匠の構成にこ
のような物品の機能,使用方法等を勘案すれば,本件意匠について取引ないし使用
される過程で看者の注意を惹く部分は,本体の正面部であり,特に,正面開口部の
位置及びその形状並びにスリット状開口部を形成する窪みの形状に,意匠としての
創作性が認められる。
そして,上記アの特に①ないし④で認定したとおり,被告意匠は,本件
意匠と正面開口部の位置及びその形状において大きく相違し,スリット状開口部を
形成する窪みの形状においても大きく相違しているのであるから,両意匠は,意匠
としての創作性が認められかつ看者の注意を惹く部分において大きく相違している
ものといわざるを得ない。そして,この相違点は,前記共通点を凌駕し,両意匠
は,全体として美感を異にし,両意匠は類似しないというべきである。
  (4) 原告クレント及び原告エルミーダイムの主張について
   ア なお,原告クレント及び原告エルミーダイムは,本件意匠と被告意匠の
正面開口部とは,いずれも適度な大きさであり,そこからフィルタの状態の変化が
視認できる点で同一であり,同様の美感を与えるものである旨主張する。
     しかしながら,証拠(甲1ないし4,9の3,54)によれば,本件意
匠及び被告意匠に係る物品は,いずれも正面開口部からフィルタを視認することが
でき,フィルタの汚れの状態を確認できる機能を有する換気口用フィルタであるこ
とが認められる。かかる機能に照らせば,適度な大きさの正面開口部を有し,そこ
からフィルタの状態の変化が視認できることは,その機能を奏するために必要な事
項であって,このような機能上必要な点をもって美感の同一性を論ずるのは相当で
ない上,両意匠が,正面開口部の位置及び形状が大きく異なるために美感を異にす
ることは,前記のとおりである。
   イ また,同原告らは,本件意匠と被告意匠のスリット状開口部は,いずれ
も月を連想させる細長い形状のものである点において同様の美感を抱かせるもので
あり,その差異は微細なものであると主張する。
     しかしながら,前記のとおり,本件意匠と被告意匠のスリット状開口部
の具体的形状は異なっている。また,いずれも月を連想させるものであると認める
に足りない。そして,スリット状開口部付近の窪みの形状が,本件意匠においては
扁平の凸レンズ型,被告意匠においては波形曲線と相違し,この点は,両意匠の類
否を決する上で大きな相違点と認められ,同原告らの上記主張は採用できない。
   ウ さらに,同原告らは,本件意匠と被告意匠の本体の形状及び色彩が同一
である旨主張する。
     しかしながら,証拠(甲1ないし4,9の3,54)によれば,本件意
匠及び被告意匠に係る物品は,その裏蓋側をマンション等の給気口に固定すること
により取り付けて使用される換気口用フィルタであり,給気口は一戸建てよりマン
ションに多く設置され,その多くが円形であることが認められる。かかる物品の性
質,用途ないし使用方法等に鑑みると,その形状が円形であることは本件意匠の要
部となり得ない。また,本件意匠に色彩は付されておらず,同原告らの色彩に関す
る上記主張は,失当である。
(5) よって,被告意匠が本件意匠と類似しているということはできず,被告商
品が本件意匠権を侵害しているとの原告クレント及び原告エルミーダイムの主張
は,理由がない。
2 争点(2)(不正競争防止法2条1項3号該当性)について
(1) 不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為に該当するためには,既
に存在する他人の商品の形態を模倣して,これと同一又は実質的に同一といえるほ
ど酷似した形態の商品を意図的に作り出すことが必要である。もっとも,商品の形
態が,当該商品の機能及び効用と必然的に結びつき,当該商品の機能及び効用を発
揮させるために不可避的に採らざるを得ない部分において同一又は実質的に同一で
あるにすぎない場合は,同種の商品が「通常有する形態」として,これに該当しな
