弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告ら
1 被告陸上自衛隊第三二普通科連隊長が原告Aに対し昭和四七年五月四日付けで
した懲戒免職の処分を取り消す。
2 被告陸上自衛隊第二特科群長が原告Bに対し昭和四七年五月四日付けでした懲
戒免職の処分を取り消す。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 被告ら
主文と同旨。
第二 当事者の主張
一 請求の原因
1 原告Aは、昭和四六年三月二六日陸上自衛官に任用され、処分当時は陸上自衛
隊第三二普通科連隊第一中隊所属の一等陸士であり、原告Bは、昭和四六年一月八
日陸上自衛官に任用され、処分当時は陸上自衛隊第二特科群第一一〇特科大隊本部
中隊所属の一等陸士であつた。
2 被告らは、それぞれ、原告らに対し、昭和四七年五月四日付けで懲戒免職の処
分(以下「本件処分」という。)をしたとして、同日以降、原告らを自衛官として
扱わない。
3 しかし、原告らは、いずれも本件処分を受ける理由はないから、その取消を求
める。
二 請求の原因に対する認否
1 請求の原因1、2は、いずれも認める。
2 同3は争う。
三 抗弁(本件処分の理由)
1 (一)原告A、同Bの両名は、陸上自衛隊第四五普通科連隊一等陸士C、陸上
自衛隊富士学校偵察教導隊一等陸士D、航空自衛隊第二高射群一等空士E及び元三
等空曹Fと共に、防衛庁長官に対し自衛隊の沖縄派兵中止等の要求をするため、F
を除く五名は自衛隊の制服を着用の上、昭和四七年四月二七日午後四時ころ、多数
の報道関係者らを同道して、東京都港区<地名略>所在の防衛庁正門に赴き、警備
員に対し防衛庁長官との直接面会を求めた。
そして、現場に駆け付けた警備第二係長G三外一名と約一五分押し問答をしたが、
面会が実現不可能と見ると、原告両名を含む六名が同所の防衛庁庁舎に向かつて一
列横隊に並び、報道関係者ら不特定多数の者が集まつている場所において、Cが全
員を代表して、自衛隊の沖縄派兵及び立川移駐の中止などを訴える内容を有し、且
つ、全員の官職、氏名を表示した別紙一の「要求書」を読み上げた後、右要求書及
びこれとほぼ同趣旨の記載のある別紙二の「声明」と題する文書を右警備係長に手
交し、長官に渡して貰いたい旨述べて立ち去つた。(二)原告らが要求書において
要求し声明に記載した事項は、政府の決定した政策の中止を求め又は根拠もなく自
衛隊を誹誇中傷し若しくは自衛官の職務の性質と相容れない内容のもので、到底認
められないものである。
これを具体的に述べると、次のとおりである。
(1) 自衛隊の沖縄配備について
沖縄の施政権返還に先立つて、昭和四六年六月二九日、防衛庁H防衛局長とI在日
米国大使館沖縄交渉団首席軍事代表との間で、「日本国による沖縄局地防衛責務の
引受けに関する取極」(いわゆるH・I取極)が結ばれ、その中で、我が国が引き
受ける防衛責務の内容、引受けの時期及び自衛隊の部隊を配置する施設等が明らか
にされた。自衛隊の沖縄配備計画は、右取極所定の基本方針に沿つて検討された
上、昭和四七年四月一七日、国防会議において、昭和四七年五月一五日の沖縄復帰
に当たり、準備要員として陸、海、空自衛官約一〇〇人を予め派遣し、復帰日以
後、施設の引継ぎ及び維持管理等に当たらせること、昭和四七年一二月末を目処と
し、若干名の陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を逐次配備することなどを内
容とする配備計画が決定された。そして、右計画は、翌昭和四七年四月一八日に閣
議において了承された。
(2) 自衛隊の立川移駐について
昭和四六年六月二五日の日米合同委員会において、日本国と米国との間の相互協力
及び安全保障条約六条に基づいて米国が使用を許されていた施設である立川飛行場
を、日米両国で共同使用する旨の合意が成立した。同年六月二九日、閣議におい
て、立川飛行場の自衛隊と米軍との共同使用、即ち陸上自衛隊東部方面飛行隊等が
航空施設として共同使用することが決定された。
昭和四七年一月二一日、J防衛庁長官は、閣議において、立川飛行場へ年度内に部
隊を移駐すること、その日時等は長官に任されたい旨を報告し、閣議の了解を得
た。そして、同年三月七日から八日にかけて、訓練部隊の立川飛行場への移動を完
了した。
(3) 生活、訓練等の条件決定に参加する権利、団結権の保障について
我が国の防衛と公共の秩序の維持という自衛隊の任務及びその職務の性質上、この
ような権利を認める余地はない。
(4) 表現の自由の保障について
一 切の制約のない表現の自由のごときは、国家公務員としての地位及び職務の性
質を無視した要求というほかはない。
(5) 命令拒否権の確定について
自衛官に対して、自己の判断によつて不当と認めた上官の職務命令に服従しないと
いう権利を要求するものであるが、このような権利を認めるとすれば、自衛隊の組
織的一体性は根底から破壊され、その任務の遂行は不可能となる。
(6) 幹部・曹・士の一切の差別の廃止について
このような要求は、組織そのものの存在を否定することに連なるものである。
(7) 勤務時間外のあらゆる拘束の廃止について
自衛官は、その勤務の特質からして勤務時間外においてもその行動に一定の制約が
課せられることも止むを得ない。自衛隊法(以下「法」という。)五四条一項が
「隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない。」と定
め、法五五条が指定場所に居住する業務について定めているのは、このような趣旨
によるものである。
右のような勤務時間外のあらゆる拘束を廃止することが、自衛官の職務の性質と相
容れないものであることは多言を要しない。
(8) 労働者、市民としての全ての権利の要求について
これは、要求項目一ないし九項の締め括りとして掲げられているものであるが、以
上指摘した要求が自衛官の職務の性質を全く顧みない要求であり、自衛隊の組織を
否定するに等しいものであることは、この最後の要求から一層明らかである。
2 (一)原告A、同Bの両名は、昭和四七年四月二八日午後八時ころ、東京都港
区所在の芝公園で開催された全国各県反戦青年委員会代表者会議、関東叛軍行動委
員会代表者会議、入管体制粉砕東京実行委員会の共同主催による「四・二八沖縄返
還協定粉砕、自衛隊沖縄派兵阻止、日帝の釣魚台略奪阻止、入管二法粉砕中央総決
起集会」(以下「四・二八沖縄返還協定粉砕等中央総決起集会」という。)に前記
四名と共に参加し、同集会場に設置された演壇上に制服を着用して立ち、同集会の
多数の参集者を対象として、全員を代表してDが前記要求書を読み上げ、引き続い
て若干の演説を行い、次いで、原告Bが全員を代表して前記声明を読み上げた後、
「国民の意思に反して自衛隊を沖縄に派兵しようとしている。沖縄一〇〇万人民は
全て反対している。」「人民弾圧のための沖縄派兵に反対し、私は自衛官として労
働者、農民、学生と連帯して、自衛隊の沖縄派兵を絶対に断乎阻止することを誓
う。」などと述べた。
その後、E、C、F及び原告Aが、こもごも、自衛隊の沖縄配備等の政府が決定し
た政策に反対し又は阻止することを訴え、或いは、自衛隊を非難するなどの演説を
