弁護士法人ITJ法律事務所

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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
,(「」。)2被控訴人が阿波市となる前の徳島県阿波郡阿波町以下阿波町という
において徳島地方裁判所平成▲年(ワ)第▲号損害賠償請求事件(以下「前訴1
審」という)及び高松高等裁判所平成▲年(ネ)第▲号損害賠償請求控訴事件。
(以下「前訴控訴審」という。前訴1審と前訴控訴審とを併せて「前訴」とい
う)の訴訟委任に係る弁護士報酬として弁護士Aに支払った以下の合計19。
,,(「」。)7万5000円についてBに対して国家賠償法以下国賠法という
1条2項に基づき求償権を行使しないことが違法であることを確認する。
平成15年1月21日100万円
平成16年6月7日17万5000円
平成16年7月5日80万円
3訴訟費用は,第1,第2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
本件の事案の概要,前提事実,争点及び当事者の主張は,原判決第2「事案
の概要(2頁1行目から5頁24行目まで)記載のとおりであるから,これ」
を引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,原審と同様,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由
は,原判決第3「当裁判所の判断(5頁25行目から7頁11行目まで)記」
載のとおりであるから,これを引用する。ただし,6頁22行目から7頁9行
目までを削る。
2控訴人の控訴理由は,やや多岐にわたるが,その主な点は,本件弁護士費用
相当額を国賠法1条2項に基づき求償できるか否かという法律解釈に関する原
審の判断の誤りを指摘するものであり,要するに「地方公共団体が被害者に,
対して賠償する場合,地方公共団体は公務員が犯した違法行為のために弁護士
費用(訴訟費用)を支払っていたものであるから,賠償責任がない場合は公務
員に求償する理由がないものの,公務員の違法行為が確定した場合には,住民
の負託を受けた市長は,住民の税金で支払った弁護士費用を公務員に求償しな
ければならない義務がある。また,国賠法1条2項に基づき求償することがで
きるのは『国又は地方公共団体が被害者に対して賠償した損害に限られる』,。
という趣旨であるならば,同項は法の不備である」旨を主張する。。
しかしながら,国賠法1条2項の求償権の行使が認められるためには,①
国又は地方公共団体が被害者に対し,現実に損害賠償金を支払ったこと,②
加害公務員に故意又は重大な過失があること,2つの要件を具備する必要があ
るのであって,国又は地方公共団体が被害者に対して現実に支払った賠償額を
限度とするものである。ところが,控訴人主張の本件弁護士費用相当額とは,
阿波町及びその訴訟承継人である阿波市が前訴の訴訟追行に要した弁護士費用
相当額を指すものであるところ,阿波市が被害者たる吉田組に対して現実に支
払った損害賠償金合計439万5946円(解決金元本374万1450円と
これに対する平成14年10月27日から平成18年4月26日まで年5分の
割合による65万4496円の合計額)の中には本件弁護士費用相当額は含ま
れておらず,国賠法1条2項の解釈として,本件弁護士費用相当額につき,阿
波市が国賠法1条2項に基づいて加害公務員とされるBに対して求償すること
はできないと解さざるを得ない。控訴人主張の法の不備云々の点は,立法政策
上の当,不当の問題をいうにすぎない。
結局のところ,控訴人の上記主張は,独自の法律上の見解に立って原判決を
論難するものにすぎず,それが理由のないことは前記1で補正の上引用した原
判決が正しく説示しているとおりである。
3よって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がな
いから棄却することとして,主文のとおり判決する。
高松高等裁判所第2部
裁判長裁判官紙浦健二
裁判官小池晴彦
裁判官島岡大雄

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