弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人日野魁の上告理由第一、二点について。
 所論は、原判決の法令違反を主張するけれども、原判決が、本件養老保険契約に
おいて、当事者が保険金受取人を相続人と定めたことにつき、右相続人とは保険金
請求権発生当時の相続人を指定したものであつて、本件包括受遺者たる控訴人(上
告人)を指定する趣旨ではない旨認定したことを非難するに帰するものである。そ
して原判決の右判示は、その挙示する事実関係、証拠関係からこれを肯認し得ると
ころであつて、原判決に所論の違法は存せず、所論は、ひつきよう、原審の認定に
そわない事実を主張して、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難す
るか、または判決に影響を及ぼさない事項について原判決を非難するに帰し、すべ
て採るを得ない。
 同第三点について。
 所論は、養老保険契約において保険金受取人を保険期間満了の場合は被保険者、
被保険者死亡の場合は相続人と指定したときは、保険契約者は被保険者死亡の場合
保険金請求権を遺産として相続の対象とする旨の意思表示をなしたものであり、商
法六七五条一項但書の「別段ノ意思ヲ表示シタ」場合にあたると解すべきであり、
原判決引用の昭和一三年一二月一四日の大審院判例の見解は改められるべきもので
あつて、原判決には判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背があると主張するも
のであるけれども、本件養老保険契約において保険金受取人を単に「被保険者また
はその死亡の場合はその相続人」と約定し、被保険者死亡の場合の受取人を特定人
の氏名を挙げることなく抽象的に指定している場合でも、保険契約者の意思を合理
的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、右の如き指
定も有効であり、特段の事情のないかぎり、右指定は、被保険者死亡の時における、
すなわち保険金請求権発生当時の相続人たるべき者個人を受取人として特に指定し
たいわゆる他人のための保険契約と解するのが相当であつて、前記大審院判例の見
解は、いまなお、改める要を見ない。そして右の如く保険金受取人としてその請求
権発生当時の相続人たるべき個人を特に指定した場合には、右請求権は、保険契約
の効力発生と同時に右相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産
より離脱しているものといわねばならない。然らば、他に特段の事情の認められな
い本件において、右と同様の見解の下に、本件保険金請求権が右相続人の固有財産
に属し、その相続財産に属するものではない旨判示した原判決の判断は、正当とし
てこれを肯認し得る。原判決に所論の違法は存せず、所論は、ひつきよう、独自の
見解に立つて原判決を非難するものであつて、採るを得ない。
 同第四点について。
 所論は、上告人が原審において口頭弁論期日の再開申請をなしたにもかかわらず、
原審が右再開をしなかつたことを非難するものであるけれども、終結した口頭弁論
期日を再関するか否かは、原審の裁量に属することであるから、原審の右措置に何
らの違法は存せず、論旨は、採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