行い、その際、原告Aは、「沖縄派兵、立川への強行移駐、三里塚の強行土地収用
は、反革命的帝国主義と呼ばざるを得ない。」「民主主義という名の下に、我々兵
士を完全にロボツト化し、命令に対する拒否権を認めず、沖縄人民、アジア人民に
対し、より資本家階級、ブルジヨア階級の私兵になることを要求している。」「自
衛隊の沖縄強行移駐は、旧軍の住民に対する残虐な行為を、その派兵の内部に本質
的に含んでいるということを私ははつきり自覚し、それが故に沖縄派兵を断乎拒否
し、また拒否するだけでなく、拒否する全ての兵士の先頭になつて戦つて行きた
い。」などと述べた。(二)原告らが集会において読み上げた要求書及び声明の内
容については、前述したとおりであり、また、原告A、同Bの演説の内容は、政府
の決定した沖縄配備の政策に対して根拠のない誹誇を加えて反対し、沖縄派兵の阻
止、拒否を訴えるものである。
3 原告Aは、陸上自衛隊第三二普通科連隊(市ヶ谷駐屯地)に、原告Bは、陸上
自衛隊第二特科群(仙台駐屯地)に、それぞれ所属し、いずれも営舎内に居住する
ものであつたが、原告Aは、休暇先から所走の帰隊時限である昭和四七年四月二六
日午後一一時を越えて、また、原告Bは、外出先から所定の帰隊時限である同年四
月二四日午後一一時を越えて、いずれも同年五月三日の満了に至るまでの間帰隊せ
ず、所属長の許可を受けることなく職務を離れた。
4 原告らの1(一)、2(一)の各行為は、要求書と声明において、政府の決定
した自衛隊の沖縄配備及び立川移駐の政策に反対し、これを阻止することを訴えた
上、自衛隊に対して偏見と悪意に満ちた根拠のない誹誇中傷を加えたもので、要求
事項もおよそ自衛官の職務の性質と相容れないものであること、また、防衛庁の正
門及び芝公園という報道関係者、一般市民の集まつている場所で対外的な宣伝効果
を意図して行われたもので、意見具申の方法としても甚だしく妥当を欠いたもので
あること、右要求書、声明に自己の官職・氏名を表示し、制服を着用して行動した
ことなどに鑑みると、自衛官としての品位、信用を傷つけると共に自衛隊の威信を
低下させるものであり(法五八条一項)、自衛官の服務の本旨(法五二条)からも
到底許されないものであつて、いずれも、法四六条二号の「隊員なるにふさわしく
ない行為のあつた場合」に該当する。
また、原告らの3の行為のうち、営舎内居住義務違反の点は、法五五条、自衛隊法
施行規則(以下「施行規則」という。)五一条本文に違反し、上司の許可なく職務
を離れた点は、法五六条に違反し、いずれも法四六条一号に該当する。
5 本件処分は、以上のような理由に基づいてされたもので、いずれも適法であ
る。
四 抗弁に対する認否及び主張
1 抗弁1(一)は、原告らが被告ら主張の日時、場所において被告ら主張の方法
で要求書を読み上げ、右要求書と声明を手交したことは認めるが、現場に騙け付け
た者が警備第二係長であることは不知、その余は争う。1(二)のうち、自衛隊の
沖縄派兵、立川移駐が決定された経過は不知、その余は争う。要求書記載の要求及
び声明の内容は、次に述べるとおり、何らの違法性や非道徳性はなく、いずれも正
当なものである。
(1) 沖縄派兵の即時中止の要求について
これは、太平洋戦争末期の沖縄戦における旧日本軍の行動とその犠牲になつた沖縄
住民の被害の惨状、戦後の米軍支配の苛酷な実態、沖縄住民の悲痛な声を無視した
返還の実現に至る歴史的経過及び沖縄派兵を旧日本軍の再来であるとする全島的な
反自衛隊闘争の客観的事実に裏付けられたもので、沖縄の声を体現した極めて正当
な要求である。このことは、沖縄に派兵された自衛隊のその後の状況、アジア諸国
への侵略軍としての内実を持ちつつある増強、基地機能強化の現実に照らしても明
らかである。
自衛官であると同時に一個の市民でもある原告らが、憲法に保障された基本的人権
である表現の自由に基づき、その関心事である沖縄派兵や次の立川移駐について言
及することを制限し禁止される理由はない。
(2) 立川移駐中止の要求について
自衛隊の立川移駐決定と先遣隊の強行移駐は、米軍立川基地跡地を治安出動基地と
して確保するための既成事実作りであつて、これに対しては、立川市民や労働者だ
けでなく、立川市その他の自治体、国会議員等の広範且つ粘り強い反対運動や抗議
行動が繰り広げられていたのであり、原告らの要求は、このような国民各層の幅広
い運動及び反対の声と連動した正当なものである。
(3) 生活、訓練等の条件決定に参加する権利、団結権の保障について
原告らの隊内における生活、訓練、勤務は、全て防衛庁訓令等によつて一方的に定
められ、隊員の意思が反映される場がなく、不当な権利剥奪の状態が続いているの
で、原告らの要求は全く尤もなものである。原告らは、一般市民から自衛官となり
一定任期後は再び一般市民に戻る下級兵士であつて、このような階級的性格からし
て団結権の行使を禁止される理由はなく、諸外国の法制にも符合しないから、原告
らが法六四条一項の改正を求めたことには、正当な根拠がある。
(4) 表現の自由の保障について
表現の自由は憲法上最も基本的な人権であつて、その自由は最大限に保障されなけ
ればならず、諸外国では既に確立されているものであるから、原告らの要求は、け
だし当然である。
(5) 命令拒否権の確定について
法五七条は、上官の職務上の命令に対する服従の義務を定め、法一一九条以下は、
一定の義務違反に対する刑罰の制裁を定めている。しかし、上官の命令に服従した
というだけで兵士の行為が免責されるものでないことは、「東京裁判」の例によつ
ても明らかであるから、下級兵士にとつて違法、不当な命令を拒否する権利並びに
その要件、手続きを確立することは、切実な問題である。
沖縄派兵、治安出動に直面するかも知れない原告らがこれらの要求をしたことは当
然である。
(6) 幹部・曹・士の一切の差別の廃止について
自衛官の階級については、法三二条に定められているが、将校団、下士官団、兵士
団とでは全くその性格が異なり、一方が支配階級、他方が被支配階級であつて、そ
の間に宮内居住、外出その他について明白且つ理由のない差別が存在している。原
告らは、階級そのものの廃止を求めたものではなく、右のような理由のない差別を
廃止し、下級兵士に将校団、下士官団と同様の権利を保障することを要求したもの
に止まるから、正当なものである。
(7) 勤務時間外の拘束の廃止について
営舎内に居住することを義務づけられている下級兵士は、営舎外に居住している自
衛官と異なり、勤務時間終了後も種々の拘束を受けて外出が認められず、休養日等
の外出も厳しく制限されているのであつて、下級兵士が平時において右のような拘
束、制限を受けなければならない理由はないから、一般市民でもある原告らが、勤
務時間外のあらゆる拘束の廃止を求めるのは、当然である。
(8) 私物点検、貯金管理などの人権侵害の中止について
私物の点検や貯金の管理などは、服役者並みの人権侵害であつて、法律の根拠に基
づかずに単なる防衛庁長官の訓令によつて一方的に行うことの違法、不当であるこ
とは明白であるから、原告らの要求が正当なものであることは、いうまでもない。
(9) Fの懲戒免職の取消、原職復帰の要求について
Fは、昭和四四年一一月二二日、特別警備訓練の拒否を呼びかけるビラを配布して
