弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 検察官の上告趣意について。
 所論は、判例違反をいうのである。
 原審の確定した本件の事実関係は、被告人は有限会社Aの代表取締役であるが、
太田税務署直税課法人税係B及び同法人税係係長Cより右会社の法人所得の調査を
受けて木材売上げの脱漏を発見され、後日多額の法人税更正決定を受けることが必
至となつたので、予てから知合の右税務署法人税係Dが、右調査担当官であり、法
人税の調査並びに賦課に関する職務権限を有するBの同僚であるところから、Dに
対し、Bに前記職務につき手心を加え、被告人に利益な取計らいをしてくれるよう
斡旋尽力して貰いたい旨依頼し、Bの右職務に対する斡旋の謝礼として供与する意
思の下に、Dに現金一万円を供与して贈賄したものであるというのであつて、挙示
の証拠に照らし、右認定は是認し得るところであり、原審が被告人の右所為を刑法
一九八条二項に該当するものと判断したのは正当である。
 先づ、所論のうち、原判決が昭和一九年(れ)第四〇六号収賄被告事件同年七月
二八日大審院判決(上告趣意三の(6)として引用のもの)に違反するという点に
ついては、原判決では、被告人はDの職務に関し金員を供与する考えはなかつたも
のであると認定し、判示斡旋の依頼に対する謝礼として金員を供与すること自体が、
すなわち刑法一九八条二項の罪に該当するとしているのであり、Dの判示斡旋の行
為が、同人の職務に関する行為であるか否かの点については何ら法律判断を加えて
いないのである。しかるに、右引用の大審院判決は、東京都板橋税務署直税課第一
係として管内における個人の営業税等の税額算定の基準となるべき営業純益金額等
の決定についての事務を処理する職務を担当する被告人が、業者から「営業純益金
額決定ニ付有利ナル取計アル様担当係官ニ斡旋尽力アリタキ旨ノ請託ヲ受ケ右請託
趣旨ノ下ニ供与セラルルノ情を諒知ノ上」昭和一七年一二月頃より同一八年二月中
旬頃にわたり、「現金……円ヲ受納シ以テ其ノ職務ニ関シ請託ヲ受ケテ賄賂ヲ収受
シ」たとの第二審判決の認定事実につき、被告人は右の「職務ヲ有スルモノナレバ
同ジク右事務ニ参与スル同僚又ハ上司ヲ説キ業者ニ有利ナル営業純益金額ノ決定ヲ
為スべク斡旋尽力スルコト自体ハ其ノ本来ノ職務ニ属セザルモ右ハ営業純益金額ヲ
決定スルニ至ラシムル被告人ノ前示職務執行ト密接関聯ヲ有スル行為ナルヲ以テ之
ヲ刑法第百九十七条ニ所謂『職務ニ関シ』ニ該当スル行為ナリト謂フニ妨ナシ」と
判示しているのであつて、右は、被告人が判示斡旋の請託の趣旨で金員の供与を受
けた事実が、刑法一九七条一項の罪に該当するか否かを判定するにつき、先づ、判
示斡旋の行為が被告人の職務執行と密接関聯を有する行為に当るとの見解の下に、
被告人はその職務に関する請託の趣旨でなされた金員の供与を受けたものであると
の法令解釈ないしは事実判断を示したものであるといわなければならない。さすれ
ば、引用の右大審院判決は、原判決とは前提事実を異にし、かつ、斡旋収賄、同贈
賄罪に関する刑法一九七条ノ四、同一九八条二項の制定以前になされ本件の先例と
なり得ないものであつて、所論判例違反の主張は適法な上告理由に当らない。
 次に、所論引用にかかるその余の判例は、いずれも本件とは事案を異にするもの
であつて適切でなく、適法な上告理由に当らない。
 弁護人関山忠光の上告趣意について。
 所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和四〇年九月一七日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
 裁判官山田作之助は外国出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    奥   野   健   一

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