弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 B提出の上告趣意について。
 右は事実の経過等の詳細を述べ、結局原審裁判所の事実の認定は根本において誤
りであつて、自分は本件犯罪を行つた者ではなくしたがつて無罪であることを強調
し、尚原審裁判所の証拠の取捨判断を争うものであるが、右前段の主張は日本国憲
法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第一三条第二項の規定により、
上告理由として不適法のものであつて採り上げるわけにゆかず、又後段の主張は原
審裁判所の自由心証によつた証拠の取捨判断を非難するものであつて、且つ右原審
裁判所の採用した証拠は経験上の法則と云うものにも違背している点は認められな
いから、此点も上告理由として採り上げるわけにはゆかない。
 弁護人木原一史上告趣意第一点について。
 しかし、所論指摘のA提出の始末書の部分は原判示に明らかなように、その前段
より続けてこれを読めば、決して所論のように単なる想像の記載ではなく同人の実
験した事実に基ずく推測事項の記載であゝることは明瞭である。そして、かゝる事
項と雖も有効に証拠に採り得ることは、旧刑訴第二〇六条第一項の規定の趣旨に徴
しても明らかである。同所論引用の大審院判例は何等事実上の根拠を有しない一片
の想像に過ぎない供述の採証に関する場合であつて本件の場合に該当するものでは
ない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 所論を以下のとおり大別して判断する。即ち(イ)原審が証拠に採用したCD両
名に対する司法警察官の聴取書及び第一、二審(Dは第一審)の公判廷における証
人としての供述は、短時間の脅迫を受け且つ一種の恐怖状態にあつたものゝ言とし
てはあまりにも詳細を極めており、警察において取調に先立ち上告人等に関する写
真等を提示し先入感を与えた結果の供述であることの疑い濃厚であつて、したがつ
て右両名の司法警察官の聴取書及び公判廷での供述は証拠価値のないものであると
云うのである。しかし、吾人の実験則に照し且つ所論の先入感云々に関する具体的
証左の見るべきものゝない限り、右各供述は決して不可能や不自然のものとは断ず
ることができない。所論は結局原審の自由心証に基ずく証拠価値に対する非難に過
ぎないのであつて、論旨は採用することができない。(ロ)所論Eの鑑定について、
原審が採証したのは同人作成の鑑定書であつて検体物件そのものではなく、又所論
二十倍顕微鏡増視の方法による鑑定の結果を無価値と云うことはできない。所論も
結局原審の証拠価値に対する非難に過ぎない。(ハ)次に司法警察官F作成の実況
見分書(所論はGに対する聴取書とあるも、原審が採証しているのはFの見分書で
ある)のHとその使用された跡との比較対照は必ずしも必要ではなく、要するとこ
ろ、これが採証上に実験則又は論理の法則違反の廉の見るべきもののない限りは、
右H所持の事実とH様のものの使用の跡のあつたことに関する右Fの実況見分書の
記載を証拠に採ることは毫も違法の処置と云うことはできない。所論はこれ又原審
の証拠価値の判断に対する非難たるに過ぎない。(二)その他の所論は結局原審の
事実認定に対する誤認を主張し、若しくは原審の証拠の取捨判断に対する攻撃であ
つて、上告適法の理由とならないものである。
 以上の理由により、主張及び論旨はすべて理由がないから、刑訴施行法第二条並
びに旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
 この判決は全裁判官一致の意見によるものである。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二四年一二月三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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