多数の自衛官に怠業を煽動したとして懲戒免職処分を受けたが、表現の自由を侵害
する違法なものであるから、表現の自由に基づいて本件の要求を提出している原告
らが、Fの行為を正当視し免職の取消等を要求することは当然である。
(10) 労働者、市民としての権利の要求について
自衛官は、兵士であると同時に労働者、市民であるから、労働者、市民として有す
る権利を全て認められるべきことは当然である。
2 抗弁2(一)は、原告らが被告ら主張の日時、場所において被告ら主張の方法
で要求書及び声明を読み上げ、演説をしたことは認めるが、演説の正確な内容は、
次のとおりである。2(二)は争う。
(一) 原告Aの演説
「ここに結集した多くの労働者、学生、市民に対し、沖縄出身一隊員として何故こ
こに決起したかをいろいろ考えてみたいと思います。
ここにいる労働者、市民、学生に対し今隊内では治安訓練をし、治安出動訓練をし
て、そのわれわれ人民に何でわれわれが四・二八とか国会の強行裁決に、われわれ
が何で待機命令を受け、何で敵対しなくてはならないのか。われわれの防衛庁押し
かけに対し防衛庁長官は、自衛官たるものが記者会見をし、防衛庁にしかも制服で
くるとは自衛隊員としてふさわしくないとか、そのようなことをいつている。もし
われわれの行動が、自衛官としてふさわしくないのであれば、沖縄派兵、立川への
強行移駐、三里塚での強行土地収用とは一体なんといえばよいのか。それをわれわ
れは反革命的帝国主義だ、と呼ばざるをえない。沖縄派兵は沖縄出身者の手で-訂
正-沖縄の防衛は沖縄出身者の手で、という政府の合言葉、自衛隊側の合言葉は、
われわれ沖縄出身者の広範な派兵拒否にあつて、自衛隊当局は大変困つているよう
であります。
現在まで、沖縄出身者が沖縄出身者のKの自殺並びに沖縄出身者の隊内における断
乎とした、沖縄出身者としてのすべてを賭けた闘いを上官にぶつけ、自ら退職し、
沖縄派兵を拒否し、退職した自衛官と、それから隊内教育で圧迫から耐えられずに
脱さくした沖縄出身者並びに本土出身者の自衛官がいるということ、そういうこと
をわれわれは決して奨励する訳ではなく、断乎と隊内にわれわれがプロレタリア兵
士として隊内に断乎として隊内の非民主的な非人間的なことに、そういうことを逃
避することなく断乎とプロレタリア兵士として人民の側に立つことをすべての自衛
官に訴えたいと思います。
本土における強行裁決とか沖縄派兵とか、立川移駐とか、そういうものはすべて民
主主義だといつて、機動隊と自衛隊の武力を背景に民主主義ということを名のり、
そして自衛隊は機動隊は民主主義の名のもとにわれわれ兵士を完全にロボツト化
し、命令に対する拒否権を認めず、沖縄人民、アジア人民に対しより資本家階級、
ブルジヨア階級、そういう階級の私兵になることをわれわれに要求しているのであ
るが、われわれは断乎そういうことを拒否し、沖縄百万同胞の闘いに断乎合流する
ことをここに明らかにしたいと思います。
沖縄出身者の富村順一さんのわれわれ兵士に対する呼びかけ、自衛官に対する呼び
かけに私は、初めて外部との接触になることになつたわけですが、現在、自衛隊が
沖縄に強行にいこうというその本質的なことは、旧軍のミヤコ島とかケラマ列島に
おける旧軍隊の住民に対する残虐行為をその派兵の内部に本質的に含んでいるとい
うことを、私ははつきりと自覚し、それが故に沖縄派兵を断乎拒否し、拒否するだ
けでなく、断乎拒否するすべての兵士の先頭に立つてそのことを闘つていきたいと
思います。すべての労働者、学生、市民はそういう沖縄返還協定、沖縄派兵の反人
民的な帝国主義者が、われわれに選択を迫つているときに、すべての労働者、学
生、市民、兵士が一体となつて沖縄派兵を阻止することを徹底的に闘い抜くことを
ここにおいて確認したい、私は確認というより、徹底的に闘つていきたいと思いま
す。」
(二) 原告Bの演説
「私は、陸上自衛隊第二特科群第一一〇特科大隊本部中隊に勤務する一等陸士Bで
す。私たちは、昨日防衛庁長官に対し、自衛隊の沖縄への派兵反対、隊内にいる私
たちの基本的な権利を要求する要求書を提出しました。
このことは全国の全隊員の要求と希望であります。自分は自衛隊法四六条の適用を
拒否し尽し行政処分を含むあらゆる妨害に対し闘い、隊内へ復帰を要求し、このこ
とと併せて、防衛庁長官は私たちの要求書に即時に回答することを求める。
私が入隊したのは一九七二年一月八日です。まだ正月気分もさめやらぬ日でした。
その時その時点で私に与えてくれたものは何であつたか。それは希望の一字につき
る。私は自衛官として幹部をめざして頑張るつもりでした。
しかしその希望は無惨にもほんのわずかな期間でくずれ去つた。なぜか。それは三
里塚闘争をテレビで見たことによる。クサリで自らの身体を木に縛りつけ、立ちの
きに反対して闘う農民、キバをむき出して排除にあたる機動隊。
同じ農民の子として私はこれを絶対に許せなかつた。自衛隊には治安出動があるか
らだ。ある日、国防という精神教育のとき、ちよつとしたことで幹部が三島事件に
触れて話しはじめた。幹部の話しは、三島は正しい、第九条は改正すべきだ、自衛
隊は軍隊になるべきだ、と、そのような内容のものであつた。私は身震いがし、日
本の危機を感じた。現在、沖縄に自衛隊が派兵される。なぜ沖縄に自衛隊が派兵さ
れなくてはならないか。今ベトナムでは世界最大の軍事力をもつアメリカを相手に
ベトナム人民は強烈に闘つている。アメリカが敗北し、兵を撤退しようとしている
時に、自衛隊は沖縄に派兵されるのです。あの立川へ強行にも自衛隊は移駐したで
はないですか。このように国民の意志に反し、今度は沖縄に派兵しようとしてい
る。沖縄百万人民は、すべて反対しているではないか。私は侵略と人民弾圧のため
の沖縄派兵に断乎反対し、私は自衛官として本土労働者、農民、学生と連帯して、
自衛隊沖縄派兵を絶対に阻止することを誓う。一九七二年四月二八日。おわりま
す。」
3 同3は認める。ただし、原告らは、昭和四七年四月二七日、原告Aについては
同月二七日以降暫くの間、原告Bについては同月二五日以降暫くの間、いずれも一
身上の都合で休も旨の休暇届を各所属長に提出している。
4 同4は争う。
五 再抗弁
1 請願権の行使
原告らの防衛庁正門付近における行為は、憲法一六条に基づく請願権の行使であ
る。陸上自衛隊服務規則(以下「服務規則」という。)二〇条は、自衛隊内部にお
ける意見具申について定めているが、原告らは、憲法一六条に基づいて請願をした
もので意見具申をしたものではないから、服務規則の適用はない。また、芝公園に
おける行為は、勤務場所外且つ勤務時間外のもので、しかも、正当な表現の自由の
行使であるから、憲法二一条に照らし右行為を制限することは許されない。
なお、原告らが芝公園における行為の際に制服を着用していたのは、着用義務を定
めた法五八条二項に適合するもので、何ら非難される理由はない。
2 法令の不明確による無効
法四六条二号は、「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」を懲戒処分の理
由としているが、右文言は極めて広範かつ不明確であつて、その中には通常人の認
識によつて具体的な内容を想定することが可能な程度の要素が含まれているとはい
