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平成13年(行ケ)第79号審決取消請求事件
平成14年5月30日口頭弁論終結
判決
  原      告   三洋電機株式会社
   訴訟代理人弁護士   本渡諒一
同   谷口由記
同   木島喜一
同   伊藤孝江
同弁理士   深見久郎
同     芝野正雅
      同           堀  井     豊
   被      告   株式会社ディスクラボ
被      告   株式会社ツルテック
両名訴訟代理人弁護士飯 田 秀 郷
同   栗 宇 一 樹
同   早稲本 和 徳
      同           秋  野  卓  生
      同           七  字  賢  彦
      同           鈴  木  英  之
同弁理士梶山佶是
      同           山  本  富士男
  被      告破産者株式会社オプテック破産管財人
増田勝久
主文
 特許庁が平成7年審判第13939号,同年審判第20943号,平成
11年審判第35306号を併合した上でした審決のうち,平成7年審判第209
43号に係る部分を取り消す。
 訴訟費用は被告らの負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告の請求の趣旨
 主文と同旨
2 被告破産者株式会社オプテック破産管財人の本案前の答弁
  原告の破産者株式会社オプテック破産管財人に対する訴えを却下する。
  訴訟費用は原告の負担とする。
3 被告ら各自の本案の答弁
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
 原告は,発明の名称を「記録媒体」とする特許第1641076号の特許
(昭和55年6月9日に実用新案登録出願し,昭和62年4月16日,これを特許
出願(特願昭62-93714号)に出願変更するとともに,同日,その一部を分
割してこれにつき新たに特許出願(特願昭62-93716号)し,平成4年2月
18日,設定の登録を受けた。以下,これを「本件特許」という。)の特許権者で
ある。
 被告らは,平成7年9月26日,本件特許を請求項1,2のいずれに関しても無効
とすることについて審判の請求をし,特許庁は,同請求を平成7年審判第2094
3号事件として審理し,その結果,平成9年12月2日,原告が訂正請求をしてい
ないにもかかわらず,「訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決をした(以下「前審決」という。)。
 被告らは,前審決の取消しを求めて当庁に訴えを提起し,当庁では,これを平成
10年(行ケ)第39号事件として審理し,その結果,平成12年1月20日,前審
決を取り消す旨の判決をし(以下「前判決」という。),これが確定した。
 特許庁は,前審決を取り消す前判決の確定を受けて,平成7年審判第20943号
事件を再度審理し,その審理中である平成12年8月30日,これと別件平成7年審
判第13939号事件及び同平成11年審判第35306号事件とを併合し,この
併合された3事件について,平成13年1月9日,「特許第1641076号発明
の特許を無効とする。」との審決をし(以下「本件審決」という。),同年1月2
9日,原告にその謄本を送達した。
2 特許請求の範囲
「1 複数のプログラムより成る主情報に対しトータル再生経過時間情報を所
定周期で多重記録して成る記録媒体に於て,
 プログラム毎に設定されるプログラム再生経過時間情報を前記所定周期で多重記
録することを特徴とする記録媒体。
2 前記記録媒体はスパイラル状記録トラックを形成するデイスクレコード
であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の記録媒体。」
3 本件審決の理由
 本件審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。そこには,平成7年審
判第20943号についての当事者の主張の記載はあるが,これについての認定判
断の記載はない。
第3 原告主張の取消事由の要点
 本件審決は,判断遺脱(取消事由1),裁量権の濫用(取消事由2),当事
者でない者に対する審決(取消事由3)という重大な誤りを犯しており,これらの
誤りは,それぞれ結論に影響することが明らかであるから,審決は,違法として取
り消されなければならない。
1 取消事由1(判断遺脱)
 本件審決において,審判官は,別件平成7年審判第13939号についての
判断をしたのみで,平成7年審判第20943号及び別件平成11年審判第353
06号についての認定判断をしないままに,併合された3事件全部について,「特
許第1641076号発明の特許を無効とする。」との審決をした。
 本件審決には,平成7年審判第20943号及び別件平成11年審判第3530
6号について認定判断せずに,これらについても本件特許を無効とするとの結論を
導き出すという,判断遺脱の違法がある。
2 取消事由2(裁量権の濫用)
 前記のとおり,原告は,平成7年審判第20943号事件において,訂正請求
をしていなかった。ところが,審判官は,同事件について原告が訂正請求をしてい
るとの前提に立って審決を行ったため,その審決は,当庁において,手続違背によ
り取り消され(乙第2号証。当庁平成12年1月20日判決・平成10年(行ケ)第
