弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人臼杵祥三の上告趣意第一点について。
 所論は、本件適用法令たる外国為替及び外国貿易管理法七〇条二一号、七号の各
規定はいわゆる委任立法の限界を逸脱し、ないしは犯罪構成要件の内容が明確を欠
くから、法律の定める手続による処罰ということを得ず、憲法三一条に違反すると
いうにあるものと認められる。
 しかしながら、とくに法律の委任がある場合においては、政令で罰則(すなわち、
犯罪構成要件および刑を定める法規)を設けることは、憲法七三条六号但書の規定
上、差支えないものであることは、夙に当裁判所大法廷判決(昭和二三年(れ)第
一四一号、同二五年二月一日宣告、刑集四巻二号七三頁、昭和二七年(あ)第四五
三三号、同三三年七月九日宣告、刑集一二巻一一号二四〇七頁等)の趣旨とすると
ころであるから、右趣旨に徴し、所論の各規定がいわゆる対外支払手段等の集中な
いし支払の制限および禁止につき、その規制内容、したがつて犯罪構成要件の一部
を政令の定めるとこころに委任しているからといつて、違憲であるとはいえない(
なお、行政法規、とくに本法のような経済統制法規においては、その内容が複雑多
岐にわたり、しかも変動する社会の実情に即応して改正していく必要があるため、
法律自体には基本的な規制を概括的に規定し、その具体的な規制を政令以下の命令
に委任し、命令に詳細な定めを設けることを必要かつ適当とする場合が稀ではなく、
このような規制方法をとることも、あながち不合理とはいえない。)。また、右政
令たる昭和二五年六月二七日政令第二〇三号、「外国為替管理令」中の関係規定等
の内容を検討してみても、所論の各規定と相まち、犯罪構成要件を相当具体的に定
めているものと認めるに難くないから、論旨は、すべて採るを得ない。
 同第二点について。
 所論は、原判決の憲法三八条二項違反を主張する。
 しかしながら、被告人に対する身柄拘束の経緯、自白のなされた時期等につき、
記録を調べてみるに、被告人は、昭和三四年七月八日逮捕され、同月一一日勾留状
の執行を受け、同月三〇日一旦釈放されたが、同日再び逮捕され、同年八月二日勾
留状の執行を受け、同年一〇月一四日保釈許可決定により即日釈放されていること、
本件起訴は、昭和三四年八月二〇日、同年九月三〇日、同三五年六月二九日の三回
にわたりなされたこと、一方、原判決の是認する第一審判決が本件罪証に供した被
告人の捜査官に対する各自白は、第二回目の勾留中の昭和三四年九月七日、同月一
六日、同月二八日になされたもののほかは、保釈釈放後の昭和三五年六月二二日、
同月二五日、同月二七日にそれぞれなされたものであることが認められる。そこで、
以上の事実のほか、本件事案の内容が相当複雑と認められること等諸般の事情を彼
此綜合すれば、当裁判所大法廷屡次の判例(昭和二三年(れ)第四三五号、同年一
〇月六日宣告、刑集二巻一一号一二七五頁、昭和二六年(れ)第二五一八号、同三
〇年四月六日宣告、刑集九巻四号六六三頁、昭和二六年(あ)第一六八八号、同三
〇年六月二二日宣告、刑集九巻八号一二〇三頁等)の趣旨に徴し、所論各自白を目
して不当に長く拘禁された後の自白であるとはいえない。また、その任意性を疑う
べき証跡も記録上窺われない。論旨は、理由がなく、採るを得ない。
 同第三点について。
 所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らな
い。
 同第四点について。
 所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 また、記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和三九年一一月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

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