えない。このことは、最大判昭和五〇年九月一〇日刑集二九巻八号西八九頁、最大
判昭和五九年一二月一二日民集三八巻一二号一三〇八頁の示す判断基準に照らして
も明らかである。そして、懲戒処分の根拠規定の明確性は、憲法三一条、一三条、
二一条の要請するところであるから、法四六条二号は、その内容が不明確なものと
して、違憲無効である。
3 自衛官の服務を定めた諸規定の違憲性
法五二条以下は、自衛官の服務に関して幾多の規定を掲げているが、総括的な根本
規定である法五二条は、「専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧み
ず、身をもつて責務の完遂に努め・・・」なければならないものとし、自衛官に対
して職務遂行のため自己の生命を賭する賭命業務を課している。また、法五七条
は、上官の職務上の命令に対する服従義務を定めているが、これに対する反抗や不
服従に対しては刑罰の制裁を予定している(法一一九条、一二〇条、一二二条)。
これらのことは、自衛官の命令服従については何らの限界-最後の一線たる生命の
限界すらも存在しないことを意味するもので、人間の生存的本能に根本的に反する
だけでなく、憲法の予定しない軍隊規律ないし絶対的な服従義務を負う軍人の存在
を容認することにほかならないから、戦力の不保持と基本的人権の保障を定めた憲
法の趣旨に反し、違憲無効なものである。
したがつて、自衛官の服務を定めた法五二条以下の諸規定をもつて法四六条二号の
「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」の根拠とすることは許されない。
なお、法五二条の文言は、全体として一つの規律を構成しているもので、賭命義務
を定めた部分と他の部分とを切り離して解釈適用することは許されない。
4 憲法一四条、二一条、一九条、一三条、三一条違反
本件処分は、原告らの表現の自由に基づく正当な行為に対し、原告らが自衛官であ
るが故にされた不合理な差別であるから、法の下の平等を定めた憲法一四条及び表
現の自由を保障した憲法二一条に違反する。また、本件処分は、原告らが反自衛
隊、反帝国主義的思想の持ち主であることを理由としてされたものであるから、思
想、信条の自由を保障した憲法一九条に違反する。更に、被告らは、本件処分をす
るに当たり、原告らに対して告知、聴聞の機会を与えずに免職という重大な不利益
処分を行つたが、これは、適正手続きの保障を定めた憲法一三条、三一条に違反す
る。
5 施行規則八五条違反
被告らは、原告Aについては昭和四七年四月三〇日付けで、原告Bについては同年
四月二九日付けで、それぞれ被疑事実通知書を送達し、その後、原告Aについては
四日以内に、原告Bについては五日以内に、いずれも一方的に懲戒処分を行つた
上、同年五月四日付けで懲戒処分宣告書を送付してきた。しかし、被告らは、原告
らに一切の弁解、防御の機会を与えることなしに右の手続きを行つたもので、施行
規則八五条に違反する。
もつとも、施行規則八五条二項には、処分の手続きを省略し得る場合を規定してい
るが、本件では、原告らに同行した弁護士角南俊輔が原告らの代理人である旨を防
衛庁正門の警備員に告げ、且つ、名刺を交付しているので、同弁護士の事務所に照
会すれば原告らへの連絡、書類の送達等の手続きは可能であり、したがつて、本件
では、同項所定の要件を欠き、省略は許されない。
6 裁量権の濫用
本件処分は、自衛官であると同時に一般市民でもある原告らの請願権ないし表現の
自由の行使を理由としたものであるが、原告らの行為は、目的、方法において何ら
責められるところがなく、内容においても不当又は非難すべきところがないのに、
十分な審査検討もないまま性急且つ感情的に行われた政治的報復といわざるを得な
いから、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を著しく逸脱したものとして、違法で
ある。
四 再抗弁に対する認否
1 再抗弁1は否認する。原告らの防衛庁正門付近における行為は、自衛隊に対す
る非難、抗議を目的としたもので、しかも、予め報道関係者を同道し一般市民が往
来し集まつている場所で、一列横隊に並び要求書を読み上げるという、対外的な効
果を十分に計算した上でされたものであるから、憲法一六条の請願権の行使という
ことはできない。
また、芝公園における行為は、政府の決定した政策に反対し、これを阻止すること
を訴えた上、自衛隊に対して理由のない誹謗中傷を加えたもので、要求事項も自衛
官の職務の性質と相容れないもので、正当な表現の自由の行使とはいえない。
2 同2は争う。法四六条二号の「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」
とは、自衛官の国民全体の奉仕者としての地位及び我が国の防衛というその職務の
特性から導き出される自衛官の服務の本旨に反する行為ないし国民の期待する自衛
官としてのあるべき姿に反する行為であつて、自衛隊の規律又は秩序の維持に関連
する行為のあつた場合を指すということができるから、その内容が不明確であると
はいえない。
3 同3は争う。原告らの行為は、法五二条との関連では「一致団結、厳正な規律
を保持し」の部分に該当するもので、「生命の危険を賭する義務」や「事に臨ん
で」行われたものではないから、原告らの主張は、本件処分の適否とは関係がな
い。
4 同4はいずれも争う。行政手続きには憲法一三条、三一条の適用はない。
5 同5は争う。本件処分は、原告らの規律違反の事実が明白で争う余地がない上
に、原告らの所在が不明であつたから(防衛庁職員が角南弁護士から原告らの代理
人である旨を告げられたとか又は名刺を交付された事実はない。)、施行規則八五
条二項に基づいてされた適法なものである。
6 同6は争う。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 原告らの身分等
請求の原因1、2の事実は、いずれも当事者ら間に争いがなく、原告B本人尋問結
果及び弁論の全趣旨によれば、原告らは、自衛官として任用されるに際し、それぞ
れ、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法
令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心
身をきたえ、技能をみがき、政治活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の
遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて
国民の負託にこたえることを誓います。」との服務の宣誓をしていることが認めら
れる(法五三条、施行規則三九条)。
二 原告らの行為
1 原告らが、昭和四七年四月二七日午後四時ころ、自衛隊の制服を着用した上、
外四名の自衛官及び元自衛官と共に、東京都港区<地名略>所在の防衛庁に赴き、
正門付近の報道関係者ら不特定多数の者が集まつている場所において、Cが全員を
代表して、自衛隊の沖縄派兵及び立川移駐の中止などを訴える内容を有し、且つ、
全員の官職、氏名を表示した別紙一の要求書を読み上げ、その後、右要求書及びこ
