弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被控訴人に対する家屋明渡請求を棄却した部分を取消す。
     被控訴人は控訴人に対し別紙目録の家屋を明渡すべし。
     訴訟費用は第一、二審を通じてこれを三分し、その一を控訴人の負担、
その余を被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は主文第一、二項と同旨竝に訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担
とするとの判決を求め、被控訴人は当審において判決を求める事項の申立をしなか
つた。
 当事者双方の事実上の陳述及び証拠の提出認否は控訴代理人において、本件賃貸
借解約の正当事由として左の事情を附加する。すなわち控訴人は原審判決言渡後巨
額に上る保証債務を弁済するため小倉市a町にある自己所有の宅地家屋を売却処分
しなければならぬこととなつたが、他に立退先を得られないので、本件家屋の明渡
を求めてこれに入居する外ない事情にあると述べ、証拠として当審における控訴本
人の尋問を求めた外、原判決事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。
         理    由
 本件建物は元訴外Aの所有であつたが、福岡地方裁判所小倉支部昭和二十五年
(ケ)第一三二号不動産競売事件において控訴人がこれを競落し、昭和二十七年九
月十六日競落許可決定を得、同年十月三十日右競落により控訴人名義に所有権移転
登記がなされたこと、被控訴人は昭和二十五年十一月十五日右訴外Aから賃貸期間
三ケ年の約で本件建物を賃借し、その頃これが引渡を受け、爾来居住占有している
ことは当事者間に争がない。
 被控訴人の賃料債務不履行に基く賃貸借解除により本件賃貸借は終了したとの控
訴人の主張については、当裁判所も原判決と同一理由によりこれを採用し難いもの
と判定するので、右原判決理由の当該説示部分を引用する。
 よつて次に控訴人の賃貸借期間満了による賃借権消滅の主張について考える。
 各成立に争のない甲第一号証、同第二号証の一乃至三、同第三及び第五号証によ
れば、訴外入田鹿一は昭和二十四年十月二十九日訴外Aに対する債権のため本件建
物に抵当権設定登記を受け、昭和二十五年十一月三十日右抵当権実行のため本件建
物の競売を申立て、即日競売手続開始決定がなされ、昭和二十七年七月三十日競売
及競落期日公告がなされ、同年九月十日の競売期日に控訴人がこれを競落したこと
が認められ、他に特段の事情の認められない本件においてはおそくも右競売期日公
告以前に所有者Aに対する競売手続開始決定の送達及び競売申立記入登記がなされ
たものと推断すべきである。そして被控訴人は右抵当権設定登記後である昭和二十
五年十一月十五日当時の所有者Aとの間に期間三年の短期賃貸借契約をしたもので
あること上記のとおりである。
 <要旨>およそ抵当権設定登記後の賃貸借であつても、それが民法第六〇二条の期
間を超えない短期賃貸借であり、且つ登記又は建物の引渡により対抗力を具
えたものであれば抵当権者、従つて該抵当権の実行による競落人にも対抗できるこ
とは民法第三九五条の定めるところである。しかしながら借家法第二条第一項の法
定更新の関係においては、その更新の時期が抵当権実行着手前であれば、更新後の
賃貸借ももとより抵当権者に対抗できるものであるが(この場合は更新のみでなく
新たな短期賃貸借も可能である)、抵当権実行に着手し競売開始決定の送達又は競
売申立記入登記により目的建物に対する差押の効力を生じた後に更新時期が到来し
た場合は、もはや更新後の賃貸借は競落人に対抗できないものと解するのが相当で
ある。なるほど差押の効力は所有者の任意処分の権能を制限するに過ぎないから、
差押後所有者が新たに賃貸借を締結したり合意で契約を更新したりすることはでき
ないが、借家法の法定更新は賃貸人の意思に拘らず法律の擬制により当然更新の効
果を生ずるものであるから、差押の効力の及ぶ範囲外である(賃貸借ある建物の所
有者に対する一般債権者が建物を差押え競売手続進行中に賃貸借の更新時期が到来
した場合はそうであろう)とも一応考えられるけれども、もしそうだとすれば、短
期賃貸借といえども更新の結果は長期の賃貸借と選ぶところはないこととなり、法
が本来なら抵当権者に対抗できない筈である抵当権登記後の賃貸借でも特に短期の
ものに限つて対抗力を許容せんとした趣旨は全く失われる結果となる。すなわち借
家法の法定更新の規定は民法第三九五条の短期賃貸借の関係においては、右のよう
にこれを制限して適用すべきものとなさなければならない。そして右の理は賃貸借
期間満了の時期が、差押後競売手続進行中に到来した場合と、競売によつて建物所
有権が競落人に帰属した後に到来した場合とにより、これを異別に取扱うべき理由
はないから、競落人の所有権取得後は競落人と賃借人との間には借家法第二条第一
項はその適用がないものといわなければならない。
 そこで本件においては、前段認定のように控訴人は競落により本件建物の所有権
を取得し、被控訴人に対する賃貸借関係を承継したものであるが、その後昭和二十
八年十一月十四日賃貸期間満了と共に本件賃貸借は終了したこと明かである。
 しからば右賃貸借終了を原因とし被控訴人に対し本件建物の明渡を求める控訴人
の本訴請求は爾余の争点に対する判断を待たず、正当としてこれを認容すべきであ
り、右と異る原判決はこれを取消すべきものとし、民事訴訟法第三八六条第九六条
第九二条を適用して主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 竹下利之右衛門 判事 岩永金次郎 判事 佐藤秀)
 (別紙目録は省略する。)

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