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平成16年(行ケ)第532号 特許取消決定無効確認請求事件
平成17年2月3日口頭弁論終結
     判    決
 原 告 株式会社イー・ピー・ルーム
 被 告 特許庁長官 小川洋
 指定代理人 井出英一郎,一色由美子,宮下正之
     主    文
 本件訴えを却下する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 原告は,次のとおりの判決を求めた。
 1 被告が,職務上注意義務がある,仮に,職務上注意義務がないとしても特許
第96574号「硬質金属合成物製造装置」公報及び実公昭46-5289号「直
接通電式加圧焼結炉」公報を審理すれば特許第2640694号「放電焼結装置」
の請求項1ないし3に係る特許を取り消す決定をした異議の決定の理由は成り立た
ない。すなわち,異議の決定の理由は無効とする。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
第2 被告の求めた裁判
 被告は,主文同旨の判決を求めた。
第3 前提事実
 1 本件特許の取消決定及びその後の経緯
 原告が特許権者であった本件特許第2640694号「放電焼結装置」につい
て,住友石炭鉱業株式会社から特許異議の申立てがあり,特許庁は,これを平成1
0年異議第70682号事件として審理し,平成13年7月4日,「特許第264
0694号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との決定をした(甲
2)。原告は,この決定の取消しを求める訴えを東京高等裁判所に提起し,東京高
裁平成13年(行ケ)第369号事件として係属し,平成15年4月9日,請求棄却
の判決があった(甲11)。この判決に対する原告による上告(最高裁平成15年
(行ツ)第197号)及び上告受理申立て(最高裁平成15年(行ヒ)第203号)に
ついては,平成15年10月9日,「本件上告を棄却する。本件を上告審として受
理しない。」との最高裁判所の決定があった(乙1)。
 2 上記特許取消決定(甲2)は,本件特許の出願における平成7年3月14日
付け手続補正が,明細書又は図面の要旨を変更するものであるとの認定判断を前提
に,当該出願が手続補正書を提出した平成7年3月14日にしたものとみなされる
と判断し,この判断に基づき,本件特許は特許法29条2項に違反してされたもの
としてこれを取り消したものである。
第4 原告の主張
 特許第96574号「硬質金属合成物製造装置」公報(甲3)及び実公昭46-
5289号「直接通電式加圧焼結炉」公報(甲4)によれば,上記手続補正は明細
書又は図面を要旨変更しないものとみなされるのに,被告がこれらの公報を審理し
ないでしたのについては,職務上注意義務違反がある。仮に,そうでないとして
も,これら公報を審理すれば,上記特許取消決定の理由は成り立たない,すなわ
ち,異議の決定の理由は無効である。
第5 当裁判所の判断
 前記第3の1の特許取消決定は,その取消訴訟における請求棄却の判決に対する
上告及び上告受理申立てについて最高裁判所の決定があったことにより,確定した
ものである。そして,特許取消決定に対する不服の訴訟としては,特許法(平成1
5年法律第47号による改正前のもの)は,178条において30日間の出訴期間
を定めてその取消訴訟を提起し得る旨規定し,他の不服の方法としては,171条
において確定した特許取消決定に対する再審の請求を規定している。
 原告が本訴で主張する事実関係は,すべて特許取消決定に対する取消訴訟で主張
し得たものにすぎず,上記の本件特許に関する経緯及び特許法の規定にかんがみれ
ば,上記原告の主張をもってしては,取消決定についての無効確認訴訟に関する訴
えの利益があるということはできない。その他,上記特許取消決定について無効確
認を求める訴えの利益があるとすべき特段の事情も認められず,本訴は訴えの利益
を欠くものとして却下を免れない。
第6 結論
 よって,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第4部
        裁判長裁判官塚  原  朋  一
        裁判官 塩  月  秀  平
裁判官 髙  野  輝  久

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