39号審決取消請求事件),これが確定した。したがって,平成7年審判第209
43号事件においては,審判官は,上記確定した取消判決の拘束力により,訂正請
求があることを前提とする審決をすることはできないはずであった。ところが,審
判官は,訂正請求のされている別件平成7年審判第13939号事件等に,訂正請
求のない平成7年審判第20943号事件を併合した上で,訂正請求のある平成7
年審判第13939号事件についての判断をしただけで,その効果を訂正請求のな
い平成7年審判第20943号事件に及ぼそうとした。審判官は,平成7年審判第
20943号事件については,取消判決の拘束力に従って審理をしなければならな
いのに,併合によって回避しようとしたものである。
 審判を併合するか否かは審判官の裁量であるとはいえ,上記併合は,裁量権を著
しく逸脱しているというべきである。本件の併合手続は,それ自体違法である。
3 取消事由3(当事者でない者に対して審決をしたこと)
 平成7年審判第20943号事件の請求人の一人であった株式会社オプテッ
クは,上記事件に係る上記平成10年(行ケ)第39号審決取消請求事件が当庁に係
属中であった平成10年9月9日に破産宣告を受けたため,訴訟手続が中断し,そ
の後,株式会社オプテックの破産管財人である増田弁護士が,訴訟手続を受継したう
え,訴えを取り下げた。したがって,平成7年審判第20943号事件は,原告と
破産管財人である増田弁護士との関係で,無効請求不成立の審決が確定した。それ
にもかかわらず,本件審決は,もはや請求人ではなくなった株式会社オプテックを
平成7年審判第20943号事件の請求人の一人としたままの形で,これと,別件平
成7年審判第13939号事件及び同平成11年審判第35306号事件とを併合
し,併合された3事件全部について,「特許第1641076号発明の特許を無効
とする。」との審決をした。しかも,審決書の請求人欄には,「株式会社オプテッ
ク」と,代理人欄には,破産宣告前の訴訟代理人(破産宣告により訴訟代理権が消
滅している。)の名前をそれぞれ記載するという誤りを犯している。
 本件審決によると,原告と破産管財人である増田弁護士との関係で無効請求不成
立の審決が確定しているにもかかわらず,破産管財人である増田弁護士に対しても
審決の効力が及びかねないことになる。審決の効力を受ける当事者がだれで,どの
範囲でその効力を受けるかという問題は,その後の審決取消訴訟における当事者の
問題に関係することであるから,本件審決の上記誤りは,重大な審判手続違背であ
り,結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第4 被告破産者株式会社オプテック破産管財人の本案前の主張
1 破産者株式会社オプテックは,前審決に係る平成10年(行ケ)第39号審
決取消訴訟が当庁に係属中であった平成10年9月9日,破産宣告を受けた。
2 被告破産者株式会社オプテック破産管財人は,平成11年4月28日,上記
訴訟につき,破産者株式会社オプテックの行ってきた訴訟手続を受継した上,訴え
を取り下げた。
  これにより,被告破産者株式会社オプテック破産管財人は,手続上も当事者
としての地位を喪失し,その後の訴訟手続及び前判決により取り消された後の審判
手続には一切関与しておらず,審決書の送達も受けていない。
3 以上によれば,被告破産者株式会社オプテック破産管財人は,当事者適
格を有しないことが明らかであるから,本件訴え中の同破産管財人に関する部分は
却下されるべきである。
第5 被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックの反論の要点
1 取消事由1(判断遺脱)について
(1)審理の併合がなされた場合,複数の請求相互の関係は,共同審判と同様の
関係にあるから,民事訴訟における類似必要的共同訴訟に類する関係にあると解さ
れる。無効審判請求の併合された審判手続において各請求人が求めているのは,対
象となる特許を無効とするという共通の結論である。そして,ある請求人が主張す
る無効理由は,無効審決という結論を獲得するためのものであり,他の請求人にと
っても有利な行為であるから,各請求人がそれぞれにした無効理由の主張の効力
は,全員のために生じるものというべきである。このように解しても,被請求人
は,当該無効理由の主張があることを承知して審理を受けているのであるから,不
意打ちになることはない。
 本件についていうと,別件平成7年審判第13939号事件における無効理由の
一つについて認定判断し,本件特許が無効であるとの結論に達したのであるから,
もはや,その余の無効理由について認定判断をする必要はない。
 本件審決が,平成7年審判第20943号についても別件平成11年審判第35
306号についてもその取消理由について何らの認定判断をしなかったからといっ
て,判断の遺脱ということになるものではない。
(2)確かに,審判が併合されても,事件は複数存在するのであるから,事件ご
とに結論及び理由を示さなければならないというのは,一般論としては正しい。し
かし,事件ごとの結論及び理由が全く共通する場合にまで,重複して同じ結論と理
由を記載しなければならないとするのは非現実的である。
 特許法153条1項は,「審判においては,当事者又は参加人が申し立てない理
由についても,審理することができる。」と規定し,職権探知によって得た無効理
由によって,特許を無効とすることを認めているのである。このように,当事者の
主張に拘泥しないで,無効審決をすることを認められている以上,判断の遺脱など