いというべきである。このことは,それまで当該機能及び効用を同じくする商品が
存在しなかったために当該商品が新規のものである場合であっても同様であり,商
品の形態が,当該商品の機能及び効用を発揮させるために不可避的に採らざるを得
ない部分において同一又は実質的に同一であるにすぎない場合は,「通常有する形
態」として,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為に該当しないと解す
べきである。けだし,当該商品の機能及び効用を発揮させるために不可避的に採ら
ざるを得ない形態を特定の者に独占させることは,機能や効用自体を独占させる結
果となり,かえって取引社会における同種の商品間の自由かつ公正な競争を阻害す
ることになるからである。
(2) 原告商品の形態と被告商品の形態との対比
   ア 原告商品の形態が別紙原告商品目録添付の図面に記載されたとおりであ
ることにつき当事者間に争いがなく,また,その図面は,本件意匠公報記載の本件
意匠の図面と同一であることが認められる。また,被告商品の形態が別紙被告商品
目録添付の図面に記載されたとおりであることにつき当事者間に争いがない。
     したがって,原告商品の形態及び被告商品の形態については,前記1(1)
及び(2)認定のとおりである(ただし,「本件意匠」を「原告商品の形態」と,「被
告意匠」を「被告商品の形態」と読み替える。)。
   イ 上記認定によれば,原告商品の形態と被告商品の形態は,基本的構成態
様においては,正面視及び背面視における外周形状が正円形であり,背面は平らで
正面に膨らみを持った円盤状である点,本体には,正面開口部と窪みとが形成され
ている点,本体,フィルタ及び本体の背面に設置された裏蓋とを主な構成要素とし
ている点において共通している。また,具体的構成態様においては,本体が,正面
部とその裏面に突設した周状の側面部とで構成されている点,スリット状開口部
が,本体の正面部の上面と,この上面よりも一段低い位置に形成された下面との間
に側面を向いて開口する形態で存在する点において共通している。なお,原告商品
には色彩がアイボリーのものがあり,同商品と被告商品は,色彩が同一である。
他方,両商品の形態は,①原告商品における正面開口部の位置は中心部
であるのに対し,被告商品における正面開口部の位置は左上部である点,②原告商
品の正面開口部の形態は正円形であるのに対し,被告商品の正面開口部の形態は3
個のハート形状である点,③原告商品の窪みは正面視において2つの円弧により形
成される扁平の凸レンズ形であるのに対し,被告商品の窪みは正面視において円弧
と波形曲線により形成されている点,④原告商品のスリット状開口部の上面側及び
下面側の縁部は開口部に最も近い部位が最も本体の中心方向に膨出した円弧からな
るのに対し,被告商品のスリット状開口部の上面側及び下面側の縁部は,正面視に
おける下部側が内側に膨出しかつ上部側が外側に膨出した波形曲線からなる点,⑤
原告商品の背面は大きく開口しているのに対し,被告商品の背面の開口は小さい
点,⑥原告商品における本体の側面部を形成する周面は外周縁より小径で正面部が
鍔状に突出しているのに対し,被告商品における本体の側面部を形成する周面は正
面部と同径で連続している点等において,相違している。
   ウ 前記のとおり,原告商品及び被告商品が,その裏蓋をマンション等の給
気口に固定することにより取り付けて使用される換気口用フィルタであり,いずれ
も開口部からフィルタを視認することによって,フィルタの汚れの状態を確認する
という機能ないし効用を有するものであり,給気口の多くが円形であることからす
れば,本体の形状が正円形であって,正面開口部を有することは,商品の機能及び
効用を発揮させるために不可避的に採らざるを得ない形態であり,通常有する形態
というべきである。
     そして,両商品の形態は,特に,前記イ①ないし④で認定したとおり,
特徴的な形態である正面開口部の位置及びその形状並びにスリット状開口部を形成
