弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する
         理    由
 本件抗告の趣意は、末尾添付の特別抗告申立書記載のとおりである。
 記録によると、墨田簡易裁判所は、被告人らおよびA、B、C、D、E、Fに対
する公職選挙法違反各被告事件について、昭和三八年七月八日略式命令を発し、右
命令謄本は、同年八月一六日被告人らに送達された。被告人らはその送達前である
同月一二日各正式裁判の請求をしたところ、同裁判所は、右各請求に基いて、同年
一一月一五日以降数回の公判期日を開き被告事件につき審理を進めたが昭和三九年
六月二〇日、被告人らのした正式裁判請求を、不適法であるとして、棄却する旨の
決定をした。これに対し、右決定の抗告裁判所である原裁判所は、右請求は不適法
であるが、裁判所がその不適法なことを看過して数次の公判期日を重ね、被告事件
につき審理を進めた以上、もはや正式裁判請求に関する手続上の瑕疵は治癒され、
裁判所としては、本件について実体裁判をなすべき義務を負うに至つたと解すべき
であるとして、同簡易裁判所の決定を取り消す旨の原決定をした。
 してみれば、原決定は、所論引用の大審院昭和一四年(れ)第三六九号同年六月
一七日判決(集一八巻一〇号三四一頁)の判断と相反する判断をしたものであるこ
と所論のとおりである。
 しかしながら、記録に編綴された墨田簡易裁判所の本件略式命令の裁判書と、被
告人らおよび前記A、B、Cに対する右命令謄本の各送達報告書によれば、同裁判
所は昭和三八年七月八日、一通の裁判書に、被告人らおよび前記A外五名を被告人
として表示し、主文には、「被告人等を各罰金八、〇〇〇円に処する。右罰金を完
納することができないときは金二五〇円を一日に換算した期間当該被告人を労役場
に留置する。」と記載して略式命令を発し、同月一一日検察官に右謄本を交付し、
被告人側に対しては同月一九日執行吏送達の手続に付し、右A、B、Cに対しては、
同月三〇日に右謄本が送達されたが、たまたま被告人らに対しては、これより遅れ
て、翌月一六日にこれが送達された事実が認められる。そうすると、被告人らは、
右略式命令謄本の送達は受けてはいないけれども、その謄本が検察官又は一部の共
同被告人に送達されており、裁判所として、もはやその内容を変更することのでき
ない状態に達していたのである。従つてこの裁判に対し不服を申し立てることは、
将来如何なる裁判があるか不明なのに敢えて不服申立をするという不当もなく、た
だ、被告人らに対しては裁判の告知が遅れた結果、正式裁判の請求が、その請求権
発生前になされた点で不適法となるに過ぎないから、右正式裁判の請求を受けた裁
判所が未だこれを不適法として棄却しない間に、被告人らに対する略式命令謄本の
送達が完了すれば、不適法な請求も、その瑕疵が治癒されると解するのが相当であ
る。
 そして、本件では墨田簡易裁判所が正式裁判請求を棄却する前に、被告人らに対
する謄本の送達が行われていることが明らかであるから、申立時には不適法であつ
た本件正式裁判請求も、その瑕疵が治癒されたとして、同簡易裁判所の決定を取り
消した原決定は結局正当であつたというべきである。
 そうすると、前記大審院の判例は、これを変更するのを相当と認める。本件抗告
は理由なきに帰する。
 よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり決定する。
  昭和四〇年九月二九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    奧   野   健   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
 裁判官石坂修一は退官、裁判官山田作之助は海外出張のため記名押印することが
できない。
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎

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