弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、境界確定請求の部分を破棄する。
     石川県鳳至郡a町字bcのd番山林一畝十五歩と同県同郡同町字同cの
e番山林との境界は、原判決添付別紙見取図表示の13、1、2に該当する各点を
順次連結する直線であることを確定する。
     その余の上告を棄却する。
     訴訟の総費用中、境界確定請求に関する上告費用は被上告人B1の負担
とし、その余を上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人普森友吉の上告理由第一点について。
 論旨は、原判決は当事者参加人B1と上告人(控訴人)との間の境界確定の訴訟
につき、主文を脱漏し、これを記載しなかつた違法があるというが、しからざるこ
とは原判決主文を一見して明白であり、論旨は採ることを得ない。
 同第二点について。
 原審の事実認定は挙示の証拠によつて肯認され、その過程には何等所論の違法は
ない。所論は畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰
し、採用しえない。
 なお、職権を以て本件境界確定の訴訟の点について調査するに、被上告人B2は
その所有山林と上告人所有山林との境界につき、その確定を求めるため、上告人に
対し境界確定の訴訟(以下旧訴と称する)を提起し、第一審において実質上勝訴の
判決を受けたところ、これに対し上告人において原審に控訴を申立てたが、被上告
人B1は被上告人B2よりその所有に係る山林を譲受けたとして境界確定の訴(以
下新訴と称する)を提起して右訴訟に参加し、被上告人B2は境界確定の訴(旧訴)
を取下げたこと、しかして、訴訟審たる原審においては、境界確定の点に関する判
断が第一審判決の主本の文言と合致したため、この点につき控訴棄却をしたことは、
原判決により明らかである。しかしながら、かかる場合、控訴審はすべからく新訴
について第一審として判決をなすべきであり、これと訴訟物を異にする旧訴につき
控訴棄却の判決をなすべきでない。この点で原判決は違法であつて破棄を免れない
ものというべきである。よつて原判決中、上告人と被上告人B1との部分に限り、
これを破棄する。
 しかして、原判決の判示したところによれば、本件土地の境界は、第二審判決添
付別紙見取図13、1、2に該当する各点を順次連結する直線であることが確定さ
れるというのであり、原判決の右認定、判断は挙示の証拠によつて肯認し得るとこ
ろである。
 よつて、民訴四〇八条一号、三九六条、三八四条、九六条、八九条、九二条に従
い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠

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