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裁判例


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主文
1原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2前項に係る被控訴人の請求のうち,処分行政庁が平成19年5
月17日付けで被控訴人に対してした自己情報一部開示決定(春
刑発第308号)において原判決別紙の不開示部分C及びEを不
開示とした部分の取消しを求める部分を棄却する。
3第1項に係る被控訴人の請求のうち,原判決別紙の不開示部分
C及びEの開示決定の義務付けを求める部分の訴えを却下する。
4訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2前項に係る被控訴人の請求を棄却する。
第2事案の概要
1本件は,被控訴人が,平成19年愛知県条例第47号による改正前の愛知
県個人情報保護条例(平成16年愛知県条例第66号。本件条例)16条1
項に基づき,愛知県警察本部長(処分行政庁)に対し,地上10階建ての独
身寮から落下して死亡した長男の死亡現場を見分した調書等の開示を請求し
たところ,同本部長から,平成17年6月20日付け写真撮影報告書(本件
)()写真撮影報告書及び同年8月19日付け死体見分調書本件死体見分調書
のうち原判決別紙の不開示部分A∼Eを除く部分を開示する旨の一部開示決
定(本件決定)を受けたことから,本件決定のうち,原判決別紙の不開示部
分B,C及びE(本件不開示部分。なお,本件不開示部分のうち個々の不開
示部分を指す場合には,単に「不開示部分C」などという)を不開示とし。
た部分の取消しとその開示決定の義務付けを求めた抗告訴訟である。
原審は,本件決定のうち,不開示部分C及びEを本件条例17条6号に該
当するとして不開示とした愛知県警察本部長の判断は合理性のある判断とし
て許容される限度を超えるもので,裁量権を逸脱し又はこれを濫用した違法
な処分というべきであるとして,同部分の取消請求及びその部分の開示決定
の義務付けを求める請求をいずれも認容したが,不開示部分Bを不開示とし
た部分の取消請求には理由がないとしてこれを棄却するとともに,同部分の
開示決定の義務付けを求める訴えは不適法であるとして却下したため,控訴
人がその敗訴部分を不服として控訴した。なお,被控訴人は,その敗訴部分
につき不服申立てをしていないので,以下においては,本件決定のうち,不
開示部分C及びEを不開示とした部分の取消請求及びその開示決定の義務付
けを求める請求の当否について判断をするものである。
2そのほかの事案の概要は,次のとおり当審における当事者の補足的主張を
付加するほか,原判決「事実及び理由」欄第2並びに第3の1と2のそれぞ
れにおける(被告の主張)(1)及び(原告の主張)(1)のとおりであるから,
これを引用する。
(当審における控訴人の補足的主張)
(1)本件条例17条6号が「おそれがあると実施機関が認めることにつき
相当の理由がある情報」と規定したのは,犯罪の予防,鎮圧又は捜査等に
支障を及ぼすか否かの判断は,専門的,技術的判断を要するなどの特殊性
があることから,実施機関の第1次的判断を尊重したものであるから,そ
の判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものかどうかの審
理,判断において,同決定が事実上の基礎を全く欠くか,又は事実に対す
る評価が全く合理性を欠くこと等により,社会通念に照らして全く妥当性
を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し,それらが認められる
,,場合に限り実施機関の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったものとして
これを違法と判断することができると解すべきである。そして,裁量権の
逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的な事実については,情報公
開を請求する者(被控訴人)において主張立証すべきものである。しかる
に,被控訴人は,本件決定のうち,不開示部分C及びEを不開示とする愛
知県警察本部長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける
具体的事実について主張立証していない。
(2)本件各文書(不開示部分C及びE)は,αの死亡時の状況,転落後の
屋上の状況及び死体の状況等,個別具体的な状況と,これに基づく具体的
な判断が記録された文書であって,単なる一般的な捜査上の着眼点のみが
記録された文書ではない。
(3)本件は,見分官が現場の状況やαの死体の状況などから総合的に判断
して,当該判断時点においてはその死因が非犯罪死であるとして処理し,
一応の調査終結をみたにすぎない。後の特段の事情により犯罪に関わると
疑われる事実が判明した場合には,改めて捜査が開始されることになる。
他事件の例を見ても,上記判断が将来変更されるおそれが全くないもので
はなく,覆る可能性もあり得るのである。そのために,愛知県警察文書管
理規程では,死体見分調書記録につき,殺人罪の公訴時効期間を考慮して
25年の保存期間が定められている。本件についても刑事事件に発展する