れとほぼ同趣旨の記載のある別紙二の声明と題する文書を防衛庁職員に手交したこ
とは、当事者ら間に争いがなく、右要求書には、「沖縄百万の労働者、農民は、老
若男女を問わず一人一人が自衛隊の沖縄派兵に怒りのこぶしをふりあげている。」
「自衛隊の侵略軍隊への強化は、われわれにあらゆる屈従を強制しようとしている
ではないか。」「入隊以来、われわれは、あらゆる隊内の非民主的教育、生活、訓
練に耐えてきた。」などのほか、要求事項として、命令拒否権の確定、幹部・曹・
士の一切の差別の廃止、勤務時間外のあらゆる拘束の廃止などを求める記載があ
り、また、右声明には、「いままさに日本帝国主義が、再びアジア人民への圧迫と
殺りくに乗り出さんとしている・・・・・・。」「われら自衛隊兵士
は、・・・・・・兵営監獄の中で抑圧され、差別され、あらゆる屈従を強いられて
きた。」「帝国主義佐藤政府は、われらを侵略と人民弾圧のせん兵とぜんがため
に、四次防と沖縄派兵を必死になつて強行しようとしている。」などの記載のある
ことが明らかである。
そして、成立に争いのない乙第一、第二号証、第五号証の二、証人Lの証言及びこ
れによつて真正に成立したことが認められる乙第二九号証、証人G三の証言及びこ
れによつて真正に成立したことが認められる乙第三〇号証、証人M、同N、同角南
俊輔の各証言並びに原告ら各本人尋問の結果によれば、原告らは、防衛庁に赴くの
に先立つて報道関係者を集めて記者会見を行い、これらを同道して防衛庁に赴いた
もので、同所正門においては、防衛庁長官への面会を求めながら担当職員からの身
分証明書の提示要求にも率直には応ぜず、制服を着用したまま一列横隊に並び、前
記のとおり、報道関係者ら不特定多数の者を前に、要求書を読み上げた後、声明と
共に防衛庁職員に手交する行為に及んだものであることが認められ、この認定に反
する証拠はない。
2 また、原告らが、昭和四七年四月二八日午後八時ころ、東京都港区所在の芝公
園で開催された全国各県反戦青年委員会代表者会議等の共同主催による四・二八沖
縄返還協定粉砕等中央総決起集会に前記四名の自衛官及び元自衛官と共に参加し、
制服を着用して演壇に立ち、集会の参集者を対象とし、全員を代表してDが前記要
求書を、原告Bが前記声明をそれぞれ読み上げ、続いて原告らが交互に演説をした
ことは、当事者ら間に争いがない。
そして、右集会における原告Bの演説が、「国民の意思に反して自衛隊を沖縄に派
兵しようとしている。沖縄一〇〇万人民は全て反対している。」「人民弾圧のため
の沖縄派兵に反対し、私は自衛官として労働者、農民、学生と連帯して、自衛隊の
沖縄派兵を絶対に断乎阻止することを誓う。」旨の内容を含み、また、原告Aの演
説が、「沖縄派兵、立川への強行移駐、三里塚の強行土地収用は、反革命的帝国主
義と呼ばざるを得ない。」「民主主義という名の下に、我々兵士を完全にロボツト
化し、命令に対する拒否権を認めず、沖縄人民、アジア人民に対し、より資本家階
級、ブルジヨア階級の私兵になることを要求している。」「自衛隊の沖縄強行移駐
は、旧軍の住民に対する残虐な行為を、その派兵の内部に本質的に含んでいるとい
うことを私ははつきり自覚し、それが故に沖縄派兵を断乎拒否し、また拒否するだ
けでなく、拒否する全ての兵士の先頭になつて戦つて行きたい。」旨の内容を含む
ものであつたことは、いずれも、原告らの自認する演説と対比して明らかである。
3 更に、原告Aが昭和四七年四月二六日午後一一時の、原告Bが同月二四日午後
一一時の各帰隊時限を越えて、いずれも同年五月三日の満了に至るまでの間帰隊し
なかつたことは、当事者ら間に争いがなく、成立に争いのない乙第二二、第四一号
証の各一、二、証人Oの証言及びこれによつて真正に成立したことが認められる乙
第二三号証、証人Pの証言及びこれによつて真正に成立したことが認められる乙第
二四号証によれば、原告らは、同年四月二七日付けで、原告Aについては同月二七
日以降当分の間、原告Bについては同月二五日以降当分の間、それぞれ一身上の都
合で休む旨の休暇届を各所属長に郵送したが、いずれも、承認を得られなかつたこ
とが認められ、これに反する証拠はない。
三 原告らの行為に対する評価
1 成立に争いのない甲第五号証の三、四六、乙第一一、第一二号証、第二一号証
の一、二及び弁論の全趣旨によれば、原告らが問題にした自衛隊の沖縄配備及び立
川移駐は、当時の政府が次のような経緯で適法に決定したものであることが認めら
れ、この認定に反する証拠はない。
(一) 沖縄は、昭和四七年五月一五日をもつて施政権が米国から日本国に返還さ
れることとなつたが、右返還に先立つ昭和四六年六月二九日、防衛庁H防衛局長と
I在日米国大使館沖縄交渉団首席軍事代表との間で、「日本国による沖縄局地防衛
責務の引受けに関する取極」が結ばれ、その中で、我が国が引き受ける防衛責務の
内容、引受けの時期及び自衛隊の部隊を配置する施設等が明らかにされた。自衛隊
の沖縄配備計画は、右取極所定の基本方針に沿つて検討された上、昭和四七年四月
一七日、国防会議において、昭和四七年五月一五日の沖縄復帰に当たり、準備要員
として陸・海・空自衛官約一〇〇名を予め派遣し、復帰日以後、施設の引継ぎ及び
維持管理等に当たらせること、昭和四七年一二月末を目処とし、若干名の陸上自衛
隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を逐次配備することなどを内容とする配備計画が決
定された。そして、右計画は、翌一八日の閣議に報告され了承された。
(二) 立川飛行場は、日本国と米国との間の相互援助協力及び安全保障条約六条
に基づいて米国が使用を許されていたが、昭和四六年六月二五日の日米合同委員会
において、日米両国で共同使用する旨の合意が成立した。そして、同年六月二九
日、閣議において、立川飛行場の自衛隊と米軍との共同使用、即ち陸上自衛隊東部
方面飛行隊等が航空施設として共同使用することが決定された。昭和四七年一月二
一日、J防衛庁長官は、閣議において、立川飛行場へ年度内に部隊を移駐させるこ
と、その日時等は長官に任されたい旨を報告し、その了解を得、同年三月七日から
八日にかけて、訓練部隊の立川飛行場への移動が行われた。
2 (一)右認定の事実に、前述した原告らの行為と要求書、声明及び演説の内容
を総合すれば、原告らは、第一に、予め報道関係者を集めて記者会見を行い、これ
らを同道して防衛庁に赴き、同所正門付近の報道関係者ら不特定多数の者が集まつ
ている場所において、制服を着用したまま一列横隊に並び、政府が適法に決定した
自衛隊の沖縄配備、立川移駐に反対しその中止を求める官職、氏名を表示した要求
書を読み上げ、また、芝公園で開催された四・二八沖縄返還協定粉砕等中央総決起
集会において、同じく制服を着用して演壇に立ち、集会の参集者を対象として右要
求書及びこれとほぼ同趣旨の記載のある声明を読み上げ、自衛隊の沖縄配備、立川
移駐に反対しこれを阻止する演説を行つたもので、いずれにおいても、自衛官の制
服や官職を利用して対外的な宣伝効果を狙い、第二に、要求書、声明及び演説にお
いて、自衛隊の存在自体ないしその沖縄配備を侵略と人民に対する弾圧を目的とし
たものと決め付け、或いは、自衛官は兵営監獄の中で人権を抑圧されあらゆる屈従
