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平成25年5月21日判決言渡
平成25年(行コ)第42号損害賠償等請求控訴事件
主文
1本件控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴の趣旨
(1)原判決を取り消す。
(2)東京都知事が平成22年12月9日付けでしたAマンション建替組合の
設立認可処分が無効であることを確認する。
2控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨
第2事案の概要
1(1)本件は,23棟の建物で構成されるA内の建物の区分所有者であり,建
替えに参加しない旨を回答した又は参加しない旨回答したとみなされた控
訴人らが,東京都知事による平成22年12月9日付けのAマンション建替
組合の設立認可処分(本件処分。原判決3頁10行目参照)が無効であるこ
との確認を求めた事案である。
(2)控訴人らは,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」とい
う。)70条1項に基づくA管理組合による本件一括建替え決議(原判決2
頁22行目参照)には,国土交通省の作成に係る「マンションの建替えに向
けた合意形成に関するマニュアル」(本件マニュアル。原判決2頁2行目参
照)所定の「建替え計画」に基づいていないなどの違法があり,これを前提
とする本件処分も,マンションの建替えの円滑化等に関する法律(平成23
年法律第105号による改正前のもの。以下「円滑化法」という。)9条1
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項,12条1号,2号又は10号に違反する違法なものであるから無効であ
るなどと主張した。
これに対し,被控訴人は,本件訴えについての控訴人らの原告適格(行政
事件訴訟法36条)を争うとともに,本件一括建替え決議が区分所有法70
条1項所定の要件を満たすものであり,円滑化法12条各号所定のマンショ
ン建替組合の設立認可処分の要件が満たされていることを確認した上で本
件処分はされているから,本件処分に重大かつ明白な瑕疵は存在しないと主
張して,控訴人らの本訴請求を争った。
(3)原審は,本件訴えについての控訴人らの原告適格を認めた上で,本件マ
ニュアルは,マンションの建替えに向けた合意形成を円滑に進めるための指
針又は手引書にすぎず,法令の委任に基づく法的拘束力を有するものではな
く,区分所有法及び円滑化法上,建替え計画を策定することが一括建替え決
議の適法要件とされているわけでもないから,本件マニュアル所定の建替え
計画が策定されていないからといって,本件一括建替え決議が違法なものと
はいえず,また,4分の3以上の多数による集会の決議ではなく,理事会の
決定だけで変更された「建替え決議に向けての議決権行使のための取扱い事
務要領」(本件事務要領。原判決5頁12行目参照)に基づき,議決権行使
書が決議のための集会に先立って開封されたとしても,本件一括建替え決議
が違法となるものではないとして,控訴人らの本訴請求を棄却したので,控
訴人らがこれを不服として控訴した。
2「関係法令の定め」,「争いのない事実等」,「争点」及び「当事者の主張」
は,原判決の「事実及び理由」中の第2の1ないし4に摘示するとおりである
から,これを引用する(ただし,原判決2頁23行目の「7」の後に「,14」
を加え,同頁25行目の「区分所有権者」を「区分所有者」に改める。)。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,本件訴えについて控訴人らの原告適格は認められるものの,本
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件処分は,マンション建替組合の設立認可処分の要件が満たされていることを
確認の上でされた適法なものであり,単なる指針又は手引書にすぎず,法的拘
束力を有しない本件マニュアル所定の建替え計画が策定されていないことや,
理事会の決議だけで変更した本件事務要領に基づき議決権行使書を決議のた
めの集会に先立ち開封したことによって,本件一括建替え決議が違法となるも
のではないと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」中の第3の1
及び2に説示するとおりであるから,これを引用する(なお,控訴人らは,安
全性に問題がなく,建て替えることに公共性がない場合であっても,5分の4
以上の絶対多数の賛成があれば建替えを強制的に実施することができるとす
る円滑化法は憲法29条に反すると主張するところ,円滑化法は,マンション
における良好な居住環境の確保を図り,国民生活の安定向上と国民経済の健全
な発展に寄与することを目的として,マンションの区分所有者により建替えが
決議された場合におけるその後の事業の円滑な遂行を図るための措置を講じ
たものであり(同法1条参照),建替えに参加しない者に対しては区分所有権
等の買取りの制度が設けられるなどの配慮もされているのであるから,憲法2
9条に反するとは解することができず,控訴人らの主張は採用することができ
ない。また,控訴人らは,円滑化法が憲法22条,25条に反するとも主張す
るのであるが,これを採用することができないことも上記と同様である。)。
2以上によれば,控訴人らの本訴請求は理由がないから,これを棄却すべきと
ころ,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを
棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第16民事部
裁判長裁判官奥田隆文
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裁判官片山憲一
裁判官清藤健一

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