弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人須藤純正の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,いずれも事案を異にす
る判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反,
事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ,第1審判示第3の事実(以下「本件」という。)につい
て,職権で判断する。
1原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実
関係は,次のとおりである。
(1)被告人は,本件犯行以前にも,第1審判示第1及び第2の事実を含め数回
にわたり,共犯者らと共に,民家に侵入して家人に暴行を加え,金品を強奪するこ
とを実行したことがあった。
(2)本件犯行に誘われた被告人は,本件犯行の前夜遅く,自動車を運転して行
って共犯者らと合流し,同人らと共に,被害者方及びその付近の下見をするなどし
た後,共犯者7名との間で,被害者方の明かりが消えたら,共犯者2名が屋内に侵
入し,内部から入口のかぎを開けて侵入口を確保した上で,被告人を含む他の共犯
者らも屋内に侵入して強盗に及ぶという住居侵入・強盗の共謀を遂げた。
(3)本件当日午前2時ころ,共犯者2名は,被害者方の窓から地下1階資材置
場に侵入したが,住居等につながるドアが施錠されていたため,いったん戸外に出
て,別の共犯者に住居等に通じた窓の施錠を外させ,その窓から侵入し,内側から
上記ドアの施錠を外して他の共犯者らのための侵入口を確保した。
(4)見張り役の共犯者は,屋内にいる共犯者2名が強盗に着手する前の段階に
おいて,現場付近に人が集まってきたのを見て犯行の発覚をおそれ,屋内にいる共
犯者らに電話をかけ,「人が集まっている。早くやめて出てきた方がいい。」と言
ったところ,「もう少し待って。」などと言われたので,「危ないから待てない。
先に帰る。」と一方的に伝えただけで電話を切り,付近に止めてあった自動車に乗
り込んだ。その車内では,被告人と他の共犯者1名が強盗の実行行為に及ぶべく待
機していたが,被告人ら3名は話し合って一緒に逃げることとし,被告人が運転す
る自動車で現場付近から立ち去った。
(5)屋内にいた共犯者2名は,いったん被害者方を出て,被告人ら3名が立ち
去ったことを知ったが,本件当日午前2時55分ころ,現場付近に残っていた共犯
者3名と共にそのまま強盗を実行し,その際に加えた暴行によって被害者2名を負
傷させた。
2上記事実関係によれば,被告人は,共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶ
ことを共謀したところ,共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後,見張り
役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい,
先に帰る」などと一方的に伝えただけで,被告人において格別それ以後の犯行を防
止する措置を講ずることなく待機していた場所から見張り役らと共に離脱したにす
ぎず,残された共犯者らがそのまま強盗に及んだものと認められる。そうすると,
被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり,たとえ被告人も見張り役の上
記電話内容を認識した上で離脱し,残された共犯者らが被告人の離脱をその後知る
に至ったという事情があったとしても,当初の共謀関係が解消したということはで
きず,その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めるのが
相当である。これと同旨の判断に立ち,被告人が住居侵入のみならず強盗致傷につ
いても共同正犯の責任を負うとした原判断は正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁
判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官那須弘平裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
田原睦夫裁判官近藤崇晴)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