を強いられてきたなどとして、著しく歪曲し又は誇張した事実を前提にして自衛隊
を誹謗中傷し、第三に、防衛庁正門及び芝公園の双方において、自衛隊の組織を否
定し又は自衛官の職務と相容れないことの明らかな幾つかの要求を行い、第四に、
以上の各行為を実行するために、長官が指定する場所(営舎内)に居住せず、所属
長の承認を受けることなく職務を離脱したものである。(二)原告らは、右のう
ち、特に自衛隊の沖縄派兵及び立川移駐の中止要求について、その正当性を次のよ
うに主張する。即ち、沖縄派兵の中止要求は、太平洋戦争末期の旧日本軍の行動と
その犠牲になつた沖縄住民の被害の惨状、戦後の米軍支配の苛酷な実態、沖縄住民
の悲痛な声を無視した返還の実現に至る歴史的経過及び沖縄派兵を旧日本軍の再来
であるとする全島的な反自衛隊闘争の客観的事実に裏付けられたもので、沖縄の声
を体現した極めて正当なものであり、また、立川移駐は、米軍立川基地跡地を治安
出動基地として確保するための既成事実作りであつて、これに対しては、立川市民
や労働者だけでなく、立川市その他の自治体、国会議員等の広範且つ粘り強い反対
運動や抗議行動が繰り広げられていたもので、その中止を求める原告らの要求は、
このような国民各層の幅広い運動と反対の声と連動した正当なものである、という
のである。
しかし、たとえ、沖縄派兵及び立川移駐の中止を求める部分が、原告らが主張する
ような歴史的背景に裏付けられ或いは反対運動と連動する一面を有していたとして
も、現に自衛官の地位にある者が、前記のような手段、方法に訴え、政府の適法な
決定に反対しその中止を求め更には阻止を官萌することは、自衛隊の任務ないし自
衛官の服務の本旨及び遵守すべき義務と相容れないものである。即ち、「自衛隊
は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つなめ、直接侵略及び間接侵略に対
しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当
る・・・・・・」ことを任務とするもので(法三条一項)、そのために必要な武器
を保有し(法八七条)、防衛出動又は治安出動に際しては武力の行使(法八八条一
項)又は武器の使用(法九〇条一項)を認められているもので、右任務を効果的に
遂行するためには、防衛出動等の機会に限らず、不断から、一糸乱れぬ厳正な規律
と強固な団結を保持することが不可欠である。これは、実力組織としての性格に由
来する本質的な要請であつて、それ故、自衛隊の配備や行動等に関しても、いわゆ
る文民統制の原則に服する必要があるのは当然として、少なくとも自衛隊の内部に
おいては、これを所掌する者の判断と決定が最大限に尊重されなければならず、そ
の反面、組織の一翼を担う個々の自衛官としては、右決定に従いこれを誠実に遂行
すべき義務を負いこそすれ、右決定に反対しその中止や阻止を宣明することには必
然的な制約があることを意味する。そして、原告らは、右のような特質を持つ自衛
隊の任務を遂行するために自ら志願して自衛官となつた特別職の国家公務員であつ
て、「・・・・・・わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、
厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみが
き、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧み
ず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえる・・・・・・」こ
とを服務の本旨とし(法五二条)、しかも、自衛官として任用されるに際して同様
の服務の宣誓をし(法五三条、施行規則三九条)、上官の職務上の命令に忠実に従
い(法五七条)且つ「いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を
損するような行為をしてはならない」(法五八条一項)との義務を負つているので
ある。服務規則二〇条が、自衛官が行う上官への意見具申について詳細な規定を置
いていることは、後述のとおりであるが、これは、右のような自衛隊の任務ないし
自衛官の服務の本旨を反映したものと解することができる。
しかるに、原告らは、自衛官の制服や官職を利用して対外的な宣伝効果を狙い、著
しく歪曲し又は誇張した事実を前提にして自衛隊を誹謗中傷し、このような行為の
一環として、自衛隊の配備に関する政府の適法な決定に反対し、その中止を求め更
には阻止をも宣明したもので、しかも、後述のとおり、自衛官の意見具申について
規定した服務規則二〇条に違反したものであるから、内容及び手段、方法のいずれ
においても相当性を欠き、右に見た自衛隊の任務ないし自衛官の服務の本旨及び遵
守すべき義務と相容れないとの評価を免れることはできない。
(三) また、服務規則二〇条は、自衛官が上官に意見を具申する場合の手続き等
について、「1 自衛官は、隊務の向上改善に役だつと信ずる事項については、誠
意をもつて積極的に上官に意見を具申しなければならない。2 意見を具申するに
あたつては、順序を経てこれを行ない、秩序をみだすようなことがあつてはならな
い。3 自衛官は、上官がその具申した意見と異なる決定を行なつた場合において
も、いさぎよくこれに服従し、専心上官の意図を達成することに努めなければなら
ない。」と規定しているのであつて、原告らの行為は、この規定に違反するもので
ある。
3 以上によれば、原告らの行為のうち、防衛庁正門付近及び四・二八沖縄返還協
定粉砕等中央総決起集会における行為が自衛官の服務の本旨を定めた法五二条及び
品位保持の義務を定めた法五八条一項に違反して法四六条二号の「隊員なるにふさ
わしくない行為のあつた場合」に該当し、また、営舎内居住義務違反の行為が法五
五条、施行規則五一条本文に違反して法四六条一号に該当し、上司の許可なく職務
を離脱した行為が法五六条に違反して法四六条一号に該当することが明らかであ
る。
四 原告らの主張に対する判断
1 請願権の行使について
原告らは、防衛庁正門付近における要求書の読み上げ及び右要求書と声明の手交
は、憲法一六条の保障する請願権の行使であると主張する。
しかし、前述したとおり、要求書及び声明の内容自体が自衛隊に対する誹謗中傷や
自衛隊の組織及び自衛官の職務と相容れない要求を含むもので、全体として真面目
に政策の変更や新たな施策の実施を求めるものとはいえない上に、原告らは、予め
報道関係者を集めて記者会見を行い、これらを同道して防衛庁に赴き、長官への面
会を求めながら担当職員からの身分証明書の提示要求にも率直には応ぜず、報道関
係者を含む不特定多数の者を前にして、制服を着用して一列横隊に並び、官職及び
氏名を表示した要求書を読み上げた後、右要求書と声明を防衛庁職員に手交する行
為に及んだもので、自衛官の制服及び官職を利用した対外的な宣伝行為ないし演出
というほかはないから、右行為を請願権の行使と見ることはできない。
2 法令の不明確による無効
法四六条二号が「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」をもつて懲戒処分