する窪みの形状等において顕著な相違があり,商品の形態として同一又は実質的に
同一であるということはできない。
(3) 原告ブレストの主張について
   ア 原告ブレストは,被告商品の包装袋(甲4,検乙2)と原告商品のパン
フレット(甲1)との間に記載上の類似点があることを,不正競争防止法2条1項
3号に該当する理由として主張する。
     証拠(甲1,3,4,6,検乙2)によれば,原告商品と被告商品は,
いずれもビニール製の包装袋に収納された状態で展示,販売されていることが認め
られる。そうすると,商品自体のみならず,その包装袋をも含めて一体として商品
の形態と捉える余地がないとはいえないものの,前掲各証拠によれば,原告商品の
包装袋は,上部及び下部に略半月型の模様があり,上部の半月型の模様の中に「エ
リア」という商品名が大きく記載されているほか,給気口のサイズを示す丸いシー
ルが貼付されているシンプルなものであるのに対し,被告商品の包装袋の表面は,
右上部に「お部屋の通気口フィルター」といった文字が大きく記載され,その上下
に「エアクリーン」「外気の汚れをシャットアウト」といった文字が記載され,被
告商品を取り付ける女性の絵やフィルタの取り替えサインの図,使用可能な通気口
の絵等が記載され,裏面には,被告商品の特長,使用方法,使用上の注意,セット
内容等が細かく記載されるなど,原告商品の包装袋と被告商品の包装袋は,デザイ
ン上,大きく相違する。また,原告ブレストが比較の対象として挙げる原告商品の
パンフレットは,販売促進用資料であることを同原告が自認しており,原告商品が
展示,販売されている状態において原告商品と一体となっていると認めるに足りる
証拠はなく,その記載を「商品の形態」として比較の対象とすることはできない。
なお,原告商品のパンフレットと被告商品の包装袋が全体として類似しないこと
は,後記3(2)イ認定のとおりである。
   イ 次に,原告ブレストは,両商品が本体,裏蓋及びフィルタを主な構成要
素としている点,これらの構成要素である各部品からなるセット商品として販売さ
れている点,販売時において,商品包装袋の表側部分から本体の一部に開口部があ
り,この開口部からフィルタが視認できることがわかるように収納されている点に
おいて,両商品が共通している旨主張する。
     原告商品の包装袋の中には,両面テープ付きの裏蓋,本体,フィルタ1
枚,フィルタ固定のためのリングがセットとして収納されているのに対し,被告商
品の包装袋の中には,裏蓋,本体,フィルタ1枚,両面テープがセットとして収納
され,両商品は,いずれもビニール製の包装袋に商品が入れられた状態で展示,販
売されており,包装袋の透明部分から商品の一部を視認できるようになっているこ
とは認められるが(甲1,3,6,検乙1,2),被告商品の販売時において,常
に本体の一部に開口部があり,この開口部からフィルタが視認できることがわかる
状態で収納されていることを認めるに足りる証拠はない。また,仮に,同原告の指
摘する点を「商品の形態」ということができるとしても,前記のとおり,原告商品
及び被告商品が,その裏蓋側をマンション等の給気口に取り付ける換気口用フィル
タであり,フィルタが汚れた場合に交換して使用するものであることに照らせば,
両商品が,本体のほか,給気口に取り付けるための裏蓋及び交換可能なフィルタを
主な構成要素とし,これらの各部品からなるセット商品として販売されていること
は,通常有する形態というべきである。
(4) よって,被告の行為が不正競争防止法2条1項3号に該当するとの原告ブ
レストの主張は,理由がない。
3 争点(3)(不法行為の成否)について
(1) 前記争いのない事実等に証拠(甲1,3ないし6,9の1ないし3,1
0,11,13,14,21ないし35,46の1ないし3,48の1及び2,5
4,乙1の1及び2,2の1及び2)を総合すれば,以下の各事実を認めることが
できる。
ア 原告クレントは,平成9年3月25日,代表者のAを考案者とするフィ
