弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人三枝基行の上告趣意第一点について。
 所論は違憲をいうが、所論のような事由のあることをもつて、憲法三七条一項に
いう「公平な裁判所の裁判」でないと言い得ないものであることは、当裁判所の判
例とするところである(昭和二二年(れ)第四八号、同二三年五月二六日大法廷判
決、同二二年(れ)第一七一号、同二三年五月五日大法廷判決、刑集二巻五号四四
七頁、五一一頁)。それ故、違憲の主張は採るを得ない。(所論の実質は、結局単
なる訴訟法違反の主張に帰する。しかし、裁判所が被告人の供述、態度等を検討し、
証人の証言等他の資料と相まつて、犯行当時の被告人の精神状態に異常のなかつた
ものとの心証を構成し得る場合には、あえて専門家に鑑定を命じないからといつて、
経験則違反の違法あるものとはいい得ないと解すべきところ―昭和二四年(れ)第
一七九三号、同二五年一月一三日最高裁判所第二小法廷判決、刑集四巻一号一二頁
参照―、原判決が、犯行当時の被告人の心神の状態につき、所論のような能力の欠
缺のあつたことを認めがたいと判示したことは、記録に照らし首肯しうるところで
ある。)
 同第二点について。
 憲法三七条二項は、裁判所が必要と認めない場合においても、被告人側の申請に
かかる証人の総てを取調べなければならない趣旨の規定でないことは、当裁判所の
判例の示すところである(昭和二三年(れ)第八八号、同年六月二三日大法廷判決、
刑集二巻七号七三四頁)。本件においては、裁判所は、犯行当時の被告人の心神の
状態につき所論のような能力の欠缺のあつたことを認め得ないとしているのであつ
て、その判断の首肯し得られることは、上告趣意第一点に対する説示中に述べたと
おりである。されば、原審が被告人の精神鑑定申請を却下したことを違憲であると
する所論の理由のないことは、前記大法廷判例の趣旨に照らし明らかである(昭和
二五年(あ)第五六五号、同年一二月二六日第三小法廷判決、刑集四巻一二号二六
三六頁参照)。
 同第三点について。
 所論は違憲をいうが、所論自白が所論のように不任意のものであつたことを疑う
に足る証跡は記録上何ら認められないから、所論は前提を欠き、刑訴四〇五条の上
告理由に当らない。
 同第四点について。
 所論引用の判例は、引用の判示につづいて、「しかしながら、裁判官が公判廷に
おける被告人の供述態度等を仔細に注意し、且つ証人の証言等他の資料と相俟つて、
犯行当時の被告人の精神状態に異常のなかつたものとの心証を構成し得る場合にお
いては、たとえ被告人に精神分裂の既往症並びに犯行後に同様の医師の診断があつ
たとしても、叙上裁判所の心証判断をもつて直ちに経験則違反の不法あるものとは
云い得ない」と判示しているのである。本件においては、裁判所は適法に、犯行当
時の被告人の精神状態に異常のなかつたものと判断していることは、既に説示した
とおりであるから、原判決は、所論の点につき、何ら引用の判例に違反する点はな
い。所論は採るを得ない。
 同第五点について。
 所論は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(この点に
ついては、当裁判所は論旨を十分検討したが、記録に照らし、結局原判決の量刑に
関する判断につき刑訴四一一条二号を適用すべきものとは認められなかつた。)。
 被告人本人の上告趣意について。
 所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条
の上告理由に当らない(量刑につき同四一一条二号を適用すべきものと認められな
いことは、弁護人三枝基行の上告趣意第五点に対する説示に示したとおりである。)。
 よつて同四一四条、三九六条、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で
主文のとおり判決する。
 検察官 安田道直公判出席
  昭和三八年九月五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

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