弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 本件を横浜地方裁判所に移送する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二 当事者の主張
当事者の主張は、次のとおり当審における主張を付加するほか、原判決事実摘示の
とおりであるから、これを引用する。
一 控訴人
1 本件の被告(被控訴人)を「鎌倉市長 A」に変更することの許可を求める。
2 原審においては、本人訴訟で手続が進められたものであるところ、控訴人は、
地方税法五条二項により課税主体が鎌倉市とされているところから、鎌倉市を被告
として本訴を提起したものであつて、これは、単純な誤解に基づくものである。す
なわち、控訴人には、右誤解について故意や重大な過失はないというべきである。
よつて、控訴人は、行政事件訴訟法一五条一項に基づき、被告(被控訴人)を変更
することの許可を申し立てる。
二 被控訴人
1 行政事件訴訟法一五条所定の被告変更は、原告に故意又は重過失がない場合に
限り許されるものである。
ところで、控訴人は、経営事務所・会計事務所を経営する者であり、税理士である
ばかりか法学修士の資格をも有しており、税法及び法律全般に関する専門家であ
る。
そもそも、税理士は、税務官公署に対する行政不服審査法等に基づく不服申立手続
の代理をもその業務内容の一つとしており(税理士法二条一項一号)、行政争訟手
続について十分な知識を有しているはずのものである。まして、固定資産税の賦課
処分が地方公共団体の長によりなされるものであることは地方税に関する基礎的事
項であつて、税理士(しかも、法学修士の資格を持つ税理士)たる控訴人にとつて
は自明の事柄に属するものである。
したがつて、控訴人が被告を誤つたことについては故意・重過失があり、被告変更
を許すべきものではない。
2 なお、控訴人は、裁判所が釈明権を行使して当事者の訴訟の遂行に過誤のない
ようにすべきもの、と主張している。
しかしながら、原審裁判所は、再三にわたり控訴人に対して被告変更を勧めてお
り、控訴人においてこれを拒否して結審に至つたものである。原審裁判所の審理手
続にあたかも不十分な点があつたとするかのごとき控訴人の主張は、真実に反する
ものであつて、
失当である。
○ 理由
一 当裁判所も、控訴人の本件訴えはこれを不適法として却下すべきものと判断す
るが、その理由は、次のとおり付加するほか、原判決理由説示のとおりであるか
ら、これを引用する。
控訴人は、当審において、被告(被控訴人)を鎌倉市長に変更することの許可を申
し立てたので、検討する。
行政事件訴訟法一五条所定の被告変更は、原告が故意又は重大な過失によらないで
被告とすべき者を誤つた場合に許される(同条一項)。
ところで、本件記録によれば、控訴人は、税理士の資格を有し、経営事務所・会計
事務所を経営するものであるが、法学修士の資格をも有しており、税法及び法律全
般に関する専門家と認められる。税理士は、税務官公署に対する行政不服審査法等
に基づく不服申立手続の代理をもその業務内容としており(税理士法二条一項一
号)、税務に関する行政争訟手続について十分な知識を有しているはずのものであ
り、固定資産税の賦課処分の主体についても十分な認識を有しているべきものと考
えられる。
しかも、原審記録によると、控訴人は、原審裁判所から第一回及び第二回の各口頭
弁論期日において被告の変更を促されたとうかがわれるところ、鎌倉市が被告とな
るべき旨を論じて、いずれの期日においても被告を変更する意思がない旨を陳述し
たことが明らかである。
以上の事実にかんがみると、原審において、控訴人は訴訟代理人を選任せず、自ら
訴訟を追行したものではあるが、この点を考慮しても、控訴人には、被告を誤つた
ことにつき重大な過失があつたものといわざるをえない。
よつて、控訴人の本件被告変更の申立ては、許可しないこととする。
二 以上の次第で、控訴人の本件訴えはこれを不適法として却下すべきであり、こ
れと同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却するこ
ととし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を
適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 猪瀬愼一郎 岩井 俊 小林正明)
(原裁判等の表示)
○ 主文
本件訴えを却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告
被告が原告に対し昭和六三年五月二日付けでした固定資産税賦課処分を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
(本案前の答弁)
主文と同旨
(本案に対する答弁)
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 被告の本案前の主張
固定資産税の賦課処分は地方公共団体の長が行うものであり、原告に対し昭和六三
年五月二日付けでされた固定資産税賦課処分(以下「本件処分」という。)も鎌倉
市長がこれをしたものである。
よつて、地方公共団体である鎌倉市を被告としてなされた本件訴えは被告とすべき
ものを誤つた不適法なものであるから、却下されるべきである。
二 本案前の主張に対する原告の反論
地方税である固定資産税の課税主体は市町村である(地方税法五条二項)から、本
件訴訟は鎌倉市を被告としてすべきもので、本件訴訟の被告に誤りはない。被告の
主張は国の委任事務などにより鎌倉市長が行政庁としてなす場合と誤解しているも