ルタ装置の考案について実用新案登録出願をし,同年7月9日,実用新案登録を受
けた(登録第3041766号)。
当該考案は,室内に開放する給気口に設けられ,室内に取り入れる空気
を浄化するためのフィルタ膜を備えるフィルタ装置に関し,特に,フィルタ膜を使
い捨てすることができる簡便なフィルタ装置に関するものとされ,外気の汚れの原
因となる花粉,粉塵などの塵芥を取り除くことにより,清浄な空気を室内に取り入
れることができる簡便なフィルタ装置を提供することを目的としたものである。こ
の実用新案登録願添付の図面に記載された当該考案の実施の具体例は,原告商品の
形態とかなり相違しており,当該考案は,商品化には至っていなかった。
その後,原告クレント及び原告エルミーダイムは,商品化へ向けての製
品の改良を進め,平成11年12月6日,本件意匠について登録出願をし,平成1
3年2月9日,本件意匠が登録された。
イ Aは,原告商品を商品化することを決定し,平成12年3月15日に原
告ブレストを設立し,同原告は,同年4月20日から原告商品の販売を開始した。
  原告ブレストは,平成12年11月から平成13年夏ころにかけて,日
経流通新聞,朝日新聞,読売新聞,日本工業新聞,東急ハンズのホームページ,雑
誌「オレンジページ」,商品カタログ「元気くん」,雑誌「日経ヘルス」のプレゼ
ントコーナー,雑誌「HOT LINE COSMONITY」,東急百貨店の通
信販売カタログ,ショッピングカタログ「LIVING Dinos」及び雑誌
「ピカイチ事典」等に広告や紹介記事を載せるなどして,原告商品の広報,宣伝活
動を行った。
その結果,原告ブレストは,原告商品の売上げを伸ばしていき,原告商
品,交換用フィルタ10枚入り及び同30枚入りの平成12年11月から平成13
年2月までの各売上げがそれぞれ,1517個,453個及び248個であったも
のが,平成13年11月から平成14年2月までの各売上げがそれぞれ,4527
個,2449個及び762個と増加し,それぞれの前年比は,298.42%,5
40.62%及び307.26%であった。
ウ 被告は,平成13年3月5日から同年10月19日にかけ,16回にわ
たり,原告商品の形態及び機能等が記載された原告ブレストのホームページを閲覧
した。
エ 被告は,平成13年11月26日,意匠に係る物品を「通気口フィルタ
ー」として,被告商品に係る意匠及びその部分意匠について意匠登録出願をし,平
成14年9月20日,意匠登録第1157685号(全体意匠)及び意匠登録第1
157686号(部分意匠)として意匠登録を受けた。
オ 上記被告登録意匠の意匠公報における「意匠に係る物品の説明」の欄に
は,「本物品は,使用状態を示す参考図に示すとおり,マンションの壁等に設けら
れる通気口及び換気口に本物品を固定することにより取り付けられ,内部のフィル
ターにより埃や粉塵,花粉等が除去される。」と記載され,他方,本件意匠公報に
おける「意匠に係る物品の説明」の欄には,「この『換気口用フィルタ』は参考分
解斜視図に示すように,マンションの壁等に設けられる換気口に『裏蓋』を固定す
ることにより取付けられ,内部の『フィルタ』により塵埃が除去される。」と記載
されており,表現が一致している部分がある。
また,上記被告登録意匠の意匠公報における「使用状態を示す参考図」
と本件意匠公報における「使用状態を示す参考斜視図」とを比較すると,両者は,
給気口が右上に位置しフィルタが左下に位置しているという給気口と商品の位置関
係,それらを結ぶ2つの直線の存在,給気口付近に描かれている斜線模様及び給気
口の形態について酷似しており,前者の図を約108%の割合で拡大すると,商品
の形態を除き後者の図とほぼ一致する。
カ 被告は,平成14年2月,被告登録意匠の実施品として被告商品の販売
を開始した。被告商品は,東急ハンズ渋谷店等においては,原告商品と同一の棚に
並べて販売された。原告商品の希望販売価格は,2500円であり,交換用フィル
