弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中各六十日を被告人A、B、Cの各本刑に算
入する。
         理    由
 検察官の上告受理申立理由について。
 爆発物取締罰則にいわゆる爆発物とは、理化学上のいわゆる爆発現象を惹起する
ような不安定な平衡状態において、薬品その他の資料が結合せる物体であつて、そ
の爆発作用そのものによつて、公共の安全を撹乱し、又は人の身体財産を傷害損壊
するに足る破壊力を有するものをいうと解すべきである。しかして、こゝに「理化
学上のいわゆる爆発現象」というのは、原判決が第一審鑑定人等の鑑定の結果によ
り判示しているごとく、爆発とは一般的に或る物体の体積が急激迅速に増大する現
象をいゝ、理化学的には或る物質が化学変化を起して発生速度が逸散速度を非常に
大きく凌駕した速度で一時に多量の熱及びガスを発生し、体積の急激な増大を来す
現象を指称するものと解すべきである。
 本件火焔瓶の原料、構造、装置は第一審判決の確定するところであり、その作用、
性能については、同判決が前示鑑定人の鑑定により認定しているごとく、瓶中に入
れてある濃硫酸が瓶の破壊に因り流出して、瓶の外壁に貼付した紙に附著せしめて
ある塩素酸加里に触れ、その結果急激な化学反応が起り、塩素ガス、酸素ガスを発
生して高熱を発し、理化学上いわゆる爆発現象を惹起し、因つて瓶中から流出した
揮発油に引火燃焼するに至らしめるものである。従つて、右瓶の投擲等による破壊
の結果理化学上いわゆる爆発現象を惹起するのではあるけれども、本件火焔瓶に装
置せられたがごとき少量の塩素酸加里では、その爆発現象も極めて局部的小爆発に
過ぎず単に揮発油に点火するマツチの作用をするに止まり、その爆発自体によつて
は、何ら公共の平和を撹乱し、人の身体財産を傷害損壊する力のないものであるこ
とが明らかである。また、この点火の結果揮発油の燃焼が生ずるのであるけれども、
その燃焼状態は前示鑑定によれば開放気中においては揮発油が蒸発して稀薄となり、
燃焼物が外気に触れる確率が非常に大であるから、熱の発生速度と逸散速度とが一
定の釣合を保つて定常的に進行するのであつて、通常の揮発油の燃焼状態を生ずる
に過ぎず、こ勿燃焼状態をもつて、いわゆる非定常燃焼乃至爆発の現象とすること
のできないことも明らかであつて、たとえ、所論のように相当急激な燃焼作用を惹
起するものであるとしても、右燃焼がいわゆる理化学上の爆発現象にまで立ち至る
ものでないことも亦、極めて明瞭である。
 とすれば、火焔瓶は、本件第一審判決の認定したごとき構造装置の限度において
は、未だ以て、爆発物取締罰則にいわゆる爆発物に該当しないものというべく、所
論は独自の見解に立つて右判断と相反する主張をするものであつて、これを採用す
ることはできない。
 被告人D、A、B、C、Dの各上告趣意について。
 所論は、何れも事実誤認及び原審において主張判断されていない法令違反の主張
であつて、上告適法の理由にならない。
 弁護人小沢茂、原田香留夫、佐藤義彌の上告趣意第一点乃至第三点及び第五点に
ついて。
 所論は、何れも原判決が当裁判所大審院或は高等裁判所の判例と相反する判断を
したというのであるが、挙示の判例は、何れも本件に適切でなく、所論は何れも理
由のない法令違反の主張に過ぎず上告適法の理由とならない。
 同第四点、第六点、第七点について。
 所論は違憲をいうが、その前提とする刑罰法令及び訴訟法の違反を認められない
から、違憲の主張はその前提を欠き上告適法の理由とならない。
 同第八点について。
 銃砲刀剣類等所持取締令が憲法に違反しないことは、当裁判所大法廷判例の趣旨
とするところであり(昭和二二年(れ)二七九号同二三年六月二三日大法廷判決)、
また昭和二〇年勅令五四二号が講和条約の発効によつて直ちに無効となるものでな
いことも当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二四年(れ)六八五号同
二八年四月一日大法廷判決、同二七年(あ)二八六八号同二八年七月二二日大法廷
判決)。 従つて右銃砲刀剣類等所持取締令に法律としての効力を認めた昭和二七
年法律第一三号も有効であり、右取締令違反を処罰した原判決も何ら違法の点がな
い。所論は理由がない。
 同第九点について。
 外国人登録令が憲法に違反して無効であるといつても、同条の如何なる条項が、
如何なる理由により、憲法の如何なる条項に違反するかについて何ら具体的に挙示
せずに単に憲法の諸条文を羅列して違憲を主張することは上告適法の理由にならな
い。
 よつて本件上告は、何れも理由がないから、刑訴四〇八条により被告人A、B、
Cについては各刑法二一条を適用し、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
  昭和二八年一一月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判官小谷勝重は出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    霜   山   精   一

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