のであつて、理由がない。
三 原告の請求原因
1 被告に原告に対し本件処分をした。
2 しかしながら、本件処分は次の理由により違法であるから、その取消しを求め
る。
(一) 原告は鎌倉市内に居住している者であるが、鎌倉市<地名略>宅地四一
三・二五平方メートル(以下「本件土地」という。)上にある原告所有の木造亜鉛
メツキ鋼板葺平屋建居宅床面積一〇四・一九平方メートル(以下「本件建物」とい
い、本件土地と併せて「本件土地建物」という。)を建て替えることとし、昭和六
〇年九月株式会社第一住研(以下「第一住研」という。)との間で建物建築工事請
負契約を締結した(以下この契約による工事を「本件工事」という。)。
(二) そこで、第一住研は被告の担当部署と事前協議を開始したが、被告の担当
者から原告が右自宅敷地内で昭和五四年に実施した擁壁工事が不完全である旨の指
摘を受け、この工事の是正をめぐるやりとりのため本件工事に着工できなかつた。
その後原告は被告担当者の指示に応じて前記擁壁工事をやり直すこととし、改めて
本件工事の事前協議を続けた。ところが、被告の宅地造成の担当者がRC造りの建
築を認めているにもかかわらず、被告の風致担当者は、昭和六三年四月に至つて鎌
倉市内風致地区内におけるRC造りの建築は一切認めないと主張するようになり、
更に最近ではまつたく新しい発想で家屋の設計をするよう主張し、本件工事は未だ
に着工できないままである。
(三) 原告は昭和六二年一〇月に仮住居に転居したが、本件工事着工の目処もた
たず、
本件土地を宅地として利用することを妨げられている。
(四) 以上のように、被告の担当部署がバラバラな指導を繰り返すという被告の
義務の懈怠により本件工事が実行不可能となつて本件土地の宅地としての利用が妨
げられているにもかかわらず、被告の市長が本件土地について宅地として固定資産
税を課税するのは憲法の趣旨に反する違法なものというべきであつて、これが地方
税法の手続を履践してされているとしても許されるものではない。
3 よつて、原告は本件処分の取消しを求める。
四 請求原因に対する被告の認否
1 原告の請求原因1のうち、本件処分が存在することは認めるが、本件処分をし
たのは鎌倉市長である。
2 同2のうち、(一)の一段目は認めるが、その余はいずれも争う。
五 被告の主張
1 原告は昭和六三年一月一日現在鎌倉市内に本件土地建物を所有し、その旨不動
産登記簿に記載されているところ、本件土地の昭和六三年度の固定資産評価額は一
九〇〇万九五〇〇円で課税標準額は六八二万四九三三円であり、本件建物の同年度
の固定資産評価額及び課税標準額は八八万〇〇一九円であるから、原告に対する同
年度の固定資産税課税標準額は七七〇万四〇〇〇円(地方税法二〇条の四の二第一
項により一〇〇〇円未満の端数切り捨て)となる。
2 そこで鎌倉市長は、右固定資産税課税標準額七七〇万四〇〇〇円に鎌倉市にお
ける固定資産税の税率一〇〇分の一・四(鎌倉市税条例四三条)を乗じて原告の昭
和六三年度の固走資産税額一〇万七八〇〇円(地方税法二〇条の四の二第三項によ
り一〇〇円未満の端数切り捨て)を算出して本件処分をした。
したがつて、本件処分は適法にされたものであつて、違法な点はない。
3 なお、原告は鎌倉市の指導の不手際によつて建築確認が得られず本件土地を宅
地として利用できない状況が作出されている旨主張しているが、このような事実は
ないばかりか、そもそもこのような事由により固定資産税賦課処分が違法となる余
地はない。
六 原告の認否
被告の主張1、2は認めるが、本件処分をしたのは被告である。
○ 理由
一 昭和六三年一月一日現在鎌倉市内に本件土地建物を所有しその旨不動産登記簿
に記載されていた原告に対して同年五月二日付けで本件処分がされたことは当事者
間に争いがない。
二 被告は本件処分をしたのは鎌倉市長である旨主張して本件訴えの却下を求めて
いるので、以下この点について判断する。
1 まず地方税法は、同法二条において地方団体(同法一条一項一号により、道府
県又は市町村をいう。)が同法の定めるところによつて地方税を賦課徴収すること
ができる旨規定したうえ、同法五条において市町村が固定資産税を課する旨定めて
いるので、原告はこの規定を根拠として地方団体である被告が固定資産税を賦課す
る本件処分をしたものと主張している。
2 しかしながら、右規定は地方団体が地方税の課税権の主体であることを定めた
に過ぎないもので、課税権を具体的に行使するための意思決定並びに徴税のための
執行行為は、地方税の課税を含めて、いずれもその機関である行政庁がこれを行う
べきものであるところ、固定資産税の課税を行うべき行政庁を定める特別の規定は
ないから、地方団体を一般に代表すべき地位にある地方団体の長が右課税を含む地
方団体の行為を行うべきことになり、市の場合には市長がこれに該当し、現に本件
処分は鎌倉市長の処分にかかる(弁論の全趣旨により明らかなところである。)も
のである。
3 そして、行政処分取消しの訴えは、行政主体である地方団体ではなく当該処分
をした行政庁を相手として提起すべきものとされている(行政事件訴訟法一一条一
項)から、本件取消訴訟も鎌倉市長を被告として提起すべきものであつて、鎌倉市
を被告として提起された本件訴えは被告とすべき者を誤つた不適法な訴えである。
三 よつて、本件訴えを却下することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟
法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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