弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人野間繁、同寺本直吉の上告理由第一点について。
 論旨は、原審が上告人の弁論再開の申請を容れないで判決したことが審理不尽の
違法である、と主張する。
 しかし、上告代理人寺本直吉が原審に弁論再開の申請書とともに提出した「準備
書面」と題する書面に、所論のごとく、上告人が本件抗告審判の請求を法定期間内
になし得なかつた事由として、上告人は本件特許無効審判の審決に不服であつたの
で適当な代理人に依頼して抗告審判の請求をしようとしていたところ、インフルエ
ンザにかかり高熱のため心神もうろう状態が続いているうちに法定の抗告期間を徒
過し、ようやく小康を得てから弁理士Dに依頼して本件抗告審判の請求に及んだ旨
の記載があるとしても、記録によれば、右弁理士Dは、本件特許無効審判事件に終
始関与していたばかりでなく、その委任状には抗告審判の請求に関する権限をも授
与する旨の文言が記載されていることが明らかである。かかる場合においては、手
続の追完が許されないこと後記説示のとおりであるから、原審が右弁論再開の申請
を容れなかつたことは、正当であるというべきである。
 されば、右と相容れない見解に立脚して原判決に所論の違法があるとする論旨は、
その理由がないことに帰着し、採るを得ない。
 同第二点(一)について。
 論旨は、要するに、原判決が弁理士Dに本件抗告審判について上告人を代理する
正当な権限があると判断したことが、慣習ないし経験則に違背する、というのであ
る。
 しかし、特許の無効審判事件において当事者が弁理士に対して交付した委任状に
当該審判手続のほか抗告審判に関する特別委任をなす旨の文言が印刷記入されてい
る場合に、かかる文言を全然意味のない例文であつて、委任者に抗告審判の代理権
限を予め授与する意思はなくまた受任者においてもこれを受ける意思がないものと
認めるのを通例とするがごとき経験則のないことはもとより、かような慣習の存在
することが裁判上顕著な事実であるとはなし難く、また記録を精査しても右の慣習
の存在を肯認するに足る資料はない。
 されば、上告人が本件特許無効審判事件において弁理士Dに前記のごとき権限を
授与する旨記載してある委任状を交付し、それが特許庁に提出されて記録に編綴さ
れていることの明らかな本件において、原審が右弁理士Dは本件抗告審判について
上告人を代理する適法な代理権限を有しているものとした判断は、正当であつて、
所論の違法はなく、論旨は、採るを得ない。
 同上(二)について。
 論旨は、原判決が上告人に対し特許法二五条による追完を認めなかつたことに審
理不尽の違法がある、と主張する。
 しかし、期間不遵守につき、当事者本人にその責に帰することができない事由が
あつても、同人に代わつて当該手続をする権限のある代理人に右の事由がない場合
には、懈怠した手続の追完を許さないことは、当裁判所の判例とするところである
(昭和三一年(オ)第四二号、同三三年九月三〇日第三小法廷判決、民集一二巻一
三号三〇四〇頁)。
 それ故、期間不遵守につき、仮りに上告人本人にその責に帰することのできない
事由があつたとしても、上告人に代わつて本件抗告審判の請求をなす権限を有する
弁理士Dにも右の事由があつた旨の主張・立証のない本件において、原審がその懈
怠した手続の追完を許さなかつたのは、正当であつて、所論引用の判例は本件に適
切でなく、論旨は、採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