弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決中同判決末尾添付別紙目録(二)の為替手形元金五〇五、〇〇〇
円および利息損害金八、四四七円の更生債権を確定した部分を破棄し、右部分につ
き本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
     本件その余の上告を棄却する。
     前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人浦田仙造、同松下宏の上告理由第二について。
 論旨は、本件各手形が受取人の記載のない白地手形であることを原判決は看過し
たというが、記録によれば、本件各手形にはそれぞれ受取人の記載のあつたことは
当事者間に争がなく、その他所論のような事実を認めるべきなんらの資料もないか
ら、論旨は理由がない。
 同第一について。
 原判決が確定した事実によると、同判決末尾添付別紙目録(二)記載の為替手形
は、その振出人・受取人たる訴外Dの依頼により被告銀行がこれを割引(有価証券
の売買というよりむしろ手形を見返りとする貸金すなわち手形貸付に類する割引)
して取得したものであるが、その後、右割引債務は、Dの被上告銀行に対する通知
預金と相殺することにより完済されたところ、原審係属中の昭和三五年二月一九日
被上告銀行とDとの間で成立した特約により、被上告銀行は手形引受人たる上告人
に対して右手形上の権利行使をなすことをDより委任され、手形金の支払がなされ
たときはDの他の債務に充当し、または他の債務が存しないときはこれをDに返還
することとなつたものであるというのである。右事実関係からすると、被上告銀行
が本件手形を当初Dより取得したときは通常の譲渡裏書がなされたものと認めるべ
きであるが、その後右当事者間に締結された前記特約により、右裏書がいわゆる隠
れた取立委任裏書の趣旨に変更されたものと解するのが相当である。
 隠れた取立委任裏書がなされた場合においては、その裏書の当事者間では、手形
上の権利は事質的には被裏書人に移転することなく依然裏書人に帰属するものと解
されるから、手形債務者の側から裏書人に対して有する人的抗弁をもつて被裏書人
に対抗した場合には、被裏書人において裏書による抗弁切断を主張できないものと
解するのを相当とするところ、本件においては、上告人は本件手形が上告人と裏書
人たるDとの関係でいわゆる融通手形として振り出されたものであるから上告人に
手形金支払義務のない旨抗弁していることは記録上明らかであるにもかかわらず、
原判決は、融通手形であるとしてもその本来の性質上融通の当事者以外の被裏書人
に対しては融通手形であることを理由とする悪意の抗弁をもつて対抗できないとす
る単に通常の譲渡裏書の場合にのみいいうる理論をもつて上告人の抗弁を排斥した
第一審判決を是認してこれを引用説示するだけであつて、本件手形が果して裏書人
たるDに対抗できるような性質の融通手形であるかどうかについてはなんら審理判
断を加えてはいない。してみれば、原審は、この点について法令の解釈適用を誤つ
たかもしくは審理を尽さない違法を犯すものといわなければならないから、右違法
を主張する論旨は理由あるに帰し、主文第一項掲記の部分については、その余の論
旨に対する判断をまつまでもなく原判決は破棄を免れない。そして、右の点につい
て、さらに審理せしめるため右部分を原審に差し戻すことを相当とする。
 よつて、その余の上告はこれを棄却することとし、民訴四〇七案、三九六条、三
八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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