弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人村田左文の上告理由第一点について。
 所論は、原判決には当事者の主張しない事実を認定した違法があると主張する。
しかし、原判決の引用する第一審判決の事実摘示によると、被上告人(原告)が昭
和二九年八月九日元金一五〇万円、弁済期同三一年二月九日、利息月二分毎月九日
払い、その他の約定の金銭消費貸借の成立を主張したのに対し、上告人(被告)ら
は利息および弁済期を除き被上告人主張の金銭消費貸借の成立を認め、利息は月三
分、弁済期は同三〇年二月九日の約である旨主張して積極的に否認しているのであ
るが、原判決(その引用する第一審判決をふくむ、以下同じ)が被上告人の主張に
かかる金銭消費貸借の弁済期を認定するに当り、被上告人の主張を排斥して、これ
を昭和三〇年二月九日であると認定しても、それは争ある事実を認定しただけのこ
とであつて、所論のように当事者の主張しない事実を認定した違法をおかしたもの
とはいえない。
 また、原判決の認定した金銭消費貸借が被上告人主張の金銭消費貸借と同一性を
有するものである旨の原審の判断も正当であつて、元金、利息、貸付日、弁済期の
いずれか一つが異れば貸金債務の同一性を失うという所論は、独自の見解であつて、
採用できない。
 同第二点について。
 所論は、本件代物弁済予約完結の意思表示が本件訴状の送達をもつてなされた旨
の原審の判断を非難する。なるほど、被上告人は本件訴状で停止条件付代物弁済契
約を主張しているので、予約完結の意思表示についてふれるところはないが、右訴
状には代物弁済の効力を生じたことを前提とする主張が記載されている以上、その
後の弁論において被上告人が代物弁済の予約の主張を追加し、かつその予約完結権
の行使が訴状の送達をもつてなされた旨主張したときは(第一審判決理由八参照)、
右訴状送達の時に予約完結権の行使があつたものと認めても、差し支えがない。原
判決には所論のような違法はなく、所論は、独自の見解であつて、採用できない。
 同第三点について。
 所論は、本件貸金債務については内入弁済があり、代物弁済予約完結の意思表示
のあつたという昭和三二年七月二三日現在においては、本件貸金の元本額は当初の
金一五〇万円を遙かに下廻るものであつたから、予約完結権はその当時既に消滅し
ていたと主張する。ところで、上告人Aが本件金一五〇万円の外に昭和三〇年四月
頃被上告人から金五〇万円を無担保で借り受け、同額の金員を被上告人に支払つて
いるとの原審で主張判断のない事実を前提として、本件貸金債務に同額の弁済があ
つたことを主張する所論は、採用の限りでなく、また被上告人が受領したことを自
認している昭和三〇年四月九日までの八ヶ月間の利息の利息制限法超過部分を、仮
りに上告人ら主張のとおり、元金に充当してみても、一五〇万円の元金が僅かに一
〇万円足らずしか減少しないものであることは計算上明白なところである。代物弁
済の予約において、それによつて担保さるべき債権額が右の程度に減少したからと
いつて(原判決は、仮りに一五万円程度減少してもと判示しているが)、特別の事
情のない限り、代物弁済予約完結権は消滅することはないとした原審の判断は正当
である。所論は、原審において主張判断のない事実を前提とし、或は独自の見解に
立つて、原判決を非難するものであつて、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

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