タ10枚入りが1750円,同30枚入りが4880円であるのに対し,被告商品
の実勢価格は,598円であり,交換用フィルタ(何枚入りかは明らかではな
い。)が280円前後であって,原告商品よりも低価格で販売されている。
キ 被告は,被告商品を包装袋に入れて販売していたが,被告商品の包装袋
は,原告ブレストが販売促進用に作成した原告商品のパンフレットと,①「外気の
汚れをシャットアウト」とのキャッチフレーズを付している点,②商品の機能,特
徴の説明として,部屋の給気口に取り付けるだけであること,粉塵などのミクロの
汚れをキャッチすること,フィルタの交換時期がわかること,シンプルなデザイン
であることが記載されている点,③原告商品では,「大気粉塵,花粉,ほこり」の
各文字を記載しているところ,被告商品では,「粉じん,花粉,虫,ホコリ」を挙
げている点において共通する。他方,原告商品のパンフレットと被告商品の包装袋
とは,④いずれも女性のキャラクターのイラストを用いているが,その表現や絵の
配置は異なり,⑤いずれも既存の給気口の形態を3つ列挙しているが,個々の給気
口の形態及びその表現は異なり,原告商品では縦に,被告商品では横に配列してお
り,⑥いずれも商品使用後のフィルタの繊維に吸着した汚れを拡大して示した図を
用いているが,具体的な表現は異なっている。
ク 被告は,平成14年2月,お客様相談へのメールでの問い合わせに対
し,「お得な交換用フィルタは,原告商品にも使用できる」と回答した。
ケ 被告商品販売開始以降の平成14年3月から同年10月までの原告商
品,交換用フィルタ10枚入り及び同30枚入りの売上げは,それぞれ,5389
個,2947個及び770個であり,前年の同時期(平成13年3月から同年10
月まで)の各売上げである,8840個,5351個及び509個と比較して,6
0.96%,55.07%及び151.28%であった。
(2) 上記認定の各事実を前提に,被告の行為が民法709条の不法行為に該当
するか否かを検討する。
原告らが,原告商品の開発及び販売に長い時間と多大の労力をかけ,多額
の費用を費やしたことは,上記認定のとおりである。そして,原告らは,被告が,
原告商品の売上げが大幅に増加した時期に同じ機能を有する被告商品の販売を開始
し,その後,原告商品の売上げが減少したというのである。
前記1及び2認定のとおり,被告の行為は,意匠権侵害に該当せずかつ不
正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為にも該当しないところ,このような
場合において,民法709条所定の不法行為が成立するためには,ことさら相手方
に損害を与えることを意図して,法律上保護に値する相手方の営業上の利益を,著
しく不公正な方法により侵害したといい得ることが必要であると解される。けだ
し,先行者が費用,労力及び時間をかけて開発した成果にフリーライドし,ことさ
ら先行者に損害を与えることを意図して,法律上保護に値する営業上の利益を著し
く不公正な方法により侵害した場合には,自由競争の範囲を逸脱して不法行為を構
成するというべきであるが,他方,市場における競争は,本来自由であり,新規商
品が開発されて市場に出された後,知的財産権を侵害しない同種の商品を販売する
ことにより先行者との間で競争関係が生じること自体は,自由競争の範囲内の行為
ということができ,これを違法であるとすると,知的財産権によることなく同種商
品の販売自体を独占する結果となって経済の発展を阻害することになりかねないか
らである。
これを本件について見るに,被告が被告商品の開発に当たり原告ブレスト
のホームページを多数回にわたり閲覧していたことは,前記認定のとおりである
が,被告が,被告商品の開発にあたり,原告商品ないし本件意匠の形状及び内容を
先行技術の1つとして調査研究することは当然のことであるし,それをもとにし
て,知的財産権を侵害することのないように注意義務を尽くしながら独自の商品を