と主張すること自体余り意味のないことである。
(3)さらに,本件審決が,平成7年審判第20943号及び別件平成11年審
判第35306号のいずれについてもその取消理由について何らの認定判断もしな
かったからといっても,原告自らの主張について認定判断されなかったというわけ
ではないのであるから,原告は,判断遺脱を主張する適格を欠くというべきであ
る。
2 取消事由2(裁量権の濫用)について
 争う。
3 取消事由3(当事者でない者に対して審決をしたこと)について
  たとい,原告主張のとおり,本件審決において「株式会社オプテック」を当事
  者とすることが違法であったとしても,事件は被告ごとに別なのであるから,
原告の主張は,被告破産者株式会社オプテック破産管財人増田勝久に対する関係で
取消理由になり得るとしても,その他の彼告らに対する取消理由にはなり得ない。
第6 当裁判所の判断
1 被告破産者株式会社オプテック破産管財人の本案前の主張について
(1)破産者株式会社オプテックが,前審決に係る平成10年(行ケ)第39号
審決取消請求事件が当庁に係属していた平成10年9月9日に破産宣告を受けたこ
と,その後,被告破産者株式会社オプテック破産管財人が,破産者株式会社オプテ
ックの行ってきた上記事件の訴訟手続を受継した上,上記平成10年(行ケ)第3
9号の訴えを取り下げたことは,当事者間に争いがない。
その後,前判決により,前審決は取り消され,特許庁は,これを受けて,
平成7年審判第20943号事件を再度審理することになり,別件平成7年審判第
13939号事件及び同平成11年審判第35306号事件と併合して審理した
上,本件審決をしたことも,当事者間に争いがない。
(2)本件審決には,別紙審決書写しにみられるように,請求人の一人の表示と
して「株式会社オプテック」と記載され,その代理人としては,破産宣告の前に
「株式会社オプテック」によって選任された代理人である「代理人弁理士 梶山佶
是」及び「代理人弁理士 山本富士男」が挙げられていることは,弁論の全趣旨に
より明らかである。
  しかし,前審決に係る取消訴訟の係属中に,被告破産者株式会社オプテッ
ク破産管財人が,審判の請求人である破産者株式会社オプテックの行ってきた訴訟
手続を受継したのであるから,本件審決中の,「請求人 株式会社オプテック」,
「代理人弁理士 梶山佶是」及び「代理人弁理士 山本富士男」との記載は,本来
は,「破産者株式会社オプテック破産管財人増田勝久」とすべきところを誤ったも
のであり,これは,誤記に類する明白な誤りというべきである。そうだとすると,
本件審決における請求人の表示の上記誤りは,更正決定の対象となる誤りであると
認められるので,本判決においては,本件審決は,請求人「破産者株式会社オプテ
ック破産管財人」に対してなされたものと理解すべきである。
(3)被告破産者株式会社オプテック破産管財人は,前述のとおり,前訴係属中
に前訴を取り下げたのであるから,もはや前記訴訟手続及び本件審決の審判手続の
当事者ではない。したがって,本件審決のうち,被告破産者株式会社オプテック破
産管財人に対してなされたものは,既に当事者でない者に対してなされたものであ
り,無効の審決というべきである。
  ただし,このような無効な審決でも,外形上存在することにより,本件特
許の設定の登録が抹消されるとの事態が生じることもあり得るのであるから,
原告には,被告破産者株式会社オプテック破産管財人との関係においても,本件審
決の取消判決を得た上で,前審決が確定したことを手続上明らかにする利益がある
というべきである。したがって,破産者株式会社オプテック破産管財人に,当事者
適格がないとすることはできない。
  本件訴えの却下を求める同被告の主張には理由がない。
2 取消事由1(判断遺脱)について
(1)本件審決は,別件平成7年審判第13939号事件における無効理由の一
つについてのみ認定判断し,平成7年審判第20943号についても別件平成11
年審判第35306号についても,そこで主張された無効理由について何らの認定
判断もしていないことは,審決書の記載自体から明らかであり,当事者間にも争い
がないところである。
 そうすると,本件審決中の平成7年審判第20943号に係る部分に,判断遺脱
(結論のみあって,それに対応する理由が存在しない,という意味では,理由不存
在。特許法157条2項参照)の重大な違法があることは,明白である。
(2)被告株式会社ディスクラボ及び同株式会社ツルテックは,共同審判は民事
訴訟における類似必要的共同訴訟に類する関係にあるとの前提に立って,別件平成
7年審判第13939号事件において訴外メモリーテック株式会社がした無効理由
の主張は,被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックのための主張として
の効力も有すると主張する。
 特許法は,132条1項において,同一の特許権について無効審判を請求する者
が2人以上あるときには,これらの者は,共同して審判を請求することができるも
のと定め,また,167条において,何人も,無効審判の確定審決の登録があった
ときには,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができな
いと定めている。そして,後者の趣旨については,ある特許につき無効審判請求が
成り立たない旨の審決が確定し,その旨の登録がされたときは,その登録の後に新
たに前無効審判請求におけるのと同一の事実及び同一の証拠に基づく無効審判請求
