弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人の上告趣意第一点について。
 破棄差戻後の第一審判決によれば、判示第一の事実の認定の証拠として被告人の
検察官に対する第一回供述調書及びBの検察官に対する供述調書を掲げている。而
して被告人の右供述の任意性の有無及び被告人の自白だけで有罪としたものである
かどうかについて調査するに、被告人は破棄差戻前の第一審第一回公判において、
犯罪事実を自白し、Bの右供述調書については、これを証拠とすることに同意し、
証拠調に異議なき旨を述べているのみならず、破棄差戻後の第一審第一回公判にお
いて、公訴事実中第一の各事実については、「古いことであり且つ当時同様行為を
為していたのでありますのでよく記憶していません」と述べ、Bの供述調書につい
てはこれを証拠とすることに同意している。而して、右各第一審の公判において被
告人の前記供述調書における供述の任意性についてはこれを争つていないのであつ
て本件記録に徴し、被告人の前記供述が任意になされたものでないことを疑はしめ
るような証迹は認められない。またBの供述調書を見ると、同人は名前を知らない
朝鮮人から、昭和二三年に、粳白米を一升百五十円で七斗を次いで、三、四日後に、
粳白米四斗叺入七俵を買受けた旨等詳細に供述しているのであつて、補強証拠たる
価値を有すること明瞭であるから、所論憲法違反の主張はその前提たる事実を欠き
採用できない。
 同第二点について。
 記録についてみるに、原判示第三の事実認定の証拠として挙示されている証人A
等に対する裁判官の各証人尋問調書によれば右各証人の尋問には検察官及び弁護人
が立会つておる。右証人尋問は本件起訴後第一審第一回公判期日前に刑訴二二七条
に基ずく請求によつてなされたものであるが、右各調書は差戻前の第一審第一回公
判において、検察官から証拠調の請求があり、被告人は、右請求に異議なく且つ右
書面を証拠とすることに同意し、検察官は之を順次朗読して裁判官に提出したこと
は、第一回公判調書の明記するところであり、被告人及び弁護人の出頭している差
戻後の第一審公判においても適法な証拠調がなされているのであるから、各証人の
証言内容について被告人がこれを知る機会を与えられていたことは明らかである。
しかも、右公判において、被告人及び弁護人に証人喚問請求の機会が与えられてい
たにも拘わらず、何等その請求をなさず、裁判所においても、これを妨げた形跡は
全然存しないのである。従つて所論憲法違反の主張はその前提たる事実を欠くもの
であつて理由がない。
 同第三点について。
 刑訴法が同二二八条二項において、同条の証人尋問に被告人、被疑者又は弁護人
の立会を任意とする旨規定したからといつて、憲法三七条二項に違反するものでな
いことは当裁判所の判例(昭和二五年(あ)七九七号、同二七年六月一八日大法廷
判決)とするところである。それ故に所論証人C、A、D及びEを尋問するにあた
り被告人を立会わせなかつたことを違憲ということはできない。このように右の証
人尋問自体が適憲である以上、これに関連するその余の手続について非難する論旨
は、実質において単なる刑訴法違反の主張に過ぎないこと明らかであるから採用で
きない。
 同第四点及び第五点について。
 論旨は単なる量刑不当の主張に帰するから適法な上告理由とならない。
 弁護人小泉英一の上告趣意について。
 所論は単なる訴訟法違反の主張に外ならないから、適法な上告理由とならない。
 なお記録を精査してみても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて同四〇八条一八一条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
  昭和二九年八月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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