弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成20年1月31日決定
平成19年(む)第294号
主文
本件各請求を棄却する。
理由
1請求の趣旨及び理由
本件請求の趣旨及び理由は,主任弁護人西島正,弁護人清水洋,同小林善亮及び同高橋
力共同作成の平成19年12月27日付け「主張関連証拠開示に関する裁定請求書」と題する書面
に記載されているとおりであるから,これを引用する。その要旨は,①A(以下「A」という。)
について作成された取調べ状況記録書面,②捜査官の作成したAの供述の聴き取りメモ,
捜査報告書,③Aに関する平成▲年▲月▲日から平成▲年▲月▲日までの問の警視庁○○
警察署留置施設の被留置者出入簿,④捜査官の作成したB(以下「B」という。)の供述の聴
き取りメモ,捜査報告書,⑤児童相談所職員又は養護施設職員作成のBの供述の聴き取り
メモ,報告書については,いずれも刑訴法316条の17第1項の主張に関連し,かつ,被告人
の防御の準備のために必要性が高く,開示による弊害もないものであって,開示の相当性
が認められるところ,検察官は,①,②,④及び⑤については,主張が明らかにされてお
らず,仮に明らかにされているとしても,請求に係る証拠の存否にかかわらず開示するこ
とが相当とは認められないとして,③については,検察官が保管する証拠中に存在しない
として,その開示に応じていないから,①ないし⑤の各証拠の開示を求める,というもの
である。
2当裁判所の判断
本件公訴事実の要旨は,被告人が,①平成▲年▲月▲日ころから同月▲日ころまでの間,
東京都多摩市内のC(以下「C」という。)方において,殺意をもってCを殺害し,②同月▲
日ころから同月23日ころまでの間,C方において,Cの死体を切断し,ダイニングキッチ
ン床下に投棄してその上からセメントをかけるなどして隠匿し,③同年▲月▲日,Aと共
謀の上,AにおいてC名義の払戻請求書を偽造した上,銀行窓口係員に対し,AがCであ
る旨装って,前記払戻請求書をC名義の普通預金通帳とともに提出行使して,正当な権限
に基づく払戻請求である旨誤信させ,現金34万円の交付を受けた,という殺人,死体損壊,
死体遺棄,有印私文書偽造・同行使,詐欺の事案である。
本件公判前整理手続において,検察官は,被告人が,平成▲年▲月▲日,AからCが死
亡したのではないかと尋ねられて「私がやった」などとCの殺害を自認したこと等を主張し,
かかる事実を立証するためにAの検察官調書等(甲156ないし164)の取調べを請求し,さら
に,被告人が平成▲年▲月▲日の夜に外泊した事実等を立証するため,Bの検察官調書(甲
167ないし172)の取調べを請求した上,弁護人らに対して,その検察官調書等のほか,A及
びBの各供述録取書等の全部を開示した。
これに対して,弁護人らが,Aの検察官調書等のうち甲156,158ないし164号証につき不
同意,甲157号証につき一部不同意とし,Bの検察官調書につき全部不同意としたため,検
察官は,A及びBの証人尋問請求をした。
弁護人らは,平成19年12月3日付け「主張予定事実記載書(1)」,及び平成20年1月18日付け
「主張予定事実記載書(2)」(本件開示請求後のものではあるが)において,被告人が,殺人,
死体損壊及び死体遺棄には関与しておらず,有印私文書偽造・同行使,詐欺についてはせい
ぜい幇助にとどまる旨の主張を明らかにし,さらに,Aの供述について,a被告人と同居し
ていたAには見るべき収入がなく,被告人とCが同居を始めれば住居を失うおそれがあっ
たのであるから,AにはC殺害の動機があるところ,AがC殺害に関与していたとすれば,
自己の関与を隠ぺいしようとして当時交際していた被告人に罪を押し付ける動機があった,
bA供述は,既に捜査を開始していた捜査機関の誘導に基づくものであり,かつ,合計84日
195回以上に及ぶ連日の取調べを受けて,疲労の余りその供述内容が歪められた可能性があ
る,cAは,平成▲年▲月▲日及び同年▲月▲日ころの2回にわたり,被告人に対して,D
とともにCを殺害した旨告白しており,これは,Aの捜査機関に対する供述内容とは異な
っているなどとして,Aの捜査機関に対する供述の信用性を争う旨主張する。弁護人らは,
Bの供述についても,dBは,母親である被告人よりもAに対して親近感を抱いていた可
能性があり,かかる状況下で,当時10歳であったBが,捜査官ないし児童相談所職員など
の質問によって誘導された可能性があるなどとして,その信用性を争う旨主張している。
以上の審理経過に照らせば,本件においては,A供述の信用性が争点の一つとなってい
るところ,Aの取調べ状況等が記載された前記1の①ないし③の各証拠は,A供述の信用性
を検討する上で意味を有するものであり,弁護人らの前記aないしcの各主張と関連する証
拠と認められる。しかしながら,A供述の信用性を検討するには,一般には,既に開示さ
れたAの供述録取書等を検討すれば足りるものと解されるから,弁護人らの前記aないしc
の各主張を考慮しても前記1の①ないし③の各証拠を開示する必要性に乏しい。
また,本件においては,A供述を補強するB供述の信用性が争点の一つとなっていると
ころ,Bの取調べ状況等が記載された前記1の④及び⑤の各証拠は,B供述の信用性を検討
する上で意味を有するものであり,弁護人らの前記dの主張と関連する証拠と認められる。
しかしながら,B供述の信用性を検討するには,一般には,既に開示されたBの供述録取
書等を検討すれば足りるものと解されるから,弁護人らの前記dの主張を考慮しても前記1
の④及び⑤の各証拠を開示する必要性に乏しい。
よって,その余の点について判断するまでもなく,本件各請求はいずれも理由がないか
ら,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・原田保孝,裁判官・駒井雅之,裁判官・酒井英臣)

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