可能性がないとは言い切れないのであるから,その前に不開示部分C及び
Eが開示されることになれば,犯人が対抗措置や防衛措置を謀ることが容
易になり,更には証拠隠滅を図る等,本件事案の捜査が開始された場合に
おいて,捜査に多大な支障が生じることとなる。そして,このように本件
が刑事事件に発展し,捜査が開始された場合には,本件各文書は捜査上重
要な文書として活用されることになるのであって,捜査書類としての側面
をも有しているものである。また,本件条例17条6号の規定からも明ら
かなとおり,犯罪捜査等情報は,事件性を有する文書類に記録された情報
に限定されているわけでもない。
(4)仮に,警察がいったん非犯罪死と判断した事案において,その作成し
た文書について,将来捜査が行われる可能性がないものとしてすべて開示
しなければならない事態になれば,犯罪行為を敢行又は企図する者が,警
察において非犯罪死と判断し,ことに自殺と判断したすべての事案につい
て作成した文書の開示請求を行うことにより,事件性がないと判断するに
至った論拠,ひいては犯罪捜査に係る着眼点,捜査手法及び関心事項に関
する情報を収集し集約することができ,それをもとに,対抗措置や防衛措
置を講じ,証拠隠滅を図ることなどが可能となるものであって,今後の警
察の捜査に多大な支障が生じることになる。
(当審における被控訴人の補足的主張)
(1)被控訴人も,本件条例17条6号の規定様式からして,同条項が実施
。,機関の第1次的判断を尊重していることを否定するものではないしかし
本件条例が原則開示の理念に依拠している以上,実施機関が不開示とした
根拠・理由等に照らして当該判断がそもそも合理性のある判断として許容
される限度内と認められないときは,不開示処分は裁量権の逸脱又は濫用
があったものとして違法というべきであり,実施機関において不開示要件
としている「相当の理由」を具体的に明示する必要がある。しかるに,控
訴人は,本件各文書が開示されることにより捜査等に支障を及ぼすことの
「相当の理由」について主張立証していない。
(2)本件各文書は,事件性がないことを前提に作成された文書であって,
捜査活動及び捜査手法などとは無縁の文書である。控訴人の主張は,捜査
に着手していないにもかかわらず,捜査に着手したことを前提に捜査手法
ないし当該死体の事件性を問題にするもので,論理矛盾を犯している。
また,仮に後日当該死体が事件性を帯びることがあるとしても,当該文
書が開示されることにより捜査等に支障を及ぼすことの「相当の理由」に
ついては想定し難いというべきである。別件の訴訟で証言した証人γは,
自殺認定に関する詳細かつ多岐にわたる証言をし,既に捜査の着眼点等を
明らかにしている。
,(3)控訴人が主張する理由で本件各文書の開示が認められないのであれば
非犯罪死(自殺)に関する作成文書のうち,認定根拠に関する部分は,形
式的かつ一律的にすべて開示されないこととなってしまうが,それでは原
則開示の理念に依拠する本件条例の制度趣旨に背馳することになる。
第3当裁判所の判断
当裁判所は,原判決とは異なり,本件決定のうち,不開示部分C及びEを不
開示とした愛知県警察本部長の判断は合理性のあるものとして許容し得るもの
であり,裁量権の逸脱又は濫用は認められず適法というべきであって,その取
消しを求める被控訴人の請求は理由がなく,また,同不開示部分の開示決定の
義務付けを求める被控訴人の訴えは不適法であると判断する。その理由は,次
のとおりである。
1本件各文書のうち本件決定が不開示とした範囲について
「」,原判決事実及び理由欄第4の1(1)及び(2)に記載のとおりであるから
これを引用する。
2本件決定が不開示部分C及びEを不開示としたことは適法か
(1)本件条例17条6号該当性の判断の在り方
本件条例は,個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定め,実施機
関の保有する個人情報の開示等を請求する個人の権利を明らかにし,もっ
て県政の適正な運営を図りつつ,個人の権利利益を保護することを目的と
して制定され(1条,その観点から,実施機関に対し,保有個人情報に)
ついて,17条各号に掲げる不開示情報が記載されている場合を除いて,
原則として開示することを義務付けている(同条柱書。)
,(,「」。),そして本件条例17条6号以下単に17条6号というは
「開示することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執
行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機
関が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報と規定してい
るところ,その趣旨は,公共の安全と秩序の維持の確保は県民全体の基本
的な利益であり,これらの利益を守ることは地方公共団体である愛知県に
とって重要な責務であることから,これらの利益を保護するため,同号に
該当する情報を不開示とするものと解される。そして,同号が「おそれが
あると認めるに足りる相当の理由がある情報」とは規定せず「おそれが,
あると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定したの
は,犯罪の予防,鎮圧又は捜査等に支障を及ぼすおそれの有無についての