の理由としていることに関して、原告らは、その文言が極めて広範且つ不明確であ
つて、その中には通常人の認識によつて具体的な内容を想定することが可能な程度
の要素が含まれていないと主張する。
しかし、同号が懲戒処分の理由としているのは、例えば「人間たるにふさわしくな
い行為のあつた場合」とか「紳士たるにふさわしくない行為のあつた場合」などと
いうような漠然としたものでなく、「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場
合」というのであるから、法が規定し又は期待している隊員としてのあるべき姿や
遵守すべき服務の本旨、義務の内容を見ることによつて、「隊員たるにふさわしく
ない行為のあつた場合」の意義及び内容は自ずと明らかになると解される。しかる
ときは、法五二条が「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、
一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、
技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危
険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを期
するものとする。」として服務の本旨を定め、これを具体化する形で、法五六条が
「隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しく
は責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」とし、
法五八条一項が「隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つ
け、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。」と定め、それぞ
れ、自衛官としてのあるべき姿や服務の本旨、遵守すべき義務の内容を明らかにし
ているのであるから、右のような自衛官としてのあるべき姿に背き、服務の本旨な
いし遵守すべき義務に反する行為のあつた場合が、取りも直さず「隊員なるにふさ
わしくない行為のあつた場合」に当たるということができる。なお、法四六条一号
は「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」を独立の懲戒理由としている
から、自衛官の義務違反のうち同号に該当する行為は、法四六条二号から除外され
ることになる。
これを本件について見ると、原告らは、政府が適法に決定した自衛隊の沖縄配備及
び立川移駐に反対し、その阻止を宣明しただけでなく、自衛隊を誹謗中傷し、自衛
隊の組織ないし自衛官の職務と相容れない要求を行い、その手段、方法も、自衛官
として遵守すべき意見具申の規定を無視し、自衛官の制服及び官職を利用して対外
的な宣伝行為に及んだものであつて、「わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を
自覚し、一致団結、厳正な規律を保持」することを要求されている自衛官の服務の
本旨に背き、「隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行
為」に当たり、したがつて、「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」に該
当することは、通常の判断能力を有する一般人の立場からも容易に理解することが
できる。
3 自衛官の服務を定めた規定の違憲性について
原告らは、法五二条が「専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧み
ず、身をもつて責務の完遂に務め・・・・・・」なければならないとして自衛官に
いわゆる賭命義務を課し、また、法一一九条等が上官の職務上の命令に対する反抗
や不服従に対して刑罰の制裁を定めているのは、人間の生存的本能に反するだけで
なく、憲法の予定しない軍隊規律ないし絶対的な服従義務を負う軍人の存在を容認
するもので、戦力の不保持と基本的人権の保障を定めた憲法の趣旨に反すると主張
する。
しかし、本件では、原告らが前記のような手段、方法で政府が適法に決定した政策
に反対して要求書や声明を発表し又は自衛隊を誹謗中傷する記載や演説をしたこと
が、「隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合」に当たるかどうかが問題とな
つているのであつて、原告ら主張のような賭命義務や刑罰の制裁が問題となつてい
る訳ではないし、いわんや、賭命義務や刑罰の制裁を定めた部分の合憲性が肯定さ
れない限りは「隊員としてふさわしくない行為のあつた場合」の意義を解明するこ
とが不可能であるともいえないから、右主張はその前提において失当というほかは
ない。
4 憲法一四条、二一条、一九条、一三条、三一条違反について
原告らは、自衛官として遵守すべき義務に反して自衛隊の配備に関する政府の適法
な決定に反対し又は自衛隊を誹謗中傷するなどしたことが「隊員としてふさわしく
ない行為のあつた場合」に当たるとして懲戒処分を受けたもので、反自衛隊ないし
反帝国主義の思想を有していること自体を理由として懲戒処分を受けたものではな
いから、本件処分をもつて不合理な差別に当たるとか又は思想信条の自由を侵害す
るものとはいえない。また、原告らが、一般市民としての表現の自由を保障される
べきことは当然であるとしても、自ら志願して我が国の防衛の職責を負う特別職の
国家公務員の立場にありながら、自衛官の身分を保有したまま、むしろこれを利用
した上で、前述のような手段、方法により、自衛隊の配備に関する政府の適法な決
定に反対してその阻止をも宣明し又は自衛隊を誹謗中傷することは、たとえ勤務外
であつても、服務の本旨や遵守すべき義務に抵触するものとして一定の制約を受け
ることがあるのは止むを得ないから、本件処分が表現の自由を保障した憲法二一条
に違反するとはいえない。原告らが、一般市民から自衛官となり、一定期間の任期
後は再び一般市民に戻る立場にある者であるからといつて、自衛官として在職中の
権利自由の保障が全て一般市民のそれと同等でなければならない理由はない。むし
ろ、原告らは、自ら志願して自衛官となつたのであるから、自衛隊の任務を遂行す
るのに必要な範囲においてその権利自由が制限されたとしても、そのことの故をも
つて直ちに憲法違反の問題が生ずることはなく、このことは、自衛隊内部における
地域の上下には関係がないと解するのが相当である。更に、憲法一三条、三一条
は、行政処分が手続的にも適正でなければならないことを要求しているとしても、
懲戒処分をする場合には、相手方に対して常に告知、聴聞の機会を与えなければな
らないことまでをも要求しているとはいえず、相手方の所在が不明のような場合に
は、告知、聴聞の機会を与えることなく懲戒処分を行うことも許されると解される
ところ、本件処分は、後述のとおり、その旨を定めた規定に基づいてされたもので
あるから、憲法一三条、三一条に反するとはいえない。
5 施行規則八五条の遵守の有無について