作成することは,非難されるべきものではない。そして,被告商品は,原告商品と
形態において大きく異なることは前記のとおりであり,被告がことさら原告らに損
害を与えることを意図して,著しく不公正な方法により被告商品の販売を行ったと
いうことはできない。
なお,原告らの主張する不法行為の具体的内容についての判断は,以下の
とおりである。
ア 前記第3の3の〔原告らの主張〕(3)アのうち,まず,商品の形態及び商
品構成の類似をいう部分については,前記2認定のとおり,両商品が類似しないこ
とが明らかである。また,原告商品と被告商品がいずれも換気口用フィルタである
ことに照らせば,商品用途及び商品機能デザインが類似することは不可避であり,
これをもって違法であるとすると,ある用途や機能を有する商品の製造販売を特定
の者に独占させ,後発商品を製造販売すること自体を制限することになって,事業
者間の自由かつ公正な競争を阻害することになり,国民経済の健全な発展にも支障
が生じかねない。さらに,商品の材質及び色における類似性は,ありふれたもので
あり,この点をもって違法ということはできない。
  被告登録意匠の出願書類において,「意匠に係る物品の説明」欄の表現
が本件意匠のそれと表現上一致している部分があることは,上記(1)オに認定したと
おりであるが,意匠に係る物品自体が同じである以上,表現においてこの程度の一
致が見られることをもって,違法ということはできない。もっとも,上記(1)オに認
定したとおり,被告意匠の出願書類に添付された「使用状態を示す参考図」が本件
意匠の出願書類に添付された「使用状態を示す参考斜視図」と酷似しているが,そ
の一事をもって,被告がことさら原告らに損害を与えることを意図したものという
ことはできず,不法行為が成立するとまではいえない。
イ 前記第3の3の〔原告らの主張〕(3)イのうち,①及び②については,上
記(1)キに認定したとおり,共通点が見られるが,原告商品と被告商品とが同一の機
能及び効用を有する商品である以上,この程度の共通点があることをもって,著し
く不公正なものということはできない。他方,同③については,女性のキャラクタ
ーの表現や絵の配置は異なり,同④については,既存の給気口の形態及び表現並び
にその配列は異なり,同⑤については,商品使用後のフィルタの繊維に吸着した汚
れを拡大して示した図の具体的な表現が異なっていることは,上記(1)キに認定した
とおりである。原告商品と被告商品の用途ないし機能が共通していることに照らせ
ば,両商品の宣伝文言の一部が一定程度類似することはある程度やむを得ないとい
わざるを得ず,この程度の類似性をもって,著しく不公正なものとまではいえず,
また,全体としては,被告商品の包装袋と原告商品のパンフレットが類似している
とはいえない。
ウ 前記第3の3の〔原告らの主張〕(3)ウのうち,被告商品が原告商品と並
べて陳列され,原告商品よりも低価格で販売されたことが認められるが,同種の商
品が並べて陳列されることは当然のことであるし,小売店での販売方法等について
被告が何らかの関与をしたと認めるに足りる証拠はない。また,交換用フィルタが
原告商品にも使用できる旨回答したことをとらえて,被告がことさら原告らに損害
を与えることを意図して,著しく不公正な方法により被告商品を販売しているとい
うことはできない。
(3) よって,被告の行為が不法行為に該当するとの原告らの主張は,理由がな
い。
第5 結論
以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも
理由がないからこれを棄却する。
    東京地方裁判所民事第47部
        裁判長裁判官  髙  部 眞規子
           裁判官  上  田 洋  幸
           裁判官  宮  崎  拓  也
(別紙)
原告商品目録被告商品目録類似点目録(商品)類似点目録(宣伝物)

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