弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人村田光雄の上告理由第一点について。
 原判決および一件記録によると、上告人・被上告人間においては、本件山林の所
有権の取得の経過について互いに主張の相違があつても、昭和二三年二月訴外Dが
本件山林の所有権を取得したこと、および同年五月五日訴外Eから訴外Dあてに所
有権の移転登記がされていることは当事者間に争いがないものとされていることが
認められる。したがつて、訴外Dが本件山林の所有権者であることが当事者間に争
いがないと解される以上、原判決が訴外Dを本件山林の所有権者であることを前提
として判断することは許されるべきであるから、所論の別件訴訟において、原判決
と同一構成の裁判官が、本件判決と異なり、所論のように訴外Dが所論の山林につ
いて無権利者である旨を判示したからといつて、ただちに原判決に所論のごとき違
法があるとはいえない。
 なお、所論の昭和三六年九月一日付第一回準備書面一項中には、所論のような記
載のあることは本件一件記録上認められるが、右準備書面は原審の第二回口頭弁論
期日(昭和三六年一一月一〇日)において第三回準備書面(昭和三六年一一月一〇
日付準備書面)の所有権確認請求について述べる旨陳述され、しかも、右第三回準
備書面においては、訴外Dを本件山林の所有者である旨を明示し、かつ、その詳細
は第一審判決の肯定しているとおりである旨記載されているのであり、したがつて、
前記第一回準備書面自体は第三回準備書面の記述につき追加陳述したにすぎないと
解されるから、本件山林についてDが無権利者であるとする第一回準備書面の右部
分は第三回準備書面により訂正されて口頭弁論期日に陳述されたものと解するのが
相当であり、原判決が、訴外Dが本件山林の所有権者であることは当事者間に争い
がない旨説示したことは、違法ではない。
 また、被上告人が訴外Dとの間に成立した売買契約に基づいて所有権の取得登記
をしたのは、所論のごとく上告人からの処分禁止の仮処分の登記後であることは、
原判決の判文上明らかであるが、仮処分債権者である上告人は、その本案訴訟で勝
訴して実体法上の権利を確定しないかぎり、単なる仮処分債権者である地位だけで、
いわゆる登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者である被上告人に
対し、その所有権を主張し対抗することは許されないと解するのが相当である(第
二小法廷判決昭和三七年六月八日民集一六巻七号一二八三頁参照)。したがつて、
所論の点の原判決の判断は当裁判所も正当として是認しうる。
 原判決には、所論のような違法はなく、所論は、いずれも採用しがたい。
 同第二点について。
 所論は,原判決の認定せざる事実を前提として原判決を非難するものであつて、
とるをえない。
 同第三点について。
 一筆の土地の一部についても、これを売買の取引などの対象としうることは当裁
判所の判例とするところ(第二小法廷判決昭和二八年(オ)第八四七号同三〇年六
月二四日民集九巻七号九一九頁)、原判決の適法に確定するところによると、訴外
Dの父Fは、Dの代理人として、被上告人に対し、本件山林一四町四反歩につき、
小屋の谷の下の曾根を境としてそれより下全部をa番の一・小屋の谷の上の曾根よ
り奥全部を同番のc、小屋の谷の水流れ、すなわち、上・下の曾根を境としてその
間全部を同番のd(五町四反歩)の三筆に分割し、右a番のb・cの二筆(合計九
町歩)を売り渡す旨の契約を結んだというのであるから、当事者間においては、右
契約当時、それぞれの範囲は十分特定していたものと認めることができるのであつ
て、所論のごとく自然の地形を抽象的に表示して範囲不明のまま売買契約を結んだ
ものということはできない。
 原判決が本件山林の売買契約の成立を有効と解したのは相当であつて、原判決に
は、所論のような違法はない。
 同第四点について。
 所論は、原判決の否定した事実、すなわち、訴外Dが本件山林の所有権者でない
ことを前提とするものであるから、結局、前提を欠くものとして、排斥を免れない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

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