をすることが許されないとするものであり,それを超えて,確定した請求不成立審
決の登録により,その時点において既に係属している無効審判請求が不適法となる
ものではないと解されている(最高裁平成12年1月27日第一小法廷判決・判例
時報1700号3頁)。そうすると,共同審判は,合一確定を要求されるものでは
なく,個々の請求人ごとの審判が同時に進行しているものとして取り扱うべきもの
とするのが,むしろ無効審判制度の趣旨によく合致するものというべきである。
 被告株式会社ディスクラボ及び同株式会社ツルテックの主張は,前提において既
に誤っているものという以外にない。
(3)被告株式会社ディスクラボ及び同株式会社ツルテックは,特許法153条
1項は,「審判においては,当事者又は参加人が申し立てない理由についても,審
理することができる。」と規定し,職権探知によって得た無効理由によって,特許
を無効とすることを認めているとし,このように,当事者の主張に拘泥しないで,
無効審決をすることを認められている以上,判断の遺脱などと主張すること自体余
り意味のないことであるとも主張する。
 しかしながら,特許法153条2項は,職権探知によって得た無効理由により特
許を無効とすることにつき,「審判長は,前項の規定により当事者又は参加人が申し
立てない理由について審理したときは,その審理の結果を当事者及び参加人に通知
し,相当の期間を指定して,意見を申し立てる機会を与えなければならない。」と
定め,あくまでも,審判長が,審理結果を通知し,意見を申し立てる機会を与えるこ
とが前提であることを明らかにしている。ところが,審決書の記載をみても,審判
長がそのような手続をとった形跡はない。その他本件全証拠によっても,上記手続が
とられたことを認めることはできない。
 被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックの主張が採用し得ないもので
あることは,明らかである。
(4)被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックは,本件審決が,平成
7年審判第20943号及び別件平成11年審判第35306号のいずれについて
もその取消理由について何らの認定判断もしなかったからといっても,原告自らの
主張について認定判断がなされなかったというわけではないのであるから,原告
は,判断遺脱を主張する適格を欠くと主張するが,失当である。審決取消訴訟は,
審決の違法性を訴訟物とするものであるから,認定判断の有無を問題とすべき対象
が原告自らの主張に限られるものではないこと,特許を無効とする審決については,
無効を主張する請求人側の主張についての認定判断が存在するか否かがまず問われ
ることになることは,自明のことである。
 その余の被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックの主張も,上記判断
に照らし採用できない。
3 取消事由3(当事者でない者に対して審決をしたこと)について
(1)弁論の全趣旨によれば,株式会社オプテックは,前記のとおり,前審決の
取消しを求めて,被告株式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックとともに,訴
えを提起し,これが平成10年(行ケ)第39号事件として当庁に係属中であった平
成10年9月9日に,破産宣告を受け,訴訟手続が中断したこと,その後,破産管財
人増田弁護士は,訴訟手続を受継した上,訴えを取り下げたので,被告破産者株式
会社オプテック破産管財人増田勝久との関係で,前審決が確定したことを,認める
ことができる。
  そうすると,本件審決は,株式会社オプテックの請求した審判請求に関し
ては,もはや事件が存在しなくなっているにもかかわらず審決した点において,重大
な手続違背があって違法であることが明らかである。
(2)もっとも,前記のとおり,共同審判は,合一確定を要求されるものではな
く,民事訴訟における類似必要的共同訴訟に類する関係にあるとはいえない。
 したがって,本件において,上記理由により,株式会社オプテックが請求した審
判に関しては本件審決が違法であると判断されたとしても,そのことにより,被告株
式会社ディスクラボ及び株式会社ツルテックに対する審決までも違法となるもので
はないというべきである。
4 結論
 以上のとおりであるから,本件審決中の平成7年審判第20943号に係る
部分には,判断遺脱(理由不存在)の違法があり,この誤りは結論に影響を及ぼす
ことが明らかであるから(本件審決中の平成7年審判第20943号に係る部分の
うち,株式会社オプテックの請求した審判に関する部分については,これに加えて上
記のとおりの重大な手続違背があり,これも同部分についての結論に影響することが
明らかである。),本件審決中の上記部分の取消しを求める原告の本訴請求は,理由
があることが明らかである。そこで,これを認容することとし,訴訟費用の負担につ
いて行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文の
とおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
  裁判長裁判官山  下  和  明
     裁判官設  樂  隆  一
     裁判官 高  瀬  順  久

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