弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人渋川鶴蔵、被告人C弁護人中筋義一、被告人D、同E弁護人池内
覚太郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。
 被告人A弁護人渋川鶴蔵上告趣意第一点について。
 しかし所論の各書類は何れも昭和二十三年二月二十一日附即ち原審第一回公判期
日前の日附であるが裁判所が受附けた日時を知るに足るべき受附印もなければ何等
の記載もないばかりでなく、所論の書類の内証拠提出書だけは右日附(昭和二十三
年二月二十一日)のまま同年同月二十四日の原審第一回公判期日に提出されたもの
であることは同日の公判調書の記載によつて明白であるから所論の各書類を一括し
て第一回公判期日前に提出したものとは認めがたい。そして右証拠提出以外の書類
は同書類の日附(昭和二十三年二月二十一日)のまま同年同月二十六日の原審第二
回公判調書の後に編綴されていること及び右書類を提出した日時を知るに足るべき
裁判所の受附印其の他何等の記載なきこと並に前記証拠提出書の日附は同年同月二
十一日であるに拘らず同年同月二十四日に提出されたこと等に鑑み所論各書類の日
附は第一回公判期日前ではあるが各書類に記載された日附のみを以ては公判期日前
に提出されたものとは言いがたい、従つて所論各書類は公判期日前に提出したこと
を前提とする。論旨は理由がない。
 第二点について。
 しかし原審の認定したところによれば詐欺、窃盗及び物価統制令違反は各独立の
行為であつて一所為とはいえない、従つて原審が併合罪の規定を適用したのは違法
でない。論旨は理由がない。
 第三点について。
 しかし所論の詐欺事実中精米所主任Bが錯誤に基いて判示精米を交付したという
事実は原判決において証拠として引用した原審第一回公判調書に裁判長の問「精米
所の方では其指図書は販売所で出したものと信じて其米を指図書持参者に出してや
つた訳か」に対し被告人は「左様です」と肯定している旨の記載があるので明白で
あり、又判示窃盗事実については被告人が販売所主任Fの判示精米に対する所持を
侵害したものであることは、前記公判調書に裁判長の問「配給米の保管は誰がする
か」に対し被告人は販売所主任ですと答えた旨の記載があり、且つ裁判長が玄米売
渡一覧表を被告人に示して「Gにこれに記載の通りの米を売つたか」とたづねたの
に対し、被告人は「第五回目は販売所の仮倉庫にある分を私が出して渡しました」
と答えているので誠に明白であつて、所論の如き証拠に関する法則違反は認めがた
く、論旨は理由がない。なお論旨後段は結局量刑不当の主張に帰着するから適法の
上告理由とならない。
 被告人C弁護人中筋義一上告趣意第一点について。
 しかし論旨は独自の見解によつて、被告人Cは被告人Aから判示米穀を買受けた
ものではなく右Aが食糧営団の使用人であつて判示米穀の移入移出に権限あるを奇
貨とし同人に対し賄賂を提供し又は約束して判示米穀の横流しを受けたものである。
そして被告人Cは被告人D、Eに対し、判示米穀を売り渡したものではなく、被告
人Aと通謀して右H両名に判示米穀を不正配給をしたものであるから物価統制令違
反となる理由がないばかりでなく、判示米穀は被告人Aが騙取したものでないから
賍物故買となるわけがないというのであつて、結局原審の事実認定と異る独自の主
張をするのであるが、原判決挙示の証拠によつて優に原判決の判示事実を認め得る
のであり、原審の事実認定について法則違反のあることは認められない。要するに
論旨は原審の事実認定を非難するのであるから適法の上告理由とならない。
 同第二点について。
 しかし論旨(一)前段は独自の見解に基き原審の事実認定を攻撃するのであるか
ら採用しがたい、次に論旨中段は判示米穀は被告人Aの領有に帰したことがないか
ら騙取財物ではないというのであるが、原審の認定した事実によれば被告人Aは精
米所主任Bを錯誤に陥らしめて同人の保管する判示米穀の所持を自己の企図する者
の占有に移したというのであるから、詐欺罪の成立をさまたげるものではない。次
に論旨後段は独自の見解に基き原審の事実認定を非難するのてあるから採用しがた
い。そして同点(二)の論旨は判示米穀は所謂市販性商品性がないから売買したと
しても真の意味の売買ではなく、金銭の授受があつたとしてもそれは物価統制令に
所謂統制額を超えた代金に該当しないから物価統制令違反となる理由がないという
のであるが、判示米穀に関し被告人間にそれぞれ事実上売買が行はれた以上はその
売買に対する私法上の効果如何を問はず其売買事実が物価統制令に牴触する場合に
おいては、同令違反として処罰せらるべきは勿論で論旨は理由がない。
 第三点について。
 論旨は原審の事実誤認と量刑の不当を非難するものであるから適法な上告理由と
ならない。
 第四点について。相被告人等の各弁護人の上告趣意は何れも理由なきものである
ことは別項においてそれぞれ説明した通りであるから本論旨は理由がない。
 被告人D、同E弁護人池内覚太郎上告趣意について。
 しかし論旨に引用した堺南警察署司法警察官の被告人Dに対する聴取書は、原判
決において証拠として引用せざるものであるから同聴取書を根拠として立論した論
旨は採用しがたいものである。そして被告人D、同E両名が被告人Aと本件詐欺罪
の共犯者であることは、原審の認定せざるところであり、且つ原判決挙示の証拠に
よれば、被告人H両名と被告人Aが共犯者であると認めなかつたことについて何等
の法則違背は認められない。然るに論旨は独自の見解に基き被告人H両名と被告人
Aは本犯詐欺罪の共犯者であると主張し、其の主張を前提として本件賍物故買罪は
成立しないというのであるから、結局原審の事実認定を非難することに帰着するの
で採用し難い。
 よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二三年一〇月一二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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