弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原決定を取消す。
     神戸地方裁判所所属執行吏Aが、別紙目録記載の自動車に対する神戸地
方裁判所姫路支部昭和二九年(ヲ)第二四五号自動車監守及保存の処分の執行に当
り為した同自動車の運行を許した処分はこれを取消す。
     異議申立費用及抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告理由は別紙のとおりである。
 先づ第一点につき考ふるに原決定の如き抗告に服する決定にあつては、民事訴訟
法第二百七条に依り、判決の記載要件についての同法第百九十一条が準用あつて、
事実争点及理由は、これが記載を要するものと解しなければならない。然るに原決
定には「当事者間の昭和二十九年(ヲ)第四一号執行方法に関する異議申立事件に
ついて申立人の申立を相当と認め左の通り決定する」とあるだけであつて、これに
よつては、それ等の記載があるものとは云えないから、原決定はこの点で法律違背
があり取消を免れない。
 而して本件記録を精査して見るに、本件執行方法の適否については、既に裁判を
するに熟するものと認められるから、第二点について判断する。
 抗告人は自動車に対する仮差押の執行の場合においては、その性質上、当然にそ
の自動車の運行は許可すべきであり、又この場合自動車強制執行規則第七条第三項
を準用すべきものであると主張するけれども、これば<要旨>何れも当裁判所の採ら
ない解釈である。なぜかならば、自動車に対する仮差押の執行は、その仮差押の命
令を自動車登録原簿に記入するに因つてこれをするものであることは、自動
車強制執行規則第十六条民事訴訟法第七百五十一条によつて明である。それは本来
仮差押は、将来の強制執行の保全を目的とするものであつて、本差押とは違い、そ
の自動車の換価による権利の実現を目的とするものではないから、換価の前提であ
る自動車の占有の確保は必ずしも必要ではなく、単に原簿記入により債務者のこれ
に対する処分を阻止しておけば、それで一応こと足りるといふところから不動産に
対する仮差押の執行と同様の手続によらしめたものなのである。従て自動車に対す
る仮差押の場合には、本差押の場合のように執行吏に対する自動車の引渡し、並に
その後の諸般の措置(例えば運行を許す等)は、原則としてその必要をみないので
あり、又本差押に関する規定である自動車強制執行規則第七条第三項はその準用の
余地もないのである。
 もとより自動車は、それ自体不動産とは性質も違うので、自動車に対する仮差押
の執行の場合には、船舶に対するそれにならつて、監守及保存の処分が認められて
おるのであるから、その処分として債権者の委任する執行吏に、その自動車の占有
保管を命ずることもあるのであろうが、かかる場合において、その監守及保存の処
分が不当であり不法であるといふならば、それについて仮差押裁判所に対し異議の
申立をして、これが救済を求むればよいのであつて、その処分の執行の受任執行吏
に対し、運行を許すが如き処分を求め得べきものではないからである。
 然らば本件において、別紙仮差押自動車に対し、監守及保存の処分の執行を受任
した行吏Aが、その自動車の運行を許した執行処分は違法であるからこれは取消さ
るべきものである。
 仍て民事訴訟法第四百十四条、第三百八十七条、第九十六条、第八十九条に則り
主文のとおり決定する。
 (裁判長判事 三吉信隆 判事 藤田弥太郎 判事 小野田常太郎)
(別紙目録は省略する。)

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