弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人岡部勇二の上告趣意第一点について。
 所論は、違憲(三一条、二九条一項違反)をいうが、その実質は単なる法令違反
の主張であつて(公社または指定小売人でない者が、反覆継続してする意図のもと
に、製造たばこの販売の準備をする行為は、たばこ専売法二九条二項、七一条五号
に該当するものであることは、当裁判所の判例とするところであり、―昭和三〇年
(あ)第一〇二五号同三二年七月九日第三小法廷決定、刑集一一巻八号二〇五五頁、
昭和三七年(あ)第四一〇号同三七年九月一三日第一小法廷判決、刑集一六巻九号
一三二七頁参照―右判例は、いまなお、これを変更するの要をみない。すなわち、
たばこ専売法が財政上の収入を図る目的をもつものであることはいうまでもないが、
同法の目的とするところはこれに尽きるわけではなく、製造たばこの流通過程を広
範に規制することを建前とし、その見地から、均質の製造たばこを国内いずれの地
においても、同じ価格て、しかも同じような条件で比較的簡便に購入することがで
きるようにしようとするものでもある。このような規制を必要とするゆえんは、も
し所論のように、公社または指定小売人が売り渡した製造たばこを公社または指定
小売人でない者が、反覆継続してする意図のもとに、他に販売しまたは販売の準備
をすることができることになれば、指定小売人制度の趣旨を没却し、その取締に困
難をきたすのみならず、製造たばこの集中偏在をきたし、ひいては、定価販売制度
の趣旨が無視され、その価格は時と所によつて高低の差を生じ、しかも品質の確保
が困難となり、ときには品質の低下を招来する結果ともなつて、前記たばこ専売法
の目的は著しく阻害されることになるものといわなければならないからである。)、
上告適法の理由に当らない。
 同第二点は、単なる法令違反の主張であり(なお、公社が製造し、指定小売人が
売り渡した製造たばこでも、これを没収することができることは、当裁判所の判例
とするところである―昭和二九年(あ)第二六五七号同三一年一二月二八日第二小
法廷判決、刑集一〇巻一二号一八一一頁、昭和三七年(あ)第四一〇号同三七年九
月一三日第一小法廷判決、刑集一六巻九号一三二七頁参照)、同第三点は、判例違
反をいうが、原判決は、所論のようにたばこ専売法七五条一項が必要的没収の規定
ではないと判断しているのではないから、所論はその前提を欠き、その余は、いず
れも単なる法令違反の主張であり、同第四点は、単なる法令違反を前提とする量刑
不当の主張であつて、すべて上告適法の理由に当らない。
 職権で調査するに、たばこ専売法七五条一項は、その犯罪にかかる物件が存在し、
かつ特定しうるものであれば、それがもともと他人の所有である場合、および犯人
がそれを他人に譲渡した場合のほかは、押収されていると否とを問わず、必ず没収
の言渡をしなければならないものであり、また同条二項は、同項所定の要件、すな
わち、犯罪にかかる物件を他に譲り渡し、若しくは消費したとき又は他にその物件
の所有者があつて、没収することのできないときに限り、その価額の追徴の言渡を
することができるものと解するのが相当である。
 ところが、本件記録によると、被告人は、昭和三六年九月一〇日に、本件製造た
ばこ(ピース一一三一個、いこい二一四一個、しんせい二三個およびみどり四個)
とともに、Aから預つていた製造たばこ(ピース二四〇〇個およびいこい二二〇〇
個)を合わせて押収されたこと、およびその後被告人の請求により、同年一一月一
日に右製造たばこ全部が被告人に還付されたことは明らかであるが、本件製造たば
こが存在し、かつ、特定しうるものであるか否かについてはもちろん、前記追徴の
要件事実についても、なんら取調べをした形跡がない。
 しかるに、原判決は、追徴の言渡をした第一審判決を是認しているのであるから、
原判決には審理不尽ないしたばこ専売法七五条の解釈適用を誤つた違法があるもの
というべく、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よつて、刑訴法四一一条一号により原判決を破棄し、さらに審理させるため、こ
れを原裁判所に差し戻すべきものとし、同四一三条本文により、裁判官全員一致の
意見で主文のとおり判決する。
 (なお、弁護人岡部勇二の第一ないし第七補充上告趣意は、いずれも上告趣意書
差出期間経過後に差し出されたものであるから、判断を加えない。)
 検察官 平出禾公判出席
  昭和四〇年一月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