判断は,その性質上,犯罪や捜査等に関する将来の予測を含む専門的,技
術的判断を要するという特殊性があることから,実施機関の第1次的な判
断を尊重する趣旨を明確にしたものであって,その裁量を制限する趣旨で
はないものと解される。
したがって,裁判所は,17条6号に掲げる不開示情報に該当するか否
かについての実施機関の判断が違法となるかどうかを審理,判断するにあ
たっては,その判断が実施機関の裁量権の行使としてされたものであるこ
とを前提にして,それが合理性を持つものとして許容される限度内のもの
であるかどうか,すなわち,不開示の判断の基礎とされた重要な事実に誤
認がある等により同判断が全く事実の基礎を欠くかどうか,あるいは,事
実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により同判断が社会通念上著
しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかなど,裁量権の範囲をこえ
又はその濫用があったと認められる点があるか否かを審理し,これが認め
られる場合に限り違法とすべきものであって,開示請求者においては,か
かる裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事
実について主張立証することを要するものと解するのが相当である。
もっとも,不開示事由の存在は,実施機関に上記のような裁量権が認め
られない場合にあっては,不開示決定が適法であることを主張する実施機
関の側で主張立証すべきものと解されることや,不開示事由の存否が問題
となる当該文書又はそのうちの不開示部分は開示請求者及び裁判所の目に
触れる状況に置かれることがないことからすれば,まず,実施機関におい
て,当該情報が,その性質上その他の理由により,17条6号所定の「開
示することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行そ
の他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と判断し得
る情報であることについて主張立証する必要があるというべきである。
(2)この点について,控訴人は,本件死体見分調書に添付された本件報告
書中の「死体の状況」欄「見分官の判断」欄には,警察の捜査手法等に,
ついて記載されており,飛降現場断面図や現場見取図は,死体の状況,現
場の状況及び遺留物等の詳細な位置関係が記載されているから,不開示部
分の記載内容は犯罪捜査を行う上で重要な捜査の秘密事項となるなどと主
張し,また,本件写真撮影報告書は,αの死体の状況や行政検視の状況等
を疎明するため写真撮影されたものであり,不開示部分には,警察がαの
死体につき,犯罪死体であるか否かを判別するために着眼する部位等が撮
影されており,死体の状況につき,警察の捜査手法等が記録された捜査書
類であると主張するので,以下検討を加える。
本件の不開示部分Cは,本件報告書中の「死体の状況」及び「見分官の
判断」欄の記載の一部並びに飛降現場断面図及び現場見取図のうちタイト
ル(表題)を除くすべての部分であり,不開示部分Eは,死者の状況を明
確にするための本件写真撮影報告書に添付された写真合計18枚のうち,
写真番号7ないし18(合計12枚)であるところ,これらの記載項目の
性質及び想定される内容,不開示とされた部分の前後の文脈,更には開示
された部分との対比等に加え,そもそも本件報告書にしても本件写真撮影
報告書にしても,これらの文書若しくは写真の性質上,対象者であるαの
死亡が犯罪に起因するものかどうかを検討し判断する際の着眼点,本件に
おける個別具体的な検討及び判断の過程並びに結果等が,自ずとその記載
や写真に具体的に表現され,あるいは反映されるものであることからすれ
ば,不開示部分C及びEには,αの死亡の事件性に関する個別具体的な調
査内容,判断過程及び結果等についての記載や写真があるものと推認する
ことができる。
そして,本件における非犯罪死との判断は,当然のことながら,調査等
の結果,その判断時点において判明し把握し得た情報をもとにしたものに
すぎないのであり,このように一旦は犯罪によるものではないと判断され
ても,それが固定されるわけではなく,後に新たに判明した事情により犯
罪に関わるとの疑いが生じることもあるのであって,現に自殺や事故を装
った犯罪が多く存在することからは,そのような可能性を否定することは
できない。そうであるとすると,上記のような記載や写真を含む不開示部
分C及びEが開示されれば,仮にαの死亡が犯罪に起因するものであった
,,,場合にはその犯罪に関わった者において開示された情報をもとにして
控訴人の主張するように証拠隠滅等の隠蔽工作や,その他の対抗措置,防
衛措置を講じるおそれがあるということができる。また,仮に本件では犯
罪との関わりが疑われる事態が生じないとしても,上記のような記載や写
真を含む不開示部分C及びEが開示されると,これによって本件のような
事案において犯罪に起因するものかどうかを検討し判断する際の着眼点や
検討及び判断の過程等が具体的に明らかとなり,その結果,犯罪行為を行
い又は行おうとする者による証拠隠滅や,対抗措置,防衛措置等に利用さ
れるおそれがあるということもできる。これらが,犯罪の予防や捜査等の
支障となることは明らかである。
以上によれば,不開示部分C及びEには,17条6号所定の「開示する
ことにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の
公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と判断し得る情報
が記録されているものと認めるのが相当である。
(3)したがって,不開示部分C及びEが不開示情報に該当するとした実施
機関である愛知県警察本部長の判断については,それが裁量権の範囲をこ
え又はその濫用によるものと認められない限り,これを違法ということは
できない。そして,本件においては,愛知県警察本部長の上記判断につい
て,その基礎とされた重要な事実に誤認がある等により同判断が全く事実
の基礎を欠き,あるいは,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等
により同判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,
裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったと認めるに足る証拠はない。
この点につき,被控訴人は,本件各文書は,いずれもαの死亡を自殺と
認定して,その事件性を否定したものであり,17条6号が本来対象とし
ている事件性を有する文書とは性格を異にするものであって,同号の対象
にはならないと主張する。本件各文書が事件性を否定する前提で作成され
たものであることは被控訴人の主張するとおりであるが,そもそも17条
6号の規定からは,その対象となる情報が必ずしも現に事件性を有する文
書に記載された情報に限定されるものとは解されない。また,前述したと
おり,本件での事件性を否定した判断は,その判断時点において判明した
情報をもとにしたものにすぎないのであり,一旦は犯罪によるものでない
と判断されても,それが固定されるわけではなく,後に判明した事情によ
り犯罪に関わるとの疑いが生じて覆ることもあることからすれば,本件各
文書が事件性の否定のもとに作成されたものであることを理由に裁量権の
逸脱,濫用があるということはできない。
被控訴人は,そのような将来犯罪に関わるとの疑いが生じる可能性とい
うのでは,具体性,客観性に欠けるとも主張するが,具体的に嫌疑が認め
られるような事情があれば当然捜査が進められるのであって,より一層支
障が生じるおそれがあることとなり,そうでなくても,前述したようなお
それの存することが認められる以上は,これを理由に不開示情報と判断し
たことに裁量権の逸脱,濫用があるとはいえない。
被控訴人は,原則開示の理念に依拠する本件条例の制度趣旨に反すると
も主張するが,17条6号の規定から上記のように解されることはすでに
述べたとおりである。
また,本件各文書の内容が検視調書のそれと同様であって,刑事事件に
なれば検視調書は証拠として提出され,その内容が明らかになってしまう
からといって,本件各文書についてもすべて開示すべきものということは
できず,また,前述したような本件の不開示部分C及びEの開示により捜
査等への支障が生じるおそれがすべて否定されるものとも認められない。
被控訴人は,別件の訴訟において,本件各文書の作成に関与した証人γ
は,自殺の認定に関して詳細かつ多岐にわたる証言をして,すでに調査な
いし捜査の着眼点等を明らかにしている,また,仮に本件各文書が17条
6号の対象に含まれるとしても,本件開示請求はαの死亡原因を解明する
ため,親として当然の心情によるもので,他の不正・不法な意図に基づく
ものではないなどとも主張するが,いずれも上記判断を左右するものでは
ない。
そして,本件においては,本件死体見分調書(とりわけ同調書添付の本
件報告書)及び本件写真撮影報告書の記載内容又は写真が全面的に開示さ
れなかったものではなく,17条6号に該当すると判断された部分が一部
開示されなかったにとどまることからも,本件の不開示部分C及びEを不
開示とした判断が裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったということは
できないのである。
(4)以上によれば,実施機関である愛知県警察本部長による不開示部分C
及びEを不開示とした判断には,裁量権の逸脱又は濫用は認められず,こ
れに基づく本件決定は適法というべきである。
3したがって,本件決定のうち,本件不開示部分C及びEを不開示とした部
分の取消を求める被控訴人の請求は理由がない。
そして,不開示部分C及びEの開示決定の義務付けを求める訴えは,同部
分を不開示とした決定が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不
存在であるときに限って提起することができるものであるから(行政事件訴
訟法37条の3第1項,その要件を欠いて不適法である。)
第4結論
以上のとおりであるから,本件決定のうち,不開示部分C及びEを不開示と
した部分の取消請求は理由がなく棄却すべきであり,不開示部分C及びEの開
。,示決定の義務付けを求める訴えは不適法であり却下すべきであるしたがって
原判決のうち控訴人敗訴部分は取り消されるべきであるから,主文のとおり判
決する。
名古屋高等裁判所民事第2部
裁判長裁判官西島幸夫
裁判官野々垣隆樹
裁判官浅田秀俊

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