弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中被告人関係部分(但し無罪の部分を除く)を破棄する。
     被告人を懲役二年に処する。
     原審における未決勾留日数中二百日を右本刑に算入する。
     この裁判確定の日より四年間右刑の執行を猶予する。
     訴訟費用中原審において証人A、同B、同C、同D、同E、同F、同G
に各支給した分は原審相被告人H、同I、同J、一同K、同L及び被告人の連帯負
担とし、証人M、同N、同Oに支給した分は被告人と原審相被告人H、同Iとの平
等負担とし、当審において証人M、同Nに各支給した分は被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾に添付した弁護人小泉英一名義の控訴趣意書記載のとおり
で、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。
 論旨第一点について。
 昭和二十七年七月七日附の原審第二十回公判調書には、裁判官がかわつたので公
判手続を更新した旨の記載が存するのみで、更新手続そのものがどのようにして行
われたのか、殊に検察官の公訴事実の陳述や被告人及び弁護人の被告事件について
の陳述の有無等についての記載がないことは所論のとおりである。しかし公判調書
の記載を簡略化するために昭和二十六年十一月二十日最高裁判所規則第十五号を以
て改正された刑事訴訟規則第四四条第一項第三一号によれば公判手続を更新したと
きにも特に(イ)被告事件について被告人及び弁護人が前と異る陳述をした場合、
或は(ロ)取り調べない旨の決定をした書類及び物が存する場合を除いては単に公
判手続を更新した旨記載すれば足りるものとしているのであり、前記公判調書も右
刑事訴訟規則第四四条第一項第三一号(イ)(ロ)に掲げるような特記すべき事項
が存しなかつたので単に裁判官がかわつたので公判手続を更新したとの簡略な表現
をとつたわけなのである。もちろん公判調書の記載を簡略にすることを許しても公
判廷において行われる手続自体を簡略にしてよいというわけでないから、公判手続
を更新するには刑事訴訟規則第二一三条の二に定められているように先ず検察官を
して起訴状その他起訴状訂正書等に基いて公訴事実の要旨を陳述させ、それが終つ
て被告人及び弁護人に対し被告事件について陳述する機会を与え、更に進んで証拠
調を為しその取調を終つた各個の証拠について訴訟関係人の意見弁解を聴くなどの
一連の訴訟手続が実際に行われなければならないし、この手続が実際に行われない
以上適式に公判手続が更新されたとはいい得ないわけである。
 しかし公判廷においては検察官が列席するのはもとより、被告人弁護人も出頭し
ていることでもあるから、もし公判手続の更新が適式に行われなかつたとしたら、
必ずや訴訟関係人から異議の申立が為され、これによつて<要旨>違法な訴訟手続も
是正され得るものである。それ故に刑事訴訟規則第四四条は公判手続更新について
裁判長を初め訴訟関係人の訴訟行為を一々克明に公判調書に記載する必要を
認めず、もし違法な場合が生じても訴訟関係人の異議申立を以つて適式に手続が進
行する担保とするに十分なものとして必要な最少限度の事項を以て公判調書に記載
すべきことを命じたものに外ならないのであり、本件に於ても、前記公判調書の記
載及びこれに関して何等の異議申立の形跡がないことから公判手続の更新がすべて
適法に行われたものと推認し得るし、被告人及び弁護人の被告事件についての陳述
が従前と較べて異同がなかつたので公判調書に記載されなかつたものというべきで
ある。従つて公判調書の性質上審理更新手続の内容を一々記載しなければ無効との
所論は失当であると共に、刑事訴訟規則第四四条は公判手続更新を公判調書の必要
的記載事項としていること上記のとおりで刑事訴訟法に変更を加えているとは認め
られないのであるから本件公判調書の無効を主張する論旨はいずれも理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 近藤隆蔵 判事 吉田作穂 判事 山岸薫一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