(一) 施行規則は、六六条から八六条までにおいて、懲戒処分の手続きに関する
詳細な規定を定めているが、八五条一項は、「懲戒権者は、規律違反の疑がある隊
員に係る規律違反の事実を調査した結果、その事実が明白で争う余地がない場合に
おいて、当該規律違反の事実に対する懲戒処分が五日以内の停職、減給合算額が俸
給月額の三分の一をこえない減給又は戒告(以下「軽処分」という。)に相当する
と認めるときは、・・・・・・第七十一条以下の審理に関する規定にかかわらず、
懲戒補佐官の意見をきいて、懲戒処分を行うことができる。但し、当該懲戒処分の
行われる前に規律違反の疑がある当該職員が審理を願い出たときは、この限りでな
い。」とし、八五条二項は、「規律違反の事実が軽処分をこえる場合においても、
その事実が明白で争う余地がなく、且つ、規律違反の疑がある隊員が審理を辞退
し、又は当該隊員の所在が不明のときは、前項本文の規定に準じて処分を行うこと
ができる。」と定めている。
そして、証人Pの証言及びこれによつて真正に成立したことが認められる乙第八、
第一三、第三二号証、証人Oの証言及びこれによつて真正に成立したことが認めら
れる乙第九、第一〇、第一五ないし第一九、第三三号証によれば、原告らに対する
懲戒手続きは、昭和四七年四月二七日から開始されたが、自衛隊が独自に又は警察
を通して原告らの所在を調査したものの、それが不明であつたことから(原告ら本
人尋問の結果によれば、原告らは、芝公園における集会に参加した後は、都内を転
々として所在をくらましていたことが認められる。)、施行規則八五条二項に従
い、原告らの供述の聴取を含む審理を省略して懲戒処分が行われたことが認めら
れ、この認定に反する証拠はない。
(二) 右の点に関して、原告らは、防衛庁に同行した弁護士角南俊輔が原告らの
代理人である旨を警備員に告げ、且つ、同弁護士事務所の記載のある名刺を交付し
たから、同弁護士事務所に照会すれば原告らへの連絡、書類の送達等の手続きは可
能であり、したがつて、本件では、施行規則八五条二項所定の要件を欠くので、原
告らの供述の聴取を省略することは許されないと主張する。そして、証人角南俊輔
の証言、原告B本人尋問の結果中には、右主張に符合し、且つ、同弁護士は、当日
は原告らが逮捕された場合の弁護人或いは処分手続きが行われる場合の代理人とな
る立場で終始行動していたと述べた部分がある。
しかし、右証言によつても、角南弁護士において代理人である旨を告げて名刺を交
付した相手方が具体的に誰か、したがつて、その者の受領権限の有無が明らかでな
く、また、証人として出廷した警備員その他の防衛庁職員にも、同弁護士から代理
人である旨を告げられたとか又は名刺を受け取つたことを認めている者はないか
ら、結局、代理権の有効な告知があつたと認めることはできない。仮に、同弁護士
が受領権限のある者に対して代理人である旨を告げて名刺を交付したとしても、右
証言によれば、当日は防衛庁長官に会つて直接に要求書を手交すると共にFが提起
していた公正審査の件で申入れをするのが目的であり、名刺もFが書いた面会票と
一緒に出したというのであるから、右のような外形的事実からすると、同行した弁
護士の代理権も、その内心的な意思に拘わらず、右要求書の手交と申入れの目的を
実現するのに必要な限度に止まるのが通常であると解される。したがつて、代理権
の範囲が右限度を越えて当日の行為を含む一連の行為を原因として開始されるべき
将来の懲戒手続きにまで及ぶためには、その旨の特別の表示が必要というべきであ
るが、本件では右のような表示のあつたことを認めるに足りる証拠はない。
かえつて、成立に争いのない乙第二五号証の一、二によれば、角南弁護士は、昭和
四七年五月二日付けで防衛庁長官あてに、外一名と連名で、「同弁護士らは、原告
ら五名から委任を受けた代理人であるから、原告らに関する身分関係の諸問題につ
いて通知等の必要がある場合には、当法律事務所あてに連絡されたい。」旨の書面
を発し、同月四日に防衛庁に到達していることが認められるところ(ただし、到達
の時刻は明らかでない。)、右証言中には、右書面は念のために発した確認的なも
のであると述べた部分があるが、上述したところと対比して直ちには信用すること
ができず、むしろ、同弁護士は、右書面によつて初めて懲戒手続きに関する代理人
であることを防衛庁に通知したと見るのが相当である。もつとも、証人Pの証言に
よつて真正に或立したことが認められる乙第二七、第二八号証、証人Oの証言によ
つて真正に成立したことが認められる乙第二六号証及び弁論の全趣旨によれば、本
件処分の宣告書は同月四日の午前中に既に原告らの保護者に対して交付済みであつ
たため、右通知書は本件処分には間に合わなかつたことが認められる。
(三) なお、成立に争いのない甲第二号証と証人M、同角南俊輔の各証言によれ
ば、角南弁護士は、原告らと行動を共にしたFに対する懲戒処分についての公正審
査手続きの代理人をしていたことから、防衛庁正門に駆け付けた職員の中に同弁護
士を知つている者のいたことが認められ、また、防衛庁正門付近の行為のあつた日
の翌日である昭和四七年四月二八日の参議院予算委員会において、当時の防衛庁長
官が、「昨日一六時一六分ころ、F元空曹の弁護士である角南俊輔も付き添つて制
服着用の者合わせて五名が、沖縄派兵反対等の要求のため、防衛庁長官に面会を求
めて来庁した。」旨の報告をしていることが認められるが、防衛庁関係者が同弁護
士の存在を認識したのは、Fの提起していた公正審査手続きとの関係においてであ
ることが右防衛庁長官の報告によつても明らかであるから、被告らが原告らに対す
る懲戒処分の手続きを進めるに当たつては、同弁護士事務所に原告らの所在等を照
会すべき義務があつたとまではいえない。
したがつて、本件処分が施行規則八五条二項の規定に反するものとはいえない9
6 裁量権の濫用について
原告らの行為は、報道関係者らの面前や沖縄返還協定粉砕等を目的とする集会にお
いて宣伝効果を狙つて意図的に行われた極めて明白なもので、それ自体として争う
余地のないものである上、自衛隊に対する誹謗中傷を含み、自衛隊の任務に背き、
自衛官の服務の本旨ないし遵守すべき義務に反し、自衛官としての信用を傷つけ自
衛隊の威信を低下させ、「隊員なるにふさわしくない行為のあつた場合」に当たる
ことが明らかなものであり、しかも、右行為を実行するため、指定された場所(営
舎内)に居住せず、許可なく職務を離れたのであるから、このような事案の性質、
内容、程度及び自衛隊の内外に与えた影響等を総合すれば、被告らが原告らに対す
る懲戒処分として免職の処分をもつて臨んだことは誠に止むを得ないところであつ
て、その過程に裁量を誤つた違法があるとはいえない。
五 結論
以上のとおりであつて、本件処分は適法であり、その取消を求める原告らの請求は
いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行訴
法七条、民訴法八九条、九三条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 太田 豊 水上 敏 田村